15 y ago
name
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西日が落ちかけた頃、ドンキホーテファミリーのアジトの門が重々しく開いた。その敷地内に、ゆるゆるとした足取りで現れたのはロシナンテと、その隣を歩くname。
「……あー、やっぱアジト帰ってくると安心するねぇ、ロシー」
長く外を回ってきた帰り道。外套の裾を指で摘まんでぶんぶん振りながら、nameは至極ご機嫌そうに伸びをする。手にはまだ、昼間買ってもらった飴玉の残りが数粒入った袋がぶら下がっている。
ロシナンテは無言のまま、歩幅を合わせて隣をついてくる。その手にはメモ。開かれたページにはきっちりした字で──
【今日のところは上出来】
「へへ。そう?褒められた~」
得意げに笑っていた、その直後だった。
アジト内の渡り廊下を歩いていたとき、ふいにロシナンテが懐から何かを落としたのを見て、nameが足を止める。
「ロシー、それ──」
次の瞬間。ロシナンテが拾おうと後ろ手に振った腕が、nameの胸をぐいと押したのだ。
「──わっ、ちょっ……おわあああああっっ!!」
バランスを崩したnameの身体が、廊下横に開いていた中庭の扉の隙間をすり抜け、放物線を描いて飛ぶ。その先には、煌々と夕陽を反射する──見事なほどに静かな庭のプール。
ばっしゃああああんっ!!!
水飛沫が高く上がり、空気ごと弾けたような音がアジト内に響き渡る。
「──って、だからさあああああ!!!」
水面に頭だけを出して叫ぶnameの声。それに反応するように、アジト内の窓ががたがたと開いた。
「……今の音、なんだ?」
「誰か落ちたか」
「またコラソンか?」
窓から顔を出したのは、グラディウス、ディアマンテ、ピーカといった面々。皆、面倒ごとの気配に眉を寄せていたが、プールで水を滴らせているnameの姿を見て納得する。
「……あー……またか」
「ご愁傷さまだな」
日常茶飯事。特段気にすることはない。ばたん、と窓が閉まる。
nameはずぶ濡れのまま水から這い上がり、髪をかき上げながらロシナンテを睨みつけた。とはいえ、その目には怒気というよりは、呆れに近い諦めが滲んでいる。
「ロシー……お願いだから、自覚して……ロシーはでかいし、俺のこの身体は意外と軽いんだから……!」
対するロシナンテは悪びれる様子もなく、ぽりぽりと頬をかくとメモにさらさらと一筆。
【落ちる位置に立ってたお前が悪い】
「わぁお、加害者の思考だぁ……!っていうか、まじでちょっとは心配しよ!?ロシーのそのドジで、俺これまで何回命かけてると……っ」
水に濡れたシャツが肌に貼りつき、ふにゃりとした布越しに体温が奪われていく。nameはぶるっと震えると、肩をすぼめながらそれでもなお軽口を叩くのをやめない。
「……でもまあ……あれだな。ロシーが今夜俺のことお風呂入れてくれるなら許す」
メモをぱたりと閉じ、ロシナンテはゆっくり踵を返して中に入ろうとする。その背に向かって、nameは水音を撒き散らしながら叫ぶ。
「待てコラ!おいてくなー!!」
夕暮れの空は、二人の騒ぎを薄く照らしながら、じわじわと夜へと沈んでいった。
アジトの奥、重厚な扉を押し開けると、まだ西日の名残を含んだ光が広間を斜めに照らしていた。その中心に腰掛けていたのは、言わずと知れたドフラミンゴ。指先でグラスを弄び、黄金の光を背に受けながら、まるで空気そのものを自分のものにしているかのような存在感。
