寂しがり少女
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「よおーし!この調子で逆転だ!!」
「「「おおっ!!!!」」」
ハーフタイムを終えて、開始される後半戦。
ネオジャパンはディフェンスの石平と寺門を、それぞれ千羽山の牧谷と世宇子の平良へとメンバーチェンジをしていた。
その狙いを理解したのは、緑川さんが新しい必殺技を生み出し勢いづいた彼のパスが再び豪炎寺さんへと繋がった時だ。
「 “真 無限の壁” !!」
先ほど得点を決めることができた必殺技を、高く分厚い石壁が止めた。
「……千羽山か」
「千羽山?」
牧谷を入れたのはこのためだろうと納得している中、隣から不思議そうに呟く虎丸くんの声が聞こえた。
「FFの出場校だよ。そこの最強のキーパー技をネオジャパンは強化させた」
「最強のキーパー技……」
私はグラウンドから目を離さないまま説明すれば、虎丸くんは緊張気味に呟いていた。
それからイナズマジャパンは何度も必殺シュートを打つけれど、無限の壁を破ることはできずに体力だけが消耗していく。その隙をネオジャパンに攻められ、イナズマジャパンは防戦一方となってしまった。
ベンチ陣は不安そうに久遠監督を見るが、そんな中でも監督の指示はなく、ただ静かにグラウンドを見据えているだけ。
「これで終わりだ! “ゴッドノウズ 改” !!」
その間にもネオジャパンの猛攻は止まらずに、緑川さんを躱した砂木沼さんは純白の羽を生やし、強力なシュート技を放つ。世宇子中の必殺技だ。
「絶対に止める!負ける訳にはいかないんだ……!!」
―世界に行くためにも!!
円堂さんは怯むことなく、真っ直ぐボールを睨みつけた円堂さんは拳を振り上げて必殺技を放った。
「 “正義の鉄拳” !!」
熱い気持ちを乗せた黄金の拳は“ゴッドノウズ 改”に打ち勝ち、ボールをラインの外へと弾き出した。……また、必殺技が進化した。
「選手交代だ!」
円堂さんのレベルアップ、という目的を果たした久遠監督はベンチ側を一瞥して指示を出す。
「緑川に代わって飛鷹!」
「……っ!」
「木暮に代わって立向居!」
「は、はい……!」
それから久遠監督は円堂さんを呼び出していた。……どうやらカタール戦みたいに立向居くんをMFに入れる訳ではなさそうだ。
それから私は緊張気味にストレッチをしている飛鷹さんの背中を見ていると、ふと彼が私の方に視線を向けた。
「…………」
「お、おう!」
私はとんとんと自分の膝を軽く叩きながら飛鷹さんを見ると、彼はこくりと頷いてそれからグラウンドへ走って行く。……気合を入れすぎて空回らなければいいけれど。
「明奈さんと飛鷹さんって意外と仲がいいんですね」
「……試合見なよ」
そんな言葉にハッと隣の席を見れば、虎丸くんが大人しい時にすら見せなかったにっこりとした笑みを浮かべていた。
どんな感情だよ、といまいち読みきれない私はそんな言葉しか返せなかった。
「…………初心者で色々見てられないから、発破かけただけだよ」
「まあいいですよ。俺らも仲良しですもんね!」
「聞けよおい」
私の誤魔化しも聞かずにぐいぐい絡んでくる虎丸くんに、私はどう反応すればいいか分からずに小言しか返せなかった。
こんな自分と仲良しを名乗るとか……意味わかんない。
少しむずがゆい感覚を味わったものの、試合再開のホイッスルが聞こえて、私は頭を振ってグラウンドへと目線を向けて試合に集中することにした。
イナズマジャパンはメンバーチェンジだけでなく、立向居くんがGK、円堂さんがDFとポジションチェンジを行っていた。リベロとして使うみたいだ。
「上がれ!」
そんなタイミングを待ってたと言わんばかりにネオジャパンはゴールの要以外を残して、全員で攻め上がっていた。世宇子ではFWだった平良を入れたのはこのためなんだろう。
円堂さんが攻撃に回る以上、どうしても薄くなる守りを突くための戦略だ。
「「「 “トライアングルZ 改” !!」」」
あっという間にゴール前まで攻められ、砂木沼さんを中心にして放たれたのは木戸川清修の必殺技だった。
「うおおおお……!!」
そんな強烈なシュートが向かうゴール前、飛鷹さんはボールを見据えながらディフェンスの役割を果たすために足を伸ばした。
