1から始まるお付き合い
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「俺、リビングのソファーで寝るね。また明日」
「うん、またね。おやすみ」
「おやすみ、名前」
彼が私のおでこにキスをして去っていく。どんな行動も様になるなあ。
彼の去った部屋で一人、ベッドで横になる。
キス……しちゃった。彼の体があんなに近くて、彼の香りがした。同じシャンプーを使ったのに、彼にまとった匂いは違うものに感じた。ほんのりと香る、爽やかな男の人の匂いだった。
彼も私の匂いと違うって気が付いたのかな。
そんなことを考えながら私は眠りについた。
ーー
「ん……おはよ名前」
零くんが眠たそうに目をこすりながらこちらを見る。
あどけなくて、子供みたい。
「あれ、名前、朝ごはん作ってくれてるの」
「昨日言ったでしょ」
私はお皿を並べる。色とりどりのサラダに、鮭とお味噌汁。いかにも日本的な朝食だ。
「美味しそう、なんだかお嫁さんみたい」
彼の何気ない一言に私は思わずむせた。
「あ、びっくりした?でも、なんだかそんな風に感じちゃって……」
彼は照れてるのか、頬を指でポリポリとかいている。
「と、とりあえず、食べようよ、いただきます」
私は居ても立っても居られなくて、強引に話を逸らす。
「ん、美味しい」
彼が幸せそうに呟く。おいしそうに食べてるな……。
後、彼はさっき起きたばかりの寝起きなのに、もう普段と変わらない顔立ちをしている。
「零くん、寝起きなのに顔が綺麗」
「どういうこと?」
「ほら、寝起きだとボーっとしちゃってたり、顔がむくんでたりするでしょ、零くんは綺麗なままだなって」
「俺は朝に強いだけで、そんな特別なことじゃないよ」
う……生まれながらにした顔面……羨ましい……
そんな私の気持ちなんてつゆ知らず、彼は呑気にお味噌汁を飲んでいた。
ーー
「じゃあ帰るね」
「え!? もう!?」
ご飯を食べた後はテレビを見ながらゆっくりしていた。けど、突然の私の申し出に零くんはビックリしていた。
「だって、零くんの親御さん帰ってきちゃうでしょ。長居するのも迷惑だし。」
「俺は迷惑なんかじゃ無いよっ!名前が帰っちゃったら寂しいよ……」
う。まただ。またあのウルウルした瞳で私を見つめてくる。私は零くんのこの顔にすごく弱い……。でも!
「だーめ、零くんの親御さんがビックリしちゃうでしょ。女の子が泊まったなんて知らないんだから。」
彼は友達が泊まってるとしか両親に伝えてない。付き合ってる事もまだ報告してないのに、突然泊まってる彼女なんて、大層印象が悪くなる。
「……わかったよ」
残念そうに彼は俯いた。なんだか小動物みたいで可愛い。思わず頭を撫でてしまった。
「なに、突然」
「あ……ごめん堪らず……」
「名前はたまに俺のこと子供扱いするよね!」
「拗ねてるの?」
「拗ねて無いよ! ただ、俺ってそうやって子供扱いされるんじゃなくて……」
「されるんじゃなくて?」
「頼られたいし……」
顔を赤らめて言い放つ彼の様子にキュンとする。漫画の胸がキュンとする表現って、こういうことなのかな。
「俺のこと子供扱いするの、禁止だからね!可愛いも禁止!」
「ええ! それは無理な申し出だよ……」
子供扱いは兎も角、可愛い禁止だなんて……
「零くんは可愛いの塊だから、可愛いが言えないのは辛いよ……」
「……うーん、わかった。百歩譲って可愛いは良いけど、子供扱いは禁止ね!」
あとカッコイイの比率増やして!って言う彼の様子はやっぱり可愛い。
ーー
「じゃあね。」
私は帰る支度を済ませ、玄関で靴を履いた。
彼が名残惜しそうに私を見つめる。
「もう行っちゃうの、やだ。」
そう言いながら私のスカートの裾を掴む。
子供みたいだなあと思ったけど、それは心の中にしまった。
「また、会えるよ。夏は始まったばかりだから。」
夏休みは始まったばかり。彼と過ごせる夏は、これから始まるのだから。
「また見れるかな」
「? 星?」
「スカートの中」
気がついたら彼が掴んでいた裾が高くまくし立てられて、スカートの中が丸見えになっていた。
「零くんっ!」
私はスカートを押さえて、彼をキッと睨む。
彼は呑気にニコニコと笑ってる!
「ふふ、名前、可愛いパンツだね」
また手を伸ばしたから、私はビクッと反応してしまう。
「怖いの? 俺のこと」
嬉しそうに笑ってる……私が嫌がってるの見てさっきから嬉しそう……Sだ、零くん
私が下半身への警戒で意識がそっちに言ってたら、零くんがすかさずキスをした。唐突のことで呆然としてしまう。
「ふふ、また虐めてあげるからね、名前」
小悪魔みたいに笑う彼に、また弄ばれたいって思ったのは私だけの秘密。