寂しがり少女
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その後の試合展開も激しいもので、ファイアードラゴンの猛攻に点を取られたものの、キャプテンの力強い言葉によって動きが悪かった飛鷹さんや豪炎寺さんの調子も戻り、イナズマジャパンが一つになって挑んだ試合。
《予選突破だー!!世界への切符を手に入れたのは激闘を制したイナズマジャパンだー!!》
試合終了を知らせるホイッスルの音を聞きながら、得点板を見る。
4-3。確かに、イナズマジャパンの勝利だった。
肩を組んだり、ガッツポーズをしたりと各々喜び合うみんなの声と周りの歓声が会場を埋め尽くしていた。
私はその輪に加わることはせずにぼんやりとその姿を眺めていた。入りにくい、とかそういうわけではない。……ふわふわとした感覚から抜け出せなかった。これが高揚感、なのかな?
「明奈ちゃん」
名前を呼ばれ、振り向くとアフロディさんが立っていた。
「アジア予選突破。おめでとう」
負けたにも関わらず笑みを浮かべ、そう祝ってくれるアフロディさん。
「えっと……キャプテンはあっちに…………」
「もちろん、円堂くん達の方にも挨拶に行かせてもらうよ。だけど、先に君の誤解を解いておきたくてね」
私よりも話す人はいるんじゃないかと指を指そうとするも、彼は笑顔のまま首を横に振った。
誤解?
「……試合前に言い損ねたけれど、君のことは“鬼道くんと同じ選手を視る事に長けているプレーヤー”、と説明したかったんだ」
「え?」
アフロディさんが言っているのは、試合前の話だろう。
「エイリア学園の件で一時期、雷門サッカー部に加入してね。その時、鬼道くんと話した際に何となく君のことを思い出したけれど……まさか兄妹だとは思わなかったな」
私は、兄妹であることを引き合いに出されていると思っていたけれど、アフロディさんはそもそも兄妹ということを知らなかったようで、
「……すみません」
また、私は勝手に勘違いをしてしまっていた。
……意識をしていたのは自分の方なのだろう。
半ば八つ当たりみたいなことをしたことは覚えているので、その事への申し訳なさやら情けなさで思わず手で顔を覆いながら謝れば、アフロディさんは大丈夫だよ、と爽やかな声で返答してくれた。
「世界大会。僕たちの分までがんばってね」
それと、お兄さん達と仲良くね。なんて手を伸ばして微笑んでくれるアフロディさん。
「……はいッ!」
そんな真っ直ぐな笑顔に眩しさを感じながらも私が頷いて、その手を重ねて握手をした。
「……そんな表情もできたんだね」
「え?」
私の顔を見て一瞬だけ目を丸くするアフロディさんに何のことか分からずに首を傾げた。
その後も南雲さんに力を(渋々)認めてもらったり、涼野さんに褒めてもらったり……?した。(涼野さんの言う事は難しい言葉が多く、咄嗟に基山さんと緑川さんを見たけれどすぐに目線を逸らされた。なんで)
それから試合終わりの挨拶も終わらせ、選手はベンチへと戻ることになった。
「……今更、大丈夫かな」
「オレの時は普通に呼んでいただろ」
「あれは、必死だったから………」
ベンチへと向かう足どりが重い私を見兼ねたのかいつの間にか隣には兄がいて、そう吐露をするけども共感は得られなかった。
「大丈夫だ。アイツだって心待ちにしてるさ」
そして軽い調子でぽんっと肩を叩いて笑みを浮かべる。
何を根拠に……とは思うけれど、今となっては兄の方があの子と一緒にいる時間が多いんだから当然かと納得した。
それからベンチへと着いて、私は真っ先に彼女の目の前へと歩いた。
久遠さんや木野さん、マネージャー同士で手を取り合って無邪気に喜びあっていたあの子は私が来たことに気づいたのか、体をこちらに向ければ、緊張と期待が混ざったような瞳が私を映す。
私は小さく呼吸をしたのちに、片手を上げた。
「か……勝ったよ。………春奈」
そして、妹の名前をやっと口にした。
本当は笑顔で言いたかったけれど、口元のぎこちなさから多分ちゃんとは笑えていない。だけど……
「っ……!」
「わっ……!!」
春奈は私の胸の中に飛び込んできてくれた。
勢いがあって転びそうになったのを何とか耐えている間にも、春奈はぎゅうと背中に回した手が強くユニフォームを握ったのが分かる。
「お姉ちゃん」
「!……うん」
変わらず、そう呼んでくれる妹の声を聞きながら私も腕を回す。
「お姉ちゃん……!!」
「うん……!」
肩口に顔を埋めてただただそう呼ぶ春奈に、私も頷くのが精一杯で私達はしばらく抱きしめ合っていた。
もう二度と、離れないように強く、強く。
《予選突破だー!!世界への切符を手に入れたのは激闘を制したイナズマジャパンだー!!》
試合終了を知らせるホイッスルの音を聞きながら、得点板を見る。
4-3。確かに、イナズマジャパンの勝利だった。
肩を組んだり、ガッツポーズをしたりと各々喜び合うみんなの声と周りの歓声が会場を埋め尽くしていた。
私はその輪に加わることはせずにぼんやりとその姿を眺めていた。入りにくい、とかそういうわけではない。……ふわふわとした感覚から抜け出せなかった。これが高揚感、なのかな?