だけど、少しだけ届かなくて。
「くっそぉ……!!」
悔し気に右足を振り上げた時だった。彼の足から生み出した風が、ボール周辺の空気を歪ませ、シュートの威力を無くした。
「っえ?」
そのボールはすんなりと立向居くんの手の中へと収められたものの、何が起こったか分からないとった表情を浮かべていた。
よしよし。さらに蹴りの強さに磨きがかかっているな。
「円堂さん!」
ともあれ、今は大事な試合だ。立向居くんはすぐにボールを投げて円堂さんへと繋げる。
イナズマジャパンのカウンターに、血気迫る勢いで戻ってきた砂木沼さんが円堂さんへ激しいチャージを仕掛けた。
「鬼道っ!豪炎寺っ!」
それを突破した円堂さんは鬼道さんへとパスを繋ぎ、豪炎寺さんと一緒に駆け出す。
鬼道さんが紫のオーラを纏ったボールを蹴り上げれば、そこへ稲妻が落ち、凄まじいエネルギーを生み出される。
「「「 “イナズマブレイク V2” !!」」」
鬼道さん、円堂さん、豪炎寺さんが同時に蹴り上げた必殺シュートは、ついに無限の壁を打ち破った。
そして、そんなタイミングで試合終了を知らせるホイッスルがグラウンドへと鳴り響いた。
“イナズマブレイク”は過去にFFの試合データを見ていた時に、目にしたことはある。だけど、実際自分の目で見るのは初めてで、それはデータ上で見るよりも、ずっと…………
「明奈さん、整列しますよ?」
考え込んでいた私に呼び掛ける声に、意識が現実へと引き戻された。みれば、ベンチから立ち上がりながら声を掛ける虎丸くんが動こうとしない私を不思議そうに見ていた。
「……今いく」
私は何でもないように振る舞いながら、立ち上がりグラウンドへと足を進めた。
「お前たちが少しでも気の抜いたプレーをすれば、日本代表の座は……我々が奪い取る!」
「……ああ!挑戦なら、いつでも受けて立つぜ!!」
互いを認め合ったキャプテン同士の強く握り合った握手。
選ばれなかった者の想いに応える。響木さんが言っていた言葉の重みをさらに感じながら、私には眩しすぎるそれから目線を逸らした。
試合後の挨拶をした後、ネオジャパンの選手と雑談をする時間ができた。周りは互いの成長やら近況報告やらで楽しげに話し合っているのが見える。
「不動」
「…………えっ」
私も数少ない顔見知りの姿を探していた矢先、予想外の人物に名前を呼ばれて一瞬固まった。
「ん?どうした?」
「……いえ、お久しぶりです」
不思議そうに首を傾げるのはネオジャパンのGKである源田先輩だった。……てっきり鬼道さんと話すと思っていたから、自分に声を掛けてきたことに、驚きながらも何とか軽く頭を下げる。
「元気にしてるか?」
「……普通です」
「そうか……変な奴らに声掛けられたり、迷子になったりしてないか?」
「………………してません」
「本当か?」
「本当です……!」
源田先輩がイメージしている軽薄な男達“には”絡まれていないし、迷子だって何だかんだ雷門中に着いてるから大丈夫……なはずだ。
少し間が空いたことで源田先輩に訝しげに見られたけれど、力強く返事をして誤魔化せば、何とか納得してくれた。
何かと世話を焼いてくれる姿は相変わらずだ。…………とはいえ、源田先輩と話している姿はイナズマジャパンの面子からしたら驚きなのかちらちらと視線を感じる。……加害者と被害者が仲良く話してるんだから当たり前だ。
尋ねられたらどう説明するべきかと考えている途中の事だった。
「源田、うちの明奈を取らないでくれる?」
ぐいっと腕を引かれたかと思えば柔らかいものに包まれた。
「忍ちゃん……!」
私を抱きしめた人は、探していた内の一人である忍ちゃんだった。すぐに顔を上げて名前を呼ぶが、肝心の彼女は源田先輩を睨みつけている。
「人聞き悪いな。俺は久々に不動と会えたから話していただけだ」
「そんなにオハナシしたかったら、帝国学園の奴らと話してたらいいじゃない」
「今はお前も帝国学園の生徒だろ」
「え?」
「……チッ」
源田先輩と忍ちゃんの会話を聞いている中で、聞き逃せないワードが聞こえて私が声を出すのと、忍ちゃんが舌打ちしたのは同時だった。
「行くわよ」
「え、ちょっと……忍ちゃん…………!?」
