松・シリーズ
名前変換
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「おま、おい、大丈夫か名前」
「うう、カラ松兄さん、」
「いや一松だけど」
「カラ松兄さんどうしよう私、」
「いや一松だけど」
「カラ松兄さん、最悪だどうしよう私」
「いやだから一松だけど何が最悪、…ていうかお前ここで寝ないで」
当のクソ松は今頃、客間の押し入れから布団を引っ張り出してる所だろう。でろんでろんに酔っ払った妹は玄関で完全に座り込んでぼろぼろと涙をこぼしている。そのまま玄関先で横になろうとしたのを押し止めて起き上がらせようとするけど無駄で、ひっぱったら今度はこっちに寄りかかってくる。
「どうしよう私、どうしたらいい」
「わかった名前わかったから一回落ち着いて」
「こんなに一生懸命やってるのに私、」
一体何の話なんだよ。とりあえず背中をさすってやったら名前が本格的に泣き出した。名前がここまで泣いてるのなんてはじめてで内心慌てた。とりあえず背中を擦ってみたら、びええ、みたいな泣き声まで上げられてこっちが泣きたい。なにこれ。誰か。誰でもいい助けて。この際クソ松でもいいから。脳内で叫びながらもここには自分しかいないから、こいつが泣いてる理由を結構必死に考える。
「お前何、どうしたの何がそんな悲しいの」
「カラ松兄さん」
「(いや一松だけどもういいやクソ松で)どうしたのなにがあった」
「最悪」
「何が」
「私、どうしたらいい?」
「うん、だから何が」
「どうしよう私、まだ初恋の人が忘れらんない」
「ああ、うん。…………はあ?」
なんだそれ。いやほんとに何でこんなことになってんの。ていうか名前おまえ、なんでそんなことクソ松に相談しようと思った。あいつにそれ言ってどうにかなると思ったか。ていうか何でそれがそんな最悪なの。で、何でそれが泣くほど悲しいの。それ、べろんべろんに酔わなきゃ口に出せないほど大層なことなの。ていうかそもそも何でそんな酔ってんの。ていうかていうか、ていうか、
次々沸いてくる疑問符の答えを、うっかり出してしまいそうで考えるのをやめた。もう質問するのもやめる。もう余計なことをしゃべらせないで寝かせる事にする。今のこいつの状態だと、何をポロリするかわかんない。そう思った俺を置き去りにして名前はぐずぐずと泣き続ける。誰でもいいから助けて。と考えてすぐに打ち消した。誰でもいいけどチョロ松だけは絶対来るなよ。頭のなかで全力で叫んだ瞬間に、最悪だ、奴の足音がすぐそこで聞こえる。そういえば忘れたけどなんちゃらとかいうアイドルのライブで遠出してたんだっけ。なんで今日に限って今のタイミングに限って、死ねよて今玄関開けたら殺すかんなていうかクソ松遅えなもう早く帰ってきて名前連れてってお願いします、
「うう、……………チョロ松兄さん、」
最悪の寝言を名前がぶちかましたのと同じタイミングで、チョロ松が「ただいまー」とか呑気に引戸を開けた。
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「てめえどっから聞いてやがったぶち殺すぞ!」
玄関の引戸を開けた瞬間に、殺気立った目をした一松に結構な気迫で怒鳴られた。その声で、「なんだどうした何があった」とかいいながらカラ松が顔を出してきて、その瞬間に「おせえよクソ松殺すぞ」と酷い暴言を吐きながら一松が泣き崩れてその声で「うるせーぞお前ら」とかいいながらおそ松がでてきて後ろからトド松が、…もういいや。とにかく帰宅早々芋づる式に兄弟が奥から出てきてあれよあれよと僕は雰囲気に呑まれた。名前はびゃんびゃん泣いてるし、一松もぐずぐず言ってるしほんとなんだこれ。つーか名前に飲ませたの誰。お前か一松?