そこに入ってきた二人の姿を見て――ドフラミンゴの口角はゆるりと持ち上がる。
「……フッフッフッ。おいおい、なんだそりゃあ?」
声には驚きではなく、完全に愉快そうな響きがあった。ずぶ濡れのシャツが肌にぴったりと張り付き、滴る水が床に点々と濡れ跡を作っていく。髪からも雫が垂れて頬を伝い、首筋を滑って鎖骨へ。そのだらしない姿で部屋に現れたnameは、まるで溺れかけた子犬のようだった。
「……ドフィ、わざと笑ってるでしょ」
ぷくりと頬を膨らませるようにしてnameは軽口を放つ。だが、腰に手を当てて睨んでいるように見せかけても、濡れたシャツ越しに浮き出た肌と、ゆるく揺れる雫がその表情を滑稽にも艶めかしくも見せていた。
ロシナンテは隣で静かにメモを開く。すらすらと綴られる筆跡は、落ち着き払っていた。
【道中は問題なし。帰還報告。……ただ、渡り廊下でちょっとした事故があって】
「ちょっとした事故、だぁ?」
ドフラミンゴが顎を持ち上げ、金色のサングラス越しに二人を見据える。喉の奥で笑いを殺した声は、低く湿っていた。
「どうせコラソンのドジだろ。……で、name。お前はその“ちょっとした事故”で、池の鯉にでもなる気だったのか?」
「……プールね。しかも池の鯉ってひどくない?俺、もうちょっと可愛いでしょ」
しれっと返すnameに、ドフラミンゴは堪えきれず「フッフッフッ」と喉を鳴らした。あからさまに心配している様子はなく、ただその姿を「娯楽」として見ている。
「まったく……お前ってやつは、毎度毎度俺の前に面白ぇ姿で来るよな」
「お風呂入れてくれたら許すってロシーに言ったのに、おいてかれそうになったんだからなぁ。俺、ほんと不憫じゃない?」
「不憫、ねェ……フッフッフッ。自分で言うか、それ」
愉快げに肩を揺らすドフラミンゴ。その横顔に、西日の残光が赤く差し込み、笑みに影を落とす。ロシナンテは一歩前に出て、メモにさらりと一筆。
【責任は俺にある。報告は以上】
淡々とした筆跡に、nameは「それじゃあ俺も悪いみたいに見えるんじゃん!」とぶつぶつ抗議するが、ドフラミンゴはそれすら嗤い飛ばす。
「いいんだよ。……むしろ、その姿で戻ってきた方が、退屈しのぎには最高だ」
サングラスの奥の目が細められ、含みを帯びた声が広間に落ちる。その空気はどこか、愉悦と嗜虐を孕んでいて――nameは濡れたままの身体で、ただぞわりと背を震わせた。濡れた雫が床に広がっていく。その音さえも愉快げに、ドフラミンゴは笑う。
白いもふもふのコートは、nameの象徴のようなものだった。nameが返り血も許さずに大事に大事にしているコート。だが今、そのふわふわの毛並みはぐっしょりと水を吸い、重みを帯びて肩にずしりとのしかかっている。濡れたコートの裾が歩くたびにぴしゃりと音を立て、まるで拗ねたように身体にまとわりついている。
「……ハァ、最悪……これ、乾かすの大変なんだから……」
ぼやきながらドフラミンゴの前に立つname。シャツはというと、張り付いた布地が肌の色を透かし、濡れた髪が頬に貼り付き、無防備に色気を漂わせていた。
ドフラミンゴは片手でグラスを持ったまま、もう片方の手を伸ばすと、無遠慮にその胸元へと指先を滑らせる。濡れたシャツ越しに指が這う。
「んっ……!」
