白騎士物語
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#1 白騎士様は守りたい
アオガミ甲型、それはかの大戦にて失われし者の名。
――そのはずだったが、大戦に従事し機能停止していたアオガミ甲型は目を覚ました。
「やめてっ、こっちに来ないで!」
耳をつんざく少女の声にアオガミは両目を開いた。天を仰ぐ姿勢で倒れたまま眼球を動かすと、砂の大地に少女が腰を抜かしているのが見えた。悪魔たちが少女に群がりにじり寄っている。
――人類をあらゆる脅威から守る。
それこそがアオガミの役目。今こそ起き上がり、白刃のもとに悪魔を屠り少女を守らねば。アオガミは軋む体を起こし素早く駆けた。それはさながら白い風、長く機能停止していたが戦いの心得を忘れてなどいなかった。アオガミは右手に白い刃を出現させ、少女に気を取られている悪魔の背中に音もなく忍び寄った。
白刃一閃。アオガミの横薙ぎの一撃は的確に悪魔の一体を捉え、真っ二つに切り裂いた。他の悪魔たちが一斉にアオガミを驚きの眼で見遣るが、何もかも遅い。アオガミは大地を踏みしめ何度も悪魔たちに斬りかかった。情け容赦のない光の剣に抵抗する余地はない、あっという間に残りの悪魔も切り裂かれ、後には呆然とする少女が残されるばかりだった。
「立てるか」
アオガミは少女に歩み寄り、手を差し出した。少女は逡巡しながらもアオガミの手を取り、立ち上がった。その瞬間、アオガミは膝をついた。
「だ、大丈夫ですか!?」
少女は不安そうに顔を歪めている。アオガミは荒い呼吸を整え、淡々と答えた。
「長時間の機能停止後の急激な活動による過負荷と判断。少しの休息を取れば再び稼働可能だ」
「休息、ですか?でも、ここじゃ危ないです」
きょろきょろと辺りを見回した少女は、廃墟と化したビルを指差した。扉や窓ガラスが割れ骨組みだけが残った建物だが、隠れ潜むにはちょうどよさそうだった。
「肩、貸しますよ。一緒に行きましょう」
にこりと微笑む彼女にもたれかかるように立ち上がり、アオガミはよろめきつつも彼女とビルの中へ逃げ込んだ。壁にもたれかかり座ると、少女も隣に腰掛けた。
「あの、さっきはありがとうございました」
「何のことだ?」
「何のことって……私を助けてくれたじゃないですか。怖くて動けなかったんです。本当にありがとうございます」
「礼には及ばない。私は使命を果たしただけだ」
深々と頭を下げた彼女は、眉を顰めた。
「でも、大丈夫ですか?もしかしてどこか怪我とかしてるんですか?」
「ああ、そのようだ」
アオガミは答えながら自身を分析した。明確な外傷はほとんどないが、かの大戦で戦い続けた代償か、運動機能や体力が著しく低下している。先ほどは人間を守る使命から咄嗟に動けたが、長時間の稼働に耐えうる状態ではない。現にほんの数体悪魔を倒しただけで膝をついてしまうほどだ。可及的速やかにベテル日本支部で修復しなければならない。
「どこかに病院とかないんですか?すぐにお医者さんにかからないと!」
「病院などない。ここは魔界、人間の施設などどこにもないだろう」
「え?ま、まかい?ここって何なんですか?私、何もわからないんです」
少女の無垢な瞳に、アオガミは極めて冷静に説明した。ここは悪魔が跋扈する魔界であり、自身は悪魔と戦い抜いた神造魔人であること。少女――月森ミコトというらしい――は、アオガミの説明を真剣な顔で聞いていた。
「君は何らかのきっかけで魔界に落ちてきたのだろう。だがトウキョウ議事堂のターミナルから元の東京に戻ることができる。私が君を連れていこう」
「えっ……いいんですか?」
「問題ない。私も東京に戻る必要がある、君を守ることもできる。極めて合理的な行動と判断」
「わかりました」
アオガミの言葉にミコトは頷いた。そしてもう少し休息が必要なアオガミにそっと寄り添ってくれる。かの大戦からこれまで孤独な戦いを続けてきたアオガミにとって、初めて感じる人のぬくもりだった。
「あ、あれ?ここ、どこですか?」
砂の大地に形作られた青い光の柱、龍穴。癒しの力が使えるかもしれぬとアオガミが触れた瞬間、薄暗い空間にミコトとともに転移した。アオガミはミコトの手を引き、
「私のそばにいることを推奨」
力強く宣言した。この暗闇、どこから悪魔が襲ってきてもおかしくない。そう判断し警戒態勢に入ったアオガミに、
「見かけないツラだな?お前ら一体何者だ?」
