Que Sera, Sera. -ケセラセラ-
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私たちのバレーボールは、まるで、夏の合宿が終わるような、合宿でたくさん対戦したその中の1つが終わっただけのような、そんな幕引きだった。
楽しかった。
みんなが笑って泣いて、肩を抱き合っていた。120%を出し切るって、こういうことなんだろうな、と思えた。
初戦は清川高校。ストレート勝ち。
二試合目は早流川高校。粘り、守り、という、音駒と同じようなタイプで、倒すのには苦戦した。研磨が意外にもドエムであることもわかった。
三試合目は、猫又監督の時代からの因縁の相手、烏野高校。ここで、私たちは負けたわけだけど、あれほどに楽しくて悔いの残らない試合はないと、断言できる試合だったように思う。
春高が終わって、同時に私たち3年の部活動も終わりを告げた。
試合が終わったことについては、悔いもないので何も文句はないのだけど、3日目に終わってしまったので、その次の日がちょうど始業式で、そちらに出なければならないことには少し不満がある。だって面倒くさい。
そんなことを思いながら、制服に袖を通す。
負けたのはつい、というか昨日のことのはずなのに、あの時の体育館の歓声とかチームメイトとの距離とか、一緒に戦っているような高揚感とか、そういうのをずっと肌で感じていたせいか、その中にいたのが、もう、2、3日前のような気がしていた。
母の用意してくれた朝食を軽く食べて、玄関ドアを開ける。
駅まで歩くのも面倒だなあ、と思っていたら、目の前の公園に、鉄朗が立っていた。
「サチさん、おはよう」
昨日までのキラキラしたようすは既に抹消され、まだ疲れがとれていないのか、眠そうな顔である。
『おはよー。何か用?』
「一緒に登校してもらえないかなーと思いまして」
『んー。断られたらどうするの?』
「悲しむ。んで、OKもらえるまで後ろからついていく」
『何それ、こわ』
明確には返事をしなかったけど、鉄朗も特に期待していなかったようで、そのまま歩き出す。
『朝練ないの、変な感じ』
言いながら、そういえば、鉄朗にドキドキしなくなったなあ、と。
1か月半ほど前は、毎日のように動悸がした。息苦しくなることも多かったけど、春高出場が決まってからは、お互いにバレーボールしか見えていなかった。ドキドキする暇はなかったのだ。
「な。暇すぎて、30分くらい前からあそこで待ってた」
驚きの告白に、思わず『はあ!?』と声が出てしまう。
『暇人じゃん。連絡すれば中で待たせてあげたのに』
「ふは。そこは早く準備したのに、じゃないのな」
『終わるわけないでしょ』
「ちなみに、連絡は入れてあります、ダメもとで」
『うそ』
慌てて携帯電話を探し出して―――サブバックの奥底に埋もれていた―――開いてみると、着信1件、メールが1件。鉄朗の証言通り、30分ほど前に来ていた。
『ま、ダメもとだもんね』
「まあね。返事が来るとは思ってなかったし。でも、携帯電話はちゃんと見なさいよ」
いつものセリフに適当に返事をして、携帯電話をとり出したついでに、昨日送られてきた写真を画面に出してみた。というか、昨日の夜に見すぎて、その動作が染みついていた、という方が正しいだろうか。
送り主は、梟谷のかおりん。
中身は―――鉄朗が、私を見つめている写真。周囲にうつっている様子から、東京体育館で撮影されたことはわかる。しかし、撮影された瞬間がどのタイミングのものなのかは、まったくわからない(世間ではこれを盗撮という)。
ただそれだけなのだけど、その顔がとても優しくて、その先にいるのが私であることが、なんだか照れくさい。春高二次予選前日の、あの胸の高鳴りを思い出すには十分な代物で。
朝起きたらここ最近のテンションに戻っていたのに、写真を開いたせいで、また思い出してしまった。
