<オールマイトside>

「ここで余生を過ごせ。」
そう言い、私は退出しようと歩き出した。
扉を片足出たところで、奴が話し始めた。
「ああ、そうだ。“時空間忍術の研究者（リサーチャー）”⚫⚫⚫⚫⚫⚫。彼女、こちらに来てるだろう？彼女は弔に必要なんだ。」
脳裏に彼女の顔が浮かぶ。
「迎えに行くまで大事にしてくれよ。」
どういうことかと戻ろうとすればアナウンスが。
【オールマイト、時間です。】

プシューと扉が閉まる。

「どうだった？」
「情報の類いに期待していたなら…すまない。」
「まァ簡単にはいかないさ。長丁場になりそうだ。」
塚内くんが運転しながらフォローしてくれる。
すまない。塚内くん。

「奴の読みではしばらく潜伏し、勢力拡大に動くと…」
「真に受けてまた襲撃も馬鹿らしいな…ああ、あとそうだ。手続きの関係でまとめられなかったがステインの面会はどうす…」

ん？緑谷少年からだ。
一言断ってメールを見れば、仮免許取得の報告だった。
また一歩進んだ後継者に嬉しくなる。

「どうした？」
「あ、いや…てか前見てよ！塚内くん」




九死に一生を得る、とは言い過ぎだろうが、気持ちはそんな感じだった。
ごほんと咳払いして聞く。
「塚君くん、彼女…⚫⚫⚫少女とは最近会ったかい？」
「いや。目を覚ましたときに会ったきりだな。彼女がどうかしたのか？」
「うん…。⚫⚫⚫少女がこちらに来ていることを奴が知っていた。」

「え？彼女がこちらに来たとき、すでに奴はタルタロスに入れられていたじゃないか！なぜこちらにいることを知っているんだ？」
信じられない、何を言っているんだという空気がひしひしと伝わってくる。

そうなのだ。彼女と奴は会っていないのだ。それなのに彼女のことを私たちより知っていそうな感じだった。


“弔に必要なんだ”と。

確かに忍術という不思議な力を使うが、それだけだろうか？

それに“時空間忍術の研究者（リサーチャー）”とは一体…。
あいつは何を知っていて、彼女の何を欲しがっているのか…。


しばらく学校のセキュリティを更に強化するよう、校長に進言せねば。