耳障りな甲高い声が響いた。握ったミコトの手がかすかに震えている。アオガミは反射的に白い刃を構えた。
薄暗闇を裂く黄金の輝きが目に入った。大量のマッカや財宝の山、それらを従えるように背の高い椅子に座った何者かがいた。全身緑色の骸骨に似た不気味な外見だったが、幸いにも敵意は感じない。
「てっきりまたナホビノが来たかと思っていたが、大戦の兵器と人間ときたか!珍しいこともあるもんだな、キヒヒッ!」
「一体何者だ」
アオガミの威圧の声に骸骨は一切怯むことなく答えた。
「俺様はギュスターヴ!マッカさえ払えば何でも売ってやる!魔界を渡るなら道具も必要だろう?」
「何でも?じゃあ、傷を治すお薬とかあるんですか?」
ミコトの言葉に、骸骨――ギュスターヴは手を叩いて笑い声を上げた。
「キヒッ!俺様を舐めてもらっちゃ困るぜ、人間の嬢ちゃん!それくらいいくらでもある!」
「本当ですか!アオガミさん!さっき悪魔を倒してマッカが手に入りましたよね!アオガミさんの怪我だって治せるかもしれませんよ!」
ミコトはアオガミからマッカを受け取ると、ギュスターヴのもとに駆け寄り商品の説明を受けていた。アオガミは一歩離れその様子を伺っていたが、意外にもギュスターヴの扱う品は正規のものらしかった。ベテル日本支部で支給された傷薬や秘石と同じものを置いている。見るからに狡猾な悪魔といった風貌のギュスターヴだが、まともな商売人のようだ。
手持ちのマッカは少ない、傷薬一つ買うのがやっとだったらしい。ミコトは大事そうに傷薬を抱えてアオガミの元に戻ってきた。その向こうでは、ギュスターヴが腹を抱えて笑っていた。
「キヒヒッ!二つの魂を持つ神といい、大戦の兵器と人間といい、面白い取り合わせだな!気に入ったぜ、また来いよ!」
ギュスターヴのやや品のない笑い声を背に二人は魔界に戻った。砂混じりの風が吹く中、ミコトは傷薬の瓶をアオガミに手渡した。
「これで少しはよくなるといいんですけど」
「感謝する」
かの大戦の際、戦場で受けた些細な傷はこの薬を飲んで無理矢理治していた。アオガミは苦い良薬を躊躇なく飲み干した。しかしどうにも染み渡る感覚がない。長くメンテナンスを受けずに戦ってきたゆえの損傷はもっと根本的な問題らしく、小手先の薬ではどうにもならないらしい。やはりベテルでの修復が必要なようだ。
「アオガミさん、どうですか?少しはよくなりました?」
「損傷の回復なし。根本的な修復を推奨」
「え……そうですか、ごめんなさい、アオガミさん」
ミコトは見るからに落ち込んだ様子だった。アオガミは何故彼女が謝罪するのかまるで理解が及ばないが、その表情からケアが必要であることを察知した。ならば、ここで必要な言葉を適切に選ぶ必要がある。
「君が謝罪する必要はない。傷薬では修復不可能な損傷だった」
アオガミの言葉に、ミコトは不安そうに眉根を寄せた。
「あの、アオガミさん。無理だけはしないでくださいね。一緒に東京に戻りましょう」
少しは彼女の負担を除去することができただろうか。アオガミは判断する機微を持ち合わせていなかった。
「ぐ……」
アオガミは迫り来る悪魔を何の感情もなく倒した後、呻きとともに膝をついた。内部の損傷はやはり大きく、長時間続けて活動できない。もう休息が必要なのかと愕然としていると、少し離れて見守っていたミコトが駆け寄ってくる。
「アオガミさん、大丈夫ですか?休みましょう」
アオガミの状況を鑑み、悪魔が比較的少ない龍穴近くに座り休憩することになった。彼女を守りながら砂に埋もれた魔界を進み、前方に赤い塔、東京タワーが見えてきた。東京タワー、かの大戦を生き残ったアオガミ甲型には忌々しい記憶が蘇る。混沌の魔王ルシファー及びその配下たちと火花を散らした因縁の地。この鉄塔を越えればトウキョウ議事堂も近い。アオガミが思案を巡らせていると、ミコトが隣に腰掛けた。アオガミの顔を覗き込んでくる。彼女の瞳は魔界にあってもなお、きらめきを失っていなかった。
「アオガミさん、どうしたんですか?何か考えごとですか?」
「ここで私は魔王ルシファーと対峙した。そのことを記憶データから思い起こしていた」
「ルシファー?……そういえば、アオガミさんってあの緑色の人から『大戦の兵器』って呼ばれてましたけど……アオガミさんって人間じゃない……んですよね」
緑色の人、大戦の兵器……ギュスターヴ。情報の点と点を繋ぎ合わせたアオガミは、特に何の感慨もなく頷いた。
「私はベテルにより創られた神造魔人。人間ではない」
