「ふふふふーん、ふーふふーふーん」
「ご機嫌だね、エルメス」
「そりゃあもう！　お店でばっちり整備してもらったからね。十歳は若返った気分だよ！」
「エルメスって今いくつなの？」
「キノにはいくつに見える？」
「…………。そう言われると、難しいな……」
「ではキノ、ここでクイズだよ！」
「クイズ？」
「問題。“エルメスは今何歳でしょうか？”──正解者から抽選で一名様に、モトラドと行く世界旅行をプレゼントしまーす！」
「豪華だ。……でも、本当に難問だな。自分の年齢も定かじゃないのに」
「じゃあ三択問題にするね。そのいち、キノより年上。そのに、キノと同い年。そのさん、キノより年下。はい、どれでしょー？」
「何歳か当てろって言ったわりに、かなりザックリしているような……」
「いいじゃんいいじゃん。ほら、選んで選んでー」
「うーん……。……初めてエルメスの声を聞いた時は、年下の男の子みたいだと思ったんだ」
「ほう、それは初耳かも」
「でも、こうして過ごしていると……、エルメスはボクよりいろいろなことを知っているから、実際はそうじゃないのかなとも思う」
「どうだろうねえ」
「だから、まあ、間を取って……、ボクと同い年？」
「じゃあそれで！　せいかーい！」
「“じゃあ”？」
「というわけで、見事正解したキノには世界旅行をプレゼントします。はい、どーぞ！」
「ありがたく、いただいておく。そういえば、もし不正解だった場合は？　何もなし？」
「不正解って答えは、ないよ」
「え？」
「解答するのがキノだから。出題“車”権限で、キノの答えならもうなんでも正解だよ。出来レースだよ」
「…………。クイズってなんなんだろうか……」