「明奈ちゃん」
名前を呼ばれ、振り向くとアフロディさんが立っていた。
「アジア予選突破。おめでとう」
負けたにも関わらず笑みを浮かべ、そう祝ってくれるアフロディさん。
「えっと……キャプテンはあっちに…………」
「もちろん、円堂くん達の方にも挨拶に行かせてもらうよ。だけど、先に君の誤解を解いておきたくてね」
私よりも話す人はいるんじゃないかと指を指そうとするも、彼は笑顔のまま首を横に振った。
誤解?
「……試合前に言い損ねたけれど、君のことは“鬼道くんと同じ選手を視る事に長けているプレーヤー”、と説明したかったんだ」
「え?」
アフロディさんが言っているのは、試合前の話だろう。
「エイリア学園の件で一時期、雷門サッカー部に加入してね。その時、鬼道くんと話した際に何となく君のことを思い出したけれど……まさか兄妹だとは思わなかったな」
私は、兄妹であることを引き合いに出されていると思っていたけれど、アフロディさんはそもそも兄妹ということを知らなかったようで、
「……すみません」
また、私は勝手に勘違いをしてしまっていた。
……意識をしていたのは自分の方なのだろう。
半ば八つ当たりみたいなことをしたことは覚えているので、その事への申し訳なさやら情けなさで思わず手で顔を覆いながら謝れば、アフロディさんは大丈夫だよ、と爽やかな声で返答してくれた。
「世界大会。僕たちの分までがんばってね」
それと、お兄さん達と仲良くね。なんて手を伸ばして微笑んでくれるアフロディさん。
「……はいッ!」
そんな真っ直ぐな笑顔に眩しさを感じながらも私が頷いて、その手を重ねて握手をした。
「……そんな表情もできたんだね」
「え?」
私の顔を見て一瞬だけ目を丸くするアフロディさんに何のことか分からずに首を傾げた。
その後も南雲さんに力を(渋々)認めてもらったり、涼野さんに褒めてもらったり……?した。(涼野さんの言う事は難しい言葉が多く、咄嗟に基山さんと緑川さんを見たけれどすぐに目線を逸らされた。なんで)
それから試合終わりの挨拶も終わらせ、選手はベンチへと戻ることになった。
「……今更、大丈夫かな」
「オレの時は普通に呼んでいただろ」
「あれは、必死だったから………」
ベンチへと向かう足どりが重い私を見兼ねたのかいつの間にか隣には兄がいて、そう吐露をするけども共感は得られなかった。
「大丈夫だ。アイツだって心待ちにしてるさ」
そして軽い調子でぽんっと肩を叩いて笑みを浮かべる。
何を根拠に……とは思うけれど、今となっては兄の方があの子と一緒にいる時間が多いんだから当然かと納得した。
それからベンチへと着いて、私は真っ先に彼女の目の前へと歩いた。
久遠さんや木野さん、マネージャー同士で手を取り合って無邪気に喜びあっていたあの子は私が来たことに気づいたのか、体をこちらに向ければ、緊張と期待が混ざったような瞳が私を映す。
私は小さく呼吸をしたのちに、片手を上げた。
「か……勝ったよ。………春奈」
そして、妹の名前をやっと口にした。
本当は笑顔で言いたかったけれど、口元のぎこちなさから多分ちゃんとは笑えていない。だけど……
「っ……!」
「わっ……!!」
春奈は私の胸の中に飛び込んできてくれた。
勢いがあって転びそうになったのを何とか耐えている間にも、春奈はぎゅうと背中に回した手が強くユニフォームを握ったのが分かる。
「お姉ちゃん」
「!……うん」
変わらず、そう呼んでくれる妹の声を聞きながら私も腕を回す。
「お姉ちゃん……!!」
「うん……!」
肩口に顔を埋めてただただそう呼ぶ春奈に、私も頷くのが精一杯で私達はしばらく抱きしめ合っていた。
もう二度と、離れないように強く、強く。