「じんぞうまじん……よくわかりませんけど、でも」
ミコトはアオガミの手に自らの手を重ねた。アオガミの手よりも小さな彼女の手は儚く、触れる仕草も控えめだった。彼女の体温、少しばかり熱く感じる。
「アオガミさんは私を助けてくれました。元の東京にも一緒に帰れるんですよね。たとえアオガミさんが悪魔だったとしても、私はアオガミさんを信じます」
「……」
信じる。不思議な言葉だ。アオガミの胸の奥、心臓に似た器官が収まる場所が疼く感覚がある。いわゆる「胸の高鳴り」というものだろうか。もしもそうだとすれば、何故その言葉にあたたかさを感じているのか、アオガミにはわからなかった。
「君の状態を確認したい。手を貸してもらえるか」
「え、あ、はい」
アオガミは自らの手に重なっていたミコトの手を取った。アオガミの掌に置いた彼女の手は白く、戦うことを知らない手だ。掌、手首からは多くの情報を得られる。脈拍、血圧、体温。そして彼女の顔を見れば呼吸の状態も確認できる。アオガミはミコトの瞳を真っ直ぐ見つめた。近くで見た彼女の頬はほんのりと赤く染まっていた。
「呼吸の乱れ及び体温のかすかな上昇が見られる。何か病に罹患したのではないか」
「えっ、や、病……」
じっと見つめるとミコトは俯いた。体温がさらに上昇したのを感じる。龍穴からギュスターヴの棲家に行けば悪魔用の傷薬は買えるものの、一般的な疾病を治療する薬は置いていないだろう。もしも彼女の行動に支障が出るのなら、アオガミが背負って移動することを視野に入れるべきか。アオガミが冷静に考えていると、
「病気じゃ、ないです……強いて言うなら、恋の病です!」
吹っ切れたような大声でミコトは叫んだ。恋の病?データにない言葉だ。どのような意味だろうか。
「恋の病、とは?」
「あ、えっと……アオガミさんがその、好きだから、ドキドキしてるんです!」
「私を好き?」
照れくさそうに答えたミコトは、顔が真っ赤だった。体温上昇も著しく、この状態が長く続くのならよろしくない。ミコトはアオガミが好き。ゆえに脈拍や体温に異常が見られる。このような思考で合っているだろうか。アオガミは戦闘時とは異なる思考回路をフル回転させていた。
「君の体調不良の原因が私であるならば、私は君と離れるべきなのか」
「いやです!」
ミコトは顔を勢いよく上げると、アオガミの腕に抱きついた。通常時よりも高い体温を躊躇いながらも押し付けてくる。
「いやです……私はアオガミさんといたいです。それに、私を東京まで連れていってくれるんですよね?」
ミコトの上目遣いを見、アオガミは考え直した。そうだ、自らの使命を忘れてはならない。人類を、ひいてはこの少女をサポートし東京に連れ帰るのがアオガミの役目。目先の疑問にとらわれ大局を見失ってはならない。
「そうだ。私の使命は君を東京まで送り届けること。君は戦う力を持たない。私が君を守る」
「……はい。ありがとうございます、アオガミさん」
アオガミに浮かんだ小さな疑問は、果たすべき使命の前に塵と消えていった。
砂の続く魔界をミコトとともに歩き、ナガタチョウの龍穴に辿り着いた。遠くにトウキョウ議事堂の建物が見える。アオガミはナガタチョウの龍穴近くに座り、休息を取っていた。目的地まであと少しだが損傷著しい体で無理はできない。アオガミは焦りを感じつつも至極冷静な判断で体を休めていた。
「アオガミさん、ゆっくりしててくださいね!私がアオガミさんを守りますから!」
輝くような笑顔を見せたミコトにアオガミは何事かを言おうとしたが、肉体疲労が限界だった。気付けばアオガミは深い眠りに落ち、数分意識を失っていた。
襲いくる悪魔の不穏な気配にアオガミは目を覚ました。アオガミの少し離れたところに立つミコトは、悪魔の一体と睨み合っていた。彼女は戦えないはずだ、そう思いアオガミは立ち上がったが、
「食らえー!」
ミコトは叫び手に持っていた何かを悪魔に投げつけた。悪魔の体に何かが当たった瞬間、強烈な突風が発生し悪魔を切り刻んだ。アオガミには見覚えがある、風で対象を切り刻む魔法ザンマだ。しかし何故彼女がそんなものを、と疑問に思いながら近付くと、彼女はピースサインをしながら振り返った。
「アオガミさん、やっぱりギュスターヴさんのお店で置いている品物は便利ですね!私だってある程度戦えます!」
「もしや先ほどの魔法は、衝撃の秘石を投げたものか」
「たぶんそうです!」
