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赤いイヤリング
デートの日はいつも胸が高鳴る。今日の服装、彼は気に入ってくれるだろうか。早く会いたいなあ。色々頭によぎりながらミコトは駅に着き、落ち着かない様子で足元に視線を落としていた。
「ミコト、お待たせ」
俯いていたところに彼の声が響いた。顔を上げる。
「……全然、待ってないよ」
微笑む彼――百合川ヒイラギの顔がすぐ近くにあって、一瞬返答が喉に詰まった。今日も彼は綺麗だ。どれだけ人が多くとも、その中で切り取られたかのように彼の姿は目立って見える。
「じゃ、行こっか」
ごく自然な仕草で彼に手を握られて、二人でゆったりと歩き始める。彼の横顔、もみあげが短い左側。髪に遮られない左耳たぶに赤いイヤリングが輝いていた。ガーネットに似た深い赤色の宝石の周りを小さな金色の粒状の宝石で囲ったデザインで、耳たぶのそれなりの面積を占めて目立つ。ヒイラギの流れるような黒髪の美しさ、白く柔らかな耳たぶ、一粒輝く赤色。ミコトでなくとも視線を奪われる鮮烈な色合いだった。
「ヒイラギくん、今日イヤリングしてるんだ。珍しいね」
「ん?うん。ユヅルがピアスしてるの見ていいなーって思ってさ。休みの日しかつけないし、せっかくなら目立つのにしようかなって。どう?」
「似合ってるよ。すごく綺麗だね」
「ありがとう」
ヒイラギがミコトを見て笑った。歩く揺らぎに合わせてさらりと黒い髪がなびき、赤いイヤリングが光を反射して輝く。その一瞬のきらめき、美しさにミコトはただただ息を漏らすことしかできなかった。
二人のお出かけは楽しく和やかに終わり、いつもどおり二人で学生寮に戻る。デートの後はどちらかの部屋で一緒に過ごすことにしていた。今日はヒイラギの部屋。窓の外は暗く、休日で人の少ない学生寮は静けさに包まれている。
ヒイラギがベッドの背もたれにもたれかかって座り、優しく笑んでミコトを手招く。ミコトは頷くとベッドに座り、彼に背中を預ける。ヒイラギの両腕がミコトの腹部にまわりやわやわと抱きしめられた。
「今日、楽しかったね」
ヒイラギの顔がミコトの右肩に乗り、頬が擦り付けられる。二人きりのときにしか見せない甘やかな仕草にミコトは微笑む。
「うん。ご飯も美味しかった。また行きたいね」
「そうだね」
首筋にヒイラギのあたたかい吐息が吹きかけられたと思った瞬間、右耳を甘く噛まれた。かぷりと上下の歯で挟み込まれて味わわれている。ぬるりと這い出たヒイラギの舌が耳たぶを舐めたと思うと、唾液を塗りたくるように耳全体を這ってくる。複雑な耳の凹凸を味わい尽くし、細く尖った舌の先端が耳の穴から奥へ入ろうとする。冷えた入り口に生温かい質量が押し当てられ、彼以外には間違いなく暴かれない奥を舐めとられる気がして、この上なく淫靡な行為に体が震えた。
「ん……っ」
「耳、気持ちいい?」
「うん……」
ヒイラギの指が唾液で濡れた耳たぶをさすり、骨の形に沿って耳全体を撫でる。右耳に何か刺激が加わるたび、右半身に少し冷たい電流が走る。寒気に似た、しかし快い電流。
「ミコトの耳って触り心地がいいよね。ずっと触りたくなっちゃうな」
「そうなの……?よくわかんないけど……」
触れられていない左耳を自分で触ってみる。耳たぶは柔らかく触りたくなるのも頷けるが、それ以外の骨ばった部分は特に面白みがなくていまいち理解できない。その間にも右耳の裏側に舌が這い、首から背中にかけて痙攣を伴う快美が駆け抜けていく。
「ミコトも僕の耳、触ってみない?触られてみたいんだ」
おねだりをされたら逆らえるはずもなく、ミコトはヒイラギと向かい合って座った。彼の手がミコトの手を取り、彼の白磁の首筋に触れさせた。手を首筋に沿って上に滑らせると彼の左耳に到達する。髪に遮られず露出した左耳、そこにあの赤いイヤリングが輝いている。雪肌に咲く一輪の椿に触れた。宝石の冷たい感触と、耳たぶに宿る人肌の温度が指に楽しい。宝石の硬さと耳たぶの柔らかさ、どちらの感触も心地よくてずっと撫でさすっていたくなる。
「なんだかくすぐったいね」
薄く開いた唇から笑い声を漏らしながら、ヒイラギが小首を傾げた。耳たぶを撫でていると少しずつ赤みを増していく。
