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雪とキスはあたたかい
ピンポンピンポーン!
「……朝から何だ……」
冬休みに入ったばかりの朝、間薙シンの家のインターホンが鳴った。早すぎる宅配業者だろうか、シンは寝ぼけ眼を擦りながら玄関の扉を開けた。
「シン!見て見て!真っ白だよ!」
門扉に立っていたのは隣に住む幼なじみ、月森ミコトだった。マフラーや手袋などでばっちり防寒した私服姿、さすがのシンも寝巻き姿で出たことを後悔した。
興奮した様子のミコトに言われて初めて気がついた。家の外は純白の雪が降り積もり、どこもかしこも真っ白だった。うっかりサンダルなどで外に出た日には足が凍傷を起こしてしまうだろう。シンは身震いしつつ、
「悪い、ミコト。さっき起きたところなんだ。少し待っててくれ」
「はーい!」
顔を赤らめつつも言うと、ミコトは白い息を吐き手を振ってくれた。いくらなんでも気の抜けたところを見せてしまった、シンは慌てて身支度を済ませた。迷っている時間はない、いつものパーカーにジーンズ、マフラーと手袋とコートがあれば大丈夫だろうか。コーディネートなんて考える暇もない即席の私服姿でシンは再び外に出た。
「待たせた、ミコト」
「ううんー、全然待ってなーい」
門扉を出た瞬間、ミコトにぐいっと腕を引っ張られた。
「せっかくだから公園に行こう!雪遊びしようよ!」
そうしてシンはミコトとともに公園にやってきた。普段なら土が見える地面も真っ白、遊具にも白い雪が積もっている。くるぶしほどまで積もった雪を踏みしめながら二人は歩いた。
「雪だるま作れるかな。かまくら作るには足りないか」
腕を組んだミコトが小さな雪原を前に意気込んでいた。シンは雪に触れた。少し重めの水分を含んだ雪だった。
「かまくらはちょっと厳しいな。雪だるまでも作るか」
「そうしよう!私は頭を作るから、胴体をお願いね!」
二人顔を見合わせて笑い、雪玉を作り始める。雪は冷たく体の芯まで冷やしていく心地がするが、彼女と一緒ならそこまで苦にはならなかった。少しずつ大きくなっていく雪玉をころころと転がしてみる。周囲の雪を取り込み、みるみる雪玉が大きくなっていく。
「そっちはどうだ」
シンは少し離れたところで雪玉を作っているミコトに目をやった。彼女もころころと雪玉を転がしており、三十センチほどの雪玉ができあがっていた。シンと大体同じくらいの大きさだ。並べてみると意外と大きく見える。
「シンもできてきたね!乗っけてみようか」
ミコトは自身の雪玉をシンの作った雪玉に乗せてみた。丸い雪玉が二つ重なり、のっぺらぼうの雪だるまができあがる。ミコトは嬉しそうな声を上げた。
「なんかこのままでも結構可愛いかも」
「まぁもう少し飾りをつけてやりたいな。顔とか」
「う〜ん……」
考え込むミコトを尻目にシンは小さな枝を二本見つけ、胴体の雪玉に左右一本ずつ刺した。それだけで両手が生えてきたように見える。
「あ、じゃあ私顔描く!」
ミコトも枝を取り、頭の雪玉にニコニコマークの顔を描いた。のっぺらぼうの雪だるまが一気に可愛らしくなり、キャッキャと言いながらミコトはスマホを取り出した。
「可愛いのできた〜!シン、写真撮ろ、写真!千晶ちゃんや勇くんにも送っちゃお!」
「いいな」
そうして二人で雪だるまを囲み撮影大会が始まる。雪の朝からこんな写真が撮れるなんて、幼なじみの特権だ。シンの口元がにやにやと緩むのを感じた。
結局公園で二人だけの雪合戦が始まってしまい、二人は雪玉をぶつけ合いびしょ濡れになってしまった。昼の太陽が輝く頃、二人はシンの家に落ち着いた。シンの部屋に二人で入り、暖房を思い切り効かせる。こたつに二人で入り、あたたかいココアを二人で啜っていた。ミコトはべったりとこたつに張り付き、ふぅと息をついた。
「朝から遊んだね〜……寒かった〜」
