Que Sera, Sera. -ケセラセラ-
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期末テストが終わった。いろんな意味でオワッタ。
まあでも終わったからいいや。次回頑張ろう~と毎回掲げる反省というか意気込みというかを今回も疑うこともせず掲げ、手の中にある花火を見つめていた。
「そういえば咲良、世界史どうだったの?」
先日、私のことを完璧だとか抜かすこの後輩に、仕方がないので私ができないことを教えた。1年の世界史のテストで、過去最低点数である13点を取ってしまったことがその一つで、しかし「世界史と言えど、それはないですよ、」とか言うので、その結果確認である。
「うわー、覚えてたんですか」
同じく隣で花火を見つめながら、咲良が返事をする。インハイ予選での一件以降、なんだかんだ咲良に懐かれた、気がする。たぶん。いや、あまり自分を過大評価するのはよそう、特に人間関係に関しては。
「サチ先輩、目ざとい」
『私の点数教えたでしょうが。あんたのも教えなさいよ』
「サチ先輩が1年生の時の、です」
『あんたも1年じゃん。フェアですー』
「……平均点は22点でしたー」
『お、私の時よりも高いじゃん。で?』
「……に点、」
『ん?』
「12点っ」
ぶっ、とわざとらしく吹き出して見せると、咲良がぷーと頬を膨らませた。こういうところが「カワイイ系マネ」と言われる所以なのだろなあ。
『13点に負けてんじゃん、あれだけ言ってたのに』
「あー、うるさいですー赤点じゃありませんからっ!」
ぶすくれて次の花火を取りに行ったのを見送りながら、私の花火も火は消えていたのだが、次を取りに行くのも億劫なのでぼけっとその場に座ったままでいた。
「ちょっと、さっちー、何の争い?」
『聞いてたの?』
「そりゃあね。13点だの12点だの。まさかとは思うけど、期末テストのことではないよね?」
声をかけてきたのは、梟谷のマネであるかおりんこと雀田かおりで、そう言いながら、「はいコレ」と使用前の花火をいくつか渡された。受け取ってから一つを手に取ると、かおりんの花火から火を移される。移動するのは面倒だったので大変助かる。
『ありがと』
今日は朝から梟谷高校にて夏合宿その①が開催されている。毎年恒例の合宿で、今年も梟谷グループの長い長い合宿が始まった。梟谷、音駒、森然、生川。それに加えて今年は烏野も参加している―――烏野は、会うのは2回目だけど、前回のゴールデンウィークのプレイよりも、なんだか安定してきたように思う。
ちなみにこの花火は、かおりんの誕生日祝いで梟谷メンバーが用意したもの。全員分はさすがに予算がなかったから、マネ優先で花火を楽しんでいる。赤やら緑やらに勢いよく発光していて、キレイというよりは、夏だなーという感想。こういうのを季語というのでは?
でも煙たいのはキライ。
「で、何の話?」
『かおりんの考えている通り、我々の期末テストの結果です』
「……はは、さすがはさっちー」
話しているうちにかおりんの花火が力尽きたので、新しい花火に私の火をおすそ分け。していたところ、「サチせんぱーい」と呼ばれた。咲良だ。
「花火の追加ですよー」
『わー助かるー(棒読み)』
前述の通り、煙たいので花火はあまり好きではないのだが、みんながせっかく持ってきてくれるので、もらった分は使い切ろうという心づもりでいる。
「て、先に持ってきていたか。ぬかりないな」
かおりんからもらった花火が脇に数本あったので、それを見たようだ。
『かおりんからもらった』
「ああ、そうですよねー。サチ先輩、こういう時動きたくないから動かないですもんね」
『なんで冷静に私の分析してんのよ』
言いつつ、手持ちの花火の火が消えそうなので、次の花火に火を移す。「少しは動かないと、化石になりますよー」とか隣で咲良が言うので、『うるさーい』ととりあえず返しておいた。
「なんかさあ。さっちーと咲良、いいコンビじゃん」
