Que Sera, Sera. -ケセラセラ-
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
体育祭も無事に終わり、いつもよりはクタクタの状態で部活が始まった。
といっても、熱い中散々動いた後ということもあり、今日は軽めのメニューだ。
「そういえば、」
ストレッチをしながら、夜久が口を開いた。
「部活動紹介リレーの時のさ、倉木、楽しそうだったな」
「それを言うなら、なんだかんだ言いつつ、むかで競争も結構笑ってた気がする」
「ひねくれてるからなあ、サチは。嫌がるのは大抵照れ隠しだから」
近くにいた海も話に加わり、しかし2人ともサチを狙っているわけではないことはわかっていたので、素直にサチを評する会を開催する。
件のマネージャーさんが体育館にはいないために開催できる評議会である。
「ひねくれ、てまではないんじゃない?」
「いや。あいつ、クラスじゃほとんど一言も話せねーの」
「へえ。同じクラスになったことないからなあ」
「……前は、もうちょっと頑張ってたんだけどねえ、外交」
「なんかあったのか?」
「それがねえ。中学の時に怪我してから、なんかおかしくなったんですよねー」
中学までプレイヤーで、怪我が原因でプレイヤーはやめた。そこに、俺がマネージャーで勧誘して現在に至る。
そこまではみんな知っているのだけど。
「中2で怪我して、でもすげーリハビリ頑張って、一度は復帰したんだよね、あいつ。中3の時に」
その時の試合は俺も見ていた。中学ラストの試合。
サチはレギュラーの座を勝ち取り、コートに立った。
しかし、サチがアタックを打つことは一度もなかった。
「じゃあ、怪我が原因ではないってこと?」
「いやあ、でもやっぱり怪我する前と後とじゃ、飛んでる感じが違う気がして、とは言ってたんだけどさ。でもなーんか、……あったんだろうなあって」
その”何か”は、俺にも話してくれない。幼馴染で一番近い所にいると思っているけど、それでも打ち明けてはくれない。
「あれだけ平然とイチャチャしてるのに、黒尾でも手こずることがあるんだな」
「やっくんみたく、スーパーマンではないんでね」
「早く告れよ。男らしくないぞ」
「進め方ってものがあるんですー。今の状態で告白したって振られるだけでしょうが」
ぶっ飛んだ方向からの攻撃に、しどろもどろに返事をすると「振られて落ち込む黒尾を見たい」とか追撃される。
そんな応酬はいつものこと、と軽く流していた海が、不意に口を開く。
「そういえば、榛名は何だったの?」
榛名というのはバスケ部の主将で、つい先日にサチに告白してきた男である。
「あーあいつな。特に付き合うとかはないらしい」
「うん、まあそれは予想の範疇だから驚きはしないんだけど」
「でも一緒に帰るとか、驚きだったよな」
興味津々な二人に、事の真相を伝える。
「え、ただ単に早く帰りたかっただけ?」
「今度の試合で当たりそうな高校の様子を動画で見るため?」
二人の反応にコクリと頷けば、はは、と笑いが漏れる。
「なんだよ、あいつもなんだかんだバレー好きだよなあ」
「さすが、黒尾と研磨の幼馴染なだけはある」
「そお? そう言われると嫌な気はしないねぇ」
「黒尾を褒めてるんじゃないってのー」
そのあたりでストレッチが終わりを迎えたため、評議会もお開きとなる。
サーブ練習がスタートしてしばらくすると、『黒尾』と呼ばれた。サチが体育館の入口から顔を出す。
「どうした?」
『あー、マネ希望だって女の子が来てる』
まったく予想していなかった言葉に、耳を疑う。
「へ?」
『ほらあそこ』
「えーと、マネ希望?」
『そう。マネしたいって、かわいい系』
「ええ、マジで?」
外を覗けば、元気よく頭を下げる姿が見える。
どうやら本当のようだ。
「いいねえ、新しいマネちゃん探してたことだし、願ったりかなったりですね」
『なんか黒尾と話したいらしい』
「俺と? また物好きな」
主将だからかな、とか考えながらシューズを脱いで体育館のドアを開ける。
「どうもー。マネ希望なんだって?」
「はい! 1年の咲良ゆかです」
「咲良さんね。マネ探してたし、大歓迎なんだけど。なんでウチを選んでくれたの?」
バレー好きなのかな、とか、誰かが勧誘したのかな、とか。いろいろ考えていたところ、全く予想外の回答が返ってくる。
「さっき体育祭で皆さんの様子みて、仲良さそうだなって感じて。……あと、黒尾先輩、かっこいいって思って!」
返答に詰まる。
ん? 俺のことかっこいいって言った? のか?
