長谷部
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だからつまり、私の彼氏の長谷部くんは真面目で優秀だ。その証拠に今日なんか五時には起きて始発で会社行くとか言っていた。狂気のようである。
私はというと、長谷部くんの携帯のアラームに叩き起こされたあと一向に目を覚まさない本人(彼は低血圧だし寝起きが悪い)をしばらく眺めて、手をつないだりほっぺたつついたりしたあと携帯を見て、『在来線は台風の影響で全て運休、振替輸送のバスで道路は大渋滞し全首都圏民は阿鼻叫喚』のニュースを見つけるやいなや光の速さで『今日会社休みます』メールをぶちかました。
それからコーヒーを入れて長谷部くんを起こしたんだけど、長谷部くんはといえば起き抜けからまるで戦場に出ていく兵士みたいな顔つきで「名前さん俺はもう行かなくては、会社まで徒歩で行くのであれば三時間かかっても間に合うかどうか」とか言い出したので予想通りすぎて笑ってしまった。いやいい意味で。
「ええー会社ついても絶対誰もいないと思うよ?」
「恐らく誰かは出勤してくるかと」
「徒歩で?」
「勿論徒歩で」
いやあそれはどうかなあ、間延びした声を出してしまう。とりあえずニュースをつければ新宿駅の惨状をキャスターが報道している。
「ほら、無理だって。首都圏の全線が運休な上復旧のめども立ってなくて、しかも振替輸送のせいで道路も大混雑で玉突き事故で死者出てる上に余りに移動できないから車内で発狂する人が多発してバイオハザード状態になってるってさ、こんな中出勤なんて死にに行くようなもんだよ」
「……名前さん、……後半は完全にあなたの創作では?」
「創作っていうか、首都圏民のお気持ちだよね、実際」
「………移動の不便で人が死ぬわけ無いでしょう」
長谷部くんは眉間にシワを寄せてるけど、私にはわかる。彼はこれでも内心で葛藤しているのだ。その証拠にほら、コーヒーを飲むばかりで寝癖もついたまま、ソファーから動こうともしない。無理もない。だって昨日もおとといもその前も会社に泊まり込んでて、昨日なんて台風接近の中びしょ濡れになりながらむりやり帰ってきて(私に会いたくてどうっっしても帰ってきたかったんだそうだ本当に言ったんだよ「どうっっっしても名前さんの顔を見ないと死ねないと思ったので」って、それ言われたときは可愛すぎてこっちが死ぬかと思った)、それで朝起きたらこれだ。
これはあとひと押しだなと、私も内心でニヤつきながらさり気なくシャッターを開けた。台風一過。外はこれ以上ないほどの快晴で、空の青が目に痛い。
「ほら、こんなに晴れてるししかもなんか涼しいよ」
「………、そうですね会社まで歩くのに丁度いい気候だ」
「絶好の行楽日和だよーとしまえんとかいこうよー徒歩で」
「ですが」
「なんか今日中に確認しないといけない案件とか、あるんだっけ?」
あーほら、葛藤してるなあ可愛いなあ。これでもかってほど眉間にシワを寄せた長谷部くんが苦々しい顔のお手本みたいな表情でコーヒーを一口。それで、「いやそれは、ないです、が」とか言うので思わず、「ひゃっふーー有給消化バンザイ!」とか奇声を上げてしまった。長谷部くんは、耐えきれなくなったみたいに吹き出す。かわいい。ああもうほんと、かっわいいなあ。
「じゃあさあとしまえんいこ、あっそれとも公園にする?どっちでもいいよ私お弁当作るし」
「いやしかし、あなたは会社に行くべきでは」
「えっ何言ってるの休むに決まってんじゃん。長谷部くん居るのに会社行く意味って何よ逆に、あーもう楽しみだなあ、としまえんでエルドラド、しょっぼいスリラーカー乗ってミラーハウス入るの。それか公園のアホみたいに長いローラーすべり台のろ、」
