アシスタントのはなし
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ここが待ち合わせの場所のはず。
白い息を吐きながら、指定された駅前の時計台の下で待つ。ここからギルモア博士の家には距離があるとのことで、迎えに来てくれる。
博士の研究を手伝っているのは9人で、女性が1人いるらしい。良かった。人付き合いは苦手だ。その上男性だけとなると、断ろうかと思ったくらいだ。研究者は男性が多いから。どんな女性だろう。
今度は仲良くなれるかしらと、人生の何度目かわからない、淡い期待を抱く。
毎回、うまくいかないのだけど。
それと、ギルモア博士の研究に役に立てるかしら。コズミ博士には大丈夫と言われたけれど。
不安でぐるぐると考え込んでいると、目の前に車が止まった。
運転席から降りた男性と目が合う。
「きみが⚫⚫⚫さんかい?僕はジョー。ギルモア博士の助手をしているよ。」
と自己紹介してくれた。
優しそうな人だなぁ。
「っ!は、はい!」
長く考え込んでいたし、緊張してうまく声がでなかった。
縦にぶんぶん首をふって頷いた。
それを見ていた綺麗な助手席の女性が、クスクス笑いながら
「可愛い人ね。私はフランソワーズ。よろしくね。」
と挨拶しながら後部座席のドアを開けてくれた。
いつの間にかジョーさんが荷物を積んでくれていた。
他の助手のみなさんがどんな人達かを教えてもらっていると、ギルモア邸に着いた。
ギルモア邸の回りは木が多く、自然豊かだ。
春になれば新緑が華やかに彩るだろう。
今が2月なのが残念だ。
そんなことを思っていたら、猫を抱えた長身の男性が歩いてきた。
150センチと身長が低い私には迫力があって、思わずじっと見てしまった。
「ム?」
「ジェロニモ!彼女が例の新しい助手の⚫⚫⚫さんだよ。」
ジョーさんが紹介してくれる。
「あ!はい!これから1ヶ月お世話になります。⚫⚫⚫です。」
「ああ、よろしく。俺はジェロニモという。」
「ところでジェロニモ、その猫はどうしたの?」
あとから来たフランソワーズさんがジェロニモさんに聞いた。
「怪我をしていたから手当てしたんだ。」
なぁーと猫はジェロニモさんの腕の中で鳴いた。
なんだか嬉しそうだ。思わず笑みがこぼれる。
一番最初にジェロニモさんに抱いた恐怖心はどこかへいってしまった。
「あれ?なんだ。帰ってきてるじゃねぇか。」
玄関から長髪の男性が顔を出した。
どうやらなかなか帰ってこないので、心配して探しに行こうとしてくれたらしい。
「ジェット。ごめんごめん。彼女が⚫⚫⚫さんだよ。」
ジョーさんがまた紹介してくれた。慌てて頭を下げる。
「⚫⚫⚫です。よろしくお願いします!」
「ふーん。俺はジェットだ。助手ねぇ。ふーん。」
さみぃから、早く中に入れよ。と、すぐに中に入っていってしまった。
彼にはあまり歓迎されてない気がする。
何の根拠もないが。
どうしよう。大丈夫だろうか。
不安の泡が沸々と沸いてくる。
「ジェットは初対面の人には冷たくしちゃうの。人見知りというか。だから、気にしないで」
とフランソワーズさんがフォローしてくれた。
「はい。ありがとうございます。」
心を落ち着けて返事をし、玄関へ入る。
中には五人の助手さんと赤ちゃん。ギルモア博士がいた。
第一印象は大切。挨拶はしっかりしないと。
「⚫⚫⚫といいます。これから1ヶ月間、よろしくお願いします。」
言い終わると就活セミナーで教わった最敬礼をした。
「良く来てくれた。ワシがギルモアじゃ。」
自己紹介しながらギルモア博士が握手の手を出してくれたので慌てて握手をする。
「残りのメンバーを紹介しよう。
銀髪の彼はアルベルト・ハインリヒ。」
アルベルトさんが、片手を上げて挨拶をしてくれる。
会釈をして返す。
「そのとなりの低身長の八の字髭は、張々湖」
ヨロシクネー!と手をブンブンふってくれた。
会釈をし、小さく手を振り返す。
「グレート・ブリテン。」
