君はかわいいエトランゼ
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「ナミから聞いたの。あなたが、珍しく真っ当に見えたって」
「………そりゃ、光栄だ」
「見物に来てみて正解だったわ、お陰で珍しい物が見られたもの」
「……………楽しんでくれたんならよかったよロビンちゃん」
火曜日の閉店間際。厨房から戻ってきたらカウンターにあの子が座ってた。そんないつかみたいな出来事は起こるわけもない。ロビンちゃんの髪の毛に映りこんだランプの明かりを眺めながら、また性懲りもなく名前ちゃんの事を思い出してるんだから本当に始末に終えない。黒い髪の毛。あの子の髪はもう少しだけ茶色がかってて、ほんの少しだけ癖があった。そういえば、誉めたらすっげぇ嬉しそうに笑ってくれたな。あれはクッソ可愛かった。三日くらい思い出す度ににやけてた。らしくねぇなんて今更思いもしなくなったくらいに、最近はいつだって頭の片隅で彼女の事をちらつかせている。あーあ、馬鹿馬鹿しい。俺の考えを見透かすみたいに ロビンちゃんは笑って、「エトランゼに、よろしく」なんて今更夢みたいなからかいかたをしてくる。「彼女に伝えて。今度会えたら、クリスティの話でもしましょ、って」
…それ、伝えられそうもねえよロビンちゅわん。内心で情けなく思いながらとりあえず笑っておいた。あれからもう、3ヶ月もたったんだ。俺はカフェの店主で、あの子は客の一人でしかなくて。文庫本だとかマフラーだとか、そんなちゃちい小道具じゃ崩せるわけがないくらいにそれは、当たり前の関係だ。むしろ今まで、それが続いてた事の方が不思議なくらいだ。
だから、こんな風にあっけなく終わっちまうのも当然なわけで。
立ったままカウンターに突っ伏してみたら、いつも名前ちゃんが座ってたテーブルが目の前にあった。そこに座ってた彼女の事を思い出したりしながら俺は、そのテーブルに『予約席』の札なんかたてたりして、
借りっぱなしの文庫本だとか貸しっぱなしのマフラーだとか、そんな物で繋ぎ止めておける訳ないことくらい解ってたくせに。で、今度は『予約席』とか本当に下らねえ。我ながらすっげえ馬鹿らしい。そういえば少女漫画じゃねぇんだから、とかなんとかいつだったか言われた気もするけど。うっせぇ放っとけばーか。頭の中の長っ鼻に悪態をつきながら性懲りもなく考える。
例えば、デザートのチーズケーキだってチョコレートパフェだって全部全部君の為だったんだ、とか。白状したらあの子は、一体どんな顔をしてくれたんだろう。