寂しがり少女
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「えっ」
目の前の情景に、頭の理解が追いつかずに思わず声を上げてしまった。
緑川と気分転換に出かけた商店街で、成り行きでリカ達に付き添う形で円堂と久遠のデート(かどうか真偽は定かじゃないが)の様子を見ていると、久遠が円堂の手を引いて向かったのは最近できたアイス屋だった。
昔馴染みのこういった場面を見ていいのかと思いつつも、周りと一緒に眺めてしまうぐらいには気になってしまう。
そのはずだったのに、俺の目線は円堂達が座った二つ横の席の方に向いてしまった。
「不動と……源田?」
そこには不動と帝国学園で、ネオジャパンとして先日戦った源田が向かい合わせで座っていてアイスパフェを食べていた。
「え!?明奈!?」
呆然と呟いた声は、リカの耳に届いてしまい、その声量でその場にいた塔子や壁山、栗松、緑川にも自動的にバレてしまう。
「なんや明奈、彼氏持ちやったんか!そりゃあ他の男に見向きもせんわ……!」
「か、彼氏!?」
リカもその姿を見て、それから納得したように頷く姿を見て声を上げたのは何故か緑川だった。
「まだ決めつけんなよ、ただの友達同士でアイス食べてるだけじゃないの?」
「いーや、あの二人の雰囲気見てみぃ!超ラブラブやないか!!」
一緒に座ってるだけで、と苦言を溢す塔子にリカは指をさして否定する。
ちょうどその時にはお互いアイスを食べる手を止めて、見つめ合っていた。
そこにはあまり見たことのない笑みを浮かべる源田と、頬を赤らめて小さく俯く不動の姿が。…………頬を赤らめて小さく俯く不動の姿!?
思わず目を擦って、もう一度見るが見間違いでも幻覚でもなかった。
しかもそれに対して、源田は平然とした態度で笑みを浮かべてもいた。
「こ、これは……!」
「ラブラブで、ヤンス!」
その姿を見て、頬を赤らめて盛り上がる一年コンビの声を聞こえ、本来は咎めるべきなのは分かりつつも、俺は目を逸らせなかった。
「明奈は後で聞き出すとして……今は円堂達の恋模様のほうが重要や!」
リカはひとしきりはしゃいだ後に当初の予定通り円堂と久遠の方に視線が向いていて、周りも興味津々に同じようにそちらを見守っていた。
「ただでさえアウトだったのに、さらにアウトになった……どうしよう、瞳子姉さんに言った方がいいのかな…………」
顔を真っ青にして頭を抱えている緑川を除いて。
どういう感情なんだそれは。
なんとなくもう一度、不動と源田を見てみる。
肝心の会話はもちろん聞こえないけれど、互いに笑みを浮かべて穏やかに話す姿は親しい気だった。
恋人同士のデートです。と言っても……噓とは思えないぐらいの距離感だと、思う。
…………確かに選考試合前の帝国学園で、佐久間が自身と源田と比べるような言葉かけていた。
それにネオジャパンの試合の後だって源田から話しかけていたし、不動だって普通に受け答えをしていた。
恋人関係、だからなのか?
……いや、別にイナズマジャパンに恋愛禁止って規則があるわけじゃないし、恋愛に現を抜かす。なんて彼女に限って有り得ないだろう。現に実際に姿を見るまで想像もしていなかったし。
だからこっちだって何も変わらない。
そのはずだ。
+++
あれから、買い出し中の木野と音無(不動達は円堂達がパフェを待っている間に退店したので入れ替わりになっていた)にも見つかり、久遠に見られていたこともバレて気まずくなったリカがその場を後にして、こちらも解散することになった。
ちなみに久遠はリカにからかわれただけで、円堂とは何もないみたいで拍子抜けだ。
「不動」
夕食の時間、不動が食堂へやってきて席についたのを見て俺は声を掛ける。
「……なんですか?」
話しかけられると思ってなかったのか、顔を上げた彼女は不思議そうな顔をしていた。
「あー……」
不思議だったのは、俺も同じだった。
何で話しかけているんだ。
不動が源田と恋人でも、そうでなくても自分には関係ないはずだ。
同じチームメイトだからってわざわざ確認するような事でもないし、そんな仲でもない。
笑顔すらなかなか見れない自分が何を話すんだ……?
