寂しがり少女
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イナズマジャパンのスローイングで再開された試合。
私のパスは壁山くんにも、風丸さんにも無事に繋がるようになっていった。
私一人じゃ、彼らの心を動かすことはできなかった。
きっと円堂さん……キャプテンのおかげなんだろう。
パスを受け取り、上がる自分のマークに着いたのはチャンスウだった。
「龍の誇りにかけて抜かせません!」
「チッ……!」
連携をできるようになった私を危惧したのだろうディフェンスは硬く、なかなか突破する隙が見つからない。
“チーム”として初めて繋がったボールを取られたくなくて。
何より信じてくれた兄ちゃんの意思を、仲間の思いを、無駄にしたくない……!
「明奈!」
そんな意思から何とかボールをキープしていると、後ろから上がってくるあの人の姿が見えて。
「……に……ちゃん……」
震える拳を押さえつけるように握って、私は無我夢中で叫んだ。
「兄ちゃん!!!」
それから一緒に駆け出し、兄が前に回り込んで飛んだタイミングで私はボールを上げて飛び、対峙したまま同時に蹴り込んだ。
「「うおおおおお!!」」
すると、ボールに加わった大きな衝撃が大きな渦となり、爆ぜる。
その衝撃からチャンスウを吹き飛ばし、私は突破することができた。
それから、ゴール前。
また私がシュートを撃つと思ったのだろう。ウミャンとドゥユンが私の方へと走って来ていて、私はバックパスを出せば、その表情が驚愕に染まる。
「行くぞ!壁山!!」
「はいッス!!」
後ろにいたのは風丸さんと壁山くん。
2人は同時に飛び上がれば、相手選手も遅れて飛び上がる。
ジャンプ力はファイアードラゴンの選手の方が上だったが、風丸さんは笑みを浮かべていた。
壁山くんは上体を逸らし、足を上にあげれば風丸さんがその足に合わせ、バネのように跳ねてさらに高く飛ぶ。
上空からのオーバーヘッドキックはまるで竜巻のような風を生みながらゴールへと一直線へと突き進み、見事にジョンスの必殺技を打ち破った。
2-2の同点になった事に喜びの声を上げるイナズマジャパン。
観客席だって、さっきのブーイングとは打って変わっての大歓声を響かせていた。
そして、私はといえば。
「…………はぁ……」
情けないことに、得点に繋ぐことができたという安心感に体の力が抜けてしまい、大きく息を吐きながらペタンとその場に座り込んでしまった。
……よかったぁ。ちゃんとパス繋がって。
うっかり涙腺まで緩みそうになるもんだから、私は慌ててぶんぶんと頭を振りながら何とか泣かないようにする。
まだ、試合は終わってないんだから最後まで気を抜いたらダメだ。
「立てれるか?」
ペチペチと自分の頬を叩いて気合を入れ直していると、声が聞こえ顔を上げれば兄ちゃんが手を伸ばしてくれていた。
私は思わず手を取ろうと伸ばしてしまったけれど、寸での所で腕が止まってしまった。
……取っても、いいのかな。
「…………」
「わっ……!?」
ぐいっと引っぱられる感覚に思わず声を上げた。
躊躇ってしまった私に対して、兄が否応なしに手を掴んで引っ張り上げたんだと気づいたのはすぐ近くに兄の顔があったから。
「あ、りがとう」
そんな兄の顔を見て、私は口を開く。
「……に…………にい、ちゃん」
久しぶりに……本当に久しぶりに呼んだその呼び方は酷くたどたどしい自覚はあった。
それでも兄ちゃんは私の言葉を待っていてくれていて、ぎゅうと手を握る力を強める。
「最初から、こうすればよかったな」
「……でも、待ってくれて嬉しかった、よ」
「……そうか」
久しぶりに触れた兄ちゃんの手はずっと大きくなっていたけれど、暖かさはちっとも変わっていなくて、ひどく安心してしまう。
「不動」
名残惜しくも手を離した所で、名前を呼ばれ振り返ればいつの間にか他の人達も来ていて、目の前には得点を決めた風丸さんと壁山くんが立っていた。
私は思わず兄ちゃんを見てしまうけれど、兄は笑みを浮かべたまま、聞いてみたらどうだ。と背中を軽く押してきてさらに前に出てしまう。
無意識に背筋を伸びるのを感じながら、そちらへと視線を向けた。
パスが通ったからって今までの不信故の態度がなかったことにはならない。そのことを謝らないと。
……ちゃんとした謝罪ってどうするんだっけ?うわぁ、真帝国イレブンに謝る時にも迷ってたのになんで勉強してこなかったんだ私のバカ……!!