右手を左胸に当てて、深々と礼をする。
こちらも深く礼をする。
「そっちの黒人はピュンマじゃ。」
ペコリと会釈してくれた。
こちらも会釈して返す。
「今は寝てしまっているがこっちの赤ちゃんはイワンじゃ。」
赤ちゃん?ギルモア博士のお孫さんかしら…。
「これで全員の紹介が終わったわね。部屋に案内するわ。」
後ろにいたフランソワーズがこっちよ、と案内してくれる。ジョーさんが私の荷物を持って続く。
その後ろを慌ててついていく。
案内された部屋はベッドと机が1つずつ。
決して広くはないが、窓もあり、海が見えた。
ジョーさんが机に荷物を置いてくれた。
「ジョーさん、荷物、ありがとうございます。素敵なお部屋ですね。ありがとうございます。」
二人にお礼を言う。
「気に入った?もうすぐお昼になるだろうから、寛いでて。また呼びに来るよ。」
それじゃ、とジョーさんとフランソワーズさんが出ていった。
ドアが閉まったのを見届けて、後ろのベッドに仰向けでバフンと倒れた。
一度深呼吸をする。
たくさんの初めての人に会って、少し疲れた。
でもみんな優しそうな人で良かった。
ジェットさんには歓迎されてなさそうだったけど…。
研究で役に立って、呼んで良かったって思ってもらおう。
うん。
腕時計を見る。
もうすぐ12時だ。
迎えに来るって言ってたけど…。
そんなことを考えてら、ドアをノックする音が聞こえた。
ジョーさんだ。
「今いいかい?お昼ができたから呼びに来たんだ。」
「はい!今行きます!」
リビングに行くと、豪華な中華料理がテーブルいっぱいに並んでいた。
「⚫⚫⚫さん、歓迎の気持ちを込めて、全力で作っタヨー!さあ!ジャンジャン食べるネー!!」
と張々湖さんがとても楽しそうに言ってくれた。
「わぁ!すごい!こんなにたくさん!美味しそう!張々湖さんが作ったんですか?」
「みんなにも手伝ってもらったヨー!デザートもあるヨ!」
リビングにみんなが集まってきた。
「こりゃ豪華だなー。ウェルカムパーティーか。」
グレートさんが言う。
「こりゃ見事だ。」
ギルモア博士がイワンくんを抱っこしながらリビングに来た。
「ふふふ、私も張り切っちゃったの!さあ、早く食べましょう!」
フランソワーズさんも、楽しそう。
「こういうとき、日本では“乾杯!”というんだろう?」
ピュンマさんがジョーさんに聞く。
「そうだよ!それじゃあ僕が。
⚫⚫⚫さん、ギルモア邸にようこそ!乾杯!」
「「「乾杯!」」」
「フランソワーズさん、これはこっちでいいですか?」
「ありがとう、⚫⚫⚫さん。」
洗い物をしているフランソワーズさんのところへ食器を持っていく。
「味付けは口に合ったみたいネ。」
お皿を下げに来た張々湖さんが、ニコニコしならがら言う。
「はい!とてもおいしかったです。ありがとうございました!」
私も笑顔で答える。
「フランソワーズさん、一緒にやります!」
お皿を並んで洗う。
「ねぇ、⚫⚫⚫さん、もし良かったら敬語じゃなくて普通にお喋りしない?」
とフランソワーズさんに言われた。
なんだか敬語が落ち着かなくて、とフランソワーズさんは困ったように笑った。
「あ、すみません!えと、うん、わかった!」
と返事をすれば、
「じゃあ、私のこと、フランソワーズって呼んでね!⚫⚫⚫さんのこと、呼び捨ててで呼んでも良い?」
と、笑顔で言われた。
私はちょっとびっくりしながらも、仲良くなるチャンスだ!と気合いを入れ、
「もちろん!」
と元気よく頷いた。
それを見ていた張々湖さんが、
「ワイも⚫⚫⚫って呼ぶネー!!」
と言っていた。笑ってはい、と頷く。
「賑やかだね。はい、これが最後だよ。」
とジョーさんがお皿を持ってきてくれた。
フランソワーズさんがジョーさんに嬉しそうに報告する。
「そうなんだ!じゃあ僕も呼び捨てで呼んでもいいかい?」
「はい!ぜひ!」
私は喜んで答えた。
ちょっとは仲良くなれたかもしれない。
特に紅一点のフランソワーズさんと少しでも仲良くなれたのは嬉しい。
