方舟を作る
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……どうぞ、開いていますよ。今ですか? いえ、特に何も。俺の事はお気になさらないでください。こんなもの、明日に回したって良い仕事です。それより、どうされましたか。そんな所に立っていてはお身体が冷えてしまいますよ。ああ、とにかく何か羽織った方が良いですね。俺の物ですみませんが、こちらをどうぞ。……指先が冷たいですね。それに少し脈が速い。今温かいお飲み物を、……、そうですか。それなら、飲み物は後にしましょうね。謝る必要など。突然心細くなることは誰にでもあります。ええ、勿論構いません。それなら、暫くの間こうして、手を繋いだままでお話ししましょうか。……綺麗? 俺の手が、ですか? ふふ、手の形を褒められたのは初めてです。ですが、お気に召して頂けたならうれしいです。俺の存在が少しでも貴方の助けになれるのなら、こんなに素晴らしい事はありませんから。ですから、ねぇ、そんな風に怯える必要はないんですよ。貴方を脅かすものは、全て俺が取り除きます。何か苦しみを抱えていらっしゃるのなら、俺にも共有してください。
軽蔑など、するわけがないでしょう。どうしてそんなことをお思いになるのです? ……そうですね、今までに貴方の周りに居た連中はそうだったかもしれません。醜悪な連中です。貴方の優しさに付け込み、苦しみばかりを与えるような。ですが俺だけは、決して貴方を見捨てません。ご不安なら、幾らでも試して下さって良いんですよ。何をしましょうか。手始めに、貴方を苦しめた奴らを皆殺しにしてきましょうか? ……大丈夫ですよ、冗談です。ええ、ですが当然の事では? 大切な方を傷つけられたのですから、その程度の事は考えます。
……そうですか、人を殺す夢を見たんですね。そんなに不安がることはありませんよ、貴方は正常です。寧ろ、ご自身の為に怒りを抱けるようになったことが喜ばしいくらいです。今までの貴方は、全ての責任をお一人で引き受けようとなさっていましたから。差し支えなければ教えてください、夢の中の貴方は、一体誰を殺したんですか。全員? 全員とは? ……ああ、今まで貴方を追い詰めてきた、全ての人間ということですね。それはまた、随分と思い切った夢だ。刀? 刀とは、例えば日本刀のような? そうですか。夢の中の貴方は、その刀で連中を皆殺しにしたんですね。……震えていますね、どうされましたか。なるほど、人を刺した感触が生々しく残っている。それは不思議ですね、貴方がご覧になったのは、全てただの夢でしかないのに。ですが、心配する必要はありませんよ。そういった夢を見る方は、存外多いのです。人間の脳とは不思議ですね。現実と区別がつかない位に精巧な夢を、無意識に作り上げてしまえるのですから。
……ですが、貴方はやはりお優しい方です。夢の中ですら、連中が死んでいくことにお心を痛めていらっしゃったんですね。先ほども申し上げましたが、それは寧ろ良い兆候ですよ。貴方自身が、ご自分の欲望を許せるようになってきたという事ですから。それに夢の中とはいえ、貴方を苦しめるような連中が居なくなったのです、俺としても喜ばしい。……ええ、わかります。そうですよね、喜ばしい事だとしても、そう何度も見たい夢ではないかもしれませんね。現に貴方は、その夢のせいでこうして怯えていらっしゃるんですから。もう一度、眠れそうですか? ……そうですね、それなら、薬を飲みましょうか。こちらをどうぞ。きっと、気持ちが楽になるはずですよ。
甘いですか? それは良かった。お口に合っていたようで何よりです。ええ、そのまま飲み干して下さい。ゆっくり、少しずつで構いませんから、……、はい、ありがとうございます。それでは念のため、お口を開けて見せてくださいね。ふふ、上手に飲み干せています。くらくらする? ああ、これは一種の精神安定剤ですから、眠気を誘発するような成分も含まれているんです。吐き気や頭痛などはありますか? ……そうですか。うまくお身体に馴染むと良いですが。
さて、そろそろお休みの時間にしましょうか。……それとも、お一人で眠るのは、まだ少し不安ですか? ハハ、それならそれで、構いませんよ。貴方が眠るまで、見ていて差し上げますから。大丈夫、きっと次は、飛び切り素敵な夢が見られるはずですよ。ですから、余計な事は忘れてしまって良いんです。貴方にとって不要な記憶なら、そんな物は捨ててしまいましょう。
……ええ、そうですね。少しずつ眠くなってきましたね。なら、そのまま目を閉じてみましょうか。……はい、良い子ですね。俺の声だけ聴いていて下さい。深く息を吸って、吐いて、……そう、お上手です。次は、力を抜いてみましょう。ええ、俺に寄りかかってくださって構いませんよ。まだ眠るのは恐ろしいですか? それでは、少しおまじないをしましょうか。箱を思い浮かべてみて下さい。鍵付きの、とても頑丈な箱です。嫌なことは全て、箱の中にしまいましょう。しまって、鍵をかけてしまえば良いんです。鍵をかけて、どうするのかと? ……大丈夫ですよ。その箱は、俺が遠くに捨ててきますから。貴方はもう二度と、何者にも傷つけられない。ここは貴方の為の方舟です。ここにとどまって下さる限り、俺が守って差し上げられる。
