零くんとアオハル
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「ねえ、苗字さんって彼氏いる?」
キッカケはそんな一言だった。
晴天。青の絵の具を一面に塗ったかのような見渡す限りのブルーに、その輝きを照らすかの様に燦々と照り尽くす太陽の下、私達は出会った。
零くんとアオハル
暑い真夏。地球温暖化が刻々と深刻になっているのが肌で感じ取れるぐらいに暑い夏の日。
もうすぐ夏休みということでクラス中の皆が皆浮かれ切っている。
まだ、夏休みではないのにもうこんなにも暑いなんて。喉が乾き切っていて、私は飲み物を買おうと自動販売機に駆け足で向かった。
すると先客が居たようで 丁度飲み物選んでいる所の様だった。
私が 駆け足で来たため、慌ただしいその音に釣られたのか、私の方を見る。
あ
知ってる 宇海くんだ。
宇海零くん。
私達の学年どころか、全校生徒で知らない者は居ないぐらい宇海くんは有名人だ。
何たって成績は常にトップで校長からのお気に入り。運動も出来て、毎回表彰されている。そして 性格も良いと評判だ。宇海くんは人気者で、有名人。
「急いでる?」
宇海くんは気を使って声を掛けてくれた。なんて優しいんだろう。
「いや……そんな事は……」
宇海くんみたいな殿上人と私なんかは天と地ほど差がある訳で。
モゴモゴと口もごってしまう。
「ふーん」
宇海くんは瞬きをし、視線を自販機に戻した。
瞬きは ほんの一瞬の事だった。
けど その動作が光が瞬いたかのように美しかったのでドキドキしてしまった。
宇海くんは勉強や運動、人当たりだけで無く、美形って事を忘れてたよ……!
睫毛が長くて、目もパッチリさん……!
そうこうしてると ゴトン、と 自販機から飲み物が落ちた音がして、零くんが飲み物を買ったのだと気がついた。
……何買ったのかな……
飲み物を取るため屈んだ宇海くんに気づかれない様に覗き込む。
うーん、宇海くんの背中で 何が買ったのか見えずらい。
「はい」
突然宇海くんが振り向いて、それと同時に冷たい物が頬に触れた。
「ひゃ」
私は、宇海くんが振り向くなんて思っても居なかったからびっくりしてしまった。
そして、冷たいものの正体は宇海君が購入した飲み物であると気がついた。
「俺が買ったのは ポカリだよ」
宇海くんは私を見て 愛くるしい顔で笑う。
私の考えていた事はお見通しだったのか……!
見透かされてたなんて すごく恥ずかしい……!
缶を私の頬から離し、その缶を私の目の前に差し出す。
「ほら」
くれるって事なのかな……。
でも 申し訳ないな……
受けとろうか躊躇していると
「熱中症になりかけてるから。」
「えっ」
暑い暑いと思っていたけど そこまで深刻だったなんて……!
倒れる前に飲み物を飲まないと!
「あっお金」
「……俺の奢り。もう早く飲んで。命令だよ」
笑顔なんだけど否定を受け付けない表情で、私は恐ろしくなって震えながらポカリを受け取る。
缶を開け、ゆっくりと飲む
「あっ美味しい」
「良かった」
「ありがとう……宇海くん」
「……苗字さん、だよね」
「えっ、そ、そうだけど」
まさか私なんかの名前を覚えていてくれるなんて
「ずっと、気になっててさ」
宇海くんの頬は少し赤らんでいて、恥ずかしそうに綻んだ。
ん? ずっと気になってって、どういう事だろう? 恋愛初心者の私には全くもって理解できない。
「好きなんだよね」
流石に恋愛初心者の私にも言ってる意味は分かる。好き、好きって、私の事?
あの誰もがうらやむ宇海零くんが、私を……?
いやこれは何かの間違いだ。雲上人が私のような人をなんて、
「付き合ってくれないかな」
更に追い討ちをかけるように宇海くんは言葉を続ける。告白を受ける事も初めてだと言うのに、更に ハードルが高い事を…!
なんて返答したら良いのだろう。
「あの、私よく分からなくて…」
「俺も!」
ニカっと綺麗に並んだ白い歯を見せて爽やかに笑う。
「俺も付き合った事無いんだよ!だから、2人で知っていこう?」
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