15 y ago
name
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空気が変わった。
部屋の扉が開かれた瞬間、そこに漂う圧のような熱――支配者が在る空間に特有の“重さ”が、すぐに肌に染みついた。nameは一歩先に立ち、ロシナンテはわずかに距離を取る。豪奢な椅子に腰をかけたドフラミンゴは、脚を組み、肘掛けに指先を遊ばせたまま、ふたりの姿を眺めた。淡い照明のなか、返り血を纏ったその姿が、愉しげに映ったのか――口角が僅かに上がる。
「ほぉ……なかなかに壮絶な報告の仕方じゃねェか。血の染みついたまま来るとはな……お前ら、そこらの犬より野性味あるんじゃねェの?」
「んふふ、だってドフィに見せたかったんだもん、この“成果”。見て、ちゃんとやったんだよ?店の連中、あとで始末してもらうとして、とりあえず1人だけ生かしてお持ち帰り。拷問済み、尋問済み、あとはご主人さまに処分の決定をゆだねるってわけ」
踊るように報告を終えるnameの声に、ドフラミンゴは指を鳴らした。空気を切るような鋭い音に、部屋の隅で控えていた部下が小さく頷いて退室する。ドフラミンゴは改めて、椅子にもたれながらふたりを見渡した。
「フッフッフ、“お持ち帰り”ねェ……気の利いた土産だ」
「でしょー?あ、あとね、ロシーも見てたんだよ。俺の拷問。すっごく丁寧にやったの、ほんとに。痛みと優しさのバランスも、ね?ね、ロシー」
ロシナンテは無言のまま、メモ帳を取り出し、さらさらと文字を走らせてnameに差し出した。
【お前の"優しさ"はちょっと狂ってる】
nameはそれをちらりと見て、くすりと笑い、指先でくしゃくしゃと丸めてポケットに押し込む。
「ほら〜、褒めてくれない〜。もー、ドフィだけが俺の味方だよね?」
そう言って、ぴたりとドフラミンゴの近くに寄る。返り血のついた腕を誇らしげに掲げ、まるで「撫でて」と言わんばかり。ドフラミンゴはその姿に満足げな笑みを浮かべつつも、鼻先に漂う鉄と汗の匂いに顔をしかめた。
「……上々だ。報告も結果もな、文句はねェ。だがよ、name……お前なァ……その汚れた格好で俺の前に立つってのは、どういう冗談だ?」
指先でnameの頬に付着した血をなぞる。乾いてパリついた赤黒い汚れが、薄く剥がれ落ちる。
「見てくれ、このツラ。可愛げも色気もねェじゃねェか……せっかくの出来栄えが、台無しだ」
「ひどーい!これは努力の証なんだよ?ドフィのために、がんばったのに……」
「だからこそ言ってんだよ。終わったらすぐに風呂にでも入って、綺麗にして来い。褒めてやるのはそれからだ」
ロシナンテが再び筆談を差し出す。
【俺も浴びる。血がこびりついてる】
「おっ、やった〜!ねぇドフィ、ロシーと一緒にお風呂入っていい?返り血コンビで、どっちが綺麗に洗えるか勝負するからさ」
「勝手にしろ……ただし、浴室の備品をまた壊したら、次は体で払ってもらうぞ?」
ぞわり、と背を這うような声色に、nameはぞくりと震えて笑った。
「ひゃ〜、それはそれで……いいかも?」
「……」
ドフラミンゴは呆れたように鼻で笑い、椅子にもたれ直す。
「報告は終わりだ。下がれ。あとはこっちで処理しとく」
「は〜い、ご主人さま〜。じゃ、ロシー、シャワー室行こ?泡いっぱいにして、全部落とそ」
ロシナンテは小さく頷き、扉の方へ向かう。その背に並ぶように歩きながら、nameはふわりとした足取りで囁いた。
「……ねぇロシー。褒められるの、気持ちいいね。ドフィに褒められるの、特に」
その声に、ロシナンテは何も返さなかった。ただ、胸の奥に沈むわずかな不安が、泡でも洗い流せるものならと願いながら、重い扉を背にした。
重く閉じた扉の奥、静けさが一気に降りる。外の喧騒も、血の匂いも、命の重さも――この部屋だけは全てを締め出すように、静謐だった。