かおりんがおかしなことを言う。そんなわけないじゃーんって返そうと思ったら、それより先に、「え、ほんとですか!? そう見えますか!?」と嬉しそうな声。
もちろん咲良である。
『え、そんなに嬉しい?』
「嬉しいです!」
なんか最近、やっぱり懐かれている。なんでこんなに態度が豹変したのかはわからなかったが、……でも、悪い気はしない。
「咲良ぁ、さっちーの良さがわかるなんて、大人だねえ」
「そうですか?」
「そうですとも」
なぜか私の話題で盛り上がる梟谷マネ&音駒新マネ。ついには私のいい所を列挙し始めるという変な方向に話が流れていき、さすがに恥ずかしい。ので、重い腰を上げて少し離れた所へ移動する。
『ッ、ケホッ』
花火の煙が目と鼻に襲い掛かってきた。これがあるから花火は苦手だ。
でも、かおりんと咲良が持ってきてくれた花火があと7本。これを片付けたら風呂に行こーっと。
バチバチと発光する花火を茫然と見つめて、作業のごとく花火を持っていたところ。
「こーんな所で一人で花火ですかい?」
上から黒尾の声が降ってきた。居残り練習が終わったのか、上はジャージを着ているものの、下は半ズボンのままである。ジャージのポケットが膨れているからサポーターでも入れているのかな。とか考えていれば、「おーいサチさーん聞こえてますかー?」と続投された。
『はいはい。練習終わりの黒尾さん』
「何してんの、一人で」
『あれ。恥ずかしいから逃げてきた』
かおりんと咲良の方を指さすと、まだ続けられていた私談義に、黒尾がほくそ笑んだ。
「へえ、面白そうじゃない。俺も混ざってこようかな」
『やめてよ恥ずかしい』
「へいへい。じゃ、ま、俺にも花火ちょーだい」
ちょーだいとか言いながらも、脇に置いた花火を勝手に持っていく黒尾。
「火ー」
『向こうからもらってきなよ』
「いいじゃないの、黒尾さんにも分けてよ」
『いや』と答えているそばから勝手に火を持っていく。おかげで私の花火の火が消えた。
『あー消えた』
「あらあ。じゃ、向こうからもらってきなさいよ」
『はあ、元をただせば私の火でしょ。しかも私の花火』
「はいはい、悪うございました」
慌ててこちらに移された火は、また力強く光りを放つ。
しばらく花火を見つめながら、たぶん黒尾は私の花火消費を手伝いに来たんだろうなあ、と考えていた。私の好き嫌いは全部把握されていて―――研磨のもそうだし、たぶん部員のある程度のソレは把握しているのではないかと思う―――、嫌いとか苦手とかにはさらっと手を貸してくれる。率直に、いいヤツである。
『やっぱり、胡散臭い顔が、彼女できない原因だろうね』
「何で急に攻撃されてるの、俺」
『え、褒めてる』
「……それで褒めてたら、世の中みんな誰かを褒めてるよ」
はあ、とため息をつくも、花火の消費は止めない。
「まいーや。咲良と最近いい感じじゃない」
『うーん、なんか懐かれた、と思う』
「そうねえ。化けたよねえ、」
『黒尾なんかした?』
「なーんにもしてませン。サチさんの人望じゃない?」
なんかニヤニヤしている黒尾を他所に、ついに花火の在庫が切れた。
よし、と立ち上がると、「終わった瞬間、腰が軽いこと」と。
『うるさい。もらった分は使い切った』
「へーい。じゃ、行きますか」
『なんで黒尾も一緒に帰る流れ?』
「え、そういう流れでしょ?」
『まだ向こうの方に、花火余ってるんじゃない?』
「別に、花火やりたいわけじゃねーし。つべこべ言わずに行くぞ」
火薬の使い切られた花火を左手に持ち、空いた右手で私の腕をとった。
『ちょっと、ナニコレ』
「ん? こうでもしないとすぐ逃げるから」
『なんで逃げるのよ。帰るのに逃げたりなんか―――』
「はいはい。文句言わずに帰りましょうねえ」
言葉は遮られ、勝手につかまれた腕を引かれ。
なんだかよくわからないけど、まいっか。学校じゃないし、見てるのはせいぜいバレーにしか興味ない梟谷グループ+烏野。
あきらめにも似た思いで、黒尾の後ろを歩く。珍しくわがままな幼馴染の後ろ。
16バレーか幼馴染か牽制か
夜久「黒尾が今日も大胆だなー」
