サンジ/短編
名前変換
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これは、やべェ、死ぬ、かも。そう思った瞬間に何故か思い浮かべようとした女神は名前ちゃんの姿で、頭の中で彼女は俺を怒鳴りつけた。
「死んだら、許さないから!」
一瞬で頭がクリアになる。アイマム、頭の中の彼女にそう返して敵を蹴散らしていく。
*
最後に君に触れたのはいつだったか。
目を閉じて思い浮かべる。あの子の横顔、綺麗な髪。今日も君の事を考えてたらもう日が暮れたよ、なんて言ったら笑うだろうか。
俺の想像の中で顔を赤くする名前ちゃんすら愛しくて、こんな状況なのに笑ってしまう。きっと今も名前ちゃんの周りを取り囲む甘い香りは、相変わらず俺をうっとりさせるんだろう。壁にもたれて煙草に火を付ける。深く吸い込めば、ミシミシと体が軋んだ。
「またあばらがやられたな、こりゃ」
呟いた自分の声は存外弱々しい。情けねぇ、そう思いながら考えるのは彼女のことだ。あれからもう何日たったんだろう。名前ちゃんは無事だろうか。俺が怪我してるのを知ったら、いつもみたいに怒るんだろう。軽く俺の事を叩いてから、無理しないで、なんて泣きそうな声で。
短くなった煙草を地面に押し付ける。
体からどくどくと血が流れていくのと、薄れていく意識、を感じながらまた性懲りもなく彼女の名前を呼んだ。
*
あの人の指が髪に触れる、瞬間の幸福を、私はいつまで思い出せるんだろう。大分血が流れ出た体でふらふらと歩きながら、それでも私の目はサンジ君を探そうとする。
もう何度思い浮かべたんだろう、名前ちゃん、と低い声で私を呼ぶ声と、髪に触れる体温の低い指。今頃何してるんだろう。無事かな、怪我してないかな。
何度考えたって仕方がない事を考えながら、私はまた性懲りもなく彼の名前を呼んだ。
*
「サンジ君!」
彼女の声が聞こえた気がして、顔を上げる。さっきまで何度も思い浮かべた彼女の声。
視線をふらふらとさまよわせて、名前ちゃんの姿を捉える。泣きそうな顔で俺を見る彼女はさっきまでの俺の想像の何倍も綺麗だ。女神とか天使とか、ポロポロと口から零れる俺の陳腐なセリフに、名前ちゃんは顔を赤くする。
君の事を考えてたら日が暮れたんだ、なんて言ったら名前ちゃんは笑ってくれるだろうか。
まァ、ともかく。漸く君を抱きしめられる。
そんなことを考えながら俺は目を細めて彼女を見た。
君の綺麗な香りが近づいてくる、
night and day
朝から晩まで君に夢中。