どうしようテンションうなぎのぼりだ。ふと振り返ったら、「……少し落ち着いて下さい」なんて笑ってる長谷部くんと目が合う。かわいい。好きだ。だって一週間ぶりとかでまる一日長谷部くんと一緒にいられて、しかも天気も良くて有給消化で、これで落ち着いてられる人なんているんだろうか。そう思ったのでそのままを口に出す「無理だよ嬉しくて死んじゃうって、わたし今日は長谷部くんと一日一緒なんだよ」なんて大人げないなあ私も。
長谷部くんはちょっとだけぽかんとした表情を向けたあと、一口飲んだコーヒーにむせて頭を抱えた。後頭部でぴょこんとはねている寝癖が可愛い。それから「……余り可愛いことを言わないでください、ここから出したくなくなる」とかひっくい声、その声がまた可愛くてかっこよくて可愛いんだけど、そんなひっくい声でいうので「え、いいよ一日うちでのんびりする?」と答えたら唇を塞がれた。彼はさっきまでコーヒー飲んでたのでちょっとだけキスが苦い。ふへへ、と妙な声で笑う私にもう一度キスをして、「ああ、もう。……貴女はしょうがない人だな」なんて長谷部くんは呻くので、可愛いのはどっちだよって話じゃないかな実際。
「会社に連絡しますすぐ戻りますから」、とか言いながらすばやくもういちど口づけて寝室に向かう長谷部くんの背中に、「で、結局どうしようか。としまえんにする?公園にする?家でのんびりする?」と声をかけたら、「としまえんでメリーゴーランドに乗りミラーハウスに入りスリラーカーを冷やかし名前さんが作って下さる弁当を食べその後公園でローラーすべり台とやらで遊び鬼ごっこなど堪能したあと帰宅後は貴女といちゃつきます」なんて狂気のスケジュールを提案された。いや長谷部くん、どれか一つにしよう?と言いかけてやめる。つまり彼は大層優秀で真面目でなので、たまの休みくらいは甘やかして上げるのが健康で文化的な社会人としての使命というものだろうとそう思ったので。(※結局電話から戻ってきた長谷部くんといちゃついてしまったのでとしまえんも公園も行かず一日は家にこもっただけで終わった)
私はというと、長谷部くんの携帯のアラームに叩き起こされたあと一向に目を覚まさない本人(彼は低血圧だし寝起きが悪い)をしばらく眺めて、手をつないだりほっぺたつついたりしたあと携帯を見て、『在来線は台風の影響で全て運休、振替輸送のバスで道路は大渋滞し全首都圏民は阿鼻叫喚』のニュースを見つけるやいなや光の速さで『今日会社休みます』メールをぶちかました。
それからコーヒーを入れて長谷部くんを起こしたんだけど、長谷部くんはといえば起き抜けからまるで戦場に出ていく兵士みたいな顔つきで「名前さん俺はもう行かなくては、会社まで徒歩で行くのであれば三時間かかっても間に合うかどうか」とか言い出したので予想通りすぎて笑ってしまった。いやいい意味で。
「ええー会社ついても絶対誰もいないと思うよ?」
「恐らく誰かは出勤してくるかと」
「徒歩で?」
「勿論徒歩で」
いやあそれはどうかなあ、間延びした声を出してしまう。とりあえずニュースをつければ新宿駅の惨状をキャスターが報道している。
「ほら、無理だって。首都圏の全線が運休な上復旧のめども立ってなくて、しかも振替輸送のせいで道路も大混雑で玉突き事故で死者出てる上に余りに移動できないから車内で発狂する人が多発してバイオハザード状態になってるってさ、こんな中出勤なんて死にに行くようなもんだよ」
「……名前さん、……後半は完全にあなたの創作では?」
「創作っていうか、首都圏民のお気持ちだよね、実際」
「………移動の不便で人が死ぬわけ無いでしょう」
