15 y ago
name
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アジトの一室。厚めのカーテンが光を遮り、薄暗い天井灯が空間をぼんやりと照らしていた。談話室と呼ぶには乱雑だが、床に転がるクッションと無造作に積まれた新聞や酒瓶が、この場所が誰かの居場所であることを物語っていた。
その一角、ソファの縁に腰掛けたnameは足を投げ出し、煙草を咥えたまま天井を見上げていた。灰皿にはすでに一本分の吸い殻が押しつぶされ、今また新たな煙が細く上がっていく。
「……アイスも悪くなかったけどさー、やっぱこっちのが落ち着くっていうか、染みるよねえ」
そう言ってから煙をゆるく吐き出す。唇の隙間から漏れたそれは、まるで微睡むように空気を彷徨い、やがて部屋の陰に溶けた。反対側の長椅子にはロシナンテ。無言のまま火を点けた煙草に吸い口を添え、ゆっくりと煙を吸い込む。その視線がnameに向けられたとき、口元がわずかに歪んだ。
【子供のくせに】
nameの手元に滑らされた紙片にそう書かれていた。手馴れたやりとり。だがそれが、却って火に油を注ぐ。
「……あ?…あのさ、ロシー?それ前から思ってたけど、いったいぜんたい、俺のどこが子供なのさ」
わざとらしくムスッとした顔で、nameは足を組み替える。ふてくされた仕草の中に、ちらりと挑発の色が混じるのは、彼らしい癖だった。
「昼間だってさ。ロシー、また俺のこと子供っぽいって思ったでしょ。わかるよあの顔。たまにしてるもん。……ああいうさあ、にやけ顔。全く失礼しちゃうよね」
からかうような声色と、けれどどこか挑発的な目線。nameは煙草を片手に、ロシナンテを睨むでもなく眺めていた。
「……俺、可愛いって思われたいわけじゃないし。見てわかるでしょ、俺のこと。もうとっくに、ロシーの前で子供じゃないのにさ」
火のついた煙草をゆるく振りながら、最後の言葉だけが、やや掠れた。ロシナンテはメモに何かを書きかけたが、すぐに閉じた。
代わりに立ち上がると、静かに歩み寄り、nameの傍らの床に腰を下ろした。その距離、指一本触れれば熱が伝わるほど。ふいに、nameの口元から煙草を抜き取る。唇がわずかに開きかけたが、次の瞬間――ロシナンテはその煙草を自分の唇にくわえ、ひと吸い、深く吸い込んだ。
そして、それを再びnameの口へ戻す。
「……」
短い一連の動作。その中に、言葉はなかったが、全てが込められていた。指先に残った熱。唇に残る感触。目に見えない領域で、何かがじわりと滲む。
nameは口を閉じ、吐息とともに煙を流した。言葉にするには不恰好すぎて、黙ったまま。やがて、ロシナンテはようやくメモをめくる。
そこに書かれていたのは、ただひとこと。
【ガキに、こんなキス、しない】
読んだ瞬間、nameの顔がかすかに赤くなる。しかし誤魔化すようにくすりと笑い、煙草を咥えたまま、ぐっと肩をすくめた。
「……やだ、ロシー。そういうの…」
ふたりの間を、静かな煙がまた揺れる。昼間の陽射しとは別の、夜の陰りを孕んだ煙が、微かな熱とともに頬を撫でていった。
「……ったくもう、ほんとロシー、ずるい……」
掠れた声で呟きながら、nameは煙草の先端を灰皿に軽く叩く。燃えた先が小さく崩れ、灰がぱらりと落ちた。顔の火照りを誤魔化すように、わざと肩をすくめ、ロシナンテの脇腹を軽く肘で突く。
「子供とか、子供じゃないとか……そういうとこ、ほんともう、どっちさ?からかうならからかうで、はっきりしてよ……」