「サチさーん。歩き携帯禁止ー」
『わかってますー』
没収されそうになる携帯電話の画面を、慌ててホーム画面に戻して、いそいそいとカバンの中にしまった。
しばらく無言で歩く。
いつもながら、私の歩幅に合わせて、鉄朗が長い脚で踏み出す一歩を調整して歩いてくれる。そういえば、いつから鉄朗は、私の歩幅に合わせてくれるようになったのだろう。考えてみるけど、そういうところに目を向けるようになったときには既に、鉄朗は合わせてくれていた。
そういう一つ一つを、これから考えてしまうのだろうなあ、と思っていたら。
「ところで、さ」
緊張した面持ちで、そう切り出される。ついに来たか、と身構える必要はないのに、ついつい身構えてしまう。身構えて何がしたいのかはよくわからない。
「あの時の言葉、実行したいんだけど、」
けど、の続きが繰り出されるまでに少し間があって、私はゴクリと唾を飲み込んだ。
久しぶりに感じる、苦しいほどの心臓の鼓動。
鉄朗の歩幅が一気に大きくなって、私の前に立ちはだかる。
私も歩を止める。
サチ、と呼ばれた。
少し上を向くと、鉄朗の顔がほんの少し赤くなっている気がする。
いや気のせいかもしれない。
「ほんとは、一日デートでもして、いい感じで言いたかったんだけど。受験生でそんなことも言ってられないので、ね」
なんて前置きがあって。言いながら照れ隠しなのか、鉄朗が頭をガシガシとかく。
実際は数秒とかの話なのだろうけど、心臓がどうにかなるのではないかというくらいドクドクしている身としては、何十秒にも感じられて。
『私が先に言おうか?』
思わず口を開くと、「……え、何を、」とか返ってくる。予想外だったらしい。
『えーと、好きだよ、って?』
言ったとたん、鉄朗の目が大きく見開かれて、先ほどとは明確に違う、赤い色になった。しかしすぐに、「いやいやいや、ちょっと待って」とか言う。
「俺が! 俺が言いたいの。考えてた言葉あるから、今のナシ。取り消し!」
『……じゃあ早く言いなよ。もう、前に言ったようなもんじゃん、』
こちらもいつまでもこの動悸と付き合ってられない。
少しだけ睨むと、しかし鉄朗は緊張しているのかこちらを見てはいなくて、その攻撃はまったく通用しなかった。
あの日はあれだけスマートに言ってのけたくせに、いざとなったら急にチキンになるのはなんでだろう。
失礼なことを考えていたら、覚悟を決めたのか、まっすぐに見つめられた。
「これからは、幼馴染としてではなくて、彼女として一緒に過ごしてほしい、」
彼女。
自分とは無縁だったワードが、鉄朗の口から飛び出す。が、そのあとに続く言葉は予想外で、思わず私も目を見開く。
「んで、これからもずっと、俺と一緒にバレーボールやりませんか」
『バレー、ボール?』
思わず問い返せば、赤い顔のまま、得意の優しい顔になる。
「サチって、バレーボールするとき、すげー楽しそうな顔するじゃない?」
『え、そう?』
それは無自覚だった。バレーボールは楽しいけど、顔に出しているつもりはなかった。
「そう。もうね、すさまじい威力の笑顔なわけですよ。で、その笑顔を、これからも見ていたいなあ、とずっと考えていましてね」
そう言って、何やらをポケットから取り出す。
正体は何か印刷されているパンフレットのようなもので、折りたたまれていたものを丁寧に開いていく。
『……混合、バレー?』
「そ。男女一緒にバレーするんだと。面白そうじゃない?」
え、でも。
その言葉は反射的に口から出ていた。
「いや?」
『いや、じゃないけど。……鉄朗のバレーはどうなるの?』
将来どうするかなんて、話す余裕はなかった。ただ、目の前の高校バレーに夢中だったのだ。
鉄朗が大学に入って、バレーをするのかしないのか、どんな将来を考えているのか、よくわからない。