…………なかなか見れないってなんだよ。
「…………あの?」
「っ!わ、悪い!」
どう話そうか迷い、最後には謎の自問自答をしてしまうが、不動に声を掛けられて慌てて返事を返す。
椅子に座ったまま話を聞くためか、体をこちらに向けていた不動は不審そうに眉を寄せてこちらを見上げていた。
目の前にいるのが源田だったら、笑顔で次の言葉を待っているんだろうか。
バシンッ!
「……わっ……え……」
浮かんだとんでもない考えに、勢い良く手で顔を覆えば乾いた音が響いた。
それから一拍置いて、声を上げる不動の声も。
「……何でもない」
「……はぁ…………」
……なんて不毛なやり取りなんだ。これじゃあただの不審者だ。
「不動!」
「次から次へと……なんですか」
俺の次に小走りで不動に駆け寄ったのは緑川だった。話しかけたくせに話そうとしない俺に続いてからだからか、面倒そうなのを隠そうとしない返事を返す。
駆け込んだ緑川は何故か意を決したような顔つきで、不動に近づいたかと思えば耳元に顔を寄せる。
周りは聞こえなさそうだったけれど、俺は近くにいたため会話も自然と耳に入った。
「……ヒロト、土下座させた方がいい?」
「は?!」
…………今日の緑川、本当にどうした。
その言葉に不動はガタンッと椅子を揺らしながら動揺を見せたかと思えばすぐに立ち上がり、緑川の耳元で話しかけていた。
「先日のアレならもう終わった話でしょう……!」
「だって彼氏持ちの女子に……ダメだろ!アレは!!」
「…………かれし??」
……何の話をすればまだ食堂にいないヒロトに繋がるかは見当つかなかったが、それよりもポカンと目を丸くする不動の方へ俺の意識は向いた。
「明奈~!」
「わっ!?」
同時にいつの間にか現れたリカが、背後から不動に抱きついていた。
「水臭いやん、内緒にするとか!ウチとアンタの仲やろ~!!」
「ほぼほぼ初対面だろうが…………何の話ですか」
「今日、たまたま商店街に行ったんやけどな見たで~!アンタが彼氏とラブラブデートしとるところ!!」
「…………はぁ?」
恋バナに飢えていたらしいリカの盛り上がりに反して、不動は眉を寄せて低い声を上げた。
「照れんでええって!アイス屋でおったやろ?あのネオジャパンのGKと!!」
「アイス屋…………GK…………」
不動はぽつぽつと呟きながら考える事数秒後。
「おわっ!?」
「……断じて、違います」
背後から回されていたリカの腕を素早く外したかと思えば、くるりと振り返り、リカの肩を掴んでそう発言をした。
「源田先輩の名誉のために名言させてもらいますが、彼と私はそういった関係は築いていませんし、今後もその予定は一切ございませんので悪しからず」
「ちょっ、分かった!分かったから真顔で言うんやめぇ!!怖すぎるわ!!」
「当然ですよ。怖くしてるんですから」
感情に左右されず、真顔で淡々と事実を告げていく姿はリカに効果抜群だったのか、先ほどの勢いは完全になくなっていた。
「恋人じゃないのか……よかったぁ」
その話を聞いていた緑川は文字通り胸をなでおろしながら笑顔を浮かべていた。
「……やっぱりいつもの早とちりだったか…………」
「塔子」
そんなタイミングで塔子が食堂にやって来て、不動に怒られているリカを見て呆れ顔で小さくため息をついていた。
「……止めた方がいいか?」
「いいよ、案外平和な𠮟り方だし」
真帝国の時のままのアイツだったら間違いなく引っぺがしてたけどね、と話す塔子の視線は不動に向けられていた。
確かに、あの時と比べると大人しくなったな……とリカとやり取りしている不動をぼんやりと眺めていると、
「そういえば風丸も聞きに来たんだ」
「え?」
誤解が解けたからか、何時もの調子に戻った緑川が手を頭の後ろで組みながら、話しかけてきた。
「円堂と久遠さんのデート……ではなかったけど。それを見てた時も気まずそうだったろ?