それから右腕を掴まれたかと思えば、引っ張られてそのまま雷門中の外へと歩き出した。
「「「おおっ!!!!」」」
ハーフタイムを終えて、開始される後半戦。
ネオジャパンはディフェンスの石平と寺門を、それぞれ千羽山の牧谷と世宇子の平良へとメンバーチェンジをしていた。
その狙いを理解したのは、緑川さんが新しい必殺技を生み出し勢いづいた彼のパスが再び豪炎寺さんへと繋がった時だ。
「 “真 無限の壁” !!」
先ほど得点を決めることができた必殺技を、高く分厚い石壁が止めた。
「……千羽山か」
「千羽山?」
牧谷を入れたのはこのためだろうと納得している中、隣から不思議そうに呟く虎丸くんの声が聞こえた。
「FFの出場校だよ。そこの最強のキーパー技をネオジャパンは強化させた」
「最強のキーパー技……」
私はグラウンドから目を離さないまま説明すれば、虎丸くんは緊張気味に呟いていた。
それからイナズマジャパンは何度も必殺シュートを打つけれど、無限の壁を破ることはできずに体力だけが消耗していく。その隙をネオジャパンに攻められ、イナズマジャパンは防戦一方となってしまった。
ベンチ陣は不安そうに久遠監督を見るが、そんな中でも監督の指示はなく、ただ静かにグラウンドを見据えているだけ。
「これで終わりだ! “ゴッドノウズ 改” !!」
その間にもネオジャパンの猛攻は止まらずに、緑川さんを躱した砂木沼さんは純白の羽を生やし、強力なシュート技を放つ。世宇子中の必殺技だ。
「絶対に止める!負ける訳にはいかないんだ……!!」
―世界に行くためにも!!
円堂さんは怯むことなく、真っ直ぐボールを睨みつけた円堂さんは拳を振り上げて必殺技を放った。
「 “正義の鉄拳” !!」
熱い気持ちを乗せた黄金の拳は“ゴッドノウズ 改”に打ち勝ち、ボールをラインの外へと弾き出した。……また、必殺技が進化した。
「選手交代だ!」
円堂さんのレベルアップ、という目的を果たした久遠監督はベンチ側を一瞥して指示を出す。
「緑川に代わって飛鷹!」
「……っ!」
「木暮に代わって立向居!」
「は、はい……!」
それから久遠監督は円堂さんを呼び出していた。……どうやらカタール戦みたいに立向居くんをMFに入れる訳ではなさそうだ。
それから私は緊張気味にストレッチをしている飛鷹さんの背中を見ていると、ふと彼が私の方に視線を向けた。
「…………」
「お、おう!」
私はとんとんと自分の膝を軽く叩きながら飛鷹さんを見ると、彼はこくりと頷いてそれからグラウンドへ走って行く。……気合を入れすぎて空回らなければいいけれど。
「明奈さんと飛鷹さんって意外と仲がいいんですね」
「……試合見なよ」
そんな言葉にハッと隣の席を見れば、虎丸くんが大人しい時にすら見せなかったにっこりとした笑みを浮かべていた。
どんな感情だよ、といまいち読みきれない私はそんな言葉しか返せなかった。
「…………初心者で色々見てられないから、発破かけただけだよ」
「まあいいですよ。俺らも仲良しですもんね!」
「聞けよおい」
私の誤魔化しも聞かずにぐいぐい絡んでくる虎丸くんに、私はどう反応すればいいか分からずに小言しか返せなかった。
こんな自分と仲良しを名乗るとか……意味わかんない。
少しむずがゆい感覚を味わったものの、試合再開のホイッスルが聞こえて、私は頭を振ってグラウンドへと目線を向けて試合に集中することにした。
イナズマジャパンはメンバーチェンジだけでなく、立向居くんがGK、円堂さんがDFとポジションチェンジを行っていた。リベロとして使うみたいだ。
「上がれ!」
そんなタイミングを待ってたと言わんばかりにネオジャパンはゴールの要以外を残して、全員で攻め上がっていた。世宇子ではFWだった平良を入れたのはこのためなんだろう。
円堂さんが攻撃に回る以上、どうしても薄くなる守りを突くための戦略だ。
「「「 “トライアングルZ 改” !!」」」
あっという間にゴール前まで攻められ、砂木沼さんを中心にして放たれたのは木戸川清修の必殺技だった。
「うおおおお……!!」
そんな強烈なシュートが向かうゴール前、飛鷹さんはボールを見据えながらディフェンスの役割を果たすために足を伸ばした。
だけど、少しだけ届かなくて。