そのあとは持ってきた荷物の整理などをして、1日目が終わったのだった。
白い息を吐きながら、指定された駅前の時計台の下で待つ。ここからギルモア博士の家には距離があるとのことで、迎えに来てくれる。
博士の研究を手伝っているのは9人で、女性が1人いるらしい。良かった。人付き合いは苦手だ。その上男性だけとなると、断ろうかと思ったくらいだ。研究者は男性が多いから。どんな女性だろう。
今度は仲良くなれるかしらと、人生の何度目かわからない、淡い期待を抱く。
毎回、うまくいかないのだけど。
それと、ギルモア博士の研究に役に立てるかしら。コズミ博士には大丈夫と言われたけれど。
不安でぐるぐると考え込んでいると、目の前に車が止まった。
運転席から降りた男性と目が合う。
「きみが⚫⚫⚫さんかい?僕はジョー。ギルモア博士の助手をしているよ。」
と自己紹介してくれた。
優しそうな人だなぁ。
「っ!は、はい!」
長く考え込んでいたし、緊張してうまく声がでなかった。
縦にぶんぶん首をふって頷いた。
それを見ていた綺麗な助手席の女性が、クスクス笑いながら
「可愛い人ね。私はフランソワーズ。よろしくね。」
と挨拶しながら後部座席のドアを開けてくれた。
いつの間にかジョーさんが荷物を積んでくれていた。
他の助手のみなさんがどんな人達かを教えてもらっていると、ギルモア邸に着いた。
ギルモア邸の回りは木が多く、自然豊かだ。
春になれば新緑が華やかに彩るだろう。
今が2月なのが残念だ。
そんなことを思っていたら、猫を抱えた長身の男性が歩いてきた。
150センチと身長が低い私には迫力があって、思わずじっと見てしまった。
「ム?」
「ジェロニモ!彼女が例の新しい助手の⚫⚫⚫さんだよ。」
ジョーさんが紹介してくれる。
「あ!はい!これから1ヶ月お世話になります。⚫⚫⚫です。」
「ああ、よろしく。俺はジェロニモという。」
「ところでジェロニモ、その猫はどうしたの?」
あとから来たフランソワーズさんがジェロニモさんに聞いた。
「怪我をしていたから手当てしたんだ。」
なぁーと猫はジェロニモさんの腕の中で鳴いた。
なんだか嬉しそうだ。思わず笑みがこぼれる。
一番最初にジェロニモさんに抱いた恐怖心はどこかへいってしまった。
「あれ?なんだ。帰ってきてるじゃねぇか。」
玄関から長髪の男性が顔を出した。
どうやらなかなか帰ってこないので、心配して探しに行こうとしてくれたらしい。
「ジェット。ごめんごめん。彼女が⚫⚫⚫さんだよ。」
ジョーさんがまた紹介してくれた。慌てて頭を下げる。
「⚫⚫⚫です。よろしくお願いします!」
「ふーん。俺はジェットだ。助手ねぇ。ふーん。」
さみぃから、早く中に入れよ。と、すぐに中に入っていってしまった。
彼にはあまり歓迎されてない気がする。
何の根拠もないが。
どうしよう。大丈夫だろうか。
不安の泡が沸々と沸いてくる。
「ジェットは初対面の人には冷たくしちゃうの。人見知りというか。だから、気にしないで」
とフランソワーズさんがフォローしてくれた。
「はい。ありがとうございます。」
心を落ち着けて返事をし、玄関へ入る。
中には五人の助手さんと赤ちゃん。ギルモア博士がいた。
第一印象は大切。挨拶はしっかりしないと。
「⚫⚫⚫といいます。これから1ヶ月間、よろしくお願いします。」
言い終わると就活セミナーで教わった最敬礼をした。
「良く来てくれた。ワシがギルモアじゃ。」
自己紹介しながらギルモア博士が握手の手を出してくれたので慌てて握手をする。
「残りのメンバーを紹介しよう。
銀髪の彼はアルベルト・ハインリヒ。」
アルベルトさんが、片手を上げて挨拶をしてくれる。
会釈をして返す。
「そのとなりの低身長の八の字髭は、張々湖」
ヨロシクネー!と手をブンブンふってくれた。
会釈をし、小さく手を振り返す。
「グレート・ブリテン。」
右手を左胸に当てて、深々と礼をする。
こちらも深く礼をする。
「そっちの黒人はピュンマじゃ。」