ミコトはセーラー服のポケットに手を突っ込み、いくつか秘石を取り出した。ひととおりの属性魔法を操れる秘石、いつの間に手に入れていたのか。ミコトは嬉しそうに笑った。
「ギュスターヴさんに私も戦えるようになりたいって言ったら、魔法を封じ込めた石があるって言われて!黙ってお金を使っちゃいました。それは、ごめんなさい」
神妙な顔で謝るミコトにアオガミはふむ、と思案した。アオガミ自身戦闘能力を持つゆえに、秘石を携行するという発想がなかった。確かに戦えない人間にとっては非常に有用な道具だろう。一考の余地はある。
「君の身を守ることができ、結果的にはよかったといえる。だが君は人間、悪魔との戦闘は私に任せることを推奨」
「それは、そうですけど……でも、私ばかり守られていたんじゃいけないと思います。アオガミさん、具合が悪いんですから」
ほら、もう少し休んでてください、と背を押され、アオガミは龍穴近くに座らされた。神造魔人の力をもってすればか弱き少女を振り払うことなど容易だが、アオガミは大人しく彼女の指示に従っていた。私だってできるんです、と胸を張る彼女を見ていると抵抗する気力が削がれていた。
トウキョウ議事堂には問題なく到着した。が、辺り一面には天使の死体が大量に転がり異様な雰囲気を醸し出していた。アオガミは息を呑むミコトを後ろ手にかばい、注意深く周囲を見渡した。天使と何者かが交戦したと思われるが、生者の気配は一切ない。アオガミは人間には感じ得ないマガツヒの「匂い」を感じていた。自らと同じ「アオガミ」の匂い――かの大戦を生き延びた個体が他にいたのか。ベテルの兵器たるアオガミが天使を屠るとは考えにくいが……と止まらぬ思考の螺旋に身を委ねていると、
「アオガミ、さん」
すぐそばにいたミコトがアオガミの腕に縋りついていた。アオガミを見上げる眼差しはいかにも不安げな弱者のもので、余計なことに気を取られていたとアオガミは自省した。
「天使が何故ここで倒れているかは不明だ。しかし、この惨状を引き起こした者はもうここにはいないようだ」
「じゃ、じゃあ……大丈夫、ですか」
「問題ない。だが万が一のこともある、私のそばにいることを推奨」
警戒しながら告げると、ミコトはアオガミの腕をぎゅっと抱きしめた。離れる気配はない。
「ごめんなさい、怖くて……このままでもいいですか」
「了解した」
悪魔との戦いはこれまでの道中で何度も経験したが、少数との戦いがほとんどだった。議事堂を埋め尽くすほどの天使の亡骸、ミコトが恐れるのは当然だ。少しの歩きにくさはあるが、彼女に合わせて然るべきだろう。アオガミは隣にいる少女を慮った速度で歩みを進めた。
トウキョウ議事堂、その奥にはベテル日本支部に続くターミナルがある。不穏な気配が渦巻く静寂の空間に二人分の足音が響く。ミコトが口を開いた。
「あの、そういえば……ベテル日本支部って、どういうところなんですか?」
「君にはまだ説明していなかったか」
彼女にはターミナルがあること、ターミナルから東京――ベテル日本支部に一度戻る旨は伝えていたが、それ以上のことは言っていなかった。彼女の疑問は至極当然だが、ただの疑問にしては声が震えていた。恐怖を誤魔化すための会話といったところか。
「法を支配する神の配下、天使が運営する組織だ。私が生まれた場所でもある」
「じんぞうまじん……でしたっけ。そっか、アオガミさんって人間じゃないんですよね……なんか、すっかり忘れてました」
アオガミは自身が人間ではないことをはっきり自覚しておりその旨も彼女には説明していたが、少し意外だった。アオガミが黙っていると、ミコトはふふ、と笑みを零した。
「体調がよくないのに助けてくれて、守ってくれて、ここまで連れてきてくれて……アオガミさんってとっても優しいです。アオガミさんと一緒にいられて本当によかったです」
「……そうか」
「ベテルに戻って体、よくなるといいですね。ベテルに戻った後はどうするんですか?」
ベテルに戻った後。アオガミは考えたこともなかった。月森ミコトを守る使命を果たしたアオガミは用済みなのだろうか。かつてベテル日本支部では様々な個体のアオガミが生まれ、体力や戦闘力といった値が規定に達しなければ廃棄されていたと聞く。アオガミの胸にざわめきが生まれた。
「……わからない」
それは正直な回答だった。アオガミの返答をどう捉えたのか、ミコトはにこにこと無垢な笑顔を見せた。
「でも、ベテルにはいるんですよね?じゃあ私、アオガミさんに会いに行きますね!」