だから恋愛系の話が苦手だと思っていたから、わざわざ不動に真偽確かめに行くの意外だなぁって」
「え……いや…………」
そんな指摘に、俺は文字通り固まってしまう。
緑川の言う通りだったからだ。少なくとも、普段の俺ならわざわざチームメイトの恋愛事情に首を突っ込むことなんてしないだろう。
ただ…………
「……昼間の事とは、別の話をしようとしただけだ」
不動の姿を見て、思わず動いてしまった。
なんて言えずに俺はそう誤魔化した。
ギャグ回だし、進展回
目の前の情景に、頭の理解が追いつかずに思わず声を上げてしまった。
緑川と気分転換に出かけた商店街で、成り行きでリカ達に付き添う形で円堂と久遠のデート(かどうか真偽は定かじゃないが)の様子を見ていると、久遠が円堂の手を引いて向かったのは最近できたアイス屋だった。
昔馴染みのこういった場面を見ていいのかと思いつつも、周りと一緒に眺めてしまうぐらいには気になってしまう。
そのはずだったのに、俺の目線は円堂達が座った二つ横の席の方に向いてしまった。
「不動と……源田?」
そこには不動と帝国学園で、ネオジャパンとして先日戦った源田が向かい合わせで座っていてアイスパフェを食べていた。
「え!?明奈!?」
呆然と呟いた声は、リカの耳に届いてしまい、その声量でその場にいた塔子や壁山、栗松、緑川にも自動的にバレてしまう。
「なんや明奈、彼氏持ちやったんか!そりゃあ他の男に見向きもせんわ……!」
「か、彼氏!?」
リカもその姿を見て、それから納得したように頷く姿を見て声を上げたのは何故か緑川だった。
「まだ決めつけんなよ、ただの友達同士でアイス食べてるだけじゃないの?」
「いーや、あの二人の雰囲気見てみぃ!超ラブラブやないか!!」
一緒に座ってるだけで、と苦言を溢す塔子にリカは指をさして否定する。
ちょうどその時にはお互いアイスを食べる手を止めて、見つめ合っていた。
そこにはあまり見たことのない笑みを浮かべる源田と、頬を赤らめて小さく俯く不動の姿が。…………頬を赤らめて小さく俯く不動の姿!?
思わず目を擦って、もう一度見るが見間違いでも幻覚でもなかった。
しかもそれに対して、源田は平然とした態度で笑みを浮かべてもいた。
「こ、これは……!」
「ラブラブで、ヤンス!」
その姿を見て、頬を赤らめて盛り上がる一年コンビの声を聞こえ、本来は咎めるべきなのは分かりつつも、俺は目を逸らせなかった。
「明奈は後で聞き出すとして……今は円堂達の恋模様のほうが重要や!」
リカはひとしきりはしゃいだ後に当初の予定通り円堂と久遠の方に視線が向いていて、周りも興味津々に同じようにそちらを見守っていた。
「ただでさえアウトだったのに、さらにアウトになった……どうしよう、瞳子姉さんに言った方がいいのかな…………」
顔を真っ青にして頭を抱えている緑川を除いて。
どういう感情なんだそれは。
なんとなくもう一度、不動と源田を見てみる。
肝心の会話はもちろん聞こえないけれど、互いに笑みを浮かべて穏やかに話す姿は親しい気だった。
恋人同士のデートです。と言っても……噓とは思えないぐらいの距離感だと、思う。
…………確かに選考試合前の帝国学園で、佐久間が自身と源田と比べるような言葉かけていた。
それにネオジャパンの試合の後だって源田から話しかけていたし、不動だって普通に受け答えをしていた。
恋人関係、だからなのか?
……いや、別にイナズマジャパンに恋愛禁止って規則があるわけじゃないし、恋愛に現を抜かす。なんて彼女に限って有り得ないだろう。現に実際に姿を見るまで想像もしていなかったし。
だからこっちだって何も変わらない。
そのはずだ。
+++
あれから、買い出し中の木野と音無(不動達は円堂達がパフェを待っている間に退店したので入れ替わりになっていた)にも見つかり、久遠に見られていたこともバレて気まずくなったリカがその場を後にして、こちらも解散することになった。
ちなみに久遠はリカにからかわれただけで、円堂とは何もないみたいで拍子抜けだ。
「不動」
夕食の時間、不動が食堂へやってきて席についたのを見て俺は声を掛ける。
「……なんですか?」
話しかけられると思ってなかったのか、顔を上げた彼女は不思議そうな顔をしていた。
「あー……」
不思議だったのは、俺も同じだった。
何で話しかけているんだ。
不動が源田と恋人でも、そうでなくても自分には関係ないはずだ。
同じチームメイトだからってわざわざ確認するような事でもないし、そんな仲でもない。
笑顔すらなかなか見れない自分が何を話すんだ……?