「……つかれた〜〜……」
nameはまるで糸の切れた人形のように、その場にぱたりと倒れ込もうとした。だが、その柔らかい絨毯の感触に触れる寸前、がし、と力強く身体を支える腕が差し込まれる。
「お前……この部屋、汚す気か?」
ロシナンテの声は、いつもの穏やかな調子。けれどその腕には、淡い力強さがあった。nameはそのまま胸元に抱き上げられ、ふわりと浮いた身体に小さく笑う。
「ん〜、ごめんってば。でも、抱っこはいいなぁ。やっぱロシーの胸、でかくて安心感あるよね」
「そういう問題じゃねぇよ……まったく、お前ってやつは」
言いながらも、ロシナンテの足は迷いなくバスルームへと向かう。この時間の、この空間のために――彼はナギナギの能力を解放していた。部屋の中だけは、外界の音も、誰かの視線も、存在しない。
バスルームの扉が開かれ、蒸気を帯びた空気がふわりと流れ出す。硝子の向こうには、すでに湯が張られ、微かに香る薬草の匂いが広がっていた。
「よいしょっと……」
バスタブの縁にnameを下ろすと、nameは両手を広げてロシナンテを見上げた。
「ねぇ、脱がして?自分でやるの面倒だし」
「……お前な……」
呆れ半分、諦め半分で、ロシナンテはしゃがみ込み、まずはnameの上着のボタンに手をかける。
返り血と汗で布地が固まり、ボタンの穴が重く抵抗する。
「ったく……何人分だよ、これ……」
「ふふ、たぶん三人くらい?でもさ、こうして脱がせてくれると、ちょっと恋人みたいで……いいね」
「……」
ロシナンテは言葉を返さず、淡々と作業を続ける。けれどその耳たぶがわずかに赤いことを、nameは見逃していなかった。上着を脱がせ、インナーのシャツに手をかけようとしたとき――
「……っあ」
湯気に曇ったタイルの床に、わずかな水溜まり。踏み込んだ足が滑り、ロシナンテの身体がバランスを崩す。
「あ、ロシ――」
言い終える間もなく、その大きな身体がのしかかるようにnameに倒れ込んだ。
「ちょ、濡れる濡れるぅぅう!!」
ばしゃん、と豪快な音を立てて、ふたりともまとめて湯の中に引きずり込まれた。
「……ぅわ……服、ぜんぶ……」
「お前が……最後にふざけたから……!」
「ロシーの足元見てなかったせいでしょ〜!?てか、びしょびしょ……これ、後で洗濯するの俺だよね?」
ロシナンテは顔を覆いながら、深く息を吐いた。
「はぁ……もぉ、いいや。どうせ濡れた。脱がす手間省けて、ちょうどいいってことで」
「ロシー、ポジティブ……好き……」
「はいはい、口は達者だな」
濡れた服の隙間から、熱が肌を滑る。湯の温度がじわじわと身体の芯へ沁みていくのにあわせ、緊張も緩んでいく。
「……ねぇ、ロシー」
「ん?」
「今日、うまくできてた?……俺、まだ役に立ててる?」
ロシナンテは湯の中で身体を起こし、ぐしょぐしょの髪をかき上げながら、しばらく黙ってnameを見つめていた。ふざけた口調の奥に沈む、微かな不安と渇望――それを知っているからこそ、曖昧には返せなかった。
「……お前は、“役に立つ”って言葉で、自分を測りすぎなんだよ」
「……」
「けど、今日のは……“悪くなかった”。見ててヒヤヒヤしたけどな」
nameは目を細め、ゆっくりと湯のなかに沈んでいく。
濡れた髪がふわりと浮き、額を隠したその表情は、どこか満ち足りていた。
「……ありがと」
「……」
しばらくそのまま、お互い何も言わずに湯に沈んでいた。静寂が、心地よく、少しだけ切なかった。湯けむりのなか、バスルームは仄かな灯りとともに、微かな水音に満ちていた。
湯船の中にはぐしゃぐしゃに濡れたままの服を纏ったふたり。シャワーのノズルは手すりに引っ掛けられ、ちょうどふたりの頭上から湯を流している。しと、しと、と繰り返す温かいしぶきが、髪に、肩に、布越しの肌に降り注ぐ。張りついていた血と汗の跡が、ゆるく剥がれてゆく。返り血の鉄臭さも、皮膚の隙間から抜けていくようだった。