「遊んでる間は結構あったかかったけどな。体動かしてたから」
「そうだけど〜……あー、やっぱりこたつって最高……あったか〜い……」
こたつにべったりと頬をくっつけぽやぽやとした様子で言葉を紡ぐミコトは、温泉でくつろぐ猿やカピバラのような可愛らしさがあった。シンがふ、と口元に笑みを浮かべたのをめざとく発見したのか、ミコトは目をつり上げた。
「なんかシン、変なこと考えてるでしょ」
「考えてない」
「うっそだ〜!絶対そんなことない!なんかふにゃっとした顔してんだもん!」
「……」
シンは思わずため息をついた。ココアを一口。甘くあたたかい。この空気感なら、少しくらいふざけたことを考えていても許してくれるだろうか。
「……お前が小動物みたいで可愛いって思ったんだよ」
ぼそりと呟くと、ミコトはぽかんとした顔をしていた。数秒後、顔がほんのり赤くなる。
「か、可愛いって……シンがそんなこと言うなんて!ねえどうしたの、幼なじみに対するリップサービス?」
「違う……割と、というか十割本心を言ってる」
「え〜!」
ミコトはがばっと飛び起き、スマホの動画アプリを起動させた。インタビューを行う記者のようにスマホをシンに差し出す。
「シン!もう一回言って!千晶ちゃんや勇くんに送るから!」
「誰が言うか」
「え〜ケチ〜!」
頬を膨らませたミコトは、こたつから出た。こたつに座ったままのシンの腕をぐいぐいと引っ張る。
「シン、せっかくだからベッドで寝よ?こたつで寝たら風邪引いちゃう」
「え?」
シンが戸惑っている間にもぐいぐいと腕を引かれ、半強制的に立たされる。そして、
「どーんっ!」
「!?」
ベッドに押し倒された。ミコトも隣に寝転がり、布団を二人で被る。布団の薄暗闇で見たミコトの顔は妙に色っぽく、シンの呼吸が止まりそうになった。昔からずっと一緒、高校まで一緒の幼なじみ。当たり前だがシンが成長するようにミコトも成長していて、シングルベッドに寝転がる彼女の体の曲線に目が惹きつけられる。
「こたつもいいけど布団も気持ちいいよね〜!シン、このまま寝てもいい?」
「……ミコト」
このまま寝られるとシンに悪影響を及ぼしそうだ。シンは咄嗟に彼女を抱きしめた。柔らかいミコトの感触を感じるが、艶めかしい表情を見ることなく過ごせる。腕の中の彼女が息を呑む気配があった。
「ちょ、ちょっとシン?どうしたの?」
彼女の上目遣いは可愛らしく、先ほど見た艶やかさは大分薄れていた。ホッとした。あまりに色っぽい顔をされるとどうしたらいいのかわからない。
「お前の方から寄ってきただろ。じゃあこれくらい平気だよな」
「へ?平気だけど……どうしたのシン、珍しいじゃん。シンの方からこんな積極的なんて」
ミコトは戸惑いつつも、シンを悪戯っぽく見つめていた。シンはその意味深な眼差しに思わず言ってやりたくなった。
「あんまりオレを見るな。……そんな顔してたら、キスしたくなる」
「いいよ?シンとならキスしても」
「!?」
まさかの即答にシンの方が戸惑ってしまった。ミコトは潤んだ瞳でシンを見つめている。どこかへ霧散していた色っぽさが戻ってきた。キスしないの?とでも言いたげな妖しい表情にシンの理性が崩されそうになる。
「お前……」
シンはミコトの額にこつんと額を合わせた。どちらも熱く激っている……ような気がする。この状況に心臓がどうにかなりそうなのはシンだけではないのかもしれない。
「本当にキスするぞ」
「いいって言ってるじゃん」
口を尖らせる彼女の唇から目が離せない。ぷるぷると潤った唇。ああ……奪ってしまいたい。
シンはミコトを抱きしめ、彼女の唇に自らのものを重ねた。触れ合いは一瞬だけ。だからもう一度キスをした。彼女の唇は甘く、ココアの香りがした。
「ファーストキスはレモン味なんて言うけど、ココア味だったね」
くすくすと笑うミコトにシンは目を逸らしつつ、
「……ああ、そうだな」
としか答えることができなかった。
ピンポンピンポーン!