反射的に跳ねた肩。思わず上がった声は、柔らかく、高かった。びっくりした表情のまま、nameは咄嗟に口元を手で押さえる。
「……い、いまのナシ……!」
頬が赤くなるのが自分でもわかる。けれどそれを隠す術はなく、ただむぐぐと唇を噛んだまま目を泳がせるしかなかった。
「フッフッフッ……ナシ?そりゃ無理だなァ、name。いい声だせるじゃねぇか」
ドフラミンゴの声はとことん愉快そうだった。指先はなおもシャツの上をなぞり、その薄布越しに乳首の位置を確かめるように、軽く弾く。
「ん、あ、ちょっ……やめ、ドフィ、そういうの今は……!」
もつれた息が漏れる。だが、その抗議すら甘さを含んでいた。濡れた布地は布としての役目を失い、すでに感覚は直に近い。ぴたりと吸い付くような布越しに伝わる熱に、nameの身体は確かに反応していた。
ロシナンテはというと、その様子を脇で見ていたが、やれやれといった表情で首を振ると、しずかに近づいてドフラミンゴの肩に手を置く。
「…………」
無言の制止。それは、“行き過ぎるな”という、彼なりの警告でもあった。責任の所在は自分にある以上、ここで悪ノリがすぎて事態が悪化すれば、ただでは済まない。
ドフラミンゴはちらりとロシナンテの方を見たが、肩をすくめて手を引いた。
「……チッ、せっかく楽しんでたのによォ。つれねェな、ロシー」
「……っはぁ……まったく……もう」
ようやく指の感触から逃れたnameは、全身びしょ濡れのまま膝に手をついて息を吐いた。濡れたコートがひときわ冷たく背を伝い、羞恥とともにぞくりと震えが走る。
だが――
(……わかってた。わかってたよ、こうなるの)
nameは肩をすくめると、濡れた髪を払いながらちらりとロシナンテを見上げた。ロシーの困ったような視線。けれど、その奥にある“ごめんな”の気配も、もう何度も見てきたものだった。
「……俺、そろそろ替えのシャツ持ち歩いた方がいいかなぁ」
ぼやき混じりにそう呟いて、nameはまた濡れた足音を引きずりながら、ドフラミンゴの前に立ち直る。
「で、ドフィ。まだ報告、いる?」
「フッフッ……いらねェよ。お前がずぶ濡れで帰ってきたってだけで、十分な土産になった」
そう言って、ドフラミンゴはまたグラスを揺らす。その琥珀色の液体が光を弾き、笑い声とともに広間に溶けていった。nameはその姿を見上げながら、深いため息をひとつ、ついた。
「……あー、やっぱアジト帰ってくると安心するねぇ、ロシー」
長く外を回ってきた帰り道。外套の裾を指で摘まんでぶんぶん振りながら、nameは至極ご機嫌そうに伸びをする。手にはまだ、昼間買ってもらった飴玉の残りが数粒入った袋がぶら下がっている。
ロシナンテは無言のまま、歩幅を合わせて隣をついてくる。その手にはメモ。開かれたページにはきっちりした字で──
【今日のところは上出来】
「へへ。そう?褒められた~」
得意げに笑っていた、その直後だった。
アジト内の渡り廊下を歩いていたとき、ふいにロシナンテが懐から何かを落としたのを見て、nameが足を止める。
「ロシー、それ──」
次の瞬間。ロシナンテが拾おうと後ろ手に振った腕が、nameの胸をぐいと押したのだ。
「──わっ、ちょっ……おわあああああっっ!!」
バランスを崩したnameの身体が、廊下横に開いていた中庭の扉の隙間をすり抜け、放物線を描いて飛ぶ。その先には、煌々と夕陽を反射する──見事なほどに静かな庭のプール。
ばっしゃああああんっ!!!
