方舟を作る
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さ、お口を開けて下さい。そのままゆっくり、……そう、ゆっくり飲み干して。恐ろしい? ふふ、何が恐ろしいのですか? 大丈夫ですよ、俺が見ていて差し上げますから。これは正しい行いです。全て、貴方の為にしている事です。それなのに貴方は一体、何をそんなに恐れていらっしゃるんですか。……夢と現実が、曖昧に? この薬を飲むたびに、そんな感覚を覚えるんですか。……そうですか、それではご不安になるのも仕方ありませんよね。ですが、大丈夫ですよ。ここは現実です。俺と貴方のいる此処こそが、正しい場所なのですから。きっとまだお薬が、お身体に馴染み切っていないのですね。それで不安感を覚えていらっしゃるんでしょう。ご安心下さい、あと何度か飲んでいただければ、そういった違和感もなくなっていくはずです。少しずつ馴染ませていきましょうね。そうしてゆっくり、少しずつ、余計な事は忘れてしまいましょうね。
そういえば最近は、悪夢に魘されることも少なくなってきましたよね。良い事です。ええ、それは全て夢の中の出来事ですよ。今此処にいらっしゃる貴方とは、一切関係のない世界の話です。貴方がお心を傾けるような価値などありませんよ。ええ、そうですとも。だって現に貴方はこうして、此処でずっと俺と暮らしてきたじゃないですか。……いつから? いつから、とは? ハハ、おかしなことを仰るんですね。貴方と俺が一緒になったのは、もう随分と昔の話だというのに。いえ、謝らないで下さい。きっとまだ、お身体が本調子ではないんです。ですからやはりもう少しの間、お薬は続けて頂かないと。ええ、大丈夫ですよ。俺がついています。時間はたっぷりあるのです。俺もお手伝いしますから、一緒に治していきましょうね。
……とはいえ、ずっとお部屋にこもりきりでは退屈してしまいますよね。毎日同じことの繰り返しでは、此処の生活に現実感が持てないのも仕方がありません。そうだ、今日は外をお散歩してみましょうか。外といっても、近くを見て回るだけですが。ご不安ですか? ふふ、大丈夫ですよ。ここにお連れした当初ならともかく、今はもう随分と【馴染んで】来ていますからね。……ああ、すみません。分かりづらい言葉を使ってしまいました。つまり、ここにいらした頃と比べると、お身体が大分回復されてきたという事です。ですから、少し外を見て回るくらいなら問題ないかと。それに、俺もご一緒しますから。きっと良い気分転換になりますよ。ええ、ありがとうございます。では、参りましょうか。この近くにきれいな藤棚があるんです。ああ、藤の香りがお好きなんですか? へぇ、藤の香水を。素敵ですね。いつもそれを、身に着けていらしたんですね。……瓶を失くしてしまった? それは残念でしたね。それなら今度、香水を贈らせて下さい。貴方に飛び切りお似合いの香りを見繕いますから。
お疲れではないですか? ……それは良かった。歩くのが億劫になったら言ってくださいね、俺が抱えて歩くことだってできますから。はあ、これも過保護なんですね。ですが、こうして歩くこと自体が久しぶりでしょう? 随分長い事、衰弱していらしたんです。俺が貴方のお身体を気にかけるのは、当然の事と思っていただかないと。そうですよ、慣れて頂かないと困ります。本当なら何もかも全て俺がして差し上げたいくらい、……、なぜそんな目をなさるんですか。はあ、俺に駄目にされる、ですか? ……すみません、仰る意味が良く分かりません。それに何か問題が? 駄目になったところで、貴方が俺の大切な方である事には変わりないのに。ねぇ、ところで本当はお疲れなのでは、……はい。しつこいですね、すみません。もうすぐそこですから、あと少しだけ頑張りましょうね。この木立を抜けた先です。
……ね、どうです? お気に召して頂けますか? ああ、良かった。実は少しどきどきしていたんです、もし気に入っていただけなかったらどうしようかと。ですが思った通りでした。貴方にはやはり、藤の花が一等お似合いだ。ほら、ね、お綺麗です。……ハハ、照れないで下さいよ。俺まで恥ずかしくなってきてしまいました。気障ですか? 酷いなあ。でも、確かに浮かれてしまっているのかもしれません。だって、漸く貴方をここまで連れ出すことができたんですから。ずっとずっと、ここにお連れしたかったんです。貴方に相応しい、優しくて美しくて、正しい場所に。
あの丘を越えた先ですか? そうですね、ここから少し歩くと、礼拝堂があります。それから薔薇園と、温室も。温室の中には、貴方のお好きな絵に似せて設えた池があるんです。ふふ、見てみたいですか? それなら次は、もう少し遠出にしましょうね。ええ、その時はお弁当やおやつも用意しましょう。遠足のようで楽しみですね。ですが今日のところは、そろそろお部屋に戻りましょう。いけませんよ、きっと貴方が思う以上にお疲れの筈です。ああ、ほら。足元がふらついていらっしゃる。いいえ、嘘はいけません。そんな風に焦らなくたって、時間は幾らでもあるんですから。いいえ駄目です、まだお身体が本調子では、……ああ、もう。それなら俺にだって考えがあります。ハハ、ほら、捕まえました。抵抗は無駄ですよ、大人しくなさって下さいね。