もし。もしも廃棄されたら、彼女ともう会えなくなるのか。無駄な思考が頭に浮かび、アオガミの胸が軋んだ。
アオガミ甲型、それはかの大戦にて失われし者の名。
――そのはずだったが、大戦に従事し機能停止していたアオガミ甲型は目を覚ました。
「やめてっ、こっちに来ないで!」
耳をつんざく少女の声にアオガミは両目を開いた。天を仰ぐ姿勢で倒れたまま眼球を動かすと、砂の大地に少女が腰を抜かしているのが見えた。悪魔たちが少女に群がりにじり寄っている。
――人類をあらゆる脅威から守る。
それこそがアオガミの役目。今こそ起き上がり、白刃のもとに悪魔を屠り少女を守らねば。アオガミは軋む体を起こし素早く駆けた。それはさながら白い風、長く機能停止していたが戦いの心得を忘れてなどいなかった。アオガミは右手に白い刃を出現させ、少女に気を取られている悪魔の背中に音もなく忍び寄った。
白刃一閃。アオガミの横薙ぎの一撃は的確に悪魔の一体を捉え、真っ二つに切り裂いた。他の悪魔たちが一斉にアオガミを驚きの眼で見遣るが、何もかも遅い。アオガミは大地を踏みしめ何度も悪魔たちに斬りかかった。情け容赦のない光の剣に抵抗する余地はない、あっという間に残りの悪魔も切り裂かれ、後には呆然とする少女が残されるばかりだった。
「立てるか」
アオガミは少女に歩み寄り、手を差し出した。少女は逡巡しながらもアオガミの手を取り、立ち上がった。その瞬間、アオガミは膝をついた。
「だ、大丈夫ですか!?」
少女は不安そうに顔を歪めている。アオガミは荒い呼吸を整え、淡々と答えた。
「長時間の機能停止後の急激な活動による過負荷と判断。少しの休息を取れば再び稼働可能だ」
「休息、ですか?でも、ここじゃ危ないです」
きょろきょろと辺りを見回した少女は、廃墟と化したビルを指差した。扉や窓ガラスが割れ骨組みだけが残った建物だが、隠れ潜むにはちょうどよさそうだった。
「肩、貸しますよ。一緒に行きましょう」
にこりと微笑む彼女にもたれかかるように立ち上がり、アオガミはよろめきつつも彼女とビルの中へ逃げ込んだ。壁にもたれかかり座ると、少女も隣に腰掛けた。
「あの、さっきはありがとうございました」
「何のことだ?」
「何のことって……私を助けてくれたじゃないですか。怖くて動けなかったんです。本当にありがとうございます」
「礼には及ばない。私は使命を果たしただけだ」
深々と頭を下げた彼女は、眉を顰めた。
「でも、大丈夫ですか?もしかしてどこか怪我とかしてるんですか?」
「ああ、そのようだ」
アオガミは答えながら自身を分析した。明確な外傷はほとんどないが、かの大戦で戦い続けた代償か、運動機能や体力が著しく低下している。先ほどは人間を守る使命から咄嗟に動けたが、長時間の稼働に耐えうる状態ではない。現にほんの数体悪魔を倒しただけで膝をついてしまうほどだ。可及的速やかにベテル日本支部で修復しなければならない。
「どこかに病院とかないんですか?すぐにお医者さんにかからないと!」
「病院などない。ここは魔界、人間の施設などどこにもないだろう」
「え?ま、まかい?ここって何なんですか?私、何もわからないんです」
少女の無垢な瞳に、アオガミは極めて冷静に説明した。ここは悪魔が跋扈する魔界であり、自身は悪魔と戦い抜いた神造魔人であること。少女――月森ミコトというらしい――は、アオガミの説明を真剣な顔で聞いていた。
「君は何らかのきっかけで魔界に落ちてきたのだろう。だがトウキョウ議事堂のターミナルから元の東京に戻ることができる。私が君を連れていこう」
「えっ……いいんですか?」
「問題ない。私も東京に戻る必要がある、君を守ることもできる。極めて合理的な行動と判断」
「わかりました」
アオガミの言葉にミコトは頷いた。そしてもう少し休息が必要なアオガミにそっと寄り添ってくれる。かの大戦からこれまで孤独な戦いを続けてきたアオガミにとって、初めて感じる人のぬくもりだった。
「あ、あれ?ここ、どこですか?」
砂の大地に形作られた青い光の柱、龍穴。癒しの力が使えるかもしれぬとアオガミが触れた瞬間、薄暗い空間にミコトとともに転移した。アオガミはミコトの手を引き、
「私のそばにいることを推奨」
力強く宣言した。この暗闇、どこから悪魔が襲ってきてもおかしくない。そう判断し警戒態勢に入ったアオガミに、
「見かけないツラだな?お前ら一体何者だ?」
耳障りな甲高い声が響いた。握ったミコトの手がかすかに震えている。アオガミは反射的に白い刃を構えた。