…………なかなか見れないってなんだよ。
「…………あの?」
「っ!わ、悪い!」
どう話そうか迷い、最後には謎の自問自答をしてしまうが、不動に声を掛けられて慌てて返事を返す。
椅子に座ったまま話を聞くためか、体をこちらに向けていた不動は不審そうに眉を寄せてこちらを見上げていた。
目の前にいるのが源田だったら、笑顔で次の言葉を待っているんだろうか。
バシンッ!
「……わっ……え……」
浮かんだとんでもない考えに、勢い良く手で顔を覆えば乾いた音が響いた。
それから一拍置いて、声を上げる不動の声も。
「……何でもない」
「……はぁ…………」
……なんて不毛なやり取りなんだ。これじゃあただの不審者だ。
「不動!」
「次から次へと……なんですか」
俺の次に小走りで不動に駆け寄ったのは緑川だった。話しかけたくせに話そうとしない俺に続いてからだからか、面倒そうなのを隠そうとしない返事を返す。
駆け込んだ緑川は何故か意を決したような顔つきで、不動に近づいたかと思えば耳元に顔を寄せる。
周りは聞こえなさそうだったけれど、俺は近くにいたため会話も自然と耳に入った。
「……ヒロト、土下座させた方がいい?」
「は?!」
…………今日の緑川、本当にどうした。
その言葉に不動はガタンッと椅子を揺らしながら動揺を見せたかと思えばすぐに立ち上がり、緑川の耳元で話しかけていた。
「先日のアレならもう終わった話でしょう……!」
「だって彼氏持ちの女子に……ダメだろ!アレは!!」
「…………かれし??」
……何の話をすればまだ食堂にいないヒロトに繋がるかは見当つかなかったが、それよりもポカンと目を丸くする不動の方へ俺の意識は向いた。
「明奈~!」
「わっ!?」
同時にいつの間にか現れたリカが、背後から不動に抱きついていた。
「水臭いやん、内緒にするとか!ウチとアンタの仲やろ~!!」
「ほぼほぼ初対面だろうが…………何の話ですか」
「今日、たまたま商店街に行ったんやけどな見たで~!アンタが彼氏とラブラブデートしとるところ!!」
「…………はぁ?」
恋バナに飢えていたらしいリカの盛り上がりに反して、不動は眉を寄せて低い声を上げた。
「照れんでええって!アイス屋でおったやろ?あのネオジャパンのGKと!!」
「アイス屋…………GK…………」
不動はぽつぽつと呟きながら考える事数秒後。
「おわっ!?」
「……断じて、違います」
背後から回されていたリカの腕を素早く外したかと思えば、くるりと振り返り、リカの肩を掴んでそう発言をした。
「源田先輩の名誉のために名言させてもらいますが、彼と私はそういった関係は築いていませんし、今後もその予定は一切ございませんので悪しからず」
「ちょっ、分かった!分かったから真顔で言うんやめぇ!!怖すぎるわ!!」
「当然ですよ。怖くしてるんですから」
感情に左右されず、真顔で淡々と事実を告げていく姿はリカに効果抜群だったのか、先ほどの勢いは完全になくなっていた。
「恋人じゃないのか……よかったぁ」
その話を聞いていた緑川は文字通り胸をなでおろしながら笑顔を浮かべていた。
「……やっぱりいつもの早とちりだったか…………」
「塔子」
そんなタイミングで塔子が食堂にやって来て、不動に怒られているリカを見て呆れ顔で小さくため息をついていた。
「……止めた方がいいか?」
「いいよ、案外平和な𠮟り方だし」
真帝国の時のままのアイツだったら間違いなく引っぺがしてたけどね、と話す塔子の視線は不動に向けられていた。
確かに、あの時と比べると大人しくなったな……とリカとやり取りしている不動をぼんやりと眺めていると、
「そういえば風丸も聞きに来たんだ」
「え?」
誤解が解けたからか、何時もの調子に戻った緑川が手を頭の後ろで組みながら、話しかけてきた。
「円堂と久遠さんのデート……ではなかったけど。それを見てた時も気まずそうだったろ?
だから恋愛系の話が苦手だと思っていたから、わざわざ不動に真偽確かめに行くの意外だなぁって」
「え……いや…………」
そんな指摘に、俺は文字通り固まってしまう。
緑川の言う通りだったからだ。少なくとも、普段の俺ならわざわざチームメイトの恋愛事情に首を突っ込むことなんてしないだろう。
ただ…………
「……昼間の事とは、別の話をしようとしただけだ」
不動の姿を見て、思わず動いてしまった。
なんて言えずに俺はそう誤魔化した。
ギャグ回だし、進展回