ハンター試験
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銀髪の彼について奥の扉へ足を踏み入れればそこはテーブル席が真ん中にぽつんとひとつだけある空間だった。扉は私達が入ってきた所だけ。あとは窓も何にもない空間。
…ステーキ定食いつ来るんだろ。さっき店に入った時に嗅いだ匂いを思い出して、きゅる、と小さくなったお腹を慌てて抑えた。目の前にいるイケメンに聞かれたらたまったもんじゃない。
チラチラ気付かれていないか彼を確認していると急な浮遊感に襲われた。あの、臓器が浮く感じ。それと同時にゴゥンゴゥンと小さく扉の方からなる音。…なんだろ、何だかエレベーターに乗ってるみたいだけどちゃんとステーキ定食来るんでしょうね。
頭の中をステーキ定食でいっぱいにしてから一向に来ないおっちゃんを呼ぶため扉に手を掛け思い切り引いて、開けた。
「…!?ばっ、おま、何してんだよ!」
「おぅえぇっ!」
それはもう、とんでもない力で首根っこを引っ張られた。気道を締められる感覚に喉が悲鳴をあげとんでもない声を出してしまった。…イケメンの前なのに…!!
「お前これ動いてること分かんねぇのかよ!あ、危ねーことしてんじゃねーぞ!!」
ゲホゲホと咳き込む前に目の前の彼がまるで初対面の人に威嚇している子猫のように見えた。…て、そんなことはどうでも良くて。え?やっぱりこれエレベーターでしたってオチ?ハンター試験に行く道ならそりゃ頷ける、頷けるけど…!!
「ステーキ定食…」
「あんなの合言葉だっつーの。真に受けんな」
私の淡い希望さえ目の前のイケメン子猫にドっパン、木っ端微塵にひねり潰された。ステーキ定食がない…楽しみだったのに…でもこんなイケメンの前でそんな食べ方汚くなるような肉料理食べたくない…神よ、あなたって人は…
2つの目から汗を吹き出していたところ、チン、という軽い音がして扉が勝手に空いた。さっきは手動だったのに…!そんな事も気に留めず彼はすたすたと暗い洞窟みたいなところに入ってく。その様子を見て慌てて後に続いたけどなんでこう、警戒心ないのかなぁ…!!こう見えても女の子なんだから少しは優しくしてよ、首苦しかったよ!そうよどんなにイケメンだったとしてもあれよ、レディファーストがなってなかったら元も子もないんだからね!私の中じゃそんなの関係ないけど!
銀髪イケメン少年の後に続いて行くと、そこは真っ暗な洞窟だった。すんごいジメジメしてそうな場所。そこには結構多くの受験者らしき人達がわんさかしてる。え、受ける人こんなにもいるんだ…ハンター試験すごすぎ。
田舎者特有の上を見上げて歩いていたところ、どす、と鈍い音を立てて誰かにぶつかってしまった。うわ、田舎者なのバレる
「ごめんなさい、」
「はい、ナンバープレートをどうぞ」
え……豆だ……頭がすごく緑の豆。まめ、マメ、豆。以前お母さんがソラマメっていう大きめの豆を茹でて食べさせてくれたけど、あれの塩ゆでがもう絶品で……もしかしてこの人も塩ゆでしたら結構美味しくなるんじゃないの……?
「…あの?」
私の頭の中で塩ゆでされたソラマメに変換された彼は一向に差し出したナンバープレートを受け取らない私を不思議に見詰めてきた。はっ、いけないいけない……ステーキ定食食べられなかったからってこの人は食べちゃダメ。そもそもほんとにソラマメって決まったわけじゃないんだから。でも正体がソラマメだったらそれはもう有難くかぶりつかせて貰おう。もちろん、塩ゆでした後に。
頭の片隅に目の前の彼がお皿に盛り付けられた姿を想像しながら有難くナンバープレートとやらを受け取る。そこには“100”と少しオシャレな字体で書かれていた。100って、私100番目にここに到着したってこと?じゃあさっきの銀髪の人は99ってことかぁ。
ハンター試験って毎年何人くらい集まるのかな。100人ってもう十分過ぎない?でもゴンが来てないからだめだ、今始まられたら私がここに来た意味が無くなっちゃう。
「君、新顔だね」
「は?」
おっと、急な出来事に少女らしからぬ汚い言葉を使ってしまった…。だって考え事の最中に声掛けられるなんてそりゃ間抜けた声出ちゃうでしょ。だから文句は目の前のこの団子っ鼻の男の人に言って欲しい。
「あぁ、急にごめんよ。俺はトンパ。今回で35回目のハンター試験なんだ」
「はぁ……」
私よりずっとずっと歳上そうな目の前の男の人は自慢なのか35回ハンター試験を受けていると言った。…それ自慢になるのかな?威張ることではないよね、だって35回受けてて未だに合格してないんだから。それだけこの試験は難しいってこと?それじゃあ気を引き締めないと!
