大石夢2020
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大石と別れたのは5年前。
原因は忘れてしまった。その位些細な喧嘩からはじまって。大石はあー見えて頑固だから、自分の意思を曲げなくて。
と言っても、私も悪かったんだろうなと思う。
売り言葉に買い言葉みたいな感じで。
まだ若かったんだと思う。中学生だったし。
飲めるようになったばかりで、まだ慣れないお酒を飲んだからか、ふわふわしながら帰路を歩いていた。見上げた月が綺麗で、その時なぜかそんなことを思い出した。
彼はテニスをしていた。得意だと言ってたのがライン上を狙うムーンボレー。
(だから思い出しちゃったのか)
はぁ、と息を吐き出す。
「夢野・・・?」
不意に声をかけられる。
声が聞こえた方に視線を動かす。
「・・・大石・・・?え・・・?本物・・・?」
「ぷっ・・・何言ってんだよ」
さっきまで考えていた相手が目の前にいて、混乱していると笑われた。あの時と変わらない。・・・いや少し大人っぽくなった気がする。
男の子っていうより、男って、感じ・・・
少し身長も伸びたかな。
「こんなとこで何してるんだ?」
「サークルの飲み会で、その帰り。大石は?」
「俺は学校で勉強してたら遅くなっちゃって。」
「そっか。私とは大違いだね。さすが」
そこで自分が酒臭くないか気になりだしてしまった。そこまで飲んだつもりではないけれど。
化粧も落ちててファンデとかよれてないかな、なんて気になってしまって、大石から顔を逸らす。
「そんなことないよ。・・・家はこの近く?」
「うん」
「送るよ」
私の焦る気持ちに気付いてないんだろうな、いやそもそも焦る様な間柄でもないか・・・
いやでも・・・って、
「えっ?」
送るって?家まで?
そんなこと付き合ってた時したっけ・・・?
・・・まあ中学生だったし、そもそもそんなに一緒に出かけたりもしてない気がする。
「こっち??」
「う、うん・・・」
聞かれるがままに答える。
臭いとか化粧とかは・・・とても気になるけど、こんな機会もう無いかもしれない。
大石の隣に並んで歩き出す。
「夢野、酒飲めるんだ」
「うん。そんなたくさんってわけじゃないし、ビールは苦手だけど」
別にかわいこぶってるわけではなくて、事実で。
友達もまだ苦手って人いるし。
心の中で少し言い訳をしながら返答をすると。
「俺も。先輩と飲む時とかとりあえずビールって言われてもちょっとな」
と言われた。少し照れくさそうに、ははっと笑う。
その笑顔、なんだか懐かしい。
「だよね。あっ、ここ右入る」
少し前に出て、角を曲がる。
そしてまた大石の隣へ。
「あとどのくらい?」
「んー5分位かな?・・・そーいえば、大石の家も近いの?」
「さっき会ったとこの近くかな」
「わざわざごめんね。でも、近いんだね。あ、今度飲みにでも行く?」
・・・酔っぱらいの勢いって怖い。
別にそんなに酔ってる訳では無いけど。
「・・・」
返事がない。
「あっ・・・ごめん・・・そりゃ嫌だよね・・・」
咄嗟に謝る。
やっぱ酒臭かっただろうし、化粧もデロデロだったし、そもそも元カノなんて微妙だよね。
はー・・・これで家まで送って貰ったら忘れよう。
「違う!・・・そうじゃなくて・・・彼氏・・・とかいないの・・・?」
大石の大きな声での否定に驚いて顔を見てしまった。
街頭で照らされていた顔は少し赤くなってるように見えた。
「え!?いないよ!?そこ!?」
「そりゃそうだろ。そっか・・・よかった・・・」
「なにが・・・?」
ドキドキする。
ダメだ、そんな期待しちゃ。
でも、そんなふうに言われたら。
「俺、さ・・・別れたこと後悔してて・・・だから、こんな風に会えたのめちゃくちゃ嬉しいんだ」
「・・・」
「だから、飲み行こうな」
「・・・うん」
ドキドキが止まらなくて、小さく息を吐き出した。
顔が熱い。
そこからは無言で歩いた。
なんだか気恥ずかしくて。
気がつけばアパートの前だった。
「送ってくれてありがとう」
「うん。それじゃあ、また。」
「うん。またね。気をつけてね」
彼が道を曲がって見えなくなるまで見送った。
満月がとても綺麗だった。