軽く笑い混じりに言ったものの、声の奥に残る微かな拗ねの色は隠しきれなかった。大人ぶって挑発したつもりが、不意打ち一発で自分の方が揺さぶられている。この男の無言の優しさと朧気な熱に、nameはいつだって不意を突かれる。
ロシナンテはといえば、またも無言のまま微かに目を細めただけで、紙にも何も書かず、ただ煙草を静かに吸い続けている。それがなおさら腹立たしくて、nameはふいに立ち上がった。
「はーいはーい、ロシーは大人で俺は子供ってことでいいですよ。はーい、アイスで喜んだのが馬鹿みたいだわー……」
演技じみた拗ねを口にしながらソファの背もたれに肘をつき、ぷいと顔を逸らしたその時だった。
「……またやってんのか」
低く、だるそうな声。廊下の方から、グラディウスが水差すように現れる。アジトの薄暗い照明の中で、彼の眉間にはいつも通り皺が寄っていた。派手な衣装を身にまといながらも、その表情は常に苛立ちを孕んでいる。
「あー……そこ通るからのけ」
「おや、グラちゃん。お疲れさま~。丁度よかった、今ちょっと、俺のこと大人か子供か論争してたとこなんだよ。ねぇ、どっちに見える?」
nameはわざとらしく眉を上げ、身を乗り出して尋ねた。片手にはまだ火のついた煙草をぶら下げ、気怠げなポーズを崩さないまま。
だがグラディウスはというと、面倒事を避ける時特有の、眉だけで「近寄るな」と言わんばかりの顔をしつつ、壁際へと身を寄せた。
「どっちでもいい。勝手に子供でもジジイでも名乗ってろ。俺はお前に興味ない」
「えー、そりゃあんまりじゃない?俺さ、グラちゃんのこと結構好きなんだけどな。あ、もしかして照れてる?」
「……近寄るな、爆発させるぞ」
唇の端で笑いを噛み殺すname。冗談半分、煽り半分。
このアジトで、自分の調子を崩さずにいられる相手がいること、それ自体が、心のどこかでほっとする材料だった。
一方のロシナンテはというと、やりとりを黙って眺めたまま。その煙草もいつの間にか短くなり、火が消えかけていた。彼の表情には呆れと、微かな笑みが同居していて――nameはそれに気づくと、思わずまた頬を膨らませる。
「……ロシーまでそういう顔すんの、やめてってば……!」
再び座り込み、ロシナンテの腕に額を押しつける。子供のような、けれどそれを許される特権のような仕草。ロシナンテの胸元に漂う仄かなタバコと煙の匂いが、さっきまでのはしゃいだ自分をそっと包み込むようだった。
結局、自分が一番子供みたいだと、自覚してしまうのが一番悔しいのに。それを知っていて、微笑ましそうに眺めている男が目の前にいるのが、たまらなく憎らしかった。
でも、心地よかった。その矛盾のなかに、nameは身を沈めていった。
灯りを落とした部屋の中は、ほんのりと橙色の残光に包まれていた。窓のカーテンは半ば開いたままで、遠くの灯りがぼんやりと滲んでいる。ベッドに沈み込むふたりの体温が、掛け布の内側で絡まり、くぐもった熱を生んでいた。
「……ロシー、さっきの続きなんだけどさ」
シーツの皺に頬を押し当てたまま、nameがくすりと笑う。髪の隙間から見上げるその目は、どこか悪戯を企む猫のようで、長い睫毛の奥に、眠気と欲のどちらともつかぬ熱が漂っていた。
「子供じゃ、できないこと……してみよっか?」
唇の端でふっと言葉を転がしながら、ゆっくりとロシナンテの胸に手を這わせた。指先が肌の起伏を確かめるように撫でる。意図的な緩慢さ。そこにあるのは挑発と、意識的な甘え。
ロシナンテは、短く吐息を洩らした。
「お前な……さっきまでアイスに喜んでた奴が、何言ってんだよ」