「イヤリング、外してもいい?」
「いいよ」
赤い椿を取り除くと、ヒイラギ本来の餅のような耳たぶが全容を露わにする。イヤリングを挟んでいた部分が赤く腫れている。
「あ、耳赤くなってる……イヤリング、痛かったんじゃない?」
「正直言うと、ちょっとだけね。慣れてないから」
「触っていいの?痛くない?」
「ミコトに舐めてもらって、痛いの痛いの飛んでけって言ってもらったら、痛くなくなると思うよ?」
「……なにそれ」
力が抜けてじっとりとヒイラギに視線を向けると、彼は子供っぽく笑い斜め下からミコトを上目で見つめてきた。
「痛いのかわいそうでしょ?ね、お願い」
彼の翡翠に似た瞳が揺らめく輝きをもってミコトに訴えかけてくる。そんな目で見つめられて無視できる人間がいたら会ってみたい。ミコトは覚悟とともに息をつき、ヒイラギの左耳を口に含んだ。舌先で優しく舐めてやる。もっちりと弾力のある耳たぶに舌を這わせると、ヒイラギの口から艶かしい吐息が漏れた。……なんだかいけないことをしているような気分になる。そうして数秒慰めるように舌で撫でた後、濡れた耳たぶを親指の腹でさすり、
「痛いの痛いの、飛んでけ」
幼い子に言い聞かせるように呟く。改めて目を合わせたヒイラギは、潤んだ瞳でミコトを見つめていた。
「ふふ、ありがとう。痛いのなくなったよ。すごく気持ちいい」
「……ほんと?」
「ほんとほんと。ミコト、もっと触ってよ。いっぱい気持ちよくして?」
「うん」
言われなくても触りたかった。右耳にも触れてみたい。左手の甲で彼の長い右側のもみあげを持ち上げると、掌の日陰に彼の右の耳たぶが露わになる。日陰でもきらりと輝くのは赤いイヤリング。ヒイラギは恥ずかしそうに目を伏せていた。
「イヤリング、外すね?」
ミコトがそっと赤い花を外すと、やはり右耳にも赤く色付いた部分がある。そこを舌で慰め、ほんの少し甘噛みしてやると、
「……ぁっ」
甘ったるい彼の吐息が漏れた。もっと聞きたくなる。ミコトは柔らかく笑み、右耳を噛みながら左耳にも手を伸ばし、さすってやる。ミコトしか触れない特別な両耳を、今日は慈しんでいたい。彼の甘く濡れた声を聞きながら。
デートの日はいつも胸が高鳴る。今日の服装、彼は気に入ってくれるだろうか。早く会いたいなあ。色々頭によぎりながらミコトは駅に着き、落ち着かない様子で足元に視線を落としていた。
「ミコト、お待たせ」
俯いていたところに彼の声が響いた。顔を上げる。
「……全然、待ってないよ」
微笑む彼――百合川ヒイラギの顔がすぐ近くにあって、一瞬返答が喉に詰まった。今日も彼は綺麗だ。どれだけ人が多くとも、その中で切り取られたかのように彼の姿は目立って見える。
「じゃ、行こっか」
ごく自然な仕草で彼に手を握られて、二人でゆったりと歩き始める。彼の横顔、もみあげが短い左側。髪に遮られない左耳たぶに赤いイヤリングが輝いていた。ガーネットに似た深い赤色の宝石の周りを小さな金色の粒状の宝石で囲ったデザインで、耳たぶのそれなりの面積を占めて目立つ。ヒイラギの流れるような黒髪の美しさ、白く柔らかな耳たぶ、一粒輝く赤色。ミコトでなくとも視線を奪われる鮮烈な色合いだった。
「ヒイラギくん、今日イヤリングしてるんだ。珍しいね」
「ん?うん。ユヅルがピアスしてるの見ていいなーって思ってさ。休みの日しかつけないし、せっかくなら目立つのにしようかなって。どう?」
「似合ってるよ。すごく綺麗だね」
「ありがとう」
ヒイラギがミコトを見て笑った。歩く揺らぎに合わせてさらりと黒い髪がなびき、赤いイヤリングが光を反射して輝く。その一瞬のきらめき、美しさにミコトはただただ息を漏らすことしかできなかった。
二人のお出かけは楽しく和やかに終わり、いつもどおり二人で学生寮に戻る。デートの後はどちらかの部屋で一緒に過ごすことにしていた。今日はヒイラギの部屋。窓の外は暗く、休日で人の少ない学生寮は静けさに包まれている。
ヒイラギがベッドの背もたれにもたれかかって座り、優しく笑んでミコトを手招く。ミコトは頷くとベッドに座り、彼に背中を預ける。ヒイラギの両腕がミコトの腹部にまわりやわやわと抱きしめられた。
「今日、楽しかったね」
