1から始まるお付き合い
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「プ、プール!?」
私の平穏な日常に、激震的な展開が起こった。
お泊りの日から、私と零くんはメールや電話で連絡を取り合っていた。
電話だと、お互い切るのが名残惜しくて、中々切れない。だから専ら、メールが多い。
いつものように、メールをしてきたら、彼からプールに行かないかと誘いがあった。
プール! その単語に私は動揺し、冒頭のように叫んだのだ。
もちろん、行きたい。でも、プールって、水着になるってことで、あられもない姿を見られちゃうってことで……!!
私、学校指定の水着しか持ってない……思いっきり名前が書いてある。こんなの、着れないよね。しかも、初めての学校外でのお出かけだから、私服も考えないと……!!
私は流行に疎い。こうなったら、あの人に連絡するしかない……。
そう思った私は、翌日会う約束をしたのであった。
ーー
お家から歩いてすぐの大きな豪邸の前で足を止める。これがあの人がいるお家だ。
3回ほどノックをすると、シマウマ頭の黒服がドアを開ける。最初はびっくりしたけど、今はもう慣れてしまった。
「お久しぶり〜」
「奥でお待ちだ。久々に名前に会える事もあり、テンションが上がってる。気をつけた方がいい。」
その後に黒服はとくには。と続けた。
なんだ、気をつけた方がいいって言ったのに、特にはないって事? そんな風に私は思ったけど、その意味が「特に、歯……」だったと知るのは遠い未来の話。
奥の部屋へ進み、重厚そうな扉の先に、居た。
「ハァーイ♡ ジュンコよ♡」
「ジュンコ、今日はありがとう〜!」
「ううん、来てくれて嬉しいわ……うーん、いつ見てもステキな名前ちゃんのZENBA……」
言いながら喉を鳴らし、ジュンコが私をじっと見つめる。ギラギラとした視線に、私は思わず後ずさりをする。
「ぜ、ぜんば? ジュンコ、会う度にその単語言うけど、何?」
「ZENBAはZENBAよ……!! 貴方のは特に……何も矯正せずに全て綺麗に生えてるなんて……!! 自然の産物……ああステキ……」
私の顔に、彼女の顔を思いっきり近づけてくる。獰猛な動物みたいに私のこと狙ってるみたいで、ちょっと怖い……
「綺麗に全部揃ってるし、ステキよ、ステキ……でも」
堪えたようにグッと両手で握りこぶしを作るジュンコ。相当葛藤してるみたい。
「〜っ、名前ちゃんは可愛い私のご近所さん……取るべき存在では、無いッ……」
突然顔を下に伏せたと思えば、急に満面の笑みで私を見つめる。
「ふー、葛藤終わり! ごめんね。取り乱して♡で、要件は?」
「ええとね、男の子とプールに行くことになって」
「ヤッダァー! 彼氏!? ちょっともー、名前ちゃん! なんで教えてくれないのよおー!!」
私の肩を何度もバンバンと叩くジュンコ。
その勢いに、私はよろめいてしまう。
「いたた……そう、最近出来たの。」
ちょっと言うのが恥ずかしくてジュンコから視線を外す。と思ったら、私が視線を外した先に即座にジュンコが回り込み、大きな瞳で私を見つめる。
「おめでとうー! で?プールだっけ? 彼をプールでエロエロに誘惑したいって話?」
「ち! が! う! よ!」
「それ以外何よ。」
「ただ、どんなのがいいかなって」
「誘惑したいってことよね?♡」
「もう! 相談相手間違えた!」
私はドアの方向へと足を進める。すると、焦ったように私の肩越しに声をかけてきた。
「ごめん冗談よ♡ あんまりにも名前ちゃんの反応が可愛くて。」
「もうー、弄ばないでよね」
「うふふ、ゴメン♡ ……でも、デートならワンピースタイプも可愛いけど、やっぱビキニよねー。」
「うう……やっぱり?」
「ビキニじゃ無い女の子を水辺で探す方が難しいんじゃ無いのー?」
ジュンコの方が女の子の流行に詳しいから、ここは彼女の意見に素直に認める。ビキニってセパレートタイプだから、お腹なんて見えてるし、それに、谷間とか……
「黒はどう?♡ セクシーだし、黒って体を引き締める効果もあるし♡」
水着! 持ってきて! ジュンコが大声でそう叫ぶと、シマウマ頭の黒服達が沢山の水着がかかったハンガーラック、そして、全身鏡を持ち出してきた。その中からジュンコが黒色の水着を持ち出し、私の体の前に当てる。
「いやん♡ 似合うじゃ無い♡ 彼もイチコロよ♡」
「うーん、そうかなあ……」
胸とかお尻とかメリハリのあるボディならセクシーなんだろうけど、私の平らな体に果たして合うのか……
「別のはどんなのがあるか見ていい?」
「もちろん! これとかもおススメ」
そう言ってジュンコが手に取ったのは、胸元は白いフリルで覆われており、ボトムは煌びやかな花柄のビキニ。
「キュートな感じよね、胸元もフリルで覆われてるから、胸のサイズ感を隠せるのがいいのよ♡」
「うん、可愛いね……さっきから見てる服、サイズ感がどうもジュンコに合わないよね……?」
ジュンコの体には全部の水着が小さすぎる。
着たら破けちゃうんじゃ無いかな……?
「痩せたら着ようと思ってたの! 多分、名前ちゃんにピッタリのサイズだから、好きなのあればあげるわよ。」
「わあ、太っ腹〜」
「とにかく、その2点が私のおすすめだから試着してみてよ♡」
「うん、着替えるからお手洗い行ってきてもいい?」
「なによう、私と貴方の仲じゃない♡ ここで着替えちゃいなさいよ」
「ええええ、それはちょっと」
そんな様子を見かねて、黒服がカーテンで仕切られた簡易性の着替え場を持ってきてくれた。
私は中で急いで着替える。試着するのは、勧めてくれた黒色のビキニ。
「どう?」
ジュンコが間髪入れずに突然カーテンを開く。
着替え終わってたから良かったけど、突然すぎる!
「ちょっと! 一声かけてよお」
「着替え終わってるって確信あったのよ、私は♡ いい感じじゃない?」
「うーん、胸元がなあ……」
そう言いながら私は胸元を両腕で隠す。確かに黒は体を引き締めて見せてくれるけど、胸まで引き算されてる気がする。
「そう! そういう恥じらい!! ポイント高いわよ!」
「な、なにそれえ……」
「そうやって恥じらってら姿に男はバンバン興奮するんだからー!」
気がついたらシマウマ頭の黒服も私の体を見ている事に気がつく。わ、恥ずかしい
思わずカーテンの中に入ってしまう。
「ちょっともっとよく見せてよー!」
「も、もう一個にも着替えるから!」
私は急いでもう1つの、フリルのついた水着に手をかけた。