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33.
結局、エリちゃんは本拠地にいた。
ナイトアイが構成員を“見た”結果、八斎會邸宅には届出のない入り組んだ地下施設が存在し、その中の一室に今回の目的であるエリちゃんが匿われていることが確定した。
構成員の男は地下の入り口から彼女の部屋まで一切の寄り道をせず、その為地下全体を把握することは適わなかったが男の歩く道はそのまま目的への最短距離であり、八斎會の広い敷地を捜索するにあたって最も有益な情報となった。
やっぱり、ナイトアイの個性は凄い。
顔を見られてしまう危険性はあるものの、映像として見ることが出来る分、得られる情報は多い。
当日。
「目指すにしても“個性”を駆使されれば捜索は難航する。そこでわかる範囲だが八斎會の登録個性をリストアップしておいた。頭に入れといてくれ!」
と紙が配布された。
ザッと見て全て頭に入れる。こういうの、助かる。相手の能力を知ってるのと知らないのとでは任務の成功率は全然違うもんね。
それにしても、“警察”という組織もあるのに、こちらの世界では“ヒーロー”という職業がしっかり浸透してるんだなぁ。
わかってたけど、改めて実感したというか。
そう思うくらい、ヒーローと警察の連携は迅速で鮮やかだった。
授業では今のところ、警察のことはそんなに触れてないしね。他のインターン組も驚いてた。
グラントリノはやっぱり“向こう”か…。
…気になるけど今はこっちに集中!
気合いを入れているとイレイザーが緑谷くんに話しかけているのが見えた。
私たちイレイザー組はナイトアイ事務所と動く。イレイザーの横に飛んで、緑谷くんに手を差し出す。
「よろしくね!」
「⚫⚫⚫さん!こちらこそ!」
AM8:30。
警察の人がインターフォンを押そうとしたその瞬間、門が吹き飛んだ。
何人か警察の人が門と一緒に飛ばされ、それをイレイザーと緑谷くんと瞬身で救ける。
こちらが戸惑っている間に次が来る。サッとリューキュウが止めに入り、私たちを先へと促した。
怯みもせず立ち向かってくる八斎會構成員たちを手刀で気絶させつつ、真っ直ぐ目的の部屋を目指す。
ナイトアイが事前情報通り隠し扉を発見し扉を開ける。
「忍者屋敷かっての!ですね!」
はは。うーん、確かに隠し扉とか有るところはあるけれど…
バブルガールの言葉に複雑な気持ちを抱きつつ扉の向こうから気配を感じてクナイを構える。
飛び出して来た構成員はナイトアイのサイドキック二人に任せ、さらに先へと進む。
が、階段を降りてすぐに行き止まった。
通形先輩によると、この壁の向こうはちゃんと道が続いているとのこと。
…妨害のためにわざわざ作ったのね。ご丁寧にどうも。
臨戦体勢の緑谷くんと切島くんが一歩前へ出る。
「来られたら困るって言ってるようなもんだ!」
「そだな!妨害できてるつもりならめでてーな!」
二人が個性を発動させ、同時に繰り出した攻撃が厚い壁をぶち破った。
おお!切島くんの個性は守備向きと思ってたけど、攻撃にも使えるのか。って、感心してる場合じゃない。私も頑張らなきゃ。
二人が開けてくれた穴から進もうとした瞬間、グワッと壁や床、天井までもが変形し始めた。まるで生き物…!
リストアップされていた個性から、本部長“入中”が推測された。が、推測されていた個性のレベルを遥かに凌ぐ。驚く私たちに、クスリでかなり強めにブーストさせているのだろうとファットガムが教えてくれた。
これでは進めない…!
イレイザーも本体が視認できなければ消せないし、雷走の術でも知らない場所には行けない。
チッと小さく舌打ちする。
どうする…!
考えていたら、戸惑いからかネガティブまっしぐらなことを天喰先輩が言う。
それを激励した通形先輩が個性でこの迷宮をすり抜け先に進む。この案件はスピード勝負。危険だけど、このままでは逃げ切られる。私たちが早く追い付けばいいだけのこと!