「……朝から何だ……」
冬休みに入ったばかりの朝、間薙シンの家のインターホンが鳴った。早すぎる宅配業者だろうか、シンは寝ぼけ眼を擦りながら玄関の扉を開けた。
「シン!見て見て!真っ白だよ!」
門扉に立っていたのは隣に住む幼なじみ、月森ミコトだった。マフラーや手袋などでばっちり防寒した私服姿、さすがのシンも寝巻き姿で出たことを後悔した。
興奮した様子のミコトに言われて初めて気がついた。家の外は純白の雪が降り積もり、どこもかしこも真っ白だった。うっかりサンダルなどで外に出た日には足が凍傷を起こしてしまうだろう。シンは身震いしつつ、
「悪い、ミコト。さっき起きたところなんだ。少し待っててくれ」
「はーい!」
顔を赤らめつつも言うと、ミコトは白い息を吐き手を振ってくれた。いくらなんでも気の抜けたところを見せてしまった、シンは慌てて身支度を済ませた。迷っている時間はない、いつものパーカーにジーンズ、マフラーと手袋とコートがあれば大丈夫だろうか。コーディネートなんて考える暇もない即席の私服姿でシンは再び外に出た。
「待たせた、ミコト」
「ううんー、全然待ってなーい」
門扉を出た瞬間、ミコトにぐいっと腕を引っ張られた。
「せっかくだから公園に行こう!雪遊びしようよ!」
そうしてシンはミコトとともに公園にやってきた。普段なら土が見える地面も真っ白、遊具にも白い雪が積もっている。くるぶしほどまで積もった雪を踏みしめながら二人は歩いた。
「雪だるま作れるかな。かまくら作るには足りないか」
腕を組んだミコトが小さな雪原を前に意気込んでいた。シンは雪に触れた。少し重めの水分を含んだ雪だった。
「かまくらはちょっと厳しいな。雪だるまでも作るか」
「そうしよう!私は頭を作るから、胴体をお願いね!」
二人顔を見合わせて笑い、雪玉を作り始める。雪は冷たく体の芯まで冷やしていく心地がするが、彼女と一緒ならそこまで苦にはならなかった。少しずつ大きくなっていく雪玉をころころと転がしてみる。周囲の雪を取り込み、みるみる雪玉が大きくなっていく。
「そっちはどうだ」
シンは少し離れたところで雪玉を作っているミコトに目をやった。彼女もころころと雪玉を転がしており、三十センチほどの雪玉ができあがっていた。シンと大体同じくらいの大きさだ。並べてみると意外と大きく見える。
「シンもできてきたね!乗っけてみようか」
ミコトは自身の雪玉をシンの作った雪玉に乗せてみた。丸い雪玉が二つ重なり、のっぺらぼうの雪だるまができあがる。ミコトは嬉しそうな声を上げた。
「なんかこのままでも結構可愛いかも」
「まぁもう少し飾りをつけてやりたいな。顔とか」
「う〜ん……」
考え込むミコトを尻目にシンは小さな枝を二本見つけ、胴体の雪玉に左右一本ずつ刺した。それだけで両手が生えてきたように見える。
「あ、じゃあ私顔描く!」
ミコトも枝を取り、頭の雪玉にニコニコマークの顔を描いた。のっぺらぼうの雪だるまが一気に可愛らしくなり、キャッキャと言いながらミコトはスマホを取り出した。
「可愛いのできた〜!シン、写真撮ろ、写真!千晶ちゃんや勇くんにも送っちゃお!」
「いいな」
そうして二人で雪だるまを囲み撮影大会が始まる。雪の朝からこんな写真が撮れるなんて、幼なじみの特権だ。シンの口元がにやにやと緩むのを感じた。
結局公園で二人だけの雪合戦が始まってしまい、二人は雪玉をぶつけ合いびしょ濡れになってしまった。昼の太陽が輝く頃、二人はシンの家に落ち着いた。シンの部屋に二人で入り、暖房を思い切り効かせる。こたつに二人で入り、あたたかいココアを二人で啜っていた。ミコトはべったりとこたつに張り付き、ふぅと息をついた。
「朝から遊んだね〜……寒かった〜」
「遊んでる間は結構あったかかったけどな。体動かしてたから」
