サンジ/短編
名前変換
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好きです大好きですむしろ、
むしろ愛してるくらいのレベルで大好きです愛してます何よりも、それこそ三度の飯より、いやあなたの作ったご飯は非常においしいので捨てがたいのですがそれ以上に、あなたの事が好きすぎて死にそうです、なんて、言えるわけはないんですけども。
そんな諸々の言葉がこんがらがって喉に詰まって結局はいつも口には出せない、ので、代わりにいつものようにサンジ君が作ってくれたケーキを食べながらキッチンに立つ後ろ姿を眺める。ストライプのシャツを着た、背中。細くて綺麗な指先が包丁を握って、軽快に野菜を刻んでいく。今私が食べているこのケーキだって、ついさっき彼の、あの綺麗な指先が作り出したものなんだとか、そんなことを考えてしまったら何も特別なことなんてないのに一気に顔が熱くなっていく。視線がレーザー光線だったら、サンジ君は粉々にくだけ散ってる所だろうなんて、下らないことを考えながら気づかれないようにひたすら背中を見つめる。
刻んだ野菜をまな板の横に避けて、低く鼻唄を歌いながら。ふいにサンジ君が振り向く気配がした、ので、全ての反射神経を駆使して顔を背けた。あなたの事が好きすぎて凝視してました、なんていくら何でもやばい人だ。サンジ君が私の何が好きなんだかはわからないけれど、多分恋人がこんなやばい人だなんて知られたらドン引きされるかもしれない、
「名前ちゃん、」
甘くて低い声、が、誰かの名前を呼んだ。よく考えてみたらそれは私の名前で、平凡な私の名前で、そのはずなのに彼が呼ぶとまるで何か特別なものみたいに聞こえたりして、
「…名前、ちゃん、!」
意外と近くから聞こえた声、に、振り向いたらサンジ君が私のすぐ後ろに立っていて、なんか知らないけど勝手に体が動いて抱きついてしまった。すみません嘘つきました。本当はあなたの事が好きすぎて、抱きついたらタバコの香りがするんだろうなぁと思ったりしてしまって、その、つまり、
私は何て大それた事をしているんだろう。脳溢血になりそうな勢いで頭に地が上っていく。ひんやりした手が当然みたいに背中に回ってきて、耳元で笑う声が言葉を紡ぐ。どしたの、いきなり。
いきなり、本当にいきなりすぎる。どうして私に限って、いきなり抱きつくなんて大それた事をしているんだろう。ストライプのシャツから思った通りのタバコの香りがして、サンジ君の顔を見上げてぼんやりと考えた。まつげ長い、
本当に、どうしてこの人が私を好きだなんて言うんだろう。信じられない気持ちになりながら、とりあえず絞り出した言葉は本当に馬鹿みたいな言い訳だった。
*
「あ、えっと、…か、体が、勝手に。………なんちゃって」
*
うわ、ちょっとまじで勘弁して頼むから、
予想外に可愛すぎる行動に顔が一気に熱くなっていく。可愛い、クソ可愛い。可愛すぎるどうしよう、どうしたらいいんだよまじで。
ごめんだとかなんだとか謝りながらすごい勢いで離れようとする名前ちゃんを腕の中に閉じ込めた。甘ったるい香りが鼻を擽る。
何かを言おうとするのを遮って口付けてみたら唇まで甘ったるくて驚いた。多分錯覚、なんだろうけど、そんな錯覚を起こすくらいに俺はこの子にやられてて、名前ちゃん、名前を呼んだ声は上ずっててみっともない事になってた。
「好きだ大好きだクッソ愛してる、俺のプリンセス、」
「………あの、」
「ん?」
「…ごめん何でもない、いや、えっと、その、ですね、」
ああもう駄目だやべぇ、その顔まじでやべぇもう本当可愛すぎてどうしよう、
しばらく口ごもったあげくに、名前ちゃんは「ごめん、大好き。」なんて可愛すぎる事を言うから、完璧に余裕をなくしてしまった俺は強引にキスをして、やっぱり唇が甘ったるいような錯覚を起こして、さんじくん、柔らかい彼女の声に頭が痺れたみたいになって、
「えっ、な、…サンジ君、なんで、ちょっと、」
例えば、困ったみたいに目をそらせたりして。その癖、背中に手を回して抱きついてきたりする、から、やっぱ無理だ我慢できるわけがない。いや嘘、我慢なんて最初からする気もねぇんだけど。小さく悲鳴を上げるのを気にしないで抱き上げてキッチンを後にする。さすがにここで襲いかかるのはまずい、とか、そんなところに頭が回った自分を誉めてやりたい気分だった。甘い香り。 …ああもう駄目だ可愛い、
「あ、えっと、サンジ君、?」
「名前ちゃんが可愛すぎんのが悪い。」
「……えっ!?」
「そんな可愛くて俺の事どうしたいの、プリンセス。」
ベッドに下ろして、壁際に追い詰めれば名前ちゃんは面白いくらいに顔を赤くしながら俺を見る。潤んだ目の中に映ってるのは俺だけで、つまり今この子が見てるのは俺だけな訳で、そんな程度の事で幸せすぎておかしくなりそうになる。
「…ス、……スカル、ジョーク?」
「…ジョークじゃねぇってば、」
「いやだってわ、私が可愛いとか、お戯れを、」
「つーかさ、名前ちゃん。俺の前で他の男の話しないでよ、」
「え?、なにが、…んっ、」
スカルジョークとか、そんな言葉にすら嫉妬する俺は相当にいかれてるんだろうけど。甘ったるい香りにどんどん余裕を奪われていって、熱に浮かされたみたいだ。
好きすぎておかしくなりそう。囁いてみたら甘ったるくて柔らかい声が言うのを聞いた。
「……私は、とっくにおかしくなってるよ、」
あなたの事が好きすぎて死にそうです、なんて。やばい、まじでやべぇもう無理可愛すぎ、鼻血でそう心臓止まりそう、
これで死んだら死因は何なんだろう。キュン死にか?…悪くねェな、
my sweet,sweet,sweet,
可愛い可愛い俺の名前ちゃん、俺の声にはやっぱり全然余裕なんかなくって、甘ったるい香りとか、声とか、名前ちゃんの全てが俺を狂わせにかかってるような気がして、まるで麻薬みたいだとか、そんなことを本気で考えた。きっと、俺はとっくにこの子に狂わされてるんだろう。