研磨「烏野の誰かがサチ狙ってるって、さっき聞いたからじゃない?」
海「今日も牽制が忙しいようで」
まあでも終わったからいいや。次回頑張ろう~と毎回掲げる反省というか意気込みというかを今回も疑うこともせず掲げ、手の中にある花火を見つめていた。
「そういえば咲良、世界史どうだったの?」
先日、私のことを完璧だとか抜かすこの後輩に、仕方がないので私ができないことを教えた。1年の世界史のテストで、過去最低点数である13点を取ってしまったことがその一つで、しかし「世界史と言えど、それはないですよ、」とか言うので、その結果確認である。
「うわー、覚えてたんですか」
同じく隣で花火を見つめながら、咲良が返事をする。インハイ予選での一件以降、なんだかんだ咲良に懐かれた、気がする。たぶん。いや、あまり自分を過大評価するのはよそう、特に人間関係に関しては。
「サチ先輩、目ざとい」
『私の点数教えたでしょうが。あんたのも教えなさいよ』
「サチ先輩が1年生の時の、です」
『あんたも1年じゃん。フェアですー』
「……平均点は22点でしたー」
『お、私の時よりも高いじゃん。で?』
「……に点、」
『ん?』
「12点っ」
ぶっ、とわざとらしく吹き出して見せると、咲良がぷーと頬を膨らませた。こういうところが「カワイイ系マネ」と言われる所以なのだろなあ。
『13点に負けてんじゃん、あれだけ言ってたのに』
「あー、うるさいですー赤点じゃありませんからっ!」
ぶすくれて次の花火を取りに行ったのを見送りながら、私の花火も火は消えていたのだが、次を取りに行くのも億劫なのでぼけっとその場に座ったままでいた。
「ちょっと、さっちー、何の争い?」
『聞いてたの?』
「そりゃあね。13点だの12点だの。まさかとは思うけど、期末テストのことではないよね?」
声をかけてきたのは、梟谷のマネであるかおりんこと雀田かおりで、そう言いながら、「はいコレ」と使用前の花火をいくつか渡された。受け取ってから一つを手に取ると、かおりんの花火から火を移される。移動するのは面倒だったので大変助かる。
『ありがと』
今日は朝から梟谷高校にて夏合宿その①が開催されている。毎年恒例の合宿で、今年も梟谷グループの長い長い合宿が始まった。梟谷、音駒、森然、生川。それに加えて今年は烏野も参加している―――烏野は、会うのは2回目だけど、前回のゴールデンウィークのプレイよりも、なんだか安定してきたように思う。
ちなみにこの花火は、かおりんの誕生日祝いで梟谷メンバーが用意したもの。全員分はさすがに予算がなかったから、マネ優先で花火を楽しんでいる。赤やら緑やらに勢いよく発光していて、キレイというよりは、夏だなーという感想。こういうのを季語というのでは?
でも煙たいのはキライ。
「で、何の話?」
『かおりんの考えている通り、我々の期末テストの結果です』
「……はは、さすがはさっちー」
話しているうちにかおりんの花火が力尽きたので、新しい花火に私の火をおすそ分け。していたところ、「サチせんぱーい」と呼ばれた。咲良だ。
「花火の追加ですよー」
『わー助かるー(棒読み)』
前述の通り、煙たいので花火はあまり好きではないのだが、みんながせっかく持ってきてくれるので、もらった分は使い切ろうという心づもりでいる。
「て、先に持ってきていたか。ぬかりないな」
かおりんからもらった花火が脇に数本あったので、それを見たようだ。
『かおりんからもらった』
「ああ、そうですよねー。サチ先輩、こういう時動きたくないから動かないですもんね」
『なんで冷静に私の分析してんのよ』
言いつつ、手持ちの花火の火が消えそうなので、次の花火に火を移す。「少しは動かないと、化石になりますよー」とか隣で咲良が言うので、『うるさーい』ととりあえず返しておいた。
「なんかさあ。さっちーと咲良、いいコンビじゃん」
かおりんがおかしなことを言う。そんなわけないじゃーんって返そうと思ったら、それより先に、「え、ほんとですか!? そう見えますか!?」と嬉しそうな声。