あ、そう言えば私自分の自己紹介してなかった。
「ルルっていいます、今回初めて試験受けます」
そう、人と人との繋がりは会話からって言うものね、いま自分で作ったけど。我ながらいいこと言うわ、私意外とセンスあるんじゃない?むふふ。
とりあえず銀髪イケメン少年が先にどっかいっちゃって一人心細かったから声掛けてくれてよかった、トンパさんに感謝。こんなに殺気立ってないでこう、フレンドリーな人達ばっかりだったら楽しいのに。助け合えるし、助け合えるし、主に助け合えるし。
「ルルちゃんか、宜しくね。ここは殺気立ってて緊張するだろう、これでも飲んで気を落ち着かせてよ」
そう言ってパンパンに張ったお腹の横、肩から下げているショルダーバックからオレンジジュースのような張り紙がしてある缶を取り出す。
うわ〜トンパさん分かってるぅ、私ほんとあのイケメンのせいで心臓バクバクだったんだよね、喉も乾いてたしナイスタイミング。
「うわぁ、ありがとうございます!大事に飲みますね!」
飲み物を目の前にして私の喉の乾きは頂点に達し、疑うこと無くジュースを受け取った。
…あれ?きっとトンパさんはこんな私に気を使ってジュースを差し出すために来てくれたし、もう私のことは放っておいてもいいはずなのにまだ私の目の前でニコニコ朗らかな笑顔でいるってことは……味の感想が欲しいんだ!きっとこれはトンパさんお手製の果汁100%オレンジジュースなのね…だから感想待ちしてるのよ!よし、そうと決まれば早くこの絶対美味しいって分かり切ってるジュースを飲まねば!
かしゅ、とプルタブを開ける。このプルタブ開けるの結構嫌いなんだよね、爪が飛んじゃいそうで。まぁそれは置いといて、やっぱりこれは果汁100%だ…!ふわりと鼻を掠めるオレンジの香りに誘われて淵に口を付けて一口づつ飲んでいく。うわ、これ美味しい、喉乾いてるから余計美味しく感じる!!
「っトンパさん、とっても美味しいです!」
「ははっ、そりゃよかった。じゃあお互いに試験頑張ろうな」
やっぱり感想聞きたかったんだなぁ。背を向けて歩いていく彼の背中を見詰めてしみじみ思う。そりゃ手作りだったら感想欲しいよね、私も欲しいもん。
…それにしてもなんかやけに喉が渇くなぁ。やっぱ自分が気づかないだけで身体は緊張して仕方ないんだろうな。
そう思いつつ、トンパさんから貰ったジュースを飲み干した。
(あいつ、もうおむつ無しじゃ試験受けられねぇな)
(ほんっと美味しい、後で作り方教えて貰お)
…ステーキ定食いつ来るんだろ。さっき店に入った時に嗅いだ匂いを思い出して、きゅる、と小さくなったお腹を慌てて抑えた。目の前にいるイケメンに聞かれたらたまったもんじゃない。
チラチラ気付かれていないか彼を確認していると急な浮遊感に襲われた。あの、臓器が浮く感じ。それと同時にゴゥンゴゥンと小さく扉の方からなる音。…なんだろ、何だかエレベーターに乗ってるみたいだけどちゃんとステーキ定食来るんでしょうね。
頭の中をステーキ定食でいっぱいにしてから一向に来ないおっちゃんを呼ぶため扉に手を掛け思い切り引いて、開けた。
「…!?ばっ、おま、何してんだよ!」
「おぅえぇっ!」
それはもう、とんでもない力で首根っこを引っ張られた。気道を締められる感覚に喉が悲鳴をあげとんでもない声を出してしまった。…イケメンの前なのに…!!
「お前これ動いてること分かんねぇのかよ!あ、危ねーことしてんじゃねーぞ!!」
ゲホゲホと咳き込む前に目の前の彼がまるで初対面の人に威嚇している子猫のように見えた。…て、そんなことはどうでも良くて。え?やっぱりこれエレベーターでしたってオチ?ハンター試験に行く道ならそりゃ頷ける、頷けるけど…!!
「ステーキ定食…」
「あんなの合言葉だっつーの。真に受けんな」
私の淡い希望さえ目の前のイケメン子猫にドっパン、木っ端微塵にひねり潰された。ステーキ定食がない…楽しみだったのに…でもこんなイケメンの前でそんな食べ方汚くなるような肉料理食べたくない…神よ、あなたって人は…
2つの目から汗を吹き出していたところ、チン、という軽い音がして扉が勝手に空いた。さっきは手動だったのに…!そんな事も気に留めず彼はすたすたと暗い洞窟みたいなところに入ってく。その様子を見て慌てて後に続いたけどなんでこう、警戒心ないのかなぁ…!!こう見えても女の子なんだから少しは優しくしてよ、首苦しかったよ!そうよどんなにイケメンだったとしてもあれよ、レディファーストがなってなかったら元も子もないんだからね!私の中じゃそんなの関係ないけど!