……そんな目で見たって駄目ですよ。この場所の気に慣れるまで、もう少し我慢していただかないと。あと少しだけです。もう何度かお薬を飲んで、ゆっくりお休みになっていただけたら大丈夫ですから、ね。眠いですか? そうですね、それならこのまま眠って下さい。俺が床までお連れしますね。ええ、大丈夫ですよ。おやすみなさい、俺の主。夢の中でもご一緒しましょうね。
そういえば最近は、悪夢に魘されることも少なくなってきましたよね。良い事です。ええ、それは全て夢の中の出来事ですよ。今此処にいらっしゃる貴方とは、一切関係のない世界の話です。貴方がお心を傾けるような価値などありませんよ。ええ、そうですとも。だって現に貴方はこうして、此処でずっと俺と暮らしてきたじゃないですか。……いつから? いつから、とは? ハハ、おかしなことを仰るんですね。貴方と俺が一緒になったのは、もう随分と昔の話だというのに。いえ、謝らないで下さい。きっとまだ、お身体が本調子ではないんです。ですからやはりもう少しの間、お薬は続けて頂かないと。ええ、大丈夫ですよ。俺がついています。時間はたっぷりあるのです。俺もお手伝いしますから、一緒に治していきましょうね。
……とはいえ、ずっとお部屋にこもりきりでは退屈してしまいますよね。毎日同じことの繰り返しでは、此処の生活に現実感が持てないのも仕方がありません。そうだ、今日は外をお散歩してみましょうか。外といっても、近くを見て回るだけですが。ご不安ですか? ふふ、大丈夫ですよ。ここにお連れした当初ならともかく、今はもう随分と【馴染んで】来ていますからね。……ああ、すみません。分かりづらい言葉を使ってしまいました。つまり、ここにいらした頃と比べると、お身体が大分回復されてきたという事です。ですから、少し外を見て回るくらいなら問題ないかと。それに、俺もご一緒しますから。きっと良い気分転換になりますよ。ええ、ありがとうございます。では、参りましょうか。この近くにきれいな藤棚があるんです。ああ、藤の香りがお好きなんですか? へぇ、藤の香水を。素敵ですね。いつもそれを、身に着けていらしたんですね。……瓶を失くしてしまった? それは残念でしたね。それなら今度、香水を贈らせて下さい。貴方に飛び切りお似合いの香りを見繕いますから。
お疲れではないですか? ……それは良かった。歩くのが億劫になったら言ってくださいね、俺が抱えて歩くことだってできますから。はあ、これも過保護なんですね。ですが、こうして歩くこと自体が久しぶりでしょう? 随分長い事、衰弱していらしたんです。俺が貴方のお身体を気にかけるのは、当然の事と思っていただかないと。そうですよ、慣れて頂かないと困ります。本当なら何もかも全て俺がして差し上げたいくらい、……、なぜそんな目をなさるんですか。はあ、俺に駄目にされる、ですか? ……すみません、仰る意味が良く分かりません。それに何か問題が? 駄目になったところで、貴方が俺の大切な方である事には変わりないのに。ねぇ、ところで本当はお疲れなのでは、……はい。しつこいですね、すみません。もうすぐそこですから、あと少しだけ頑張りましょうね。この木立を抜けた先です。
……ね、どうです? お気に召して頂けますか? ああ、良かった。実は少しどきどきしていたんです、もし気に入っていただけなかったらどうしようかと。ですが思った通りでした。貴方にはやはり、藤の花が一等お似合いだ。ほら、ね、お綺麗です。……ハハ、照れないで下さいよ。俺まで恥ずかしくなってきてしまいました。気障ですか? 酷いなあ。でも、確かに浮かれてしまっているのかもしれません。だって、漸く貴方をここまで連れ出すことができたんですから。ずっとずっと、ここにお連れしたかったんです。貴方に相応しい、優しくて美しくて、正しい場所に。
あの丘を越えた先ですか? そうですね、ここから少し歩くと、礼拝堂があります。それから薔薇園と、温室も。温室の中には、貴方のお好きな絵に似せて設えた池があるんです。ふふ、見てみたいですか? それなら次は、もう少し遠出にしましょうね。ええ、その時はお弁当やおやつも用意しましょう。遠足のようで楽しみですね。ですが今日のところは、そろそろお部屋に戻りましょう。いけませんよ、きっと貴方が思う以上にお疲れの筈です。ああ、ほら。足元がふらついていらっしゃる。いいえ、嘘はいけません。そんな風に焦らなくたって、時間は幾らでもあるんですから。いいえ駄目です、まだお身体が本調子では、……ああ、もう。それなら俺にだって考えがあります。ハハ、ほら、捕まえました。抵抗は無駄ですよ、大人しくなさって下さいね。
……そんな目で見たって駄目ですよ。この場所の気に慣れるまで、もう少し我慢していただかないと。あと少しだけです。もう何度かお薬を飲んで、ゆっくりお休みになっていただけたら大丈夫ですから、ね。眠いですか? そうですね、それならこのまま眠って下さい。俺が床までお連れしますね。ええ、大丈夫ですよ。おやすみなさい、俺の主。夢の中でもご一緒しましょうね。