Que Sera, Sera. -ケセラセラ-
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
なんか最近、視線を感じるなあ、と思っていた。
といっても、人より少しばかり背が高いせいか、いつも好奇の視線を向けられていたから、今回もそんな感じだろうと特に気にも留めていなかった。
それが、失敗だったのかもしれない。
「倉木って、黒尾と付き合ってるの?」
暇になればサチの姿を探すのが日課というか習慣になっていて、今日も昼休み、サチの姿を探していたのだが見当たらない。
当てもなくうろちょろしていたところ、夜久から「さっき体育館の方に行くのを見かけたぞ」と。
昼休みにサチが出かけるのは非常に珍しい。いやな感じしかしない。同じ方向に購買もあるから、適当なものでも買いつつ探りに行くか。
そんな経緯で体育館の裏にやってきて、聞こえてきたのが「倉木って、黒尾と付き合ってるの?」という台詞。
『いや、付き合ってない。……もしかして、付き合ってるように見える?』
サチとは、幼馴染で小中高と一緒の学校だが、なぜか同じクラスにはならずに高3まできた。このまま同じクラスにならない方がネタになっていいよね、なんてサチが言っていたのを思い出す―――そんな期待を裏切り、高校最後の今年は同じクラスとなった。
「あ、いや。仲良さそうだったから、どうなのかな、って。付き合ってないならよかった」
『ああ、部活の話とかよくしてるからかな。……気を付けよー』
そりゃあ、仲良さげな風に俺が取り繕っていますからねえ。周囲からは策略どおりに映っているということで、自分の行いは無駄ではなかったと安堵する。
しかしそれならばこの状況はなんなのだろう。
「あ、のさ。……1年の頃に同じクラスで、ちょっと気になってて。やっぱりあきらめきれなくて」
ああ、この流れは。まずいヤツだ。
邪魔したい。今すぐに間に割って入って、俺のものだと主張したい。
……でも、サチは俺のものではない。
部活が終わるまでは、サチとの時間もとれないし、サチ自身もバレーに集中しているようだったし、俺自身もそうだったから、この関係性のままでいようと決めていた。
「好きです、付き合ってくださいっ!!」
ぐるぐるぐると考えている間に、まずいヤツは放たれた。
先を越された。そんなことを思った。
サチは何を思うのだろうか。
『え、えーと、』
ふと客観的に見れば、そこまで悪くない組み合わせだなあ、とか考えてしまう。
サチの身長は女子の中では大きい方で、170㎝はあるらしい。バレー部にいればこそ周りはサチより背が高いのが多いが、普通に生活していたらサチより背が高い男はそう多くはない。
その点、バスケ部の主将君は、身長は俺と同じくらいだろう。身長差は申し分なし。
顔もイケメンの部類に入るし、主将を務めているのだから、チームからは何かしらを認められている。俺は同じクラスになったことはないが、そこそこモテるヤツだった気がする。
あ、思い出した。
『バスケ部のマネの子が、主将がかっこよくて勧誘されたから入ったって言ってた』
とついこの間、サチがこぼしていた。
もてるヤツだ。
『……そもそもなぜ私? 接点ないでしょ』
え、すぐに断るんじゃなくて? もしかしてアリなのか?
恋愛事には興味がないと思っていたし、一言目でスパッと振るのかと思っていたのに、何やら会話が始まりそうな返答に、少しだけ、いや大いに焦る。
黙って聞いているわけにはいかなかった。
「え、覚え―――」
「おやおやおや。こんな人気のないところで何してるの?」
『うわ、黒尾』
うわ、はないでしょ。俺だって傷つきますけどー。
反論は心の中に留め置き、サチの真後ろからバスケ部の主将君と対峙する。
「黒尾、」
「どーも。うちのマネさんに何かご用ですか?」
「っ、」
付き合ってないんだろ。
声が聞こえたと思ったら、キッと鋭い眼光で睨まれた。
「ん、なんか言った?」
こちらもガンを飛ばしてしばしにらみ合いをしていたのだが、不意に腹部に鈍痛が走る。サチにグーで殴られたようだ。もちろん痛くはないけれども。
『黒尾。私と榛名が話してた。勝手に割り込まないで』
「……へーい」
ごもっともな指摘に、従いたくはなかったが、しぶしぶ口を閉じた。バスケ部の主将ということしか知らなかった俺とは違い、サチはヤツの名前を認識していたことに驚きを隠せなかったというのもある。
恋愛に興味がなさそうに見えたのは、単に俺に興味がないだけで、本当は思う人がいたのか? サチはバレーにしか興味ないから、部活終わるまでは今の関係性のままで、なんて考えていたが、そもそもそれが見当はずれの考えだったのだろうか。
『榛名、ごめん。今日は黒尾いるから、……また改めて話そう』
「あ、うん。……え、ほんと!?」
え、ウソでしょ!?