「俺は高校バレーで十分楽しんだし、将来やりたいことも何となく見つけたから、そのためにも、新しいバレーを見つけたいな、とか思ってマス。それに、誰かにバレー好きになってもらうのって、やっぱり楽しいな、とも思ったし」
『ん?』
「要するに、混合バレーは俺の将来のために必要で、それにサチさんも一緒だったらもっと楽しくなるだろうなあ、と考えてるんだけど、どうデスか?」
やりたいことが見つからないから、とりあえず大学へ行こう、なんて不真面目な考えの私とは随分違う将来設計で、恐れ入った。私、本当にこんなできた人と付き合ってもいいのだろうか。
『あのさ。念のため聞くけど、本当に私でいいの? 鉄朗なら、もっと素敵な人と出会えるよ』
口に出すと、鉄朗がはあ、とため息。
「あのねえ、サチさん。それ、振るときの常套句」
『そう、なんだ?』
「俺はサチがいいの。他の誰でもダメで、サチがいいの」
一度言葉を止めたが、こちらを見て、おそらく言葉が足りないと思ったらしい。恥ずかしいことをつらつらと続ける。
バレーボールが何よりも好きで、きらきらしながらプレイするところも好き。
弱いところをひた隠して、強くいようとするところも好き。
不器用だけど、不器用ながらも真っ向から体当たりして、関わろうとする姿勢も好き。
『もういい、わかった、』
「……俺がどれくらい、サチさんのこと好きか、ちゃんとわかった?」
『わかった。……あ、りがと、』
もう、鉄朗の目は見れなかった。
「じゃあ、返事、もらえますか」
鉄朗の告白に対する返事だということはわかったが、もう、心臓も顔の赤さもそのほかもろもろ訳が分からなかったので、返事は事務的な感じになってしまったのだが、それはもうしょうがない。鉄朗が悪いのである。
46末永くよろしくお願いします。バレーボールも含む
ゴミ捨て場の決戦にて、「バレーボール教えてくれてありがとう」と、大切な幼馴染から言われたことが、ずっと頭から離れない。バレーボールを好きになってもらえるって、楽しいことなのだと知ってしまったから。
だから今度は、もう一人の幼馴染に、バレーボールの楽しさを、もう一度思い出してほしいと思った。
楽しかった。
みんなが笑って泣いて、肩を抱き合っていた。120%を出し切るって、こういうことなんだろうな、と思えた。
初戦は清川高校。ストレート勝ち。
二試合目は早流川高校。粘り、守り、という、音駒と同じようなタイプで、倒すのには苦戦した。研磨が意外にもドエムであることもわかった。
三試合目は、猫又監督の時代からの因縁の相手、烏野高校。ここで、私たちは負けたわけだけど、あれほどに楽しくて悔いの残らない試合はないと、断言できる試合だったように思う。
春高が終わって、同時に私たち3年の部活動も終わりを告げた。
試合が終わったことについては、悔いもないので何も文句はないのだけど、3日目に終わってしまったので、その次の日がちょうど始業式で、そちらに出なければならないことには少し不満がある。だって面倒くさい。
そんなことを思いながら、制服に袖を通す。
負けたのはつい、というか昨日のことのはずなのに、あの時の体育館の歓声とかチームメイトとの距離とか、一緒に戦っているような高揚感とか、そういうのをずっと肌で感じていたせいか、その中にいたのが、もう、2、3日前のような気がしていた。
母の用意してくれた朝食を軽く食べて、玄関ドアを開ける。
駅まで歩くのも面倒だなあ、と思っていたら、目の前の公園に、鉄朗が立っていた。
「サチさん、おはよう」
昨日までのキラキラしたようすは既に抹消され、まだ疲れがとれていないのか、眠そうな顔である。
『おはよー。何か用?』
「一緒に登校してもらえないかなーと思いまして」
『んー。断られたらどうするの?』
「悲しむ。んで、OKもらえるまで後ろからついていく」
『何それ、こわ』
明確には返事をしなかったけど、鉄朗も特に期待していなかったようで、そのまま歩き出す。