もちろん咲良である。
『え、そんなに嬉しい?』
「嬉しいです!」
なんか最近、やっぱり懐かれている。なんでこんなに態度が豹変したのかはわからなかったが、……でも、悪い気はしない。
「咲良ぁ、さっちーの良さがわかるなんて、大人だねえ」
「そうですか?」
「そうですとも」
なぜか私の話題で盛り上がる梟谷マネ&音駒新マネ。ついには私のいい所を列挙し始めるという変な方向に話が流れていき、さすがに恥ずかしい。ので、重い腰を上げて少し離れた所へ移動する。
『ッ、ケホッ』
花火の煙が目と鼻に襲い掛かってきた。これがあるから花火は苦手だ。
でも、かおりんと咲良が持ってきてくれた花火があと7本。これを片付けたら風呂に行こーっと。
バチバチと発光する花火を茫然と見つめて、作業のごとく花火を持っていたところ。
「こーんな所で一人で花火ですかい?」
上から黒尾の声が降ってきた。居残り練習が終わったのか、上はジャージを着ているものの、下は半ズボンのままである。ジャージのポケットが膨れているからサポーターでも入れているのかな。とか考えていれば、「おーいサチさーん聞こえてますかー?」と続投された。
『はいはい。練習終わりの黒尾さん』
「何してんの、一人で」
『あれ。恥ずかしいから逃げてきた』
かおりんと咲良の方を指さすと、まだ続けられていた私談義に、黒尾がほくそ笑んだ。
「へえ、面白そうじゃない。俺も混ざってこようかな」
『やめてよ恥ずかしい』
「へいへい。じゃ、ま、俺にも花火ちょーだい」
ちょーだいとか言いながらも、脇に置いた花火を勝手に持っていく黒尾。
「火ー」
『向こうからもらってきなよ』
「いいじゃないの、黒尾さんにも分けてよ」
『いや』と答えているそばから勝手に火を持っていく。おかげで私の花火の火が消えた。
『あー消えた』
「あらあ。じゃ、向こうからもらってきなさいよ」
『はあ、元をただせば私の火でしょ。しかも私の花火』
「はいはい、悪うございました」
慌ててこちらに移された火は、また力強く光りを放つ。
しばらく花火を見つめながら、たぶん黒尾は私の花火消費を手伝いに来たんだろうなあ、と考えていた。私の好き嫌いは全部把握されていて―――研磨のもそうだし、たぶん部員のある程度のソレは把握しているのではないかと思う―――、嫌いとか苦手とかにはさらっと手を貸してくれる。率直に、いいヤツである。
『やっぱり、胡散臭い顔が、彼女できない原因だろうね』
「何で急に攻撃されてるの、俺」
『え、褒めてる』
「……それで褒めてたら、世の中みんな誰かを褒めてるよ」
はあ、とため息をつくも、花火の消費は止めない。
「まいーや。咲良と最近いい感じじゃない」
『うーん、なんか懐かれた、と思う』
「そうねえ。化けたよねえ、」
『黒尾なんかした?』
「なーんにもしてませン。サチさんの人望じゃない?」
なんかニヤニヤしている黒尾を他所に、ついに花火の在庫が切れた。
よし、と立ち上がると、「終わった瞬間、腰が軽いこと」と。
『うるさい。もらった分は使い切った』
「へーい。じゃ、行きますか」
『なんで黒尾も一緒に帰る流れ?』
「え、そういう流れでしょ?」
『まだ向こうの方に、花火余ってるんじゃない?』
「別に、花火やりたいわけじゃねーし。つべこべ言わずに行くぞ」
火薬の使い切られた花火を左手に持ち、空いた右手で私の腕をとった。
『ちょっと、ナニコレ』
「ん? こうでもしないとすぐ逃げるから」
『なんで逃げるのよ。帰るのに逃げたりなんか―――』
「はいはい。文句言わずに帰りましょうねえ」
言葉は遮られ、勝手につかまれた腕を引かれ。
なんだかよくわからないけど、まいっか。学校じゃないし、見てるのはせいぜいバレーにしか興味ない梟谷グループ+烏野。
あきらめにも似た思いで、黒尾の後ろを歩く。珍しくわがままな幼馴染の後ろ。
16バレーか幼馴染か牽制か
夜久「黒尾が今日も大胆だなー」
研磨「烏野の誰かがサチ狙ってるって、さっき聞いたからじゃない?」
海「今日も牽制が忙しいようで」