部屋の扉が開かれた瞬間、そこに漂う圧のような熱――支配者が在る空間に特有の“重さ”が、すぐに肌に染みついた。nameは一歩先に立ち、ロシナンテはわずかに距離を取る。豪奢な椅子に腰をかけたドフラミンゴは、脚を組み、肘掛けに指先を遊ばせたまま、ふたりの姿を眺めた。淡い照明のなか、返り血を纏ったその姿が、愉しげに映ったのか――口角が僅かに上がる。
「ほぉ……なかなかに壮絶な報告の仕方じゃねェか。血の染みついたまま来るとはな……お前ら、そこらの犬より野性味あるんじゃねェの?」
「んふふ、だってドフィに見せたかったんだもん、この“成果”。見て、ちゃんとやったんだよ?店の連中、あとで始末してもらうとして、とりあえず1人だけ生かしてお持ち帰り。拷問済み、尋問済み、あとはご主人さまに処分の決定をゆだねるってわけ」
踊るように報告を終えるnameの声に、ドフラミンゴは指を鳴らした。空気を切るような鋭い音に、部屋の隅で控えていた部下が小さく頷いて退室する。ドフラミンゴは改めて、椅子にもたれながらふたりを見渡した。
「フッフッフ、“お持ち帰り”ねェ……気の利いた土産だ」
「でしょー?あ、あとね、ロシーも見てたんだよ。俺の拷問。すっごく丁寧にやったの、ほんとに。痛みと優しさのバランスも、ね?ね、ロシー」
ロシナンテは無言のまま、メモ帳を取り出し、さらさらと文字を走らせてnameに差し出した。
【お前の"優しさ"はちょっと狂ってる】
nameはそれをちらりと見て、くすりと笑い、指先でくしゃくしゃと丸めてポケットに押し込む。
「ほら〜、褒めてくれない〜。もー、ドフィだけが俺の味方だよね?」
そう言って、ぴたりとドフラミンゴの近くに寄る。返り血のついた腕を誇らしげに掲げ、まるで「撫でて」と言わんばかり。ドフラミンゴはその姿に満足げな笑みを浮かべつつも、鼻先に漂う鉄と汗の匂いに顔をしかめた。
「……上々だ。報告も結果もな、文句はねェ。だがよ、name……お前なァ……その汚れた格好で俺の前に立つってのは、どういう冗談だ?」
指先でnameの頬に付着した血をなぞる。乾いてパリついた赤黒い汚れが、薄く剥がれ落ちる。
「見てくれ、このツラ。可愛げも色気もねェじゃねェか……せっかくの出来栄えが、台無しだ」
「ひどーい!これは努力の証なんだよ?ドフィのために、がんばったのに……」
「だからこそ言ってんだよ。終わったらすぐに風呂にでも入って、綺麗にして来い。褒めてやるのはそれからだ」
ロシナンテが再び筆談を差し出す。
【俺も浴びる。血がこびりついてる】
「おっ、やった〜!ねぇドフィ、ロシーと一緒にお風呂入っていい?返り血コンビで、どっちが綺麗に洗えるか勝負するからさ」
「勝手にしろ……ただし、浴室の備品をまた壊したら、次は体で払ってもらうぞ?」
ぞわり、と背を這うような声色に、nameはぞくりと震えて笑った。
「ひゃ〜、それはそれで……いいかも?」
「……」
ドフラミンゴは呆れたように鼻で笑い、椅子にもたれ直す。
「報告は終わりだ。下がれ。あとはこっちで処理しとく」
「は〜い、ご主人さま〜。じゃ、ロシー、シャワー室行こ?泡いっぱいにして、全部落とそ」
ロシナンテは小さく頷き、扉の方へ向かう。その背に並ぶように歩きながら、nameはふわりとした足取りで囁いた。
「……ねぇロシー。褒められるの、気持ちいいね。ドフィに褒められるの、特に」
その声に、ロシナンテは何も返さなかった。ただ、胸の奥に沈むわずかな不安が、泡でも洗い流せるものならと願いながら、重い扉を背にした。
重く閉じた扉の奥、静けさが一気に降りる。外の喧騒も、血の匂いも、命の重さも――この部屋だけは全てを締め出すように、静謐だった。
「……つかれた〜〜……」