『朝練ないの、変な感じ』
言いながら、そういえば、鉄朗にドキドキしなくなったなあ、と。
1か月半ほど前は、毎日のように動悸がした。息苦しくなることも多かったけど、春高出場が決まってからは、お互いにバレーボールしか見えていなかった。ドキドキする暇はなかったのだ。
「な。暇すぎて、30分くらい前からあそこで待ってた」
驚きの告白に、思わず『はあ!?』と声が出てしまう。
『暇人じゃん。連絡すれば中で待たせてあげたのに』
「ふは。そこは早く準備したのに、じゃないのな」
『終わるわけないでしょ』
「ちなみに、連絡は入れてあります、ダメもとで」
『うそ』
慌てて携帯電話を探し出して―――サブバックの奥底に埋もれていた―――開いてみると、着信1件、メールが1件。鉄朗の証言通り、30分ほど前に来ていた。
『ま、ダメもとだもんね』
「まあね。返事が来るとは思ってなかったし。でも、携帯電話はちゃんと見なさいよ」
いつものセリフに適当に返事をして、携帯電話をとり出したついでに、昨日送られてきた写真を画面に出してみた。というか、昨日の夜に見すぎて、その動作が染みついていた、という方が正しいだろうか。
送り主は、梟谷のかおりん。
中身は―――鉄朗が、私を見つめている写真。周囲にうつっている様子から、東京体育館で撮影されたことはわかる。しかし、撮影された瞬間がどのタイミングのものなのかは、まったくわからない(世間ではこれを盗撮という)。
ただそれだけなのだけど、その顔がとても優しくて、その先にいるのが私であることが、なんだか照れくさい。春高二次予選前日の、あの胸の高鳴りを思い出すには十分な代物で。
朝起きたらここ最近のテンションに戻っていたのに、写真を開いたせいで、また思い出してしまった。
「サチさーん。歩き携帯禁止ー」
『わかってますー』
没収されそうになる携帯電話の画面を、慌ててホーム画面に戻して、いそいそいとカバンの中にしまった。
しばらく無言で歩く。
いつもながら、私の歩幅に合わせて、鉄朗が長い脚で踏み出す一歩を調整して歩いてくれる。そういえば、いつから鉄朗は、私の歩幅に合わせてくれるようになったのだろう。考えてみるけど、そういうところに目を向けるようになったときには既に、鉄朗は合わせてくれていた。
そういう一つ一つを、これから考えてしまうのだろうなあ、と思っていたら。
「ところで、さ」
緊張した面持ちで、そう切り出される。ついに来たか、と身構える必要はないのに、ついつい身構えてしまう。身構えて何がしたいのかはよくわからない。
「あの時の言葉、実行したいんだけど、」
けど、の続きが繰り出されるまでに少し間があって、私はゴクリと唾を飲み込んだ。
久しぶりに感じる、苦しいほどの心臓の鼓動。
鉄朗の歩幅が一気に大きくなって、私の前に立ちはだかる。
私も歩を止める。
サチ、と呼ばれた。
少し上を向くと、鉄朗の顔がほんの少し赤くなっている気がする。
いや気のせいかもしれない。
「ほんとは、一日デートでもして、いい感じで言いたかったんだけど。受験生でそんなことも言ってられないので、ね」
なんて前置きがあって。言いながら照れ隠しなのか、鉄朗が頭をガシガシとかく。
実際は数秒とかの話なのだろうけど、心臓がどうにかなるのではないかというくらいドクドクしている身としては、何十秒にも感じられて。
『私が先に言おうか?』
思わず口を開くと、「……え、何を、」とか返ってくる。予想外だったらしい。
『えーと、好きだよ、って?』
言ったとたん、鉄朗の目が大きく見開かれて、先ほどとは明確に違う、赤い色になった。しかしすぐに、「いやいやいや、ちょっと待って」とか言う。
「俺が! 俺が言いたいの。考えてた言葉あるから、今のナシ。取り消し!」
『……じゃあ早く言いなよ。もう、前に言ったようなもんじゃん、』
こちらもいつまでもこの動悸と付き合ってられない。