そう口では言うものの、その声音は厳しくも咎めるでもなく、むしろどこか愉しげに滲んでいた。言葉の端に引っかかるような笑みと、微かな好意。nameのその軽薄さも、計算も、全部わかった上で付き合ってやっている――そんな余裕が、その声にはあった。
「だって……」
nameはぐっと近づき、ロシナンテの顎を指先で軽く撫でる。
「ロシーが、そういう顔するからさ」
喉の奥で囁くような声。触れてもいないのに、空気ごと抱き寄せられるような距離。ロシナンテの視線が、すっとnameの目を捉える。夜に溶けるような瞳の奥、微かに光るものに気づいて、ロシナンテは少しだけ顔を傾けた。
「……お前はほんと、どうしようもないな」
呆れたように呟いたその直後、彼の手がnameの腰を引き寄せる。掌の大きさが、そのまま支配の証のようで。ぐっと強くはないが、拒ませない力加減。押し寄せる体温と、ぴたりと重なる吐息。nameの身体が自然としなるように、ロシナンテの上へと這い寄っていく。
「それって、やるってこと?」
「ああ……子供じゃないんだろ?」
そう囁いたロシナンテの唇が、nameの喉元に触れた。柔らかく、確かめるように。けれどそのままでは終わらず、やがて吸い上げるような熱を孕みはじめる。
nameの背筋がびくりと震え、喉の奥から掠れた吐息が洩れる。快楽を知る身体が、すぐに思い出す。どこをどう触れられれば、どんなふうに崩れていくのかを。
ロシナンテの指先がシャツの裾をなぞり、肌と布地の境界を探る。その仕草に、くすぐったさと微かな緊張を帯びながらも、nameは目を細め、笑う。
「……ねぇ、ロシー」
「ん?」
「ほんとはさ、俺のこと……全然、子供扱いしてないでしょ?」
「さあな」
ロシナンテはそう言って、口の端だけで笑った。返事の代わりに、シャツを脱がせる指が、ゆっくりと背筋をなぞり上がる。その一つ一つが、大人の余裕と包容力、そして狡さを含んでいて。nameの皮膚の奥を、ゆっくりと蕩けさせていく。
今夜、誰が子供で、誰が大人か。そんな線引きは、もう意味を持たない。
ただ、重なる熱と、沈み込む吐息の深さだけが、この夜を染めていった。
その一角、ソファの縁に腰掛けたnameは足を投げ出し、煙草を咥えたまま天井を見上げていた。灰皿にはすでに一本分の吸い殻が押しつぶされ、今また新たな煙が細く上がっていく。
「……アイスも悪くなかったけどさー、やっぱこっちのが落ち着くっていうか、染みるよねえ」
そう言ってから煙をゆるく吐き出す。唇の隙間から漏れたそれは、まるで微睡むように空気を彷徨い、やがて部屋の陰に溶けた。反対側の長椅子にはロシナンテ。無言のまま火を点けた煙草に吸い口を添え、ゆっくりと煙を吸い込む。その視線がnameに向けられたとき、口元がわずかに歪んだ。
【子供のくせに】
nameの手元に滑らされた紙片にそう書かれていた。手馴れたやりとり。だがそれが、却って火に油を注ぐ。
「……あ?…あのさ、ロシー?それ前から思ってたけど、いったいぜんたい、俺のどこが子供なのさ」
わざとらしくムスッとした顔で、nameは足を組み替える。ふてくされた仕草の中に、ちらりと挑発の色が混じるのは、彼らしい癖だった。
「昼間だってさ。ロシー、また俺のこと子供っぽいって思ったでしょ。わかるよあの顔。たまにしてるもん。……ああいうさあ、にやけ顔。全く失礼しちゃうよね」
からかうような声色と、けれどどこか挑発的な目線。nameは煙草を片手に、ロシナンテを睨むでもなく眺めていた。
「……俺、可愛いって思われたいわけじゃないし。見てわかるでしょ、俺のこと。もうとっくに、ロシーの前で子供じゃないのにさ」
火のついた煙草をゆるく振りながら、最後の言葉だけが、やや掠れた。ロシナンテはメモに何かを書きかけたが、すぐに閉じた。