ペコリと会釈してくれた。
こちらも会釈して返す。
「今は寝てしまっているがこっちの赤ちゃんはイワンじゃ。」
赤ちゃん?ギルモア博士のお孫さんかしら…。
「これで全員の紹介が終わったわね。部屋に案内するわ。」
後ろにいたフランソワーズがこっちよ、と案内してくれる。ジョーさんが私の荷物を持って続く。
その後ろを慌ててついていく。
案内された部屋はベッドと机が1つずつ。
決して広くはないが、窓もあり、海が見えた。
ジョーさんが机に荷物を置いてくれた。
「ジョーさん、荷物、ありがとうございます。素敵なお部屋ですね。ありがとうございます。」
二人にお礼を言う。
「気に入った?もうすぐお昼になるだろうから、寛いでて。また呼びに来るよ。」
それじゃ、とジョーさんとフランソワーズさんが出ていった。
ドアが閉まったのを見届けて、後ろのベッドに仰向けでバフンと倒れた。
一度深呼吸をする。
たくさんの初めての人に会って、少し疲れた。
でもみんな優しそうな人で良かった。
ジェットさんには歓迎されてなさそうだったけど…。
研究で役に立って、呼んで良かったって思ってもらおう。
うん。
腕時計を見る。
もうすぐ12時だ。
迎えに来るって言ってたけど…。
そんなことを考えてら、ドアをノックする音が聞こえた。
ジョーさんだ。
「今いいかい?お昼ができたから呼びに来たんだ。」
「はい!今行きます!」
リビングに行くと、豪華な中華料理がテーブルいっぱいに並んでいた。
「⚫⚫⚫さん、歓迎の気持ちを込めて、全力で作っタヨー!さあ!ジャンジャン食べるネー!!」
と張々湖さんがとても楽しそうに言ってくれた。
「わぁ!すごい!こんなにたくさん!美味しそう!張々湖さんが作ったんですか?」
「みんなにも手伝ってもらったヨー!デザートもあるヨ!」
リビングにみんなが集まってきた。
「こりゃ豪華だなー。ウェルカムパーティーか。」
グレートさんが言う。
「こりゃ見事だ。」
ギルモア博士がイワンくんを抱っこしながらリビングに来た。
「ふふふ、私も張り切っちゃったの!さあ、早く食べましょう!」
フランソワーズさんも、楽しそう。
「こういうとき、日本では“乾杯!”というんだろう?」
ピュンマさんがジョーさんに聞く。
「そうだよ!それじゃあ僕が。
⚫⚫⚫さん、ギルモア邸にようこそ!乾杯!」
「「「乾杯!」」」
「フランソワーズさん、これはこっちでいいですか?」
「ありがとう、⚫⚫⚫さん。」
洗い物をしているフランソワーズさんのところへ食器を持っていく。
「味付けは口に合ったみたいネ。」
お皿を下げに来た張々湖さんが、ニコニコしならがら言う。
「はい!とてもおいしかったです。ありがとうございました!」
私も笑顔で答える。
「フランソワーズさん、一緒にやります!」
お皿を並んで洗う。
「ねぇ、⚫⚫⚫さん、もし良かったら敬語じゃなくて普通にお喋りしない?」
とフランソワーズさんに言われた。
なんだか敬語が落ち着かなくて、とフランソワーズさんは困ったように笑った。
「あ、すみません!えと、うん、わかった!」
と返事をすれば、
「じゃあ、私のこと、フランソワーズって呼んでね!⚫⚫⚫さんのこと、呼び捨ててで呼んでも良い?」
と、笑顔で言われた。
私はちょっとびっくりしながらも、仲良くなるチャンスだ!と気合いを入れ、
「もちろん!」
と元気よく頷いた。
それを見ていた張々湖さんが、
「ワイも⚫⚫⚫って呼ぶネー!!」
と言っていた。笑ってはい、と頷く。
「賑やかだね。はい、これが最後だよ。」
とジョーさんがお皿を持ってきてくれた。
フランソワーズさんがジョーさんに嬉しそうに報告する。
「そうなんだ!じゃあ僕も呼び捨てで呼んでもいいかい?」
「はい!ぜひ!」
私は喜んで答えた。
ちょっとは仲良くなれたかもしれない。
特に紅一点のフランソワーズさんと少しでも仲良くなれたのは嬉しい。
そのあとは持ってきた荷物の整理などをして、1日目が終わったのだった。