君はかわいいエトランゼ
名前変換
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フォーリンラブ、なんちゃって。毎週火曜日。いつものカフェへと道を歩く。この『なんちゃって』の部分が重要だな、うん。『なんちゃって』をつけることで余裕が感じられるようになる。そう、奈落の底までフォーリンラブ、なんちゃって、
「あァ、いらっしゃい。名前ちゃん。」
「あ、え、えへ、どうもどうも。」
カフェの扉を開けると、店長さんはふんわり笑って声をかけてくれる。眼鏡だ、店長さん眼鏡かけてる、超かっこいい、なんか色っぽい、いや、それよりももう名前覚えてくれたんだ、嬉しいような恥ずかしいような、
先週までとは違う、ちょっとだけ、ほんとに少しだけ近づいた距離が嬉しくてへらへら笑う。もっと近づきたい、なんちゃってなんちゃって。我を忘れてはいけない。フォーリンラブ『なんちゃって』位の感情に留めておかないと、きっと痛い目をみることになる。自分に言い聞かせたりどぎまぎしたり、恐ろしく思考を高速回転しながらいつもの席に向かう、私に、店長さんが椅子を引いてくれる。
「今日のご注文は、どうされますか?プリンセス。」
「あ、えーと、今日のオススメは」
「オムライス。デザートはラズベリームースで、前菜にサラダとテリーヌ付き。」
「!そ、それでお願いします。」
「…かしこまりました、マドモアゼル。」
店長さんに見つめられている事も一瞬忘れて、オムライスに胸を踊らせる。きっと店長さんのオムライスは、ふわふわ卵のめちゃくちゃおいしいやつなんだろう。それに、ラズベリームース。にこにこへらへらしながら注文をすると、店長さんは目を細めて私を見る。
「髪、今日はおろしてるんだね、名前ちゃん。」
「へ、変、ですかね?」
長い指が髪の毛に少しだけ触れる。それだけで、オムライスに集中できていた意識が全て店長さんに持って行かれてしまう。
「いや、クソ可愛い。」
「ま、またまたぁ…店長さんったらお戯れを」
目をそらしてテーブルの上のグラスをじっと見つめる、ふりをしながら横目で店長さんを見る。イメチェンで店長さんの男心をうんぬんしようとした私の浅い戦略が見透かされたような気がして、居心地が悪くなる。店長さんは少し笑ったりして、それを見た私はまた顔が熱くなってくる。恥ずかしい、どうしよう、あ、でももっと見つめてて欲しい、なんちゃって、あ、目があった、
「呼んでくれねェんだ、俺の名前。」
ちょっとだけ意地悪そうに笑う店長さん、眼鏡をかけた(ここ重要)(誰に言ってるんだ?)店長さん、から、目が離せなくなる。
「あ、えっと、えっと、」
よ、呼べる訳ないじゃん。そんな、さささ、サンジさんなんて呼べる訳がない。ほら、頭の中で名前を呼ぶのだって恥ずかしいのに、そそそそんな実際呼べるわけが、
――からんからん。
ちょうどよくお客さんが入ってくる。ちょうどよかった、んだけど、少し残念というか、もう少し見つめてて欲しかったというか(なんちゃって)