「そうだけど〜……あー、やっぱりこたつって最高……あったか〜い……」
こたつにべったりと頬をくっつけぽやぽやとした様子で言葉を紡ぐミコトは、温泉でくつろぐ猿やカピバラのような可愛らしさがあった。シンがふ、と口元に笑みを浮かべたのをめざとく発見したのか、ミコトは目をつり上げた。
「なんかシン、変なこと考えてるでしょ」
「考えてない」
「うっそだ〜!絶対そんなことない!なんかふにゃっとした顔してんだもん!」
「……」
シンは思わずため息をついた。ココアを一口。甘くあたたかい。この空気感なら、少しくらいふざけたことを考えていても許してくれるだろうか。
「……お前が小動物みたいで可愛いって思ったんだよ」
ぼそりと呟くと、ミコトはぽかんとした顔をしていた。数秒後、顔がほんのり赤くなる。
「か、可愛いって……シンがそんなこと言うなんて!ねえどうしたの、幼なじみに対するリップサービス?」
「違う……割と、というか十割本心を言ってる」
「え〜!」
ミコトはがばっと飛び起き、スマホの動画アプリを起動させた。インタビューを行う記者のようにスマホをシンに差し出す。
「シン!もう一回言って!千晶ちゃんや勇くんに送るから!」
「誰が言うか」
「え〜ケチ〜!」
頬を膨らませたミコトは、こたつから出た。こたつに座ったままのシンの腕をぐいぐいと引っ張る。
「シン、せっかくだからベッドで寝よ?こたつで寝たら風邪引いちゃう」
「え?」
シンが戸惑っている間にもぐいぐいと腕を引かれ、半強制的に立たされる。そして、
「どーんっ!」
「!?」
ベッドに押し倒された。ミコトも隣に寝転がり、布団を二人で被る。布団の薄暗闇で見たミコトの顔は妙に色っぽく、シンの呼吸が止まりそうになった。昔からずっと一緒、高校まで一緒の幼なじみ。当たり前だがシンが成長するようにミコトも成長していて、シングルベッドに寝転がる彼女の体の曲線に目が惹きつけられる。
「こたつもいいけど布団も気持ちいいよね〜!シン、このまま寝てもいい?」
「……ミコト」
このまま寝られるとシンに悪影響を及ぼしそうだ。シンは咄嗟に彼女を抱きしめた。柔らかいミコトの感触を感じるが、艶めかしい表情を見ることなく過ごせる。腕の中の彼女が息を呑む気配があった。
「ちょ、ちょっとシン?どうしたの?」
彼女の上目遣いは可愛らしく、先ほど見た艶やかさは大分薄れていた。ホッとした。あまりに色っぽい顔をされるとどうしたらいいのかわからない。
「お前の方から寄ってきただろ。じゃあこれくらい平気だよな」
「へ?平気だけど……どうしたのシン、珍しいじゃん。シンの方からこんな積極的なんて」
ミコトは戸惑いつつも、シンを悪戯っぽく見つめていた。シンはその意味深な眼差しに思わず言ってやりたくなった。
「あんまりオレを見るな。……そんな顔してたら、キスしたくなる」
「いいよ?シンとならキスしても」
「!?」
まさかの即答にシンの方が戸惑ってしまった。ミコトは潤んだ瞳でシンを見つめている。どこかへ霧散していた色っぽさが戻ってきた。キスしないの?とでも言いたげな妖しい表情にシンの理性が崩されそうになる。
「お前……」
シンはミコトの額にこつんと額を合わせた。どちらも熱く激っている……ような気がする。この状況に心臓がどうにかなりそうなのはシンだけではないのかもしれない。
「本当にキスするぞ」
「いいって言ってるじゃん」
口を尖らせる彼女の唇から目が離せない。ぷるぷると潤った唇。ああ……奪ってしまいたい。
シンはミコトを抱きしめ、彼女の唇に自らのものを重ねた。触れ合いは一瞬だけ。だからもう一度キスをした。彼女の唇は甘く、ココアの香りがした。
「ファーストキスはレモン味なんて言うけど、ココア味だったね」
くすくすと笑うミコトにシンは目を逸らしつつ、
「……ああ、そうだな」
としか答えることができなかった。