銀髪イケメン少年の後に続いて行くと、そこは真っ暗な洞窟だった。すんごいジメジメしてそうな場所。そこには結構多くの受験者らしき人達がわんさかしてる。え、受ける人こんなにもいるんだ…ハンター試験すごすぎ。
田舎者特有の上を見上げて歩いていたところ、どす、と鈍い音を立てて誰かにぶつかってしまった。うわ、田舎者なのバレる
「ごめんなさい、」
「はい、ナンバープレートをどうぞ」
え……豆だ……頭がすごく緑の豆。まめ、マメ、豆。以前お母さんがソラマメっていう大きめの豆を茹でて食べさせてくれたけど、あれの塩ゆでがもう絶品で……もしかしてこの人も塩ゆでしたら結構美味しくなるんじゃないの……?
「…あの?」
私の頭の中で塩ゆでされたソラマメに変換された彼は一向に差し出したナンバープレートを受け取らない私を不思議に見詰めてきた。はっ、いけないいけない……ステーキ定食食べられなかったからってこの人は食べちゃダメ。そもそもほんとにソラマメって決まったわけじゃないんだから。でも正体がソラマメだったらそれはもう有難くかぶりつかせて貰おう。もちろん、塩ゆでした後に。
頭の片隅に目の前の彼がお皿に盛り付けられた姿を想像しながら有難くナンバープレートとやらを受け取る。そこには“100”と少しオシャレな字体で書かれていた。100って、私100番目にここに到着したってこと?じゃあさっきの銀髪の人は99ってことかぁ。
ハンター試験って毎年何人くらい集まるのかな。100人ってもう十分過ぎない?でもゴンが来てないからだめだ、今始まられたら私がここに来た意味が無くなっちゃう。
「君、新顔だね」
「は?」
おっと、急な出来事に少女らしからぬ汚い言葉を使ってしまった…。だって考え事の最中に声掛けられるなんてそりゃ間抜けた声出ちゃうでしょ。だから文句は目の前のこの団子っ鼻の男の人に言って欲しい。
「あぁ、急にごめんよ。俺はトンパ。今回で35回目のハンター試験なんだ」
「はぁ……」
私よりずっとずっと歳上そうな目の前の男の人は自慢なのか35回ハンター試験を受けていると言った。…それ自慢になるのかな?威張ることではないよね、だって35回受けてて未だに合格してないんだから。それだけこの試験は難しいってこと?それじゃあ気を引き締めないと!
あ、そう言えば私自分の自己紹介してなかった。
「ルルっていいます、今回初めて試験受けます」
そう、人と人との繋がりは会話からって言うものね、いま自分で作ったけど。我ながらいいこと言うわ、私意外とセンスあるんじゃない?むふふ。
とりあえず銀髪イケメン少年が先にどっかいっちゃって一人心細かったから声掛けてくれてよかった、トンパさんに感謝。こんなに殺気立ってないでこう、フレンドリーな人達ばっかりだったら楽しいのに。助け合えるし、助け合えるし、主に助け合えるし。
「ルルちゃんか、宜しくね。ここは殺気立ってて緊張するだろう、これでも飲んで気を落ち着かせてよ」
そう言ってパンパンに張ったお腹の横、肩から下げているショルダーバックからオレンジジュースのような張り紙がしてある缶を取り出す。
うわ〜トンパさん分かってるぅ、私ほんとあのイケメンのせいで心臓バクバクだったんだよね、喉も乾いてたしナイスタイミング。
「うわぁ、ありがとうございます!大事に飲みますね!」
飲み物を目の前にして私の喉の乾きは頂点に達し、疑うこと無くジュースを受け取った。
…あれ?きっとトンパさんはこんな私に気を使ってジュースを差し出すために来てくれたし、もう私のことは放っておいてもいいはずなのにまだ私の目の前でニコニコ朗らかな笑顔でいるってことは……味の感想が欲しいんだ!きっとこれはトンパさんお手製の果汁100%オレンジジュースなのね…だから感想待ちしてるのよ!よし、そうと決まれば早くこの絶対美味しいって分かり切ってるジュースを飲まねば!
かしゅ、とプルタブを開ける。このプルタブ開けるの結構嫌いなんだよね、爪が飛んじゃいそうで。まぁそれは置いといて、やっぱりこれは果汁100%だ…!ふわりと鼻を掠めるオレンジの香りに誘われて淵に口を付けて一口づつ飲んでいく。うわ、これ美味しい、喉乾いてるから余計美味しく感じる!!
「っトンパさん、とっても美味しいです!」
「ははっ、そりゃよかった。じゃあお互いに試験頑張ろうな」
やっぱり感想聞きたかったんだなぁ。背を向けて歩いていく彼の背中を見詰めてしみじみ思う。そりゃ手作りだったら感想欲しいよね、私も欲しいもん。
…それにしてもなんかやけに喉が渇くなぁ。やっぱ自分が気づかないだけで身体は緊張して仕方ないんだろうな。
そう思いつつ、トンパさんから貰ったジュースを飲み干した。
(あいつ、もうおむつ無しじゃ試験受けられねぇな)
(ほんっと美味しい、後で作り方教えて貰お)