俺が今までバレー部の男たちから必死になって牽制していたのに、そんな所からライバル出てくるの? え両想いなの? え、え、え。
しかし顔と態度には出さないのが黒尾さん品質。努めて冷静に冷静に冷静に。
冷静に教室まで帰ったはずなのに、榛名とどう別れたのかもよく覚えていないし、サチと何を話したのかも覚えていなかった。
「夜久さん! ……クロさん、どうかしたんすか?」
「え? あーあれな。ほっとけ」
昼休み、倉木と一緒にどこからか帰ってきてからというもの、心ここにあらずな黒尾は、結局部活が終わるまで引きずっているようだ。何があったのかはわからないが、倉木関係ということはまず間違いないだろう。
後輩たちにも気取られ、しかし本人はそんなことを気にする余裕もないらしい。
「今日残るヤツ何人だー?」
部としての練習が終わってから、自主練と称してそれぞれ気になるところを練習する。ぼけっとしている主将にかわり点呼をとっていると、「あのー」と声が聞こえてくる。どこからだ、外からだ。
振り返ると、1年の時のクラスメートだった榛名の姿。バスケ部の主将である。
「夜久! バレー部すごいな、まだ練習やんの?」
「ん? まあな。インハイ予選も近いし、今年はラストチャンスだしな。……誰か呼ぶ?」
バスケ部は別の体育館だから、こんなところで鉢合わせるのは、きっと誰かに用事があるのだろうと思って。
「あ、えーと。練習終わるの、何時頃?」
「一応終わったぞ、今。あとは残りたいヤツだけ残って自主練」
「……そっか。あ、じゃあ、倉木って、もう帰ったりする?」
「え、倉木?」
あいつは大抵、黒尾と研磨と帰るからなあ。ってか、黒尾の重度な牽制にもかかわらず、倉木にちょっかいを出す男がいるとは。爽やかな顔して、中身は猛者だな。
なんて思いながら。
「倉木ーお客さーん」
体育館中の視線が一斉にこちらを向いた。
『お客さん? 家じゃあるまいし』
そう言いながら近づいてきたのだが、榛名の顔を見た瞬間『あ』とか言う。
心当たりがあるヤツだ。
「ごめん、”改めて”って言うの、待ちきれなくて。良かったら帰りながら話さない? 送る」
『あー……』
倉木には”恋愛”って言葉は似合わないよなあ。
榛名の邪魔をするのは悪いので、ストレッチをする振りをして、聞き耳を立てていた。こういう刺激はあまりないから、こっちまでドキドキする。青春だ。いいな、青春。
「あ、練習まだあるんだよな。終わるまで待ってるし、それかまた別日に―――」
沈黙に我慢しきれなかったのか、榛名が早口でまくし立てる。
そんな榛名の言葉を遮って。衝撃の言葉が放たれた。
『今日はちょうど帰るところだったから、いいよ』
「―――え?」
『待ってて、着替えてくる』
「え、あ、うん。わかった。うん」
え。
榛名も驚いていたけど、おそらく体育館で聞き耳を立てていた全員が驚いている。
え、脈ありだったの? 倉木って誰かと付き合うとかそういう感情あるの?
じゃあ黒尾のアピール気づいてたの?
そもそもいつも邪魔する黒尾は何処に?
