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【ジュンひよ】幸せ色の朝 -日和side

「おはよう、ジュンくん」
「…おはようございます、おひいさん」

 ゆっくりと瞼を開けば、不服そうな表情を浮かべながらも律儀に視線を返してくる琥珀色の瞳がぼくのお出迎えをしてくれていた。何か言いたそうだけどまだ頭が上手く働いていないのか、口を閉ざしながらも抗議の視線だけはきっちりと向けてきている。でもぼくはそんなことよりもどこかバツの悪そうに下げられていく片手と、隠し切れずにほんのりと血色が良くなっている頬へと視線が吸い寄せられてしまっていて。1つ1つの仕草がなんだかいたずらが見つかった子供みたいで可愛いらしくて、またくすくすと笑みが溢れてきてしまう。でも、そのことに更にムッとした表情になるのだから愛おしくて困りものだ。

「ジュンくんジュンくん、ぼく達の1日の始まりに相応しくないお顔だね!」
「…誰のせいだと思ってんすかねぇ〜?」
「ふふ、誰なんだろうね!」

 所在をなくして今にも逃げ出そうとしている片手には、今度はぼくが1本1本と指を絡ませてしっかりと繋ぎ止めた。その感触に驚いたのか少しだけ揺れる肩に、また笑みが溢れてしまう。昨晩だってあんなに余すところなく触れ合ったっていうのに、目覚めたばかりのジュンくんはなんだか垢抜けない純粋さが際立っていて…無性に揶揄いたくなる。でもきっとこれ以上は臍を曲げてしまうだろうから、それはぼくとしても本望ではない。窺うように再度視線を向ければその先に待っていたのは、やっぱり先程よりも抗議の色を強めた金色の鋭い視線で。ぼくはその瞳にはにっこりと笑顔で返して、への字に結ばれてしまった唇へと優しく触れる。

「…ジュンくん、機嫌直った?」
「……2割くらいは。」

 その言葉にまた思わずくすくすと笑い声を上げてしまうともう黙っていてくれと言わんばかりに唇が塞がれた。啄むように口付けを交わす中で繋いだ手にきゅっと小さく力を込めれば、それ以上の力で握り返される。その幸福感を味わいつつ、薄目で見遣れば蜂蜜色に溶けた視線の甘さにごくりと喉が鳴った。本当なら今日はショッピングに行きたかったのだけれど、それは叶わないことと本能が悟っている。…それに、ぼくもきっとおんなじ目の色をしているに違いなくて。
 誘うように下唇を喰めば、素直に食いついてくるのだから本当に愛しくて仕方がない。甘く深まる口付けのままベッドへと背中が触れるのを感じれば、それに応えるように首の後ろへと腕を回して。これから始まる最上級に甘い1日に胸を高鳴らさせながら、2人分の熱に身を委ねた。




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