少しだけ睨むと、しかし鉄朗は緊張しているのかこちらを見てはいなくて、その攻撃はまったく通用しなかった。
あの日はあれだけスマートに言ってのけたくせに、いざとなったら急にチキンになるのはなんでだろう。
失礼なことを考えていたら、覚悟を決めたのか、まっすぐに見つめられた。
「これからは、幼馴染としてではなくて、彼女として一緒に過ごしてほしい、」
彼女。
自分とは無縁だったワードが、鉄朗の口から飛び出す。が、そのあとに続く言葉は予想外で、思わず私も目を見開く。
「んで、これからもずっと、俺と一緒にバレーボールやりませんか」
『バレー、ボール?』
思わず問い返せば、赤い顔のまま、得意の優しい顔になる。
「サチって、バレーボールするとき、すげー楽しそうな顔するじゃない?」
『え、そう?』
それは無自覚だった。バレーボールは楽しいけど、顔に出しているつもりはなかった。
「そう。もうね、すさまじい威力の笑顔なわけですよ。で、その笑顔を、これからも見ていたいなあ、とずっと考えていましてね」
そう言って、何やらをポケットから取り出す。
正体は何か印刷されているパンフレットのようなもので、折りたたまれていたものを丁寧に開いていく。
『……混合、バレー?』
「そ。男女一緒にバレーするんだと。面白そうじゃない?」
え、でも。
その言葉は反射的に口から出ていた。
「いや?」
『いや、じゃないけど。……鉄朗のバレーはどうなるの?』
将来どうするかなんて、話す余裕はなかった。ただ、目の前の高校バレーに夢中だったのだ。
鉄朗が大学に入って、バレーをするのかしないのか、どんな将来を考えているのか、よくわからない。
「俺は高校バレーで十分楽しんだし、将来やりたいことも何となく見つけたから、そのためにも、新しいバレーを見つけたいな、とか思ってマス。それに、誰かにバレー好きになってもらうのって、やっぱり楽しいな、とも思ったし」
『ん?』
「要するに、混合バレーは俺の将来のために必要で、それにサチさんも一緒だったらもっと楽しくなるだろうなあ、と考えてるんだけど、どうデスか?」
やりたいことが見つからないから、とりあえず大学へ行こう、なんて不真面目な考えの私とは随分違う将来設計で、恐れ入った。私、本当にこんなできた人と付き合ってもいいのだろうか。
『あのさ。念のため聞くけど、本当に私でいいの? 鉄朗なら、もっと素敵な人と出会えるよ』
口に出すと、鉄朗がはあ、とため息。
「あのねえ、サチさん。それ、振るときの常套句」
『そう、なんだ?』
「俺はサチがいいの。他の誰でもダメで、サチがいいの」
一度言葉を止めたが、こちらを見て、おそらく言葉が足りないと思ったらしい。恥ずかしいことをつらつらと続ける。
バレーボールが何よりも好きで、きらきらしながらプレイするところも好き。
弱いところをひた隠して、強くいようとするところも好き。
不器用だけど、不器用ながらも真っ向から体当たりして、関わろうとする姿勢も好き。
『もういい、わかった、』
「……俺がどれくらい、サチさんのこと好きか、ちゃんとわかった?」
『わかった。……あ、りがと、』
もう、鉄朗の目は見れなかった。
「じゃあ、返事、もらえますか」
鉄朗の告白に対する返事だということはわかったが、もう、心臓も顔の赤さもそのほかもろもろ訳が分からなかったので、返事は事務的な感じになってしまったのだが、それはもうしょうがない。鉄朗が悪いのである。
46末永くよろしくお願いします。バレーボールも含む
ゴミ捨て場の決戦にて、「バレーボール教えてくれてありがとう」と、大切な幼馴染から言われたことが、ずっと頭から離れない。バレーボールを好きになってもらえるって、楽しいことなのだと知ってしまったから。
だから今度は、もう一人の幼馴染に、バレーボールの楽しさを、もう一度思い出してほしいと思った。