エース/短編
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目があった、視線がまるで焦げ付きそうだった。遠くのどんちゃん騒ぎの音が小さく聞こえた。
指先は冷たいのに、彼にさわられてる頬だけが溶けそうに熱い。
好きになっちゃいけない、そう思ってたのに。エースから目をそらすことができない。私の大好きな、真っ黒な、瞳。
ああ、もうだめだ、
このひとは好きになっちゃいけない人だ。最初に会ったときに直感した。ということはつまり私は最初に会ったときから彼の事を好きになっていたということで、それに一生懸命に蓋をしてきた苦労も今では台無しだ。
まだ宴会の音が聞こえる今日は白ひげ海賊団のこの島での最後の夜だ。
海賊、そう、エースは海賊なんだ。いつかはこの島からいなくなってしまう。多分、ここにはもう戻ってこない。
そんなこと分かり切ってるから、私は自分の気持ちに気づかないふりをしてきた。
言える訳がない、好きだなんて。だって、そうでしょう?戻らない相手をずっと思い続けるなんて、私にはできない。
なのに。
だめだ。好きになっちゃいけない。
私のそんな気持ちはお構いなしに、エースは私に触れる。
「じ、冗談やめてよ。からかってるんでしょ?」
「冗談?まさか。」
無理に軽い調子で言った私の声が遮られる。逃げようとしたら、腕の中に閉じこめられた。
心臓の音がやけに響く。
息が、止まりそうだ。
髪を梳かれて、そのまま髪の束をとってキスされる。
熱に浮かされたようなエースの低い声にぞく、と背筋を粟立つ。
「冗談でもねェし、からかってもねェ。なぁ、名前。俺は、」
熱い指に触られる度に、どろどろと気持ちが溶けて溢れていくような気がした。
「俺はお前が好きだ。」
まるで、麻薬みたいな声で言う。そのままきつく抱きしめられて、私は目を閉じる。だめだ、好きになっちゃいけない。いけないんだ。なのに。
「だから、言ってくれよ。俺のことを好きだって、」
麻薬みたいな声。
ああ、もうだめだ、
この人はまるで、麻薬みたいに私を駄目にする。
この人が好きだ。どうしようもなく好きだ。
蓋をしていた気持ちがどろどろに溶けていく。
私は熱に浮かされるまま、彼に伝える。
「エース、私は、」
come on,baby,light my fire.
冗談やめてよ。名前は微かに震える声で言う。冗談?まさか。冗談でもねェしからかってもねェ。名前、俺は、お前が好きだ。
催眠術にかかったみたいに唇は動く。彼女が好きだ。おかしくなりそうなくらいに、俺は名前に恋してる。
「エース、私は、」
その声に、くらり、とめまいがした。まるで麻薬みたいに俺を狂わせるその声。
なぁ、名前。俺は海賊だからお前を攫ってくことだってできるんだ。望むんならどこにだって攫って行ってやれる。
だから言ってくれよ。俺のことを好きだって。
ああ、その麻薬みたいな声で、
ハートに火をつけて
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