代わりに立ち上がると、静かに歩み寄り、nameの傍らの床に腰を下ろした。その距離、指一本触れれば熱が伝わるほど。ふいに、nameの口元から煙草を抜き取る。唇がわずかに開きかけたが、次の瞬間――ロシナンテはその煙草を自分の唇にくわえ、ひと吸い、深く吸い込んだ。
そして、それを再びnameの口へ戻す。
「……」
短い一連の動作。その中に、言葉はなかったが、全てが込められていた。指先に残った熱。唇に残る感触。目に見えない領域で、何かがじわりと滲む。
nameは口を閉じ、吐息とともに煙を流した。言葉にするには不恰好すぎて、黙ったまま。やがて、ロシナンテはようやくメモをめくる。
そこに書かれていたのは、ただひとこと。
【ガキに、こんなキス、しない】
読んだ瞬間、nameの顔がかすかに赤くなる。しかし誤魔化すようにくすりと笑い、煙草を咥えたまま、ぐっと肩をすくめた。
「……やだ、ロシー。そういうの…」
ふたりの間を、静かな煙がまた揺れる。昼間の陽射しとは別の、夜の陰りを孕んだ煙が、微かな熱とともに頬を撫でていった。
「……ったくもう、ほんとロシー、ずるい……」
掠れた声で呟きながら、nameは煙草の先端を灰皿に軽く叩く。燃えた先が小さく崩れ、灰がぱらりと落ちた。顔の火照りを誤魔化すように、わざと肩をすくめ、ロシナンテの脇腹を軽く肘で突く。
「子供とか、子供じゃないとか……そういうとこ、ほんともう、どっちさ?からかうならからかうで、はっきりしてよ……」
軽く笑い混じりに言ったものの、声の奥に残る微かな拗ねの色は隠しきれなかった。大人ぶって挑発したつもりが、不意打ち一発で自分の方が揺さぶられている。この男の無言の優しさと朧気な熱に、nameはいつだって不意を突かれる。
ロシナンテはといえば、またも無言のまま微かに目を細めただけで、紙にも何も書かず、ただ煙草を静かに吸い続けている。それがなおさら腹立たしくて、nameはふいに立ち上がった。
「はーいはーい、ロシーは大人で俺は子供ってことでいいですよ。はーい、アイスで喜んだのが馬鹿みたいだわー……」
演技じみた拗ねを口にしながらソファの背もたれに肘をつき、ぷいと顔を逸らしたその時だった。
「……またやってんのか」
低く、だるそうな声。廊下の方から、グラディウスが水差すように現れる。アジトの薄暗い照明の中で、彼の眉間にはいつも通り皺が寄っていた。派手な衣装を身にまといながらも、その表情は常に苛立ちを孕んでいる。
「あー……そこ通るからのけ」
「おや、グラちゃん。お疲れさま~。丁度よかった、今ちょっと、俺のこと大人か子供か論争してたとこなんだよ。ねぇ、どっちに見える?」
nameはわざとらしく眉を上げ、身を乗り出して尋ねた。片手にはまだ火のついた煙草をぶら下げ、気怠げなポーズを崩さないまま。
だがグラディウスはというと、面倒事を避ける時特有の、眉だけで「近寄るな」と言わんばかりの顔をしつつ、壁際へと身を寄せた。
「どっちでもいい。勝手に子供でもジジイでも名乗ってろ。俺はお前に興味ない」
「えー、そりゃあんまりじゃない?俺さ、グラちゃんのこと結構好きなんだけどな。あ、もしかして照れてる?」
「……近寄るな、爆発させるぞ」
唇の端で笑いを噛み殺すname。冗談半分、煽り半分。
このアジトで、自分の調子を崩さずにいられる相手がいること、それ自体が、心のどこかでほっとする材料だった。
一方のロシナンテはというと、やりとりを黙って眺めたまま。その煙草もいつの間にか短くなり、火が消えかけていた。彼の表情には呆れと、微かな笑みが同居していて――nameはそれに気づくと、思わずまた頬を膨らませる。
