1から始まるお付き合い
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(あ、ジュンコが言った通り、胸元が隠れてる)
フリルの水着に着替え、鏡の前でぐるりと一回転する。胸元がフリルで隠れてる為、先ほどの黒のビキニとは打って変わって谷間の強調が少ない。
「どう?」
唐突にカーテンが開き、ジュンコが入ってくる。
「ちょっと、また急だなあー」
「ふふ♡2人の中でしょ♡それに、着替え終わってるし♡ 似合ってるじゃない!」
「さっきより胸元が隠れてていいかも」
「そうよね♡ しかも白は膨張色だから、大きく見える効果もあるのよ」
「え!? じゃあこの水着にする!」
「分かったわ、でも黒もエロエロで良かったのにー……普段の名前ちゃんと違ったイメージに悩殺されちゃうわ……」
「いいの! これで!」
「どっちもあげるわよ♡ 好きな方を着なさい」
「えー!? ジュンコ太っ腹! ありがとう! 何かお礼するわ!」
私が微笑むとジュンコがグッと堪えるような表情をする。
「?」
「歯……。いや! なんでもないわ、お礼なんていいのよ!あ、日差しが強いかも知れないから、これも持って行きなさい」
ジュンコはラックにかかっていた薄手のパーカーを私に渡した。
「いいの!? 体も隠せるし、嬉しい!」
「馬鹿ね。このパーカーを脱いだ時に、名前ちゃんのボディにやられちゃうのよ。相手は!」
「そんな立派な体じゃないよお……」
「男子高校生だし、特に名前にメロメロ彼氏でしょ? 一瞬でやられるわよ。……ところで、写真ないのー?見せてよ」
零くんの家で撮ったツーショットの写真が携帯に入ってたけど、ジュンコに見せると色々ややこしくなりそう。私は言葉を遮るように急いで着替え場のカーテンを閉め、元の私服に着替える。着替え終わった自分の姿を見て気がついた。あ! 完全に水着しか考えてなかったけど、しまった! 私服も考えなきゃ!!
「ジュンコー! これダサいかな!?」
私は食い気味にジュンコの元に駆け寄る。
「ん、もちろんダサいわよ」
「ええええ」
そんな……!! 前々から思ってたなら教えてよ……!!
「うそよ、そんなにダサくないわよ。」
「本当に!?」
「うん。似合ってるわよ。それに、あんまり背伸びしない名前ちゃんの方が好きな気がするけど。だってその彼氏ってきっと、純粋な名前ちゃんの姿に惚れたんでしょ」
「そうなのかなあ……」
「まあ黒のビキニにはやられると思うけど。」
「またそれ?」
何度も言うジュンコに笑えてきて、思わず吹き出してしまう。
「あ、写真見せなさいよ。」
「今日はありがとうね! またね!」
「コラ! 逃げたな!」
水着をありがたく頂戴し、ジュンコの家から逃げ出した。ああ楽しみ、パーカーもあるから体のラインの心配もないなあ……!
ーー
プール当日になってしまった……
昨日は緊張で全然眠れなかった、顔がむくんでるかも。私はベッドから降りて、急いで鏡の前でマッサージをする。
(零くんの私服も見れちゃう訳だよね……)
どんな私服なんだろ、どんな服装でも着こなしそう……ダサくても可愛いし、オシャレな服装ならもちろんカッコイイ……
私の服は無難に、麦わら帽子と白のワンピースにしちゃった。ショートパンツ、ミニスカート……色々悩んだ末、白のワンピース。ジュンコが言った通りの『純粋さ』がある服装だと思ったからだ。これダサくないかな……不安だ
不安になりながらも、私は待ち合わせ場所に向かう。今日はいつもの三角公園じゃなくて、駅で待ち合わせした。かなり早めに家を出たから、零くんはまだいなかった。
(変じゃないかな……)
駅前にある、ガラス張りのカフェに反射する自分を見つめる。日焼け止めの塗り忘れないかな……前髪、変かな……
前髪を整えていたら、後ろから突然声をかけられた。
「名前」
振り返ると、居た。零君だ。
「え……!? いつから!?」
「名前が駅に着いてるのを遠くから見かけてて、声をかけようとしたら、色々整えてるみたいだなって」
それって最初から見てたってことだよね!?
会える緊張でオドオドとしてる様子をずっと見られてたなんて恥ずかしい……!!
「すごく可愛いね」
「あ、ありがとう……」
恥ずかしさで零君の顔が見られない……
「服もそうなんだけど……俺のために早めに駅に来て色々整えてるとか……あー、本当に可愛い……」
愛おしさでいっぱいなのか、零君が抱擁をしてきた、零君! ここ駅だよ!! あと私の心臓が爆発しそうです!!
「零君ー!! みんな見てるよ!!」
「あ、ごめん、たまらなくて……」
零君が私を離した。温もりが無くなってちょっと切ない。
「行こっか」
そう言って手を差し出してくる零君は王子様みたい。
「うん!」
私は軽快にその手を取り、改札へと向かった。