水飛沫が高く上がり、空気ごと弾けたような音がアジト内に響き渡る。
「──って、だからさあああああ!!!」
水面に頭だけを出して叫ぶnameの声。それに反応するように、アジト内の窓ががたがたと開いた。
「……今の音、なんだ?」
「誰か落ちたか」
「またコラソンか?」
窓から顔を出したのは、グラディウス、ディアマンテ、ピーカといった面々。皆、面倒ごとの気配に眉を寄せていたが、プールで水を滴らせているnameの姿を見て納得する。
「……あー……またか」
「ご愁傷さまだな」
日常茶飯事。特段気にすることはない。ばたん、と窓が閉まる。
nameはずぶ濡れのまま水から這い上がり、髪をかき上げながらロシナンテを睨みつけた。とはいえ、その目には怒気というよりは、呆れに近い諦めが滲んでいる。
「ロシー……お願いだから、自覚して……ロシーはでかいし、俺のこの身体は意外と軽いんだから……!」
対するロシナンテは悪びれる様子もなく、ぽりぽりと頬をかくとメモにさらさらと一筆。
【落ちる位置に立ってたお前が悪い】
「わぁお、加害者の思考だぁ……!っていうか、まじでちょっとは心配しよ!?ロシーのそのドジで、俺これまで何回命かけてると……っ」
水に濡れたシャツが肌に貼りつき、ふにゃりとした布越しに体温が奪われていく。nameはぶるっと震えると、肩をすぼめながらそれでもなお軽口を叩くのをやめない。
「……でもまあ……あれだな。ロシーが今夜俺のことお風呂入れてくれるなら許す」
メモをぱたりと閉じ、ロシナンテはゆっくり踵を返して中に入ろうとする。その背に向かって、nameは水音を撒き散らしながら叫ぶ。
「待てコラ!おいてくなー!!」
夕暮れの空は、二人の騒ぎを薄く照らしながら、じわじわと夜へと沈んでいった。
アジトの奥、重厚な扉を押し開けると、まだ西日の名残を含んだ光が広間を斜めに照らしていた。その中心に腰掛けていたのは、言わずと知れたドフラミンゴ。指先でグラスを弄び、黄金の光を背に受けながら、まるで空気そのものを自分のものにしているかのような存在感。
そこに入ってきた二人の姿を見て――ドフラミンゴの口角はゆるりと持ち上がる。
「……フッフッフッ。おいおい、なんだそりゃあ?」
声には驚きではなく、完全に愉快そうな響きがあった。ずぶ濡れのシャツが肌にぴったりと張り付き、滴る水が床に点々と濡れ跡を作っていく。髪からも雫が垂れて頬を伝い、首筋を滑って鎖骨へ。そのだらしない姿で部屋に現れたnameは、まるで溺れかけた子犬のようだった。
「……ドフィ、わざと笑ってるでしょ」
ぷくりと頬を膨らませるようにしてnameは軽口を放つ。だが、腰に手を当てて睨んでいるように見せかけても、濡れたシャツ越しに浮き出た肌と、ゆるく揺れる雫がその表情を滑稽にも艶めかしくも見せていた。
ロシナンテは隣で静かにメモを開く。すらすらと綴られる筆跡は、落ち着き払っていた。
【道中は問題なし。帰還報告。……ただ、渡り廊下でちょっとした事故があって】
「ちょっとした事故、だぁ?」
ドフラミンゴが顎を持ち上げ、金色のサングラス越しに二人を見据える。喉の奥で笑いを殺した声は、低く湿っていた。
「どうせコラソンのドジだろ。……で、name。お前はその“ちょっとした事故”で、池の鯉にでもなる気だったのか?」
「……プールね。しかも池の鯉ってひどくない?俺、もうちょっと可愛いでしょ」
しれっと返すnameに、ドフラミンゴは堪えきれず「フッフッフッ」と喉を鳴らした。あからさまに心配している様子はなく、ただその姿を「娯楽」として見ている。
「まったく……お前ってやつは、毎度毎度俺の前に面白ぇ姿で来るよな」
「お風呂入れてくれたら許すってロシーに言ったのに、おいてかれそうになったんだからなぁ。俺、ほんと不憫じゃない?」
「不憫、ねェ……フッフッフッ。自分で言うか、それ」