……明日? 明日など来ませんよ。貴方が望むなら、此処は永遠に夜のままです。だからどうか、怖がらないで。ただ安心して、俺に全てお任せください。そう、何も考えなくて良いんです。貴方を苦しめる記憶は、全て捨ててしまいましょう。……体が温まってきましたね。ふふ、もうおしゃべりをするのは億劫ですか? 頭が重くて、指一本すら動かせない。そうですよね。そのままゆっくり、ゆっくり呼吸をなさってください。だんだん何も考えられなくなる。……そう、そのまま。
……おやすみなさい、俺の可愛い人。愛しい愛しい、たった一人の俺の■■■。
軽蔑など、するわけがないでしょう。どうしてそんなことをお思いになるのです? ……そうですね、今までに貴方の周りに居た連中はそうだったかもしれません。醜悪な連中です。貴方の優しさに付け込み、苦しみばかりを与えるような。ですが俺だけは、決して貴方を見捨てません。ご不安なら、幾らでも試して下さって良いんですよ。何をしましょうか。手始めに、貴方を苦しめた奴らを皆殺しにしてきましょうか? ……大丈夫ですよ、冗談です。ええ、ですが当然の事では? 大切な方を傷つけられたのですから、その程度の事は考えます。
……そうですか、人を殺す夢を見たんですね。そんなに不安がることはありませんよ、貴方は正常です。寧ろ、ご自身の為に怒りを抱けるようになったことが喜ばしいくらいです。今までの貴方は、全ての責任をお一人で引き受けようとなさっていましたから。差し支えなければ教えてください、夢の中の貴方は、一体誰を殺したんですか。全員? 全員とは? ……ああ、今まで貴方を追い詰めてきた、全ての人間ということですね。それはまた、随分と思い切った夢だ。刀? 刀とは、例えば日本刀のような? そうですか。夢の中の貴方は、その刀で連中を皆殺しにしたんですね。……震えていますね、どうされましたか。なるほど、人を刺した感触が生々しく残っている。それは不思議ですね、貴方がご覧になったのは、全てただの夢でしかないのに。ですが、心配する必要はありませんよ。そういった夢を見る方は、存外多いのです。人間の脳とは不思議ですね。現実と区別がつかない位に精巧な夢を、無意識に作り上げてしまえるのですから。
……ですが、貴方はやはりお優しい方です。夢の中ですら、連中が死んでいくことにお心を痛めていらっしゃったんですね。先ほども申し上げましたが、それは寧ろ良い兆候ですよ。貴方自身が、ご自分の欲望を許せるようになってきたという事ですから。それに夢の中とはいえ、貴方を苦しめるような連中が居なくなったのです、俺としても喜ばしい。……ええ、わかります。そうですよね、喜ばしい事だとしても、そう何度も見たい夢ではないかもしれませんね。現に貴方は、その夢のせいでこうして怯えていらっしゃるんですから。もう一度、眠れそうですか? ……そうですね、それなら、薬を飲みましょうか。こちらをどうぞ。きっと、気持ちが楽になるはずですよ。
甘いですか? それは良かった。お口に合っていたようで何よりです。ええ、そのまま飲み干して下さい。ゆっくり、少しずつで構いませんから、……、はい、ありがとうございます。それでは念のため、お口を開けて見せてくださいね。ふふ、上手に飲み干せています。くらくらする? ああ、これは一種の精神安定剤ですから、眠気を誘発するような成分も含まれているんです。吐き気や頭痛などはありますか? ……そうですか。うまくお身体に馴染むと良いですが。
さて、そろそろお休みの時間にしましょうか。……それとも、お一人で眠るのは、まだ少し不安ですか? ハハ、それならそれで、構いませんよ。貴方が眠るまで、見ていて差し上げますから。大丈夫、きっと次は、飛び切り素敵な夢が見られるはずですよ。ですから、余計な事は忘れてしまって良いんです。貴方にとって不要な記憶なら、そんな物は捨ててしまいましょう。
……ええ、そうですね。少しずつ眠くなってきましたね。なら、そのまま目を閉じてみましょうか。……はい、良い子ですね。俺の声だけ聴いていて下さい。深く息を吸って、吐いて、……そう、お上手です。次は、力を抜いてみましょう。ええ、俺に寄りかかってくださって構いませんよ。まだ眠るのは恐ろしいですか? それでは、少しおまじないをしましょうか。箱を思い浮かべてみて下さい。鍵付きの、とても頑丈な箱です。嫌なことは全て、箱の中にしまいましょう。しまって、鍵をかけてしまえば良いんです。鍵をかけて、どうするのかと? ……大丈夫ですよ。その箱は、俺が遠くに捨ててきますから。貴方はもう二度と、何者にも傷つけられない。ここは貴方の為の方舟です。ここにとどまって下さる限り、俺が守って差し上げられる。
……明日? 明日など来ませんよ。貴方が望むなら、此処は永遠に夜のままです。だからどうか、怖がらないで。ただ安心して、俺に全てお任せください。そう、何も考えなくて良いんです。貴方を苦しめる記憶は、全て捨ててしまいましょう。……体が温まってきましたね。ふふ、もうおしゃべりをするのは億劫ですか? 頭が重くて、指一本すら動かせない。そうですよね。そのままゆっくり、ゆっくり呼吸をなさってください。だんだん何も考えられなくなる。……そう、そのまま。
……おやすみなさい、俺の可愛い人。愛しい愛しい、たった一人の俺の■■■。