nameはまるで糸の切れた人形のように、その場にぱたりと倒れ込もうとした。だが、その柔らかい絨毯の感触に触れる寸前、がし、と力強く身体を支える腕が差し込まれる。
「お前……この部屋、汚す気か?」
ロシナンテの声は、いつもの穏やかな調子。けれどその腕には、淡い力強さがあった。nameはそのまま胸元に抱き上げられ、ふわりと浮いた身体に小さく笑う。
「ん〜、ごめんってば。でも、抱っこはいいなぁ。やっぱロシーの胸、でかくて安心感あるよね」
「そういう問題じゃねぇよ……まったく、お前ってやつは」
言いながらも、ロシナンテの足は迷いなくバスルームへと向かう。この時間の、この空間のために――彼はナギナギの能力を解放していた。部屋の中だけは、外界の音も、誰かの視線も、存在しない。
バスルームの扉が開かれ、蒸気を帯びた空気がふわりと流れ出す。硝子の向こうには、すでに湯が張られ、微かに香る薬草の匂いが広がっていた。
「よいしょっと……」
バスタブの縁にnameを下ろすと、nameは両手を広げてロシナンテを見上げた。
「ねぇ、脱がして?自分でやるの面倒だし」
「……お前な……」
呆れ半分、諦め半分で、ロシナンテはしゃがみ込み、まずはnameの上着のボタンに手をかける。
返り血と汗で布地が固まり、ボタンの穴が重く抵抗する。
「ったく……何人分だよ、これ……」
「ふふ、たぶん三人くらい?でもさ、こうして脱がせてくれると、ちょっと恋人みたいで……いいね」
「……」
ロシナンテは言葉を返さず、淡々と作業を続ける。けれどその耳たぶがわずかに赤いことを、nameは見逃していなかった。上着を脱がせ、インナーのシャツに手をかけようとしたとき――
「……っあ」
湯気に曇ったタイルの床に、わずかな水溜まり。踏み込んだ足が滑り、ロシナンテの身体がバランスを崩す。
「あ、ロシ――」
言い終える間もなく、その大きな身体がのしかかるようにnameに倒れ込んだ。
「ちょ、濡れる濡れるぅぅう!!」
ばしゃん、と豪快な音を立てて、ふたりともまとめて湯の中に引きずり込まれた。
「……ぅわ……服、ぜんぶ……」
「お前が……最後にふざけたから……!」
「ロシーの足元見てなかったせいでしょ〜!?てか、びしょびしょ……これ、後で洗濯するの俺だよね?」
ロシナンテは顔を覆いながら、深く息を吐いた。
「はぁ……もぉ、いいや。どうせ濡れた。脱がす手間省けて、ちょうどいいってことで」
「ロシー、ポジティブ……好き……」
「はいはい、口は達者だな」
濡れた服の隙間から、熱が肌を滑る。湯の温度がじわじわと身体の芯へ沁みていくのにあわせ、緊張も緩んでいく。
「……ねぇ、ロシー」
「ん?」
「今日、うまくできてた?……俺、まだ役に立ててる?」
ロシナンテは湯の中で身体を起こし、ぐしょぐしょの髪をかき上げながら、しばらく黙ってnameを見つめていた。ふざけた口調の奥に沈む、微かな不安と渇望――それを知っているからこそ、曖昧には返せなかった。
「……お前は、“役に立つ”って言葉で、自分を測りすぎなんだよ」
「……」
「けど、今日のは……“悪くなかった”。見ててヒヤヒヤしたけどな」
nameは目を細め、ゆっくりと湯のなかに沈んでいく。
濡れた髪がふわりと浮き、額を隠したその表情は、どこか満ち足りていた。
「……ありがと」
「……」
しばらくそのまま、お互い何も言わずに湯に沈んでいた。静寂が、心地よく、少しだけ切なかった。湯けむりのなか、バスルームは仄かな灯りとともに、微かな水音に満ちていた。
湯船の中にはぐしゃぐしゃに濡れたままの服を纏ったふたり。シャワーのノズルは手すりに引っ掛けられ、ちょうどふたりの頭上から湯を流している。しと、しと、と繰り返す温かいしぶきが、髪に、肩に、布越しの肌に降り注ぐ。張りついていた血と汗の跡が、ゆるく剥がれてゆく。返り血の鉄臭さも、皮膚の隙間から抜けていくようだった。