そう決意して動こうとした次の瞬間、グワンと床が歪み、下の階へと落とされ、すぐに天井は閉じられ上には戻れなくなった。
ここは…ちょっとした広間みたい。
お出迎え付きの。
八斎會構員に、ファットガムが前に出ようとしたのを天喰先輩が制す。
「その“プロの力”は目的の為に…!」
時間稼ぎは、俺一人で十分と。
さっきの天喰先輩とは全然違う。この短時間で自分の気持ちを切り替えたみたい。通形先輩の言葉や行動がきっかけだったのか。
何人ものプロがこの場に留まっているこの状況がもう思うツボだ、と言う先輩。
確かにそうたけど…一人残すのは…。
「ファットガム!」
そう名前を呼ばれ、信用したファットガムが頷き、先導して扉を目指す。
切島くんやロックロックが心配するも、ファットガムは言う。
先輩はこの場の誰よりも実力がある。けど、心の弱さから芽が出なかった。しかしそんな中でもビッグ3に登り詰めた。その彼が一人で完封できると宣言したのだから、信じて前に進むしかない、と。
そこまで信頼されている天喰先輩がちょっとうらやましい。
周りを警戒しつつ走る。
交戦中の天喰先輩を気にする緑谷くんと切島くんにファットガムが大きな声で言う。
「ただ!背中預けたら信じて任せるのが男の筋やで!」
「先輩なら大丈夫だぜ!」
「逆に流されやすい人っぽい」
…確かに。
緑谷くんの言葉に心の中で頷く。
切島くんは真っ直ぐだなぁ。
しゃこらああああああああ〜!心配だが信じるしかねぇ!!と叫びつつ走る切島くん。
ロックロックと警察の人が苦い顔をしていたのは気のせいじゃないと思う。
イレイザーが妙だと溢す。
何の障害もなく走っているこの状態を邪魔してこないのは、地下全体を正確に把握し動いている訳ではないからかもしれない、と。
確かに天喰先輩と別れてから道は変形しなかった。
…おかげで難なく階段にたどり着くことが出来たけど。
壁面内を動き回って目や耳で見聞きしているのなら、私たちに攻撃するとき、本体が近くにいる可能性は高い。
「そこで目なり耳なり本体が覗くようなら…」
上手くそのタイミングで見れればいいけど…
逆に言えば“見られる”事を嫌がる敵が狙うのは、ただ一人。
ズワッと悪寒がしたと思ったら、
「っ!!」
「イレイザー!」
壁が棒のように噴出した。
イレイザーが棒に押し出され、反対の壁に空いた穴に吸い込まれそうになる瞬間、飛雷神で飛ぶ。イレイザーをキャッチしてさらに飛ぶ。
同じようにイレイザーを助けようとしたファットガムが身代わりとなってしまった。
「!切島くんがいない…!」
緑谷くんが言えば
「あの赤髪の子ならファットと一緒に飛び出して、壁の穴に引きずり込まれていったのを見たぞ」
と警察の人が教えてくれた。
私がもう少し早く動ければ…!
ごめんなさい、二人とも…。
「助かった、燎。」
「いえ…」
とうつむく。
「行くぞ。」
落ち込んでいたらイレイザーに強く肩を叩かれた。
そうだ。止まっちゃいけない。早く通形先輩の所へ。
結局、エリちゃんは本拠地にいた。
ナイトアイが構成員を“見た”結果、八斎會邸宅には届出のない入り組んだ地下施設が存在し、その中の一室に今回の目的であるエリちゃんが匿われていることが確定した。
構成員の男は地下の入り口から彼女の部屋まで一切の寄り道をせず、その為地下全体を把握することは適わなかったが男の歩く道はそのまま目的への最短距離であり、八斎會の広い敷地を捜索するにあたって最も有益な情報となった。
やっぱり、ナイトアイの個性は凄い。
顔を見られてしまう危険性はあるものの、映像として見ることが出来る分、得られる情報は多い。
当日。
「目指すにしても“個性”を駆使されれば捜索は難航する。そこでわかる範囲だが八斎會の登録個性をリストアップしておいた。頭に入れといてくれ!」
と紙が配布された。
ザッと見て全て頭に入れる。こういうの、助かる。相手の能力を知ってるのと知らないのとでは任務の成功率は全然違うもんね。
それにしても、“警察”という組織もあるのに、こちらの世界では“ヒーロー”という職業がしっかり浸透してるんだなぁ。
わかってたけど、改めて実感したというか。
そう思うくらい、ヒーローと警察の連携は迅速で鮮やかだった。
授業では今のところ、警察のことはそんなに触れてないしね。他のインターン組も驚いてた。
グラントリノはやっぱり“向こう”か…。
…気になるけど今はこっちに集中!
気合いを入れているとイレイザーが緑谷くんに話しかけているのが見えた。
私たちイレイザー組はナイトアイ事務所と動く。イレイザーの横に飛んで、緑谷くんに手を差し出す。
「よろしくね!」
「⚫⚫⚫さん!こちらこそ!」
AM8:30。
警察の人がインターフォンを押そうとしたその瞬間、門が吹き飛んだ。
何人か警察の人が門と一緒に飛ばされ、それをイレイザーと緑谷くんと瞬身で救ける。
こちらが戸惑っている間に次が来る。サッとリューキュウが止めに入り、私たちを先へと促した。
怯みもせず立ち向かってくる八斎會構成員たちを手刀で気絶させつつ、真っ直ぐ目的の部屋を目指す。
ナイトアイが事前情報通り隠し扉を発見し扉を開ける。
「忍者屋敷かっての!ですね!」
はは。うーん、確かに隠し扉とか有るところはあるけれど…
バブルガールの言葉に複雑な気持ちを抱きつつ扉の向こうから気配を感じてクナイを構える。
飛び出して来た構成員はナイトアイのサイドキック二人に任せ、さらに先へと進む。
が、階段を降りてすぐに行き止まった。
通形先輩によると、この壁の向こうはちゃんと道が続いているとのこと。
…妨害のためにわざわざ作ったのね。ご丁寧にどうも。
臨戦体勢の緑谷くんと切島くんが一歩前へ出る。
「来られたら困るって言ってるようなもんだ!」
「そだな!妨害できてるつもりならめでてーな!」
二人が個性を発動させ、同時に繰り出した攻撃が厚い壁をぶち破った。
おお!切島くんの個性は守備向きと思ってたけど、攻撃にも使えるのか。って、感心してる場合じゃない。私も頑張らなきゃ。
二人が開けてくれた穴から進もうとした瞬間、グワッと壁や床、天井までもが変形し始めた。まるで生き物…!