「くっそぉ……!!」
悔し気に右足を振り上げた時だった。彼の足から生み出した風が、ボール周辺の空気を歪ませ、シュートの威力を無くした。
「っえ?」
そのボールはすんなりと立向居くんの手の中へと収められたものの、何が起こったか分からないとった表情を浮かべていた。
よしよし。さらに蹴りの強さに磨きがかかっているな。
「円堂さん!」
ともあれ、今は大事な試合だ。立向居くんはすぐにボールを投げて円堂さんへと繋げる。
イナズマジャパンのカウンターに、血気迫る勢いで戻ってきた砂木沼さんが円堂さんへ激しいチャージを仕掛けた。
「鬼道っ!豪炎寺っ!」
それを突破した円堂さんは鬼道さんへとパスを繋ぎ、豪炎寺さんと一緒に駆け出す。
鬼道さんが紫のオーラを纏ったボールを蹴り上げれば、そこへ稲妻が落ち、凄まじいエネルギーを生み出される。
「「「 “イナズマブレイク V2” !!」」」
鬼道さん、円堂さん、豪炎寺さんが同時に蹴り上げた必殺シュートは、ついに無限の壁を打ち破った。
そして、そんなタイミングで試合終了を知らせるホイッスルがグラウンドへと鳴り響いた。
“イナズマブレイク”は過去にFFの試合データを見ていた時に、目にしたことはある。だけど、実際自分の目で見るのは初めてで、それはデータ上で見るよりも、ずっと…………
「明奈さん、整列しますよ?」
考え込んでいた私に呼び掛ける声に、意識が現実へと引き戻された。みれば、ベンチから立ち上がりながら声を掛ける虎丸くんが動こうとしない私を不思議そうに見ていた。
「……今いく」
私は何でもないように振る舞いながら、立ち上がりグラウンドへと足を進めた。
「お前たちが少しでも気の抜いたプレーをすれば、日本代表の座は……我々が奪い取る!」
「……ああ!挑戦なら、いつでも受けて立つぜ!!」
互いを認め合ったキャプテン同士の強く握り合った握手。
選ばれなかった者の想いに応える。響木さんが言っていた言葉の重みをさらに感じながら、私には眩しすぎるそれから目線を逸らした。
試合後の挨拶をした後、ネオジャパンの選手と雑談をする時間ができた。周りは互いの成長やら近況報告やらで楽しげに話し合っているのが見える。
「不動」
「…………えっ」
私も数少ない顔見知りの姿を探していた矢先、予想外の人物に名前を呼ばれて一瞬固まった。
「ん?どうした?」
「……いえ、お久しぶりです」
不思議そうに首を傾げるのはネオジャパンのGKである源田先輩だった。……てっきり鬼道さんと話すと思っていたから、自分に声を掛けてきたことに、驚きながらも何とか軽く頭を下げる。
「元気にしてるか?」
「……普通です」
「そうか……変な奴らに声掛けられたり、迷子になったりしてないか?」
「………………してません」
「本当か?」
「本当です……!」
源田先輩がイメージしている軽薄な男達“には”絡まれていないし、迷子だって何だかんだ雷門中に着いてるから大丈夫……なはずだ。
少し間が空いたことで源田先輩に訝しげに見られたけれど、力強く返事をして誤魔化せば、何とか納得してくれた。
何かと世話を焼いてくれる姿は相変わらずだ。…………とはいえ、源田先輩と話している姿はイナズマジャパンの面子からしたら驚きなのかちらちらと視線を感じる。……加害者と被害者が仲良く話してるんだから当たり前だ。
尋ねられたらどう説明するべきかと考えている途中の事だった。
「源田、うちの明奈を取らないでくれる?」
ぐいっと腕を引かれたかと思えば柔らかいものに包まれた。
「忍ちゃん……!」
私を抱きしめた人は、探していた内の一人である忍ちゃんだった。すぐに顔を上げて名前を呼ぶが、肝心の彼女は源田先輩を睨みつけている。
「人聞き悪いな。俺は久々に不動と会えたから話していただけだ」
「そんなにオハナシしたかったら、帝国学園の奴らと話してたらいいじゃない」
「今はお前も帝国学園の生徒だろ」
「え?」
「……チッ」
源田先輩と忍ちゃんの会話を聞いている中で、聞き逃せないワードが聞こえて私が声を出すのと、忍ちゃんが舌打ちしたのは同時だった。
「行くわよ」
「え、ちょっと……忍ちゃん…………!?」
それから右腕を掴まれたかと思えば、引っ張られてそのまま雷門中の外へと歩き出した。