パタパタと走っていく倉木の背中を見送りながら、榛名へと率直な質問を投げかける。
「えーっとさあ。付き合ってる?」
「いや、付き合ってない」
「……脈あり?」
「俺もわかんない。今まで全然手ごたえなかったから困惑してる」
「だよな? ってかよく手を出そうと思ったな」
「このまま何もせずあきらめるのは心残りだな、と。どうせクラスも違うし、振られても気まずくはないかなって」
爽やかにはにかみながら倉木と帰っていった榛名が見えなくなると、どこからともなく肩を落とした黒尾が出てきた。
「お、黒尾。お前の思い人、さっき連れてかれたぞ」
「知ってますーーー」
「何拗ねてんだよ。いやなら追っかけろよ。いつもやってるじゃねーか」
「昼休みにサチから怒られたんですーーー」
あーそれで。今日の黒尾の様子が変だったのはそのせいか。
じゃあ本当に脈ありなのか?
「へえ、倉木ってああいう人がタイプなんだね」
「おい海。まだそうと決まったわけじゃねーだろ」
「あきらめが悪いなあ、黒尾」
いつも散々煽ってくる主将を、3年二人でいじめるのだが、いつものような覇気はなくて。それはそれでなんだか不憫だ。
「で、追いかけないの?」
結局、最後まで黒尾の相手をするのは研磨で、普段は黒尾が研磨の世話を焼いているわけだけど、なんだかんだで研磨が黒尾の世話を焼くことも少なくない。
「いいんですー。どうせ俺は胡散臭いですー」
「うわー。クロが木兎さんみたくなってる」
いじける黒尾を”木兎さんみたくなってる”と形容する研磨に、まったくその通りだと脱帽した。さすがは音駒の脳である。
「胡散臭いって言われたんだ?」とは海。
「うっせー。ほら、しゃべってないで練習するぞーアタック練習な」
急に決まった練習メニューは、黒尾の憂さ晴らし的な意味合いもきっとある。
03顔と態度には出さないのが黒尾さん品質デス
いや。態度には出てますよー、黒尾サン
といっても、人より少しばかり背が高いせいか、いつも好奇の視線を向けられていたから、今回もそんな感じだろうと特に気にも留めていなかった。
それが、失敗だったのかもしれない。
「倉木って、黒尾と付き合ってるの?」
暇になればサチの姿を探すのが日課というか習慣になっていて、今日も昼休み、サチの姿を探していたのだが見当たらない。
当てもなくうろちょろしていたところ、夜久から「さっき体育館の方に行くのを見かけたぞ」と。
昼休みにサチが出かけるのは非常に珍しい。いやな感じしかしない。同じ方向に購買もあるから、適当なものでも買いつつ探りに行くか。
そんな経緯で体育館の裏にやってきて、聞こえてきたのが「倉木って、黒尾と付き合ってるの?」という台詞。
『いや、付き合ってない。……もしかして、付き合ってるように見える?』
サチとは、幼馴染で小中高と一緒の学校だが、なぜか同じクラスにはならずに高3まできた。このまま同じクラスにならない方がネタになっていいよね、なんてサチが言っていたのを思い出す―――そんな期待を裏切り、高校最後の今年は同じクラスとなった。
「あ、いや。仲良さそうだったから、どうなのかな、って。付き合ってないならよかった」
『ああ、部活の話とかよくしてるからかな。……気を付けよー』
そりゃあ、仲良さげな風に俺が取り繕っていますからねえ。周囲からは策略どおりに映っているということで、自分の行いは無駄ではなかったと安堵する。
しかしそれならばこの状況はなんなのだろう。
「あ、のさ。……1年の頃に同じクラスで、ちょっと気になってて。やっぱりあきらめきれなくて」
ああ、この流れは。まずいヤツだ。
邪魔したい。今すぐに間に割って入って、俺のものだと主張したい。
……でも、サチは俺のものではない。
部活が終わるまでは、サチとの時間もとれないし、サチ自身もバレーに集中しているようだったし、俺自身もそうだったから、この関係性のままでいようと決めていた。
「好きです、付き合ってくださいっ!!」
ぐるぐるぐると考えている間に、まずいヤツは放たれた。
先を越された。そんなことを思った。
サチは何を思うのだろうか。
『え、えーと、』
ふと客観的に見れば、そこまで悪くない組み合わせだなあ、とか考えてしまう。
サチの身長は女子の中では大きい方で、170㎝はあるらしい。バレー部にいればこそ周りはサチより背が高いのが多いが、普通に生活していたらサチより背が高い男はそう多くはない。
その点、バスケ部の主将君は、身長は俺と同じくらいだろう。身長差は申し分なし。
顔もイケメンの部類に入るし、主将を務めているのだから、チームからは何かしらを認められている。俺は同じクラスになったことはないが、そこそこモテるヤツだった気がする。
あ、思い出した。
『バスケ部のマネの子が、主将がかっこよくて勧誘されたから入ったって言ってた』
とついこの間、サチがこぼしていた。
もてるヤツだ。
『……そもそもなぜ私? 接点ないでしょ』
え、すぐに断るんじゃなくて? もしかしてアリなのか?