薄暗闇を裂く黄金の輝きが目に入った。大量のマッカや財宝の山、それらを従えるように背の高い椅子に座った何者かがいた。全身緑色の骸骨に似た不気味な外見だったが、幸いにも敵意は感じない。
「てっきりまたナホビノが来たかと思っていたが、大戦の兵器と人間ときたか!珍しいこともあるもんだな、キヒヒッ!」
「一体何者だ」
アオガミの威圧の声に骸骨は一切怯むことなく答えた。
「俺様はギュスターヴ!マッカさえ払えば何でも売ってやる!魔界を渡るなら道具も必要だろう?」
「何でも?じゃあ、傷を治すお薬とかあるんですか?」
ミコトの言葉に、骸骨――ギュスターヴは手を叩いて笑い声を上げた。
「キヒッ!俺様を舐めてもらっちゃ困るぜ、人間の嬢ちゃん!それくらいいくらでもある!」
「本当ですか!アオガミさん!さっき悪魔を倒してマッカが手に入りましたよね!アオガミさんの怪我だって治せるかもしれませんよ!」
ミコトはアオガミからマッカを受け取ると、ギュスターヴのもとに駆け寄り商品の説明を受けていた。アオガミは一歩離れその様子を伺っていたが、意外にもギュスターヴの扱う品は正規のものらしかった。ベテル日本支部で支給された傷薬や秘石と同じものを置いている。見るからに狡猾な悪魔といった風貌のギュスターヴだが、まともな商売人のようだ。
手持ちのマッカは少ない、傷薬一つ買うのがやっとだったらしい。ミコトは大事そうに傷薬を抱えてアオガミの元に戻ってきた。その向こうでは、ギュスターヴが腹を抱えて笑っていた。
「キヒヒッ!二つの魂を持つ神といい、大戦の兵器と人間といい、面白い取り合わせだな!気に入ったぜ、また来いよ!」
ギュスターヴのやや品のない笑い声を背に二人は魔界に戻った。砂混じりの風が吹く中、ミコトは傷薬の瓶をアオガミに手渡した。
「これで少しはよくなるといいんですけど」
「感謝する」
かの大戦の際、戦場で受けた些細な傷はこの薬を飲んで無理矢理治していた。アオガミは苦い良薬を躊躇なく飲み干した。しかしどうにも染み渡る感覚がない。長くメンテナンスを受けずに戦ってきたゆえの損傷はもっと根本的な問題らしく、小手先の薬ではどうにもならないらしい。やはりベテルでの修復が必要なようだ。
「アオガミさん、どうですか?少しはよくなりました?」
「損傷の回復なし。根本的な修復を推奨」
「え……そうですか、ごめんなさい、アオガミさん」
ミコトは見るからに落ち込んだ様子だった。アオガミは何故彼女が謝罪するのかまるで理解が及ばないが、その表情からケアが必要であることを察知した。ならば、ここで必要な言葉を適切に選ぶ必要がある。
「君が謝罪する必要はない。傷薬では修復不可能な損傷だった」
アオガミの言葉に、ミコトは不安そうに眉根を寄せた。
「あの、アオガミさん。無理だけはしないでくださいね。一緒に東京に戻りましょう」
少しは彼女の負担を除去することができただろうか。アオガミは判断する機微を持ち合わせていなかった。
「ぐ……」
アオガミは迫り来る悪魔を何の感情もなく倒した後、呻きとともに膝をついた。内部の損傷はやはり大きく、長時間続けて活動できない。もう休息が必要なのかと愕然としていると、少し離れて見守っていたミコトが駆け寄ってくる。
「アオガミさん、大丈夫ですか?休みましょう」
アオガミの状況を鑑み、悪魔が比較的少ない龍穴近くに座り休憩することになった。彼女を守りながら砂に埋もれた魔界を進み、前方に赤い塔、東京タワーが見えてきた。東京タワー、かの大戦を生き残ったアオガミ甲型には忌々しい記憶が蘇る。混沌の魔王ルシファー及びその配下たちと火花を散らした因縁の地。この鉄塔を越えればトウキョウ議事堂も近い。アオガミが思案を巡らせていると、ミコトが隣に腰掛けた。アオガミの顔を覗き込んでくる。彼女の瞳は魔界にあってもなお、きらめきを失っていなかった。
「アオガミさん、どうしたんですか?何か考えごとですか?」
「ここで私は魔王ルシファーと対峙した。そのことを記憶データから思い起こしていた」
「ルシファー?……そういえば、アオガミさんってあの緑色の人から『大戦の兵器』って呼ばれてましたけど……アオガミさんって人間じゃない……んですよね」
緑色の人、大戦の兵器……ギュスターヴ。情報の点と点を繋ぎ合わせたアオガミは、特に何の感慨もなく頷いた。
「私はベテルにより創られた神造魔人。人間ではない」
「じんぞうまじん……よくわかりませんけど、でも」
