15 y ago
name
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走り続けているはずなのに、外の世界は完全に遠のいていた。窓の向こうの景色も、車輪の音も、もはや耳に届かない。ただ狭い空間のなかで、溢れた熱と荒い呼吸と甘い水音が繰り返し響き、果ててもなお終わらない悦楽に絡め取られ続けていた。
普段なら、照れ隠しに口を尖らせたり、軽く茶化して笑ってしまうはずのnameが。今はその余裕を一片も持てず、快楽に溺れ、蕩け切った顔を晒すだけだった。そこには羞恥を上回る、抗えぬ支配と甘い陶酔だけが残されていた。
馬車の速度は緩むことなく続いていたが、濃密すぎる熱はようやく一段落し、狭い空間には後の余韻だけが重く漂っていた。革張りの座席は汗と体液で湿り、ランプの炎はゆらゆらと揺れながら、二人の荒い呼吸を映している。
nameは肩で息をしながら、ぐしゃぐしゃになったドレスの裾を無理やり整えようとしていた。細い指先が布を引き寄せても、伸びきった下着が悲惨な状態を晒しているのは隠せない。頬はまだ赤く、瞳は潤んだままなのに、唇は拗ねたように尖らせていた。
「……もう、ぐちゃぐちゃじゃん……最悪……」
小さくぶつぶつとこぼしながら、裾を直そうとする仕草すら艶やかで。
ロシナンテは座席の背に体を預け、大きく息を吐き出した。片手で髪をかき上げながら、まだ熱を帯びた目を細めてnameを見やる。
「気持ちよかったからだろ……文句言うな」
淡々としたその一言に、nameは顔を上げ、むっとした目を向けた。
「……は?なにそれ。結局、女みたいな格好してる俺に興奮したのはそっちでしょ?」
わざとドレスの胸元を少し引き下げ、乱れた下着のレースをちらつかせる。その挑発的な仕草に、ロシナンテの視線がわずかに深まる。
「……煽るなよ」
低い声で返されても、nameは口元をにやりと吊り上げる。
「煽ってるんじゃなくて、事実でしょ?……ロシーだって、興奮してたじゃん」
言いながら、濡れた唇を舐める。わざとらしい仕草で、まだ抜けない余韻を煽る。ロシナンテは呆れたように鼻で笑い、片手でnameの顎を掴み上げた。荒く、けれど優しさを隠しきれない仕草。
「……ほんと、口が減らねぇな」
「へへ……減らさないよ。だって俺、こういうの好きだから」
nameは挑発を隠さず、頬を押さえる手に甘えるように頬擦りした。乱れ切った姿と、軽口で誤魔化す余裕と。その両方が、馬車のなかに生々しく残っていた。やがて、遠くに街の灯が見え始める。もう少しで辿り着くという現実だけが、二人の熱をようやく冷まそうとしていた。
徐々に街の明かりが近づいてくる気配。だが馬車の内部はまだ熱を孕み、息苦しいほどの余韻を抱え込んでいた。乱れたドレスの裾がだらしなく広がり、汗と吐息の残り香が染みついている。
ロシナンテは大きな背を預け、やや冷めた目を横に向けた。
「……そもそも、酔っ払いに気をつけてりゃ良かった話だ」
淡々とした声音だが、確実に棘を含んでいた。nameはむっとして顔を背け、必死に乱れた髪を整える。けれど言い返せる言葉が見つからず、口を閉ざしたまま唇を尖らせる。
「……むむむ……」
その姿にロシナンテは小さく鼻で笑い、さらに言葉を重ねる。
「海軍中将にまで絡まれて……ほんと、厄介ごとを呼び寄せる天才だなお前」
「……っ」
nameの眉間に皺が寄り、むすっとした表情になる。それでもすぐに、唇の端を吊り上げて軽口を返した。
「……でもそれほどまでに、俺の女装が完璧だったってことでしょ?ロシーだって……興奮してたし」
挑発的に胸元を押さえ、わざと乱れたレースを指で摘んで見せる。わずかに赤みを残した頬で、にやりと笑うその仕草は露骨な挑発で、返す言葉を選ばせない。
ロシナンテは視線を細め、吐息を深く吐き出す。
「……ほんと、口が減らねぇ」
呆れ混じりの低い声。しかし、その目の奥に先ほどの余韻が滲んでいるのをnameは見逃さなかった。
「……でも、ほんとに海軍中将は勘弁してほしいよねぇ」
