サンジ/短編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ぐ、と腕を掴まれる。顔を上げたサンジ君と目があった。掴まれた腕が熱い。顔も熱い。サンジ君が楽しそうに笑う。
「引っかかった。」
「ひ、ひっかかったって、」
強引に引き寄せられて膝の上で抱きしめられる。首筋に熱い息がかかって体が震えた。
「うわ、ちょ、サンジ君離し」
「やだ。離さねェ」
キッチンのテーブルで酒瓶と一緒に突っ伏して寝ているサンジ君を見つけたのが十分前のこと。あーあこりゃだめだなんて思いながら部屋まで連れて行って、サンジ君が酔ったとこなんてめったに見れないから嬉しかったんだけど、
「よっ、酔ってないでしょッ…!」
「酔ってるよ」
「嘘だ絶対酔ってな、」
「酔ってるから」
嘘だ。強めに抵抗したらさらにきつく抱きしめられる。首筋を熱い舌が這って、背筋がぞくぞくする。掠れた低い声。絶対嘘だ、さっきまでぐでぐでに酔ってた人がこんな力出せる訳ない。
「…ッ、やだ、やめ」
「あーあ、クソ可愛い」
そのまま軽く歯をたてられて力が抜ける。サンジ君がくつくつと喉を鳴らして笑う、のを聞いたらさらに顔が熱くなる。ちょ、もういい加減離して…!肩を押すけど、私の力じゃびくともしない。どうしようどうしようと混乱する頭のどこかで冷静な声がした。
あーあ、こりゃだめだ。
「ねェ、名前ちゃん」
「な、何?ていうかいい加減離してくれたりは、しませんかねサンジ君」
「却下。名前ちゃんが警戒心なさすぎんのが悪い」
「わ、わかった次から気をつけるから離し、」
「やだ。」
長い指が髪の毛を梳いて、耳に掛ける。ああもう、十分前の私の馬鹿…なんて思ってたらサンジ君が顔を上げて、目があった。にっこり。いつもの優しいサンジ君、に、見えるけど、妙に威圧感があって怖い。にっこり。私も引きつった愛想笑いで返す。
「俺じゃなかったらどうしてたの」
「い、いや、だってサンジ君だし」
「だから、俺じゃなかったら?俺じゃない他の野郎が酔いつぶれてたらどうすんの、名前ちゃん。」
「ど、どうって、ど、どうしましょう?」
にこにこと一見上機嫌に話す、のに、目が笑ってない。君はほんと、クソ鈍いよね。耳をくすぐる声。低くて掠れてて熱っぽい、
「名前ちゃん、知ってるかい?」
何を、言おうとした声はキスで塞がれた。最初にペロリと私の唇を舐めて、熱い舌が入ってくる。
たばこのあじ。
サンジ君の味だ、それだけ思ってあとは何も考えられなくなるんだから質が悪い。舌を絡め取られて、上手に息ができなくなる。その間も長い指は器用に動く。耳を軽くひっかかれて、びくびくと体が震える。
「男は狼なんだって。」
唇を離して、すれすれの所で囁く。いつもの紳士然としたサンジ君は、もういない。
長い指がそのまま服のボタンを外そうとする。
「や、ちょ、まっ」
「だから待たねェって」
止めようとした私の手は、優しいけど強引なやり方であっさり捕まってしまった。サンジ君が手に口づける仕草が色っぽいなぁとかぼんやり見てたら、目があってしまった。獲物を狙う目だ、そう、狼みたいな。
ああ、これはやばいかも、
*
ほら、すぐそんな物欲しそうな顔をする。これで無意識なんだから相当質が悪い。少し酒の回った頭で考える。
我慢するこっちの身にもなって欲しい。今日だって、そんなほいほい男の部屋に入っていかないだろ、普通(まぁ今日は俺の部屋だったからいいんだけど)
苛めてやりたくてペロリと首筋を舐めれば、面白いくらいに反応が返ってくる。
「…ッ、やだ、やめ」
「あーあ、クソ可愛い」
やだ、とかやめてとかそんな顔で言われても説得力なんかない。少しからかってやるだけのつもりだったけど止まらなくなって、あーあ、こりゃだめだなんて他人事のように考えた。
「名前ちゃん、知ってるかい?」
「男は狼なんだって。」
そう、もちろん俺もね。君は俺相手に安心しきってたみたいだけど。残念ながら俺は据え膳は残さず平らげる主義だ。
「教えてあげるよ、俺が今までどんだけ我慢してきたか。」
名前ちゃんは少し怯えたような、でも期待してるような潤んだ目で俺を見る、ので、ギリギリの所で止めようと思っていた理性もどこかへとばされてしまった。
あー、こりゃやべえかも。
キッチンドランカーの狼