ミコトはアオガミの手に自らの手を重ねた。アオガミの手よりも小さな彼女の手は儚く、触れる仕草も控えめだった。彼女の体温、少しばかり熱く感じる。
「アオガミさんは私を助けてくれました。元の東京にも一緒に帰れるんですよね。たとえアオガミさんが悪魔だったとしても、私はアオガミさんを信じます」
「……」
信じる。不思議な言葉だ。アオガミの胸の奥、心臓に似た器官が収まる場所が疼く感覚がある。いわゆる「胸の高鳴り」というものだろうか。もしもそうだとすれば、何故その言葉にあたたかさを感じているのか、アオガミにはわからなかった。
「君の状態を確認したい。手を貸してもらえるか」
「え、あ、はい」
アオガミは自らの手に重なっていたミコトの手を取った。アオガミの掌に置いた彼女の手は白く、戦うことを知らない手だ。掌、手首からは多くの情報を得られる。脈拍、血圧、体温。そして彼女の顔を見れば呼吸の状態も確認できる。アオガミはミコトの瞳を真っ直ぐ見つめた。近くで見た彼女の頬はほんのりと赤く染まっていた。
「呼吸の乱れ及び体温のかすかな上昇が見られる。何か病に罹患したのではないか」
「えっ、や、病……」
じっと見つめるとミコトは俯いた。体温がさらに上昇したのを感じる。龍穴からギュスターヴの棲家に行けば悪魔用の傷薬は買えるものの、一般的な疾病を治療する薬は置いていないだろう。もしも彼女の行動に支障が出るのなら、アオガミが背負って移動することを視野に入れるべきか。アオガミが冷静に考えていると、
「病気じゃ、ないです……強いて言うなら、恋の病です!」
吹っ切れたような大声でミコトは叫んだ。恋の病?データにない言葉だ。どのような意味だろうか。
「恋の病、とは?」
「あ、えっと……アオガミさんがその、好きだから、ドキドキしてるんです!」
「私を好き?」
照れくさそうに答えたミコトは、顔が真っ赤だった。体温上昇も著しく、この状態が長く続くのならよろしくない。ミコトはアオガミが好き。ゆえに脈拍や体温に異常が見られる。このような思考で合っているだろうか。アオガミは戦闘時とは異なる思考回路をフル回転させていた。
「君の体調不良の原因が私であるならば、私は君と離れるべきなのか」
「いやです!」
ミコトは顔を勢いよく上げると、アオガミの腕に抱きついた。通常時よりも高い体温を躊躇いながらも押し付けてくる。
「いやです……私はアオガミさんといたいです。それに、私を東京まで連れていってくれるんですよね?」
ミコトの上目遣いを見、アオガミは考え直した。そうだ、自らの使命を忘れてはならない。人類を、ひいてはこの少女をサポートし東京に連れ帰るのがアオガミの役目。目先の疑問にとらわれ大局を見失ってはならない。
「そうだ。私の使命は君を東京まで送り届けること。君は戦う力を持たない。私が君を守る」
「……はい。ありがとうございます、アオガミさん」
アオガミに浮かんだ小さな疑問は、果たすべき使命の前に塵と消えていった。
砂の続く魔界をミコトとともに歩き、ナガタチョウの龍穴に辿り着いた。遠くにトウキョウ議事堂の建物が見える。アオガミはナガタチョウの龍穴近くに座り、休息を取っていた。目的地まであと少しだが損傷著しい体で無理はできない。アオガミは焦りを感じつつも至極冷静な判断で体を休めていた。
「アオガミさん、ゆっくりしててくださいね!私がアオガミさんを守りますから!」
輝くような笑顔を見せたミコトにアオガミは何事かを言おうとしたが、肉体疲労が限界だった。気付けばアオガミは深い眠りに落ち、数分意識を失っていた。
襲いくる悪魔の不穏な気配にアオガミは目を覚ました。アオガミの少し離れたところに立つミコトは、悪魔の一体と睨み合っていた。彼女は戦えないはずだ、そう思いアオガミは立ち上がったが、
「食らえー!」
ミコトは叫び手に持っていた何かを悪魔に投げつけた。悪魔の体に何かが当たった瞬間、強烈な突風が発生し悪魔を切り刻んだ。アオガミには見覚えがある、風で対象を切り刻む魔法ザンマだ。しかし何故彼女がそんなものを、と疑問に思いながら近付くと、彼女はピースサインをしながら振り返った。
「アオガミさん、やっぱりギュスターヴさんのお店で置いている品物は便利ですね!私だってある程度戦えます!」
「もしや先ほどの魔法は、衝撃の秘石を投げたものか」
「たぶんそうです!」
ミコトはセーラー服のポケットに手を突っ込み、いくつか秘石を取り出した。ひととおりの属性魔法を操れる秘石、いつの間に手に入れていたのか。ミコトは嬉しそうに笑った。