「……ロシーまでそういう顔すんの、やめてってば……!」
再び座り込み、ロシナンテの腕に額を押しつける。子供のような、けれどそれを許される特権のような仕草。ロシナンテの胸元に漂う仄かなタバコと煙の匂いが、さっきまでのはしゃいだ自分をそっと包み込むようだった。
結局、自分が一番子供みたいだと、自覚してしまうのが一番悔しいのに。それを知っていて、微笑ましそうに眺めている男が目の前にいるのが、たまらなく憎らしかった。
でも、心地よかった。その矛盾のなかに、nameは身を沈めていった。
灯りを落とした部屋の中は、ほんのりと橙色の残光に包まれていた。窓のカーテンは半ば開いたままで、遠くの灯りがぼんやりと滲んでいる。ベッドに沈み込むふたりの体温が、掛け布の内側で絡まり、くぐもった熱を生んでいた。
「……ロシー、さっきの続きなんだけどさ」
シーツの皺に頬を押し当てたまま、nameがくすりと笑う。髪の隙間から見上げるその目は、どこか悪戯を企む猫のようで、長い睫毛の奥に、眠気と欲のどちらともつかぬ熱が漂っていた。
「子供じゃ、できないこと……してみよっか?」
唇の端でふっと言葉を転がしながら、ゆっくりとロシナンテの胸に手を這わせた。指先が肌の起伏を確かめるように撫でる。意図的な緩慢さ。そこにあるのは挑発と、意識的な甘え。
ロシナンテは、短く吐息を洩らした。
「お前な……さっきまでアイスに喜んでた奴が、何言ってんだよ」
そう口では言うものの、その声音は厳しくも咎めるでもなく、むしろどこか愉しげに滲んでいた。言葉の端に引っかかるような笑みと、微かな好意。nameのその軽薄さも、計算も、全部わかった上で付き合ってやっている――そんな余裕が、その声にはあった。
「だって……」
nameはぐっと近づき、ロシナンテの顎を指先で軽く撫でる。
「ロシーが、そういう顔するからさ」
喉の奥で囁くような声。触れてもいないのに、空気ごと抱き寄せられるような距離。ロシナンテの視線が、すっとnameの目を捉える。夜に溶けるような瞳の奥、微かに光るものに気づいて、ロシナンテは少しだけ顔を傾けた。
「……お前はほんと、どうしようもないな」
呆れたように呟いたその直後、彼の手がnameの腰を引き寄せる。掌の大きさが、そのまま支配の証のようで。ぐっと強くはないが、拒ませない力加減。押し寄せる体温と、ぴたりと重なる吐息。nameの身体が自然としなるように、ロシナンテの上へと這い寄っていく。
「それって、やるってこと?」
「ああ……子供じゃないんだろ?」
そう囁いたロシナンテの唇が、nameの喉元に触れた。柔らかく、確かめるように。けれどそのままでは終わらず、やがて吸い上げるような熱を孕みはじめる。
nameの背筋がびくりと震え、喉の奥から掠れた吐息が洩れる。快楽を知る身体が、すぐに思い出す。どこをどう触れられれば、どんなふうに崩れていくのかを。
ロシナンテの指先がシャツの裾をなぞり、肌と布地の境界を探る。その仕草に、くすぐったさと微かな緊張を帯びながらも、nameは目を細め、笑う。
「……ねぇ、ロシー」
「ん?」
「ほんとはさ、俺のこと……全然、子供扱いしてないでしょ?」
「さあな」
ロシナンテはそう言って、口の端だけで笑った。返事の代わりに、シャツを脱がせる指が、ゆっくりと背筋をなぞり上がる。その一つ一つが、大人の余裕と包容力、そして狡さを含んでいて。nameの皮膚の奥を、ゆっくりと蕩けさせていく。
今夜、誰が子供で、誰が大人か。そんな線引きは、もう意味を持たない。
ただ、重なる熱と、沈み込む吐息の深さだけが、この夜を染めていった。