「ええと。サチさん、通訳頼める?」
まだその場にいたサチに助けを求めると、顔色一つ変えず、『通訳もなにも、そのままの意味でしょ。黒尾先輩もてるー(棒読み)』と返ってきた。
「きっかけは黒尾先輩ですけど、冷やかしじゃありません! マネージャーの仕事頑張ります!」
目をキラキラさせながら言い寄ってくるので、ドウドウと落ち着かせつつ、マネ希望ならとりあえず見学してもらおうか、ということで、パイプ椅子をいくつか用意した。
「おいおい、黒尾先輩モテモテじゃねーか」
「別にモテモテではないでしょ」
「うわあ、嫌味? マネージャーしたいって部活に入るとまで言ってるのに?」
「へいへい。モテモテキャプテンで悪うございました」
練習終わり、部室で着替えながらそんな軽口を言い合う。
「くろさんばっかりずるいっす」
「どっちかにしてくださーい」
「咲良取るならサチさん手放してくださーい」
後輩陣からも軽くクレームが入るので、「別に、サチさんとは付き合ってませーン」と情報を正しておく。
「え、じゃあ倉木のことついにあきらめて、咲良に行くの?」
「行きませんー!」
居心地が悪いので、早々に部室を出て研磨とサチを外で待つことにして突っ立っていたのだが、「あれ、黒尾先輩?」と。
見れば、新マネ希望の咲良ゆかがこちらに歩いてきていた。
改めてみると、肩につくくらい伸びた髪はゆるいカーブを描き、身長もだいぶ小さいせいか、サチの言う”かわいい系”というのも頷ける。
「おーう、マネちゃん候補の咲良サン」
「やっぱり黒尾先輩だ! 帰らないんですか?」
「あー、研磨と倉木サンが同じ方向なんでね。待ってるんですよ」
素直に答えると、少し間を置いてから、
「倉木さん……付き合ってるんですか?」と。
最近の女の子はストレートにものを言うらしい。すごいねえ。
「いいや。付き合ってないけど? なんで?」
「よかったー。じゃあ、私にもチャンスありますね、」
何と答えるか反応に困っていると、「あ、黒尾、さっそく抜け駆けか!?」とか言いながら夜久が部室から駆けてくる。
「で、咲良っつったか? どうだった、今日の練習は」
「すごかったです、ボール速いし、でも速いのにみんなレシーブしてて!」
「そうだろう! 明日はもっとかっこいいぜ」
「明日も楽しみです!」
夜久と咲良が話すのを見ながら、咲良が夜久よりも小さいことが発覚する。夜久とも結構な身長差があるから、150くらいしかないんじゃないか?
楽しそうに話しているので、咲良は夜久に任せることにして、部室から出てくる研磨と女子更衣室からようやく出てきたサチの方へ向かう。
『あれ、マネちゃんと帰るんじゃないの?』
「え、そうなの?」
『鼻の下伸ばしてたから、てっきり一緒に帰るのかと思った』
「な、伸ばしてませんー」
『どうだかー。いいよ、私研磨と帰るし』
「なんで勝手に話進んでるんですかー。俺の意志はないんですかー」
『黒尾の意志あるでしょ、かわいいマネちゃんと帰りたい。モテる俺、かこいい』
「何それ、全然似てない!」
研磨に、何とか言ってよと話を振れば、「クロも大変だね」と、あくまで傍観者の立ち位置を崩さないようである。
「ほれほれ。無駄口叩いてないで帰りますよ」
幼馴染二人の肩を押しながら正門の方へ進む。咲良とは帰る方向が違ったのか、後ろから追いかけてくる様子はなさそうだ。
『モテる人は大変ですねえ。カワイイ子じゃん、咲良さん』
「黒尾さんにも好みはありますー」
『ええ、あの子でダメって、どんだけ贅沢なんだ』
研磨が横でニヤニヤしているが、相変わらず口をはさむつもりはないようなので、サチから一方的に贅沢だなんだと文句を言われる帰り道となった。
06モテる人は大変ですねぇ
『えー、じゃあ黒尾はどんな人がタイプなの?』
「ロングでキレイ系でバレーに興味がる子」
「サチにピッタリ当てはまる条件だね」
『うわー。真面目に答えなさいよ、黒尾』
「キレイ系の否定はしないのネ」
といっても、熱い中散々動いた後ということもあり、今日は軽めのメニューだ。
「そういえば、」
ストレッチをしながら、夜久が口を開いた。
