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新たな年に新たな関係を始めよう
「シーン!今年もおつかれさまー!」
チャイムが鳴り玄関に出てみると幼なじみの月森ミコトがにこにこと笑っていた。
ときは十二月三十一日、大晦日。家が隣同士の二人は、毎年どちらかの家で年越しをすることになっており、今年はシンの家にミコトが来る年だった。
「ああ、今年も終わりだな。寒いだろ、ほら」
「お邪魔しまーす!」
ミコトは満面の笑みのままシンの家へ入っていく。両親がミコトを出迎えるのもいつものことだ。
「あらーミコトちゃん、今年もありがとうね」
「いえいえ、こちらこそお世話になりました!」
両親とミコトがそれぞれ深々と頭を下げる様子をシンは頬をかきながら見守っていた。特にミコトが来る年は母親の張り切り