恋愛事には興味がないと思っていたし、一言目でスパッと振るのかと思っていたのに、何やら会話が始まりそうな返答に、少しだけ、いや大いに焦る。
黙って聞いているわけにはいかなかった。
「え、覚え―――」
「おやおやおや。こんな人気のないところで何してるの?」
『うわ、黒尾』
うわ、はないでしょ。俺だって傷つきますけどー。
反論は心の中に留め置き、サチの真後ろからバスケ部の主将君と対峙する。
「黒尾、」
「どーも。うちのマネさんに何かご用ですか?」
「っ、」
付き合ってないんだろ。
声が聞こえたと思ったら、キッと鋭い眼光で睨まれた。
「ん、なんか言った?」
こちらもガンを飛ばしてしばしにらみ合いをしていたのだが、不意に腹部に鈍痛が走る。サチにグーで殴られたようだ。もちろん痛くはないけれども。
『黒尾。私と榛名が話してた。勝手に割り込まないで』
「……へーい」
ごもっともな指摘に、従いたくはなかったが、しぶしぶ口を閉じた。バスケ部の主将ということしか知らなかった俺とは違い、サチはヤツの名前を認識していたことに驚きを隠せなかったというのもある。
恋愛に興味がなさそうに見えたのは、単に俺に興味がないだけで、本当は思う人がいたのか? サチはバレーにしか興味ないから、部活終わるまでは今の関係性のままで、なんて考えていたが、そもそもそれが見当はずれの考えだったのだろうか。
『榛名、ごめん。今日は黒尾いるから、……また改めて話そう』
「あ、うん。……え、ほんと!?」
え、ウソでしょ!?
俺が今までバレー部の男たちから必死になって牽制していたのに、そんな所からライバル出てくるの? え両想いなの? え、え、え。
しかし顔と態度には出さないのが黒尾さん品質。努めて冷静に冷静に冷静に。
冷静に教室まで帰ったはずなのに、榛名とどう別れたのかもよく覚えていないし、サチと何を話したのかも覚えていなかった。
「夜久さん! ……クロさん、どうかしたんすか?」
「え? あーあれな。ほっとけ」
昼休み、倉木と一緒にどこからか帰ってきてからというもの、心ここにあらずな黒尾は、結局部活が終わるまで引きずっているようだ。何があったのかはわからないが、倉木関係ということはまず間違いないだろう。
後輩たちにも気取られ、しかし本人はそんなことを気にする余裕もないらしい。
「今日残るヤツ何人だー?」
部としての練習が終わってから、自主練と称してそれぞれ気になるところを練習する。ぼけっとしている主将にかわり点呼をとっていると、「あのー」と声が聞こえてくる。どこからだ、外からだ。
振り返ると、1年の時のクラスメートだった榛名の姿。バスケ部の主将である。
「夜久! バレー部すごいな、まだ練習やんの?」
「ん? まあな。インハイ予選も近いし、今年はラストチャンスだしな。……誰か呼ぶ?」
バスケ部は別の体育館だから、こんなところで鉢合わせるのは、きっと誰かに用事があるのだろうと思って。
「あ、えーと。練習終わるの、何時頃?」
「一応終わったぞ、今。あとは残りたいヤツだけ残って自主練」
「……そっか。あ、じゃあ、倉木って、もう帰ったりする?」
「え、倉木?」
あいつは大抵、黒尾と研磨と帰るからなあ。ってか、黒尾の重度な牽制にもかかわらず、倉木にちょっかいを出す男がいるとは。爽やかな顔して、中身は猛者だな。
