13日の金曜日
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たまたま開いたドアに入った私は、勢いよくドアを閉めた。部屋は薄暗く、視界は不透明だった。
ここはどんな部屋なんだろう。
いつもなら開かずのドアだったのに、なぜ開いてたのかな?
そんな疑問を抱えながら部屋を見渡すと、段々と目が慣れてくる。
ぼんやりと部屋の輪郭が見えてきて、私は思わず目を見張った。
「なに……これ……?」
壁一面に液晶が置いてあり、屋敷内の様子が映し出されていた。広間も、食事を取るスペースも、書斎も。
「わ、私の部屋も……」
よく見えるようにか、机の上に置いてある液晶の画面に映し出されていた。
机の上に置いてあるカップのコーヒーは湯気が立っており、ここにいた人物が数分前までのぞいていた事を物語っている。
これは、零くんが、したの……?
私を監視するため……?
「嫌いになった?」
真後ろから零くんの声が聞こえる。
物音も立たずに私の背後に立っている様子にも恐れをなし、思わず身を守るかのように彼から離れた。
「か、監視、してるの」
「そうだけど?」
「わ、私を疑っているの?」
ここはお屋敷なんだから、私が金品を盗んで逃げ出すと思っているのかな
「はは、名前は面白いね」
「じゃないと、ここまで、しないっ」
「愛してるから」
「っえ」
「愛してるからだってば」
「な、何言って……」
「愛してるんだよ。心から。あの時みたいにもう君を離さないよ。ずーっとずっと永遠に一緒だよ。」
「ぃ、いや」
彼の瞳が真っ暗で、液晶の画面に照らされた様子は
なんとも言えないほど不気味であった。
日記から全て私は彼の監視下にあると言うことに
私はとてつもない恐怖を感じ、彼を押し退けて部屋から飛び出る。
走れ、走れ!
彼から逃げ出すんだ、このお屋敷からも!!
ーーー
走りながらどう逃げ出せるか私は考えた。
まず、先生にどうにかして会いたい。
きっとあそこまで育て上げてくれた先生は、私のことを支援してくれるはずだ。
施設に行くとしても、施設から屋敷までは車でうんと遠かったから、車が必要だな……。
車庫に走って向かって走りながら、そんな都合よく車のキーが見つかるのか?と考えていた。
キーって、どこにあるんだろう……
零くんは、私にどうしても外に出たくないように考えていた。それなら、絶対見えないところに隠しているはずだ。
それでいて、外に出る時に持って行きやすいところ……。
お屋敷の玄関に着いた私は、息を切らしながら辺りを見渡す。玄関をぐるりと一週見渡すが、キーが隠せる場所なんて、当たり前にない。
でも、ここにあるはず……!
無我夢中で壁を伝いながら辺りを再度見渡す。
ガコリ、と小さな音を立てて壁が一部凹んだ。
壁の模様に合わせて、カモフラージュされていたようだ。
「これって……隠し扉?」
凹んだ部分に親指を差し込み、軸にしながら手前にひいた。長方形に開かれたそこには、鍵が一列にぶら下がっていた。
「あった!!」
黄色く、錆びたキーが大半だったが、車のキーは明らかに色も形もお屋敷のものでないと一瞬で理解できた。
私はぎゅっと握り締めながら、外にある車庫へと足速に向かった。
ーーー
黒く、艶々と輝いてる車に急いで飛び乗り、キーを指す。
ブゥゥンと車は音を鳴らして響くが、すぐに音が鳴り止んでしまい、エンジンはかからない。
お願い。かかってーーー。
そう思う私と、このまま残ったいた方がいいのではないかという気持ちが湧いてくる。
ウカイゼロは優しくて、格好もいい。
けれど、私の事を彼は知っていても
私は知らない。
それを知るためにも、先生に、会いたいーーー。
葛藤しながらも、何度かキーを回す。
動け、動け!!
何度目か車のキーを回した。
3ー4回目で、今までと違う車のエンジン音が聞こえる。車が暗い車庫を照らし、準備万端の合図を感じた。
「っ、やった!」
そうと決まれば、早く動こう!!
私は車のアクセルを踏み、まっすぐとお屋敷内を飛び出した。
ーーー
「平常、運転だ」
お屋敷を出て、すぐ森林に覆われた森を走ることになった。夜だから、景色も見えづらく、運転が難しいと感じる。
チラリとバックミラーを見る。
そこには今までと同じ通りただの暗い夜道が淡々と映し出されている。
「いない、よね」
ウカイゼロはもう車もないだろうから、来る手段はないだろう。
きっと。
ここを抜け出せば、また施設に戻って先生と幸せな日常に戻れるんだ!
ウカイゼロは、きっと私を忘れるだろうーーー。
彼も、幸せになれるといいなーーー。
そう思った刹那
ガジャーーン!!!
ガラスの割れる騒音が脳内に響く。
視界に割れたガラスの破片が写り、まるで背景かのようにキラキラと視界を照らす。
何が起こったか状況が理解追いつかない。
「ねぇ、言ったよね」
零くんが、斧を持って、助手席の窓を割ったんだ。
理解ができたとたん、全身の震えが止まらない。
ガタガタと全身が震え、感情が入り混じり、涙が止まらない。
「オイタが過ぎてるよ、名前」
彼が再度斧を振り翳したところで、私の記憶は止まった。