アシスタントのはなし
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気持ちいいなぁ
ベッドって何でこんなに気持ちいいんだろう。
もっとこの気持ち良さを堪能したくて、枕に顔を埋める。
枕?
ん?
「あれ?」
ガバッと起き上がる。慌てて回りを見る。
ベッドで寝てる。私の部屋だ。
あれ?確か、私、壁に寄りかかって寝てたはずじゃ…
というか、みんなは!?
あれからどうなったの?
今何時?
窓の方を見ると、カーテンの隙間から光が漏れていた。
急いでベッドから降りてバタバタと準備をする。
早くみんなに会って、無事を確認したかった。
聞きたいこともたくさん。
軽く息を切らしながらリビングへ行く。
「お、おはようございます!」
バン!と扉を開けた私に、リビングにいた10人の視線が集まる。
「あら、⚫⚫⚫、おはよう。」
フランソワーズがニコリと挨拶を返してくれた。
そのフランソワーズに向かってズンズン歩いていく。
ペタペタと頭や腕をさわって診る。
サイボーグだから体の作りは普通とちょっと違うのかもしれない。
でも全部が機械でないなら毒が残っていたら見た目とか、影響が出るかもしれない。
必死の顔をしてフランソワーズをペタペタ触る私を、他のみんなは唖然と見ていた。
一通り診て、問題なさそうと判断し、
「皆さん、なにか不調はありませんか?」
とみんなに聞いた。
「はっ!昨日わかっただろ。俺たちはサイボーグだぜ。普通より丈夫に出来てる。」
「ま、そういうことだ。お前さんがそんなに必死になることはないよ。」
ジェットさんとアルベルトさんが言った。
その言葉にお腹からモクモクと強いエネルギーの塊みたいなものが涌き出てきた。
「サイボーグだからとか、関係ありません!もちろん、解毒薬は全力で作りました。何度も間違えていないか確認しました。でも絶対ではありません!私は皆さんが死んじゃったら嫌なんです!サイボーグだって死んじゃったら生き返れないんですよ!」
顔が熱い。
大きく息を吐くと、恥ずかしくなってきた。
「と、とにかく、何かいつもと違うことがあれば言ってくださいね!!!」
逃げるようにリビングを出て部屋に籠る。
あ、“サイボーグ”のこと詳しく聞きそびれた。
でも恥ずかしくて戻れない。
というか、部屋からもう出たくない。
あぁ…何てことを。
何て生意気なことを。
私みたいなひよっこに心配されるほど、みんなはきっと弱くない。
ベッドに、うずくまる。
視界が滲んで、ぐちゃぐちゃになる。
溶けて消えてしまいたいと思っていたら、コンコンっとノックが聞こえた。
目線だけそちらに向ける。
「私よ、フランソワーズ。さっきは本当にごめんなさい。ちゃんと話をしたいからリビングに来てもらえるかしら?」
暖かい紅茶を入れて待ってるわ。とフランソワーズは行ってしまった。
きっとプレッシャーをかけないように、すぐリビングに戻ったのだろう。
行きたくない。
でも、無視なんて出来ない。
ずるずると体を引き摺るように、リビングへ向かう。
リビングへ入ると昨夜と同じ、赤い服を着たみんながいた。
「さっきは悪かった。俺たちのことを心配してくれたのに、あんな態度取っちまって。」
あんなに、心配されたことなんかないからな。と、ジェットさんがこちらを見ないように、横を向きながら言った。
それに続くようにアルベルトさんが言う。
「俺もすまなかった。そうだな。⚫⚫⚫のいう通りだ。命がなくなってからでは遅い。」
「私こそ皆さんのこと何も知らないのに、偉そうなこと言ってすみませんでした。」
慌てて頭を下げる。
「もう、皆さん体は大丈夫なんですね?」
「あぁ!⚫⚫⚫さんのおかけですっかり元気だよ。ありがとう!」
とジョーさんに言われて安心する。
「それでね。もし⚫⚫⚫が良かったらなんだけど。私たちのことも知ってほしいと思って。サイボーグについて。私たちがなぜサイボーグになったのか。」
フランソワーズが胸の前で手を握り、不安げに聞く。
「私は皆さんのことを知りたいです。でも聞いてもいいんですか?」
「面白い話じゃないけどな。⚫⚫⚫さんさえ、良ければ。」
ピュンマさんか言った。
「…ありがとうございます。ぜひ、皆さんのことを教えてください。」
こうして私はみんながサイボーグだということを知った。
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