今度は冗談ではなく、心底からの言葉が零れる。軽口で誤魔化しつつも、その声色には一瞬だけ真剣さが宿る。
窓の外に流れる夜の街並みは、二人の間の温度を少しずつ冷ましながらも、まだ完全に鎮火させるには至っていなかった。
普段なら、照れ隠しに口を尖らせたり、軽く茶化して笑ってしまうはずのnameが。今はその余裕を一片も持てず、快楽に溺れ、蕩け切った顔を晒すだけだった。そこには羞恥を上回る、抗えぬ支配と甘い陶酔だけが残されていた。
馬車の速度は緩むことなく続いていたが、濃密すぎる熱はようやく一段落し、狭い空間には後の余韻だけが重く漂っていた。革張りの座席は汗と体液で湿り、ランプの炎はゆらゆらと揺れながら、二人の荒い呼吸を映している。
nameは肩で息をしながら、ぐしゃぐしゃになったドレスの裾を無理やり整えようとしていた。細い指先が布を引き寄せても、伸びきった下着が悲惨な状態を晒しているのは隠せない。頬はまだ赤く、瞳は潤んだままなのに、唇は拗ねたように尖らせていた。
「……もう、ぐちゃぐちゃじゃん……最悪……」
小さくぶつぶつとこぼしながら、裾を直そうとする仕草すら艶やかで。
ロシナンテは座席の背に体を預け、大きく息を吐き出した。片手で髪をかき上げながら、まだ熱を帯びた目を細めてnameを見やる。
「気持ちよかったからだろ……文句言うな」
淡々としたその一言に、nameは顔を上げ、むっとした目を向けた。
「……は?なにそれ。結局、女みたいな格好してる俺に興奮したのはそっちでしょ?」
わざとドレスの胸元を少し引き下げ、乱れた下着のレースをちらつかせる。その挑発的な仕草に、ロシナンテの視線がわずかに深まる。
「……煽るなよ」
低い声で返されても、nameは口元をにやりと吊り上げる。
「煽ってるんじゃなくて、事実でしょ?……ロシーだって、興奮してたじゃん」
言いながら、濡れた唇を舐める。わざとらしい仕草で、まだ抜けない余韻を煽る。ロシナンテは呆れたように鼻で笑い、片手でnameの顎を掴み上げた。荒く、けれど優しさを隠しきれない仕草。
「……ほんと、口が減らねぇな」
「へへ……減らさないよ。だって俺、こういうの好きだから」
nameは挑発を隠さず、頬を押さえる手に甘えるように頬擦りした。乱れ切った姿と、軽口で誤魔化す余裕と。その両方が、馬車のなかに生々しく残っていた。やがて、遠くに街の灯が見え始める。もう少しで辿り着くという現実だけが、二人の熱をようやく冷まそうとしていた。
徐々に街の明かりが近づいてくる気配。だが馬車の内部はまだ熱を孕み、息苦しいほどの余韻を抱え込んでいた。乱れたドレスの裾がだらしなく広がり、汗と吐息の残り香が染みついている。
ロシナンテは大きな背を預け、やや冷めた目を横に向けた。
「……そもそも、酔っ払いに気をつけてりゃ良かった話だ」
淡々とした声音だが、確実に棘を含んでいた。nameはむっとして顔を背け、必死に乱れた髪を整える。けれど言い返せる言葉が見つからず、口を閉ざしたまま唇を尖らせる。
「……むむむ……」
その姿にロシナンテは小さく鼻で笑い、さらに言葉を重ねる。
「海軍中将にまで絡まれて……ほんと、厄介ごとを呼び寄せる天才だなお前」
「……っ」
nameの眉間に皺が寄り、むすっとした表情になる。それでもすぐに、唇の端を吊り上げて軽口を返した。
「……でもそれほどまでに、俺の女装が完璧だったってことでしょ?ロシーだって……興奮してたし」
挑発的に胸元を押さえ、わざと乱れたレースを指で摘んで見せる。わずかに赤みを残した頬で、にやりと笑うその仕草は露骨な挑発で、返す言葉を選ばせない。
ロシナンテは視線を細め、吐息を深く吐き出す。
「……ほんと、口が減らねぇ」
呆れ混じりの低い声。しかし、その目の奥に先ほどの余韻が滲んでいるのをnameは見逃さなかった。
「……でも、ほんとに海軍中将は勘弁してほしいよねぇ」
今度は冗談ではなく、心底からの言葉が零れる。軽口で誤魔化しつつも、その声色には一瞬だけ真剣さが宿る。
窓の外に流れる夜の街並みは、二人の間の温度を少しずつ冷ましながらも、まだ完全に鎮火させるには至っていなかった。