寂しがり少女
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私が思い出した所謂“前世”の記憶は日が経つ事に薄れていくことが分かった。今では嫌な夢を見てたのではと自分でも思ってしまうぐらいで、数日後にはもう私の中で全くなかったことなるんだろうな、と何となく分かった。
それを忘れたとしても、両親が私達を置いて死んでしまったという悲しい事実は変わらない。
けれど、いつまでも塞ぎ込んでるばかりではいられない。遺された物はほとんどない中で、唯一遺っていたサッカー雑誌を受け取ったお兄ちゃんは「父さんとの繋がりだから」とサッカーを始めた。
そんな兄を見て私自身もサッカーを始めるのに時間はかからなかった。私の場合は殆ど顔を覚えていない父ではなく、楽しそうにボールを蹴るお兄ちゃんとの繋がりが欲しかったから、だけど。
「兄ちゃん!そのままゴールだ!」
「まかせろっ!」
私のパスを受けてお兄ちゃんはそのままシュートを決めればボールはゴールへと吸い込まれる。
「ナイスシュート!兄ちゃん!!」
「明奈こそ、ナイスパスだ」
「お兄ちゃんもお姉ちゃんもかっこいいー!!」
パチンッとお互いハイタッチをして喜び会えば応援してくれていた春奈も大はしゃぎでそれに応えるように一緒に手を振った。
「やっぱり有人はサッカー上手いよな!」
「うちの施設で最強だもんな!」
施設にいる時間も長くなればわだかまりも解けるもので、今では周りの子達とも仲良くサッカーをする仲になっていた。特にお兄ちゃんはヒーローのような扱いで、よく男子たちに囲まれていた。
……正直、他の人にお兄ちゃんを取られて面白くはないけど、お兄ちゃんも満更でもなさそうなので文句は胸の中に秘めておく。
ベンチに置いていたタオルで汗を拭きながら春奈と話していると、ふと視線を感じてそちらを向けば施設の先生以外に見慣れない大人がこちらを見ている事に気づいた。
その人はグラサンをかけた黒い服のおじさんで、視線の先にいるのは………私のお兄ちゃんだった。
それに気づいてじっとおじさんを見すぎたせいなのか、ふとそのおじさんの視線がこちらに向けられた気がして、私は慌ててタオルで顔を拭いて誤魔化した。
ぐしぐしとタオルを動かしながら考える。施設に他人が来て、私達子供を見る理由なんて一つしかなくて………
「お姉ちゃんどうしたの?」
「ううんっ、何でもないよ!春奈もサッカー一緒にしよ!」
ずっと顔を拭いてる私に不思議そうな声を上げる春奈に私は何でもないように笑顔を浮かべて。春奈の手を握ってグランドへと向かった。何となく、おじさんの視界に春奈を入れないように背中で隠しながら。
数日後、私の不安は的中してお兄ちゃんは鬼道家の養子に迎えられることになった。
それを忘れたとしても、両親が私達を置いて死んでしまったという悲しい事実は変わらない。
けれど、いつまでも塞ぎ込んでるばかりではいられない。遺された物はほとんどない中で、唯一遺っていたサッカー雑誌を受け取ったお兄ちゃんは「父さんとの繋がりだから」とサッカーを始めた。
そんな兄を見て私自身もサッカーを始めるのに時間はかからなかった。私の場合は殆ど顔を覚えていない父ではなく、楽しそうにボールを蹴るお兄ちゃんとの繋がりが欲しかったから、だけど。
「兄ちゃん!そのままゴールだ!」
「まかせろっ!」
私のパスを受けてお兄ちゃんはそのままシュートを決めればボールはゴールへと吸い込まれる。
「ナイスシュート!兄ちゃん!!」
「明奈こそ、ナイスパスだ」
「お兄ちゃんもお姉ちゃんもかっこいいー!!」
パチンッとお互いハイタッチをして喜び会えば応援してくれていた春奈も大はしゃぎでそれに応えるように一緒に手を振った。
「やっぱり有人はサッカー上手いよな!」
「うちの施設で最強だもんな!」
施設にいる時間も長くなればわだかまりも解けるもので、今では周りの子達とも仲良くサッカーをする仲になっていた。特にお兄ちゃんはヒーローのような扱いで、よく男子たちに囲まれていた。
……正直、他の人にお兄ちゃんを取られて面白くはないけど、お兄ちゃんも満更でもなさそうなので文句は胸の中に秘めておく。
ベンチに置いていたタオルで汗を拭きながら春奈と話していると、ふと視線を感じてそちらを向けば施設の先生以外に見慣れない大人がこちらを見ている事に気づいた。
その人はグラサンをかけた黒い服のおじさんで、視線の先にいるのは………私のお兄ちゃんだった。
それに気づいてじっとおじさんを見すぎたせいなのか、ふとそのおじさんの視線がこちらに向けられた気がして、私は慌ててタオルで顔を拭いて誤魔化した。
ぐしぐしとタオルを動かしながら考える。施設に他人が来て、私達子供を見る理由なんて一つしかなくて………
「お姉ちゃんどうしたの?」
「ううんっ、何でもないよ!春奈もサッカー一緒にしよ!」
ずっと顔を拭いてる私に不思議そうな声を上げる春奈に私は何でもないように笑顔を浮かべて。春奈の手を握ってグランドへと向かった。何となく、おじさんの視界に春奈を入れないように背中で隠しながら。
数日後、私の不安は的中してお兄ちゃんは鬼道家の養子に迎えられることになった。