「最高のタイミングだったよ」
「……えっ」
脳内で自分を罵倒していると聞こえたのは、優しい声だった。
散々迷惑をかけられたくせに、そんな言葉を掛けてくれた風丸さんも周りの選手も、どこか清々しい表情で笑みを浮かべていた。
彼らの優しさに、甘やかされているなと思ったけれど。それに対して以前のような息苦しさは感じない。
「…………うん」
ただ、自分のプレーを褒めてもらえて、嬉しくて……ふつふつと湧き上がる高揚感を抑えるように胸の上に手を当てながらこくりと頷いた。
私のパスは壁山くんにも、風丸さんにも無事に繋がるようになっていった。
私一人じゃ、彼らの心を動かすことはできなかった。
きっと円堂さん……キャプテンのおかげなんだろう。
パスを受け取り、上がる自分のマークに着いたのはチャンスウだった。
「龍の誇りにかけて抜かせません!」
「チッ……!」
連携をできるようになった私を危惧したのだろうディフェンスは硬く、なかなか突破する隙が見つからない。
“チーム”として初めて繋がったボールを取られたくなくて。
何より信じてくれた兄ちゃんの意思を、仲間の思いを、無駄にしたくない……!
「明奈!」
そんな意思から何とかボールをキープしていると、後ろから上がってくるあの人の姿が見えて。
「……に……ちゃん……」
震える拳を押さえつけるように握って、私は無我夢中で叫んだ。
「兄ちゃん!!!」
それから一緒に駆け出し、兄が前に回り込んで飛んだタイミングで私はボールを上げて飛び、対峙したまま同時に蹴り込んだ。
「「うおおおおお!!」」
すると、ボールに加わった大きな衝撃が大きな渦となり、爆ぜる。
その衝撃からチャンスウを吹き飛ばし、私は突破することができた。
それから、ゴール前。
また私がシュートを撃つと思ったのだろう。ウミャンとドゥユンが私の方へと走って来ていて、私はバックパスを出せば、その表情が驚愕に染まる。
「行くぞ!壁山!!」
「はいッス!!」
後ろにいたのは風丸さんと壁山くん。
2人は同時に飛び上がれば、相手選手も遅れて飛び上がる。
ジャンプ力はファイアードラゴンの選手の方が上だったが、風丸さんは笑みを浮かべていた。
壁山くんは上体を逸らし、足を上にあげれば風丸さんがその足に合わせ、バネのように跳ねてさらに高く飛ぶ。
上空からのオーバーヘッドキックはまるで竜巻のような風を生みながらゴールへと一直線へと突き進み、見事にジョンスの必殺技を打ち破った。
2-2の同点になった事に喜びの声を上げるイナズマジャパン。
観客席だって、さっきのブーイングとは打って変わっての大歓声を響かせていた。
そして、私はといえば。
「…………はぁ……」
情けないことに、得点に繋ぐことができたという安心感に体の力が抜けてしまい、大きく息を吐きながらペタンとその場に座り込んでしまった。
……よかったぁ。ちゃんとパス繋がって。
うっかり涙腺まで緩みそうになるもんだから、私は慌ててぶんぶんと頭を振りながら何とか泣かないようにする。
まだ、試合は終わってないんだから最後まで気を抜いたらダメだ。
「立てれるか?」
ペチペチと自分の頬を叩いて気合を入れ直していると、声が聞こえ顔を上げれば兄ちゃんが手を伸ばしてくれていた。
私は思わず手を取ろうと伸ばしてしまったけれど、寸での所で腕が止まってしまった。
……取っても、いいのかな。
「…………」
「わっ……!?」
ぐいっと引っぱられる感覚に思わず声を上げた。
躊躇ってしまった私に対して、兄が否応なしに手を掴んで引っ張り上げたんだと気づいたのはすぐ近くに兄の顔があったから。
「あ、りがとう」
そんな兄の顔を見て、私は口を開く。
「……に…………にい、ちゃん」
久しぶりに……本当に久しぶりに呼んだその呼び方は酷くたどたどしい自覚はあった。
それでも兄ちゃんは私の言葉を待っていてくれていて、ぎゅうと手を握る力を強める。
「最初から、こうすればよかったな」
「……でも、待ってくれて嬉しかった、よ」
「……そうか」
久しぶりに触れた兄ちゃんの手はずっと大きくなっていたけれど、暖かさはちっとも変わっていなくて、ひどく安心してしまう。
「不動」
名残惜しくも手を離した所で、名前を呼ばれ振り返ればいつの間にか他の人達も来ていて、目の前には得点を決めた風丸さんと壁山くんが立っていた。
私は思わず兄ちゃんを見てしまうけれど、兄は笑みを浮かべたまま、聞いてみたらどうだ。と背中を軽く押してきてさらに前に出てしまう。
無意識に背筋を伸びるのを感じながら、そちらへと視線を向けた。
パスが通ったからって今までの不信故の態度がなかったことにはならない。そのことを謝らないと。
……ちゃんとした謝罪ってどうするんだっけ?うわぁ、真帝国イレブンに謝る時にも迷ってたのになんで勉強してこなかったんだ私のバカ……!!
「最高のタイミングだったよ」
「……えっ」
脳内で自分を罵倒していると聞こえたのは、優しい声だった。
散々迷惑をかけられたくせに、そんな言葉を掛けてくれた風丸さんも周りの選手も、どこか清々しい表情で笑みを浮かべていた。
彼らの優しさに、甘やかされているなと思ったけれど。それに対して以前のような息苦しさは感じない。
「…………うん」
ただ、自分のプレーを褒めてもらえて、嬉しくて……ふつふつと湧き上がる高揚感を抑えるように胸の上に手を当てながらこくりと頷いた。