1から始まるお付き合い
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まず、電車に乗ると零君と向かい合ってドアに寄りかかった。電車ってなんとなく端っこに行きたくなるよね。端っこの席とか、こういったドアの前とか。手を繋いでる熱に意識が行ってしまいそうになるから、私は思わず外の景色を見た。連なるビルや建物が物凄いスピードで移り変わっていく。
「ねえ」
彼が声をかけてきたから、視線を彼に合わせる。零君はボーダーのティーシャツに、半袖のパーカーを羽織っていて、下はカジュアルなボトムを履いている。彼らしい爽やかさが溢れる服装だな。
「どうかした?」
「俺の方全く見てくれないじゃん」
「ごめんね、緊張しちゃって。……うん、格好いいよ零君は」
「棒読みだよ」
「そ、そんなことないよ!」
慌てて訂正する私が見てて面白いのか、ケラケラ笑う彼。くそう、翻弄されてる……! と心の中で叫んだ。零君の弱み、こっちだって握って翻弄仕返してやる!
電車から降りると、かんかん照りの太陽が私たちを照らす。天気がいいこともあり、駅には同じくプールに向かうであろう人々で溢れている。
「人たくさんいるね」
「俺から離れないでね」
そう言って彼が私の手をギュッと握る。わ、格好いい。私は返事の代わりに、彼の掌を握り返した。人混みを超えて、私達はチケット購入列へと並ぶ。時間はかかったけど、零君とお話ししてたらすぐに時間は経っちゃった。好きな人といる時間は直ぐに経ってしまうって言ってた偉人って誰だっけ。チケット購入後は私達は更衣室へと各自向かった。
ーー
(名前、まだかな)
女性の方が身支度に時間がかかるっていうのは何となく聞いたことがある。名前、着替えに手間取ってるのかな。……水着……きっと今日来てた白のワンピースみたいに、白い清楚な水着なのかな……。シャイな名前の事だから、きっとビキニなんて持っての他で、ワンピースタイプなんだろうな。
……って、ああ、俺、また名前で変な妄想しちゃった……。だって、可愛いんだよな……プールに誘うとか、下心ありすぎって感じられるかと思ったけど、すんなり受け入れてくれて良かった。だめだ、もうこれ以上プールについて考えるのはやめよう……本人の前でこんなニヤケた顔見せられないや。切り替えて引き締めとかないと。
「ごめんね、お待たせ零君」
そこにはパーカーのチャックを極限まで上げた名前がいた。程よい長さのパーカーなので、ギリギリ下が隠れてて、パーカーしか着てないみたいに見える。裸エプロンならぬ裸パーカー。まずい、変な思考をまたした。
「そ、そんな待ってないよ! 俺も今来たとこだから! まず、ウォーミングアップしよっか」
俺、今顔ニヤケてなかったかな。神経を全部体を動かすことに集中させる。名前のパーカー、薄手で体にピッタリついてるから、体のラインがくっきり見えてて……止まれ、俺の思考。
「つかれたよー、もう入らない?」
「そろそろ良いかもね」
名前が足先だけ水に入れる。うわ、陽に当たって足が輝いてる。触ったらきっと柔らかいんだろうな……って!
「名前、パーカー脱がないと」
「……ええー」
「パーカーが濡れて張り付くと感触がベトベトして良くないよ、それに、皆んな脱いでるから」
「うーん、たしかに……」
完全に口実だけど、納得してくれたようだ。
一旦プールサイドに戻り、名前と向き合った状態で立つ。
「零君先に入ってていいよぅ……」
脱ぐのを見られるのは恥ずかしいのか、伏し目がちに提案してくる。う、下半身にきた……けど! どっちにしろ水着は見るものだし、公開する所を見れるなら見たい。
「そんなことして目を離した時に、名前が溺れたら助けられないじゃないか!」
「そこまで泳げなくないよっ!」
「冗談だよ、でもさ、俺から離れないでねって言ったでしょ?」
「う……」
渋々彼女がパーカーのチャックに手を取り、ゆっくりと下げていく。その状況に俺は視線を外せなくなった。