長谷部くんは眉間にシワを寄せてるけど、私にはわかる。彼はこれでも内心で葛藤しているのだ。その証拠にほら、コーヒーを飲むばかりで寝癖もついたまま、ソファーから動こうともしない。無理もない。だって昨日もおとといもその前も会社に泊まり込んでて、昨日なんて台風接近の中びしょ濡れになりながらむりやり帰ってきて(私に会いたくてどうっっしても帰ってきたかったんだそうだ本当に言ったんだよ「どうっっっしても名前さんの顔を見ないと死ねないと思ったので」って、それ言われたときは可愛すぎてこっちが死ぬかと思った)、それで朝起きたらこれだ。
これはあとひと押しだなと、私も内心でニヤつきながらさり気なくシャッターを開けた。台風一過。外はこれ以上ないほどの快晴で、空の青が目に痛い。
「ほら、こんなに晴れてるししかもなんか涼しいよ」
「………、そうですね会社まで歩くのに丁度いい気候だ」
「絶好の行楽日和だよーとしまえんとかいこうよー徒歩で」
「ですが」
「なんか今日中に確認しないといけない案件とか、あるんだっけ?」
あーほら、葛藤してるなあ可愛いなあ。これでもかってほど眉間にシワを寄せた長谷部くんが苦々しい顔のお手本みたいな表情でコーヒーを一口。それで、「いやそれは、ないです、が」とか言うので思わず、「ひゃっふーー有給消化バンザイ!」とか奇声を上げてしまった。長谷部くんは、耐えきれなくなったみたいに吹き出す。かわいい。ああもうほんと、かっわいいなあ。
「じゃあさあとしまえんいこ、あっそれとも公園にする?どっちでもいいよ私お弁当作るし」
「いやしかし、あなたは会社に行くべきでは」
「えっ何言ってるの休むに決まってんじゃん。長谷部くん居るのに会社行く意味って何よ逆に、あーもう楽しみだなあ、としまえんでエルドラド、しょっぼいスリラーカー乗ってミラーハウス入るの。それか公園のアホみたいに長いローラーすべり台のろ、」
どうしようテンションうなぎのぼりだ。ふと振り返ったら、「……少し落ち着いて下さい」なんて笑ってる長谷部くんと目が合う。かわいい。好きだ。だって一週間ぶりとかでまる一日長谷部くんと一緒にいられて、しかも天気も良くて有給消化で、これで落ち着いてられる人なんているんだろうか。そう思ったのでそのままを口に出す「無理だよ嬉しくて死んじゃうって、わたし今日は長谷部くんと一日一緒なんだよ」なんて大人げないなあ私も。
長谷部くんはちょっとだけぽかんとした表情を向けたあと、一口飲んだコーヒーにむせて頭を抱えた。後頭部でぴょこんとはねている寝癖が可愛い。それから「……余り可愛いことを言わないでください、ここから出したくなくなる」とかひっくい声、その声がまた可愛くてかっこよくて可愛いんだけど、そんなひっくい声でいうので「え、いいよ一日うちでのんびりする?」と答えたら唇を塞がれた。彼はさっきまでコーヒー飲んでたのでちょっとだけキスが苦い。ふへへ、と妙な声で笑う私にもう一度キスをして、「ああ、もう。……貴女はしょうがない人だな」なんて長谷部くんは呻くので、可愛いのはどっちだよって話じゃないかな実際。
「会社に連絡しますすぐ戻りますから」、とか言いながらすばやくもういちど口づけて寝室に向かう長谷部くんの背中に、「で、結局どうしようか。としまえんにする?公園にする?家でのんびりする?」と声をかけたら、「としまえんでメリーゴーランドに乗りミラーハウスに入りスリラーカーを冷やかし名前さんが作って下さる弁当を食べその後公園でローラーすべり台とやらで遊び鬼ごっこなど堪能したあと帰宅後は貴女といちゃつきます」なんて狂気のスケジュールを提案された。いや長谷部くん、どれか一つにしよう?と言いかけてやめる。つまり彼は大層優秀で真面目でなので、たまの休みくらいは甘やかして上げるのが健康で文化的な社会人としての使命というものだろうとそう思ったので。(※結局電話から戻ってきた長谷部くんといちゃついてしまったのでとしまえんも公園も行かず一日は家にこもっただけで終わった)