「部活動紹介リレーの時のさ、倉木、楽しそうだったな」
「それを言うなら、なんだかんだ言いつつ、むかで競争も結構笑ってた気がする」
「ひねくれてるからなあ、サチは。嫌がるのは大抵照れ隠しだから」
近くにいた海も話に加わり、しかし2人ともサチを狙っているわけではないことはわかっていたので、素直にサチを評する会を開催する。
件のマネージャーさんが体育館にはいないために開催できる評議会である。
「ひねくれ、てまではないんじゃない?」
「いや。あいつ、クラスじゃほとんど一言も話せねーの」
「へえ。同じクラスになったことないからなあ」
「……前は、もうちょっと頑張ってたんだけどねえ、外交」
「なんかあったのか?」
「それがねえ。中学の時に怪我してから、なんかおかしくなったんですよねー」
中学までプレイヤーで、怪我が原因でプレイヤーはやめた。そこに、俺がマネージャーで勧誘して現在に至る。
そこまではみんな知っているのだけど。
「中2で怪我して、でもすげーリハビリ頑張って、一度は復帰したんだよね、あいつ。中3の時に」
その時の試合は俺も見ていた。中学ラストの試合。
サチはレギュラーの座を勝ち取り、コートに立った。
しかし、サチがアタックを打つことは一度もなかった。
「じゃあ、怪我が原因ではないってこと?」
「いやあ、でもやっぱり怪我する前と後とじゃ、飛んでる感じが違う気がして、とは言ってたんだけどさ。でもなーんか、……あったんだろうなあって」
その”何か”は、俺にも話してくれない。幼馴染で一番近い所にいると思っているけど、それでも打ち明けてはくれない。
「あれだけ平然とイチャチャしてるのに、黒尾でも手こずることがあるんだな」
「やっくんみたく、スーパーマンではないんでね」
「早く告れよ。男らしくないぞ」
「進め方ってものがあるんですー。今の状態で告白したって振られるだけでしょうが」
ぶっ飛んだ方向からの攻撃に、しどろもどろに返事をすると「振られて落ち込む黒尾を見たい」とか追撃される。
そんな応酬はいつものこと、と軽く流していた海が、不意に口を開く。
「そういえば、榛名は何だったの?」
榛名というのはバスケ部の主将で、つい先日にサチに告白してきた男である。
「あーあいつな。特に付き合うとかはないらしい」
「うん、まあそれは予想の範疇だから驚きはしないんだけど」
「でも一緒に帰るとか、驚きだったよな」
興味津々な二人に、事の真相を伝える。
「え、ただ単に早く帰りたかっただけ?」
「今度の試合で当たりそうな高校の様子を動画で見るため?」
二人の反応にコクリと頷けば、はは、と笑いが漏れる。
「なんだよ、あいつもなんだかんだバレー好きだよなあ」
「さすが、黒尾と研磨の幼馴染なだけはある」
「そお? そう言われると嫌な気はしないねぇ」
「黒尾を褒めてるんじゃないってのー」
そのあたりでストレッチが終わりを迎えたため、評議会もお開きとなる。
サーブ練習がスタートしてしばらくすると、『黒尾』と呼ばれた。サチが体育館の入口から顔を出す。
「どうした?」
『あー、マネ希望だって女の子が来てる』
まったく予想していなかった言葉に、耳を疑う。
「へ?」
『ほらあそこ』
「えーと、マネ希望?」
『そう。マネしたいって、かわいい系』
「ええ、マジで?」
外を覗けば、元気よく頭を下げる姿が見える。
どうやら本当のようだ。
「いいねえ、新しいマネちゃん探してたことだし、願ったりかなったりですね」
『なんか黒尾と話したいらしい』
「俺と? また物好きな」
主将だからかな、とか考えながらシューズを脱いで体育館のドアを開ける。
「どうもー。マネ希望なんだって?」
「はい! 1年の咲良ゆかです」
「咲良さんね。マネ探してたし、大歓迎なんだけど。なんでウチを選んでくれたの?」
バレー好きなのかな、とか、誰かが勧誘したのかな、とか。いろいろ考えていたところ、全く予想外の回答が返ってくる。
「さっき体育祭で皆さんの様子みて、仲良さそうだなって感じて。……あと、黒尾先輩、かっこいいって思って!」
返答に詰まる。
ん? 俺のことかっこいいって言った? のか?
