拍手再録
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俺のプリンセスの友達が東京に遊びに来た。どうやら三日ほどこのアパートに滞在するらしい。
聞いた当初は野郎だったらどうしようと慌てたもんだが、もちろんそんなことはなく。
「じゅんちゃん、この人、私の携帯。BT19Sさん。名前はね、サンジさんって言うの。」
プリンセスが連れてきた可愛らしいレディに俺はとびっきりの笑顔で挨拶した、ら、彼女(じゅんちゃんと言うらしい)はぽかんとした顔で俺を見つめる。
「はじめましてじゅんちゃん、プリンセスから聞いてた通りだ、クソ可愛いね」
「ああ、はじめまして…サンジさんは、なんか…苗字から聞いてたイメージとえらく違う…」
「えっ?」
「写メ送れないからって、苗字が描いてた似顔絵と大分違う…」
似顔絵…?そういえば、一昨日くらいにプリンセスが妙な絵を描いていたのは見たが…そして確かにそれを写真にとってメールに添付して送ってくれと言われたが…あれはまさか…まさかな。
「あの絵はもっと、こう、もっさいと言うか…」
「…あー…じゅんちゃん、その似顔絵ってまさか、これ?」
「!そうそう、それ!やだ苗字。全然似てないじゃない!」
「うそっ、そっくりだよ。すごい上手く書けたもんそれ」
「…プリンセス…本当に、そう思うのかい…?」
「え、だって眉毛のあたりとかすごい頑張って描いて」
「………。」
あからさまに丸すぎる顔。虚ろなのに妙に黒目のでかい目。ぼさぼさの髪の毛に、辛うじて俺の面影を反映させた眉毛。…もっさいというか、これは…
「そりゃないぜ、プリンセス…」
あからさまに落ち込んだ俺を、じゅんちゃんが慰めてくれる。さすが、俺のプリンセスの友達は可愛い上に優しい。
「そんな落ち込まんで大丈夫よ…苗字はね、高校の美術でも1とったりしてたけぇね…」
「あっ、ちょっとじゅんちゃん、恥ずかしいけ、サンジさんに言わんでよ!」
「だってあんた流石にこれは」
「そっくりじゃが!」
「…………」
似顔絵の下手な持ち主
「君にとっての俺のイメージはこれなのかい、プリンセス…」
「えっ、サンジさんなんでそんな落ち込んで、そっくりなのに…」
「あーもう苗字、あんたちょっと黙っときや!眉毛しか似とらんが!」
「………。」
*
俺のプリンセスの通う大学に、新しくやってきた留学生、が、俺そっくりなんだそうで。
とにかく妙なテンションで会わせたい会わせたい言っていたので、何か嫌な予感がしていたんだが。
「デュバル君、こちら、私の携帯の…ぶふっ…そっくり…」
「確かにオラとそっくりだす!」
「………」
たまに、ほんとにたまになんだけど俺はこの子に嫌われてんじゃねェかと思うことがある。そう、例えば今みたいな時に。
ぬらべっちゃぬらべっちゃと妙な語尾を付けて話す件の留学生とやら、今俺の前にいる男は、彼女の描いた俺の似顔絵とそっくりだった。つーか、同じ顔。愕然とする俺の胸中なんかお構いなしに、彼女はたががきれたように笑い出す。
「あ、ちょっとそこならんでみて…ぶっ…あははそっくりひゃひゃひゃひゃ…ま、眉毛があはは」
…失礼だろうが、流石に。俺にもこいつにも、…いや、こいつには失礼じゃない。俺に失礼だ。
そもそもこの子は、俺の事を何だと思ってるんだろう?まぁ、それは後々じっくり話し合うとして。問題は、こいつだ。この、ぬらべっちゃ男。
流石にこいつとそっくりと言われるのは、俺のプライドが傷つく。
「あー…プリンセス。ちょっとこいつと2人っきりにしてくれるかい。」
「…ぶっ。ふふ、りょ、了解です…」
尚も笑い続けるプリンセスを部屋から追い出して、自称俺のドッペルゲンガーと2人っきり。
「てめェ何つった、名前。」
「オラ、デュバルだど。ほんと、俺とお前そっくり、」
「いいか、それ以上喋るな。あと、絶対動くなよ」
「えっ、ぎ、ぎゃああああ、」
俺のプリンセスが、俺とこいつが似てると言うんなら仕方がねぇ。彼女の言うとおりに、こいつの顔を変えるまでだ。
さっき傷つけられたプライドを取り戻すためにも、ぬらべっちゃ男の顔に蹴りを入れまくった。そして、五分後。
「うっ…嘘…こんなことが…」
「俺そっくりになったろ、こいつ。」
顔の骨格を変えて、顔だけ妙にハンサムになったぬらべっちゃ男が、驚愕の表情で鏡をみつめていた。つーわけで、さっさと帰りやがれ、クソ野郎が。ぬらべっちゃ男を追い出す俺をプリンセスががっかりした表情でみている。
「サンジさん、明らかに整形前のほうが似てたよ…」
この子、本当は俺の事が嫌いなんじゃねぇだろうな……。
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