なんて思いながら。
「倉木ーお客さーん」
体育館中の視線が一斉にこちらを向いた。
『お客さん? 家じゃあるまいし』
そう言いながら近づいてきたのだが、榛名の顔を見た瞬間『あ』とか言う。
心当たりがあるヤツだ。
「ごめん、”改めて”って言うの、待ちきれなくて。良かったら帰りながら話さない? 送る」
『あー……』
倉木には”恋愛”って言葉は似合わないよなあ。
榛名の邪魔をするのは悪いので、ストレッチをする振りをして、聞き耳を立てていた。こういう刺激はあまりないから、こっちまでドキドキする。青春だ。いいな、青春。
「あ、練習まだあるんだよな。終わるまで待ってるし、それかまた別日に―――」
沈黙に我慢しきれなかったのか、榛名が早口でまくし立てる。
そんな榛名の言葉を遮って。衝撃の言葉が放たれた。
『今日はちょうど帰るところだったから、いいよ』
「―――え?」
『待ってて、着替えてくる』
「え、あ、うん。わかった。うん」
え。
榛名も驚いていたけど、おそらく体育館で聞き耳を立てていた全員が驚いている。
え、脈ありだったの? 倉木って誰かと付き合うとかそういう感情あるの?
じゃあ黒尾のアピール気づいてたの?
そもそもいつも邪魔する黒尾は何処に?
パタパタと走っていく倉木の背中を見送りながら、榛名へと率直な質問を投げかける。
「えーっとさあ。付き合ってる?」
「いや、付き合ってない」
「……脈あり?」
「俺もわかんない。今まで全然手ごたえなかったから困惑してる」
「だよな? ってかよく手を出そうと思ったな」
「このまま何もせずあきらめるのは心残りだな、と。どうせクラスも違うし、振られても気まずくはないかなって」
爽やかにはにかみながら倉木と帰っていった榛名が見えなくなると、どこからともなく肩を落とした黒尾が出てきた。
「お、黒尾。お前の思い人、さっき連れてかれたぞ」
「知ってますーーー」
「何拗ねてんだよ。いやなら追っかけろよ。いつもやってるじゃねーか」
「昼休みにサチから怒られたんですーーー」
あーそれで。今日の黒尾の様子が変だったのはそのせいか。
じゃあ本当に脈ありなのか?
「へえ、倉木ってああいう人がタイプなんだね」
「おい海。まだそうと決まったわけじゃねーだろ」
「あきらめが悪いなあ、黒尾」
いつも散々煽ってくる主将を、3年二人でいじめるのだが、いつものような覇気はなくて。それはそれでなんだか不憫だ。
「で、追いかけないの?」
結局、最後まで黒尾の相手をするのは研磨で、普段は黒尾が研磨の世話を焼いているわけだけど、なんだかんだで研磨が黒尾の世話を焼くことも少なくない。
「いいんですー。どうせ俺は胡散臭いですー」
「うわー。クロが木兎さんみたくなってる」
いじける黒尾を”木兎さんみたくなってる”と形容する研磨に、まったくその通りだと脱帽した。さすがは音駒の脳である。
「胡散臭いって言われたんだ?」とは海。
「うっせー。ほら、しゃべってないで練習するぞーアタック練習な」
急に決まった練習メニューは、黒尾の憂さ晴らし的な意味合いもきっとある。
03顔と態度には出さないのが黒尾さん品質デス
いや。態度には出てますよー、黒尾サン