ヒイラギの顔がミコトの右肩に乗り、頬が擦り付けられる。二人きりのときにしか見せない甘やかな仕草にミコトは微笑む。
「うん。ご飯も美味しかった。また行きたいね」
「そうだね」
首筋にヒイラギのあたたかい吐息が吹きかけられたと思った瞬間、右耳を甘く噛まれた。かぷりと上下の歯で挟み込まれて味わわれている。ぬるりと這い出たヒイラギの舌が耳たぶを舐めたと思うと、唾液を塗りたくるように耳全体を這ってくる。複雑な耳の凹凸を味わい尽くし、細く尖った舌の先端が耳の穴から奥へ入ろうとする。冷えた入り口に生温かい質量が押し当てられ、彼以外には間違いなく暴かれない奥を舐めとられる気がして、この上なく淫靡な行為に体が震えた。
「ん……っ」
「耳、気持ちいい?」
「うん……」
ヒイラギの指が唾液で濡れた耳たぶをさすり、骨の形に沿って耳全体を撫でる。右耳に何か刺激が加わるたび、右半身に少し冷たい電流が走る。寒気に似た、しかし快い電流。
「ミコトの耳って触り心地がいいよね。ずっと触りたくなっちゃうな」
「そうなの……?よくわかんないけど……」
触れられていない左耳を自分で触ってみる。耳たぶは柔らかく触りたくなるのも頷けるが、それ以外の骨ばった部分は特に面白みがなくていまいち理解できない。その間にも右耳の裏側に舌が這い、首から背中にかけて痙攣を伴う快美が駆け抜けていく。
「ミコトも僕の耳、触ってみない?触られてみたいんだ」
おねだりをされたら逆らえるはずもなく、ミコトはヒイラギと向かい合って座った。彼の手がミコトの手を取り、彼の白磁の首筋に触れさせた。手を首筋に沿って上に滑らせると彼の左耳に到達する。髪に遮られず露出した左耳、そこにあの赤いイヤリングが輝いている。雪肌に咲く一輪の椿に触れた。宝石の冷たい感触と、耳たぶに宿る人肌の温度が指に楽しい。宝石の硬さと耳たぶの柔らかさ、どちらの感触も心地よくてずっと撫でさすっていたくなる。
「なんだかくすぐったいね」
薄く開いた唇から笑い声を漏らしながら、ヒイラギが小首を傾げた。耳たぶを撫でていると少しずつ赤みを増していく。
「イヤリング、外してもいい?」
「いいよ」
赤い椿を取り除くと、ヒイラギ本来の餅のような耳たぶが全容を露わにする。イヤリングを挟んでいた部分が赤く腫れている。
「あ、耳赤くなってる……イヤリング、痛かったんじゃない?」
「正直言うと、ちょっとだけね。慣れてないから」
「触っていいの?痛くない?」
「ミコトに舐めてもらって、痛いの痛いの飛んでけって言ってもらったら、痛くなくなると思うよ?」
「……なにそれ」
力が抜けてじっとりとヒイラギに視線を向けると、彼は子供っぽく笑い斜め下からミコトを上目で見つめてきた。
「痛いのかわいそうでしょ?ね、お願い」
彼の翡翠に似た瞳が揺らめく輝きをもってミコトに訴えかけてくる。そんな目で見つめられて無視できる人間がいたら会ってみたい。ミコトは覚悟とともに息をつき、ヒイラギの左耳を口に含んだ。舌先で優しく舐めてやる。もっちりと弾力のある耳たぶに舌を這わせると、ヒイラギの口から艶かしい吐息が漏れた。……なんだかいけないことをしているような気分になる。そうして数秒慰めるように舌で撫でた後、濡れた耳たぶを親指の腹でさすり、
「痛いの痛いの、飛んでけ」
幼い子に言い聞かせるように呟く。改めて目を合わせたヒイラギは、潤んだ瞳でミコトを見つめていた。
「ふふ、ありがとう。痛いのなくなったよ。すごく気持ちいい」
「……ほんと?」
「ほんとほんと。ミコト、もっと触ってよ。いっぱい気持ちよくして?」
「うん」
言われなくても触りたかった。右耳にも触れてみたい。左手の甲で彼の長い右側のもみあげを持ち上げると、掌の日陰に彼の右の耳たぶが露わになる。日陰でもきらりと輝くのは赤いイヤリング。ヒイラギは恥ずかしそうに目を伏せていた。
「イヤリング、外すね?」
ミコトがそっと赤い花を外すと、やはり右耳にも赤く色付いた部分がある。そこを舌で慰め、ほんの少し甘噛みしてやると、
「……ぁっ」
甘ったるい彼の吐息が漏れた。もっと聞きたくなる。ミコトは柔らかく笑み、右耳を噛みながら左耳にも手を伸ばし、さすってやる。ミコトしか触れない特別な両耳を、今日は慈しんでいたい。彼の甘く濡れた声を聞きながら。