「ええと。サチさん、通訳頼める?」
まだその場にいたサチに助けを求めると、顔色一つ変えず、『通訳もなにも、そのままの意味でしょ。黒尾先輩もてるー(棒読み)』と返ってきた。
「きっかけは黒尾先輩ですけど、冷やかしじゃありません! マネージャーの仕事頑張ります!」
目をキラキラさせながら言い寄ってくるので、ドウドウと落ち着かせつつ、マネ希望ならとりあえず見学してもらおうか、ということで、パイプ椅子をいくつか用意した。
「おいおい、黒尾先輩モテモテじゃねーか」
「別にモテモテではないでしょ」
「うわあ、嫌味? マネージャーしたいって部活に入るとまで言ってるのに?」
「へいへい。モテモテキャプテンで悪うございました」
練習終わり、部室で着替えながらそんな軽口を言い合う。
「くろさんばっかりずるいっす」
「どっちかにしてくださーい」
「咲良取るならサチさん手放してくださーい」
後輩陣からも軽くクレームが入るので、「別に、サチさんとは付き合ってませーン」と情報を正しておく。
「え、じゃあ倉木のことついにあきらめて、咲良に行くの?」
「行きませんー!」
居心地が悪いので、早々に部室を出て研磨とサチを外で待つことにして突っ立っていたのだが、「あれ、黒尾先輩?」と。
見れば、新マネ希望の咲良ゆかがこちらに歩いてきていた。
改めてみると、肩につくくらい伸びた髪はゆるいカーブを描き、身長もだいぶ小さいせいか、サチの言う”かわいい系”というのも頷ける。
「おーう、マネちゃん候補の咲良サン」
「やっぱり黒尾先輩だ! 帰らないんですか?」
「あー、研磨と倉木サンが同じ方向なんでね。待ってるんですよ」
素直に答えると、少し間を置いてから、
「倉木さん……付き合ってるんですか?」と。
最近の女の子はストレートにものを言うらしい。すごいねえ。
「いいや。付き合ってないけど? なんで?」
「よかったー。じゃあ、私にもチャンスありますね、」
何と答えるか反応に困っていると、「あ、黒尾、さっそく抜け駆けか!?」とか言いながら夜久が部室から駆けてくる。
「で、咲良っつったか? どうだった、今日の練習は」
「すごかったです、ボール速いし、でも速いのにみんなレシーブしてて!」
「そうだろう! 明日はもっとかっこいいぜ」
「明日も楽しみです!」
夜久と咲良が話すのを見ながら、咲良が夜久よりも小さいことが発覚する。夜久とも結構な身長差があるから、150くらいしかないんじゃないか?
楽しそうに話しているので、咲良は夜久に任せることにして、部室から出てくる研磨と女子更衣室からようやく出てきたサチの方へ向かう。
『あれ、マネちゃんと帰るんじゃないの?』
「え、そうなの?」
『鼻の下伸ばしてたから、てっきり一緒に帰るのかと思った』
「な、伸ばしてませんー」
『どうだかー。いいよ、私研磨と帰るし』
「なんで勝手に話進んでるんですかー。俺の意志はないんですかー」
『黒尾の意志あるでしょ、かわいいマネちゃんと帰りたい。モテる俺、かこいい』
「何それ、全然似てない!」
研磨に、何とか言ってよと話を振れば、「クロも大変だね」と、あくまで傍観者の立ち位置を崩さないようである。
「ほれほれ。無駄口叩いてないで帰りますよ」
幼馴染二人の肩を押しながら正門の方へ進む。咲良とは帰る方向が違ったのか、後ろから追いかけてくる様子はなさそうだ。
『モテる人は大変ですねえ。カワイイ子じゃん、咲良さん』
「黒尾さんにも好みはありますー」
『ええ、あの子でダメって、どんだけ贅沢なんだ』
研磨が横でニヤニヤしているが、相変わらず口をはさむつもりはないようなので、サチから一方的に贅沢だなんだと文句を言われる帰り道となった。
06モテる人は大変ですねぇ
『えー、じゃあ黒尾はどんな人がタイプなの?』
「ロングでキレイ系でバレーに興味がる子」
「サチにピッタリ当てはまる条件だね」
『うわー。真面目に答えなさいよ、黒尾』
「キレイ系の否定はしないのネ」