箱の中身
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※これは長編、1から始まるお付き合い「彼のお家」、その後の別ストーリーです。
もし展開がこうなっていたら……というif ストーリーなので、本編とは全く関係ないです。
ーー
そう思いながらも、私は好奇心を抑えることが出来ず、床に手をついて、ベッドの下を覗こうとした。
ベッドの下は塵1つないほど綺麗に片付けられている。一見、何もないと見落としてしまう。しかし、隅に追いやられている厚みのある黒い箱の存在が気になった。
(無造作に隠されてるわけではなく、意図的に隠してる感じ……)
こんなに掃除が行き届いたベッドの下だ。
片付けている際、あの箱の存在に気づかないはずがない。
(なんだろ)
ほんの一瞬だけ、開けてみよう。
私はこの行動を凄まじく後悔するのであった。
その四角い箱は、黒色のプラスチックの袋に覆われており、ガムテープで止められていた。
私はガムテープを剥がし、箱を取り出す。
取り出してみると、その箱は意外にも頑丈そうだった。
(零くんの宝物かな)
こんなに頑丈そうな箱に入ってるものなら、さぞかし大切なものなんだろう。私はそっと、箱の蓋を開けた。
中を開けてみると、ハガキサイズの紙が大量に入っていた。もしかしたら零くん、ポストカードを集めるのが好きなのかな?どんな柄を集めてるんだろう。気になって1枚目のポストカードをめくった。
「ーーえ」
それは、ポストカードではなく後ろ姿の私の写真だった。
私はゾッとして次の写真、そしてまた次の写真を次々にめくる。
全部、私だ。しかも、顔が全部カメラ目線じゃない。隠し撮りだ。
私は残りの写真が入っている箱を床に投げ、中身をぶちまけた。すると、床一面に写真がばら撒かれた。
全ての写真にはある1人の女の子が写っている。
全部、私。
学校帰りや、土日の休みに出かけてる時の写真。
私の横顔だったり、後ろ姿だったり、写真の種類は多岐に渡っている。
私は恐ろしくなって後退りをすると、何かにぶつかる。暖かい、人の温もりだ。
「見たね?」
後ろを振り向くと零くんがいた。
先ほどまで見せていた笑顔は1ミリも無く、ただ私をその大きな瞳で見つめていた。
「あ……」
怖くて声が出ない……膝が震えている。
「安心して、怖がることはないよ……」
零くんは私をそっと抱きしめる。
「これからは、2人の写真をもっと、もっと作っていこうね」
彼が私を力強く抱きしめる。まるで、私をずっと離さないかのように。
「見られちゃったならしょうがない……名前への想い、伝わったかな?俺、ずっとずっとずーと前から名前の事好きだよ。大好き。誰よりも、愛してるよ」
零くんが私の髪をそっと手で梳かす。
「俺の両親、実は今海外赴任中なんだ。だから、当分はずっと帰ってこないよ。」
私の耳元でガチャリと金属音が聞こえ、首に冷たい感触がした。首輪が付けられたんだ。
抱きしめていた零くんを引き剥がし、彼をみると私の首輪に繋がったチェーンを携えていた。
病んだ瞳で私を見下ろしながら彼がまた強く抱きしめる。
「ずっと離さないからね」
1/1ページ