リストアップされていた個性から、本部長“入中”が推測された。が、推測されていた個性のレベルを遥かに凌ぐ。驚く私たちに、クスリでかなり強めにブーストさせているのだろうとファットガムが教えてくれた。
これでは進めない…!
イレイザーも本体が視認できなければ消せないし、雷走の術でも知らない場所には行けない。
チッと小さく舌打ちする。
どうする…!
考えていたら、戸惑いからかネガティブまっしぐらなことを天喰先輩が言う。
それを激励した通形先輩が個性でこの迷宮をすり抜け先に進む。この案件はスピード勝負。危険だけど、このままでは逃げ切られる。私たちが早く追い付けばいいだけのこと!
そう決意して動こうとした次の瞬間、グワンと床が歪み、下の階へと落とされ、すぐに天井は閉じられ上には戻れなくなった。
ここは…ちょっとした広間みたい。
お出迎え付きの。
八斎會構員に、ファットガムが前に出ようとしたのを天喰先輩が制す。
「その“プロの力”は目的の為に…!」
時間稼ぎは、俺一人で十分と。
さっきの天喰先輩とは全然違う。この短時間で自分の気持ちを切り替えたみたい。通形先輩の言葉や行動がきっかけだったのか。
何人ものプロがこの場に留まっているこの状況がもう思うツボだ、と言う先輩。
確かにそうたけど…一人残すのは…。
「ファットガム!」
そう名前を呼ばれ、信用したファットガムが頷き、先導して扉を目指す。
切島くんやロックロックが心配するも、ファットガムは言う。
先輩はこの場の誰よりも実力がある。けど、心の弱さから芽が出なかった。しかしそんな中でもビッグ3に登り詰めた。その彼が一人で完封できると宣言したのだから、信じて前に進むしかない、と。
そこまで信頼されている天喰先輩がちょっとうらやましい。
周りを警戒しつつ走る。
交戦中の天喰先輩を気にする緑谷くんと切島くんにファットガムが大きな声で言う。
「ただ!背中預けたら信じて任せるのが男の筋やで!」
「先輩なら大丈夫だぜ!」
「逆に流されやすい人っぽい」
…確かに。
緑谷くんの言葉に心の中で頷く。
切島くんは真っ直ぐだなぁ。
しゃこらああああああああ〜!心配だが信じるしかねぇ!!と叫びつつ走る切島くん。
ロックロックと警察の人が苦い顔をしていたのは気のせいじゃないと思う。
イレイザーが妙だと溢す。
何の障害もなく走っているこの状態を邪魔してこないのは、地下全体を正確に把握し動いている訳ではないからかもしれない、と。
確かに天喰先輩と別れてから道は変形しなかった。
…おかげで難なく階段にたどり着くことが出来たけど。
壁面内を動き回って目や耳で見聞きしているのなら、私たちに攻撃するとき、本体が近くにいる可能性は高い。
「そこで目なり耳なり本体が覗くようなら…」
上手くそのタイミングで見れればいいけど…
逆に言えば“見られる”事を嫌がる敵が狙うのは、ただ一人。
ズワッと悪寒がしたと思ったら、
「っ!!」
「イレイザー!」
壁が棒のように噴出した。
イレイザーが棒に押し出され、反対の壁に空いた穴に吸い込まれそうになる瞬間、飛雷神で飛ぶ。イレイザーをキャッチしてさらに飛ぶ。
同じようにイレイザーを助けようとしたファットガムが身代わりとなってしまった。
「!切島くんがいない…!」
緑谷くんが言えば
「あの赤髪の子ならファットと一緒に飛び出して、壁の穴に引きずり込まれていったのを見たぞ」
と警察の人が教えてくれた。
私がもう少し早く動ければ…!
ごめんなさい、二人とも…。
「助かった、燎。」
「いえ…」
とうつむく。
「行くぞ。」
落ち込んでいたらイレイザーに強く肩を叩かれた。
そうだ。止まっちゃいけない。早く通形先輩の所へ。