愉快げに肩を揺らすドフラミンゴ。その横顔に、西日の残光が赤く差し込み、笑みに影を落とす。ロシナンテは一歩前に出て、メモにさらりと一筆。
【責任は俺にある。報告は以上】
淡々とした筆跡に、nameは「それじゃあ俺も悪いみたいに見えるんじゃん!」とぶつぶつ抗議するが、ドフラミンゴはそれすら嗤い飛ばす。
「いいんだよ。……むしろ、その姿で戻ってきた方が、退屈しのぎには最高だ」
サングラスの奥の目が細められ、含みを帯びた声が広間に落ちる。その空気はどこか、愉悦と嗜虐を孕んでいて――nameは濡れたままの身体で、ただぞわりと背を震わせた。濡れた雫が床に広がっていく。その音さえも愉快げに、ドフラミンゴは笑う。
白いもふもふのコートは、nameの象徴のようなものだった。nameが返り血も許さずに大事に大事にしているコート。だが今、そのふわふわの毛並みはぐっしょりと水を吸い、重みを帯びて肩にずしりとのしかかっている。濡れたコートの裾が歩くたびにぴしゃりと音を立て、まるで拗ねたように身体にまとわりついている。
「……ハァ、最悪……これ、乾かすの大変なんだから……」
ぼやきながらドフラミンゴの前に立つname。シャツはというと、張り付いた布地が肌の色を透かし、濡れた髪が頬に貼り付き、無防備に色気を漂わせていた。
ドフラミンゴは片手でグラスを持ったまま、もう片方の手を伸ばすと、無遠慮にその胸元へと指先を滑らせる。濡れたシャツ越しに指が這う。
「んっ……!」
反射的に跳ねた肩。思わず上がった声は、柔らかく、高かった。びっくりした表情のまま、nameは咄嗟に口元を手で押さえる。
「……い、いまのナシ……!」
頬が赤くなるのが自分でもわかる。けれどそれを隠す術はなく、ただむぐぐと唇を噛んだまま目を泳がせるしかなかった。
「フッフッフッ……ナシ?そりゃ無理だなァ、name。いい声だせるじゃねぇか」
ドフラミンゴの声はとことん愉快そうだった。指先はなおもシャツの上をなぞり、その薄布越しに乳首の位置を確かめるように、軽く弾く。
「ん、あ、ちょっ……やめ、ドフィ、そういうの今は……!」
もつれた息が漏れる。だが、その抗議すら甘さを含んでいた。濡れた布地は布としての役目を失い、すでに感覚は直に近い。ぴたりと吸い付くような布越しに伝わる熱に、nameの身体は確かに反応していた。
ロシナンテはというと、その様子を脇で見ていたが、やれやれといった表情で首を振ると、しずかに近づいてドフラミンゴの肩に手を置く。
「…………」
無言の制止。それは、“行き過ぎるな”という、彼なりの警告でもあった。責任の所在は自分にある以上、ここで悪ノリがすぎて事態が悪化すれば、ただでは済まない。
ドフラミンゴはちらりとロシナンテの方を見たが、肩をすくめて手を引いた。
「……チッ、せっかく楽しんでたのによォ。つれねェな、ロシー」
「……っはぁ……まったく……もう」
ようやく指の感触から逃れたnameは、全身びしょ濡れのまま膝に手をついて息を吐いた。濡れたコートがひときわ冷たく背を伝い、羞恥とともにぞくりと震えが走る。
だが――
(……わかってた。わかってたよ、こうなるの)
nameは肩をすくめると、濡れた髪を払いながらちらりとロシナンテを見上げた。ロシーの困ったような視線。けれど、その奥にある“ごめんな”の気配も、もう何度も見てきたものだった。
「……俺、そろそろ替えのシャツ持ち歩いた方がいいかなぁ」
ぼやき混じりにそう呟いて、nameはまた濡れた足音を引きずりながら、ドフラミンゴの前に立ち直る。
「で、ドフィ。まだ報告、いる?」
「フッフッ……いらねェよ。お前がずぶ濡れで帰ってきたってだけで、十分な土産になった」
そう言って、ドフラミンゴはまたグラスを揺らす。その琥珀色の液体が光を弾き、笑い声とともに広間に溶けていった。nameはその姿を見上げながら、深いため息をひとつ、ついた。