零くんとアオハル
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帰り道は勇気が出なくて告白ができなかった。今日こそは、と思いながらもどんどん先送りになっていってしまう。そうして3日、5日と日は過ぎていった。
宇海君は私を急かしたくないという気づかいからか、関係についての有無の催促をしてこなかった。
ある水曜日の帰り道、私が日直当番の役割がある為、終礼後は職員室に向かい、職員室前で宇海君と合流した。
「ここからだといつもと違うルートから下駄箱へ向かわない?」
「うん、わかった。」
理科室や体育館裏などいつもと違った道を宇海君と通るのは凄く新鮮に感じた。一緒のクラスなら、宇海君とここを通ることも頻繁にあるのだろうか。ジャージ姿の宇海君、絶対格好いいんだろうな……。
そう考えていたら唐突に、宇海君が足を止めた。
「ねえ。ここ、覚えてる?」
「ここってあの時の……」
私たちが出会った自動販売機の前だった。
あの時、彼は私にーー
「ポカリ渡したの俺、今でも覚えてる」
「そう! 覚えてるよ、熱中症になりかけてるって、宇海君がくれたの。」
もうすぐ夏休みが来る。
学校が無くて、宇海君と登下校する機会がなくなって、このままフェードアウトしちゃうのかな。嫌だ、夏休みの間に宇海君に会いたいと強く思った。
「私、宇海君が、好き。」
そう思ったら堪らずに素直な気持ちが声に出ていた。これからもずっと彼と一緒に居たい、期間限定の関係じゃ無くて、ずっと。
「宇海君は、みんなの人気者で、顔も格好良くて、好きになる要素しかないって、私と全く違う存在だって思ってたの。
でも、気づいたの。そんな様な誰しもが知ってる要素だけで宇海君を好きなわけじゃなくて。
私は宇海君の私を独占したいって言うは気持ちとか、私をからかうちょっと意地悪な所とか…
そんないろんな面を含めて惹かれたんだと思う。」
「……ありがとう。俺も、苗字の事、好きだよ。誰よりもね。」
陽の光に照らされた彼の眩しい笑顔は、今まで見た誰よりも輝いていた。
私は思わず宇海君のシャツの袖を掴んだ。
「期間限定は、やだ……」
「もちろん、これからはずっと一緒だよ」
宇海君は私の手を取って、そっと握った。
前にも思ったけど、宇海君の手は大きくて、熱い。彼に触れてると安心する。
「大好きだよ、名前」
そう言って彼は私の頬にそっとキスをした。
これから来る夏休みや、冬や春。彼と一緒に過ごしていきたい。
0から始まったこの青春が数えきれないほどの思い出になっていくのは、まだ先の話。
Fin.
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