あの後、四人が知っていてイメージしやすく、飛んでも危険性のない場所ということで“教室”が選ばれた。

別室で緑谷くんと並んで座る。

「じゃあ、教室を思い浮かべておいてね。」

私たちの後頭部に手を添えたイノさんが緑谷くんに言う。

「はい！」




「催戸伝心！」

イノさんを伝って映像が流れてくる。
１－Aと書かれたドア。
20個の机。
爆豪くんが足を机に乗せている。
それを“いいだくん”が注意してる。
お茶子ちゃんもいる。

…。

記憶を見てる私まで楽しくなってくる。

緑谷くんにとって大事な場所なんだなぁ。





「緑谷くん、ありがとう。」

イノさんが術を解除したので、緑谷くんにお礼を言う。
「楽しそうな学校だね」
と笑えば、
「うん。いろいろ大変だけど、充実してるよ。」
と照れながら答えてくれた。

イノさんの負担を考えて１日に二人ずつ記憶を見ることになった。

次は爆豪くん。
「よろしくね。」
と言えば
「１回だけだかんな。」
と返された。
もちろんと返し、目を閉じる。

「二人ともいくわよ。催戸伝心！」



爆豪くんの記憶を見せてもらい、
イノさんに挨拶して、みんなが待機している火影室へ戻る。


火影室へ入ったら、お茶子ちゃんと緑谷くんが泣きそうな顔をしていた。轟くんも気まずそうに目を反らした。
私と爆豪くんは訳がわからず？を浮かべる。
どうしたの？と緑谷くんに聞けば
「ごめん。⚫⚫⚫さん、僕たち聞いちゃったんだ。⚫⚫⚫さんがなんであの術を作ったか。」


ああ…。そっか…。




“雷走の術” 。
この術の開発は私が６才のときに任務で両親を亡くしたことに始まる。