「ギュスターヴさんに私も戦えるようになりたいって言ったら、魔法を封じ込めた石があるって言われて!黙ってお金を使っちゃいました。それは、ごめんなさい」
神妙な顔で謝るミコトにアオガミはふむ、と思案した。アオガミ自身戦闘能力を持つゆえに、秘石を携行するという発想がなかった。確かに戦えない人間にとっては非常に有用な道具だろう。一考の余地はある。
「君の身を守ることができ、結果的にはよかったといえる。だが君は人間、悪魔との戦闘は私に任せることを推奨」
「それは、そうですけど……でも、私ばかり守られていたんじゃいけないと思います。アオガミさん、具合が悪いんですから」
ほら、もう少し休んでてください、と背を押され、アオガミは龍穴近くに座らされた。神造魔人の力をもってすればか弱き少女を振り払うことなど容易だが、アオガミは大人しく彼女の指示に従っていた。私だってできるんです、と胸を張る彼女を見ていると抵抗する気力が削がれていた。
トウキョウ議事堂には問題なく到着した。が、辺り一面には天使の死体が大量に転がり異様な雰囲気を醸し出していた。アオガミは息を呑むミコトを後ろ手にかばい、注意深く周囲を見渡した。天使と何者かが交戦したと思われるが、生者の気配は一切ない。アオガミは人間には感じ得ないマガツヒの「匂い」を感じていた。自らと同じ「アオガミ」の匂い――かの大戦を生き延びた個体が他にいたのか。ベテルの兵器たるアオガミが天使を屠るとは考えにくいが……と止まらぬ思考の螺旋に身を委ねていると、
「アオガミ、さん」
すぐそばにいたミコトがアオガミの腕に縋りついていた。アオガミを見上げる眼差しはいかにも不安げな弱者のもので、余計なことに気を取られていたとアオガミは自省した。
「天使が何故ここで倒れているかは不明だ。しかし、この惨状を引き起こした者はもうここにはいないようだ」
「じゃ、じゃあ……大丈夫、ですか」
「問題ない。だが万が一のこともある、私のそばにいることを推奨」
警戒しながら告げると、ミコトはアオガミの腕をぎゅっと抱きしめた。離れる気配はない。
「ごめんなさい、怖くて……このままでもいいですか」
「了解した」
悪魔との戦いはこれまでの道中で何度も経験したが、少数との戦いがほとんどだった。議事堂を埋め尽くすほどの天使の亡骸、ミコトが恐れるのは当然だ。少しの歩きにくさはあるが、彼女に合わせて然るべきだろう。アオガミは隣にいる少女を慮った速度で歩みを進めた。
トウキョウ議事堂、その奥にはベテル日本支部に続くターミナルがある。不穏な気配が渦巻く静寂の空間に二人分の足音が響く。ミコトが口を開いた。
「あの、そういえば……ベテル日本支部って、どういうところなんですか?」
「君にはまだ説明していなかったか」
彼女にはターミナルがあること、ターミナルから東京――ベテル日本支部に一度戻る旨は伝えていたが、それ以上のことは言っていなかった。彼女の疑問は至極当然だが、ただの疑問にしては声が震えていた。恐怖を誤魔化すための会話といったところか。
「法を支配する神の配下、天使が運営する組織だ。私が生まれた場所でもある」
「じんぞうまじん……でしたっけ。そっか、アオガミさんって人間じゃないんですよね……なんか、すっかり忘れてました」
アオガミは自身が人間ではないことをはっきり自覚しておりその旨も彼女には説明していたが、少し意外だった。アオガミが黙っていると、ミコトはふふ、と笑みを零した。
「体調がよくないのに助けてくれて、守ってくれて、ここまで連れてきてくれて……アオガミさんってとっても優しいです。アオガミさんと一緒にいられて本当によかったです」
「……そうか」
「ベテルに戻って体、よくなるといいですね。ベテルに戻った後はどうするんですか?」
ベテルに戻った後。アオガミは考えたこともなかった。月森ミコトを守る使命を果たしたアオガミは用済みなのだろうか。かつてベテル日本支部では様々な個体のアオガミが生まれ、体力や戦闘力といった値が規定に達しなければ廃棄されていたと聞く。アオガミの胸にざわめきが生まれた。
「……わからない」
それは正直な回答だった。アオガミの返答をどう捉えたのか、ミコトはにこにこと無垢な笑顔を見せた。
「でも、ベテルにはいるんですよね?じゃあ私、アオガミさんに会いに行きますね!」
もし。もしも廃棄されたら、彼女ともう会えなくなるのか。無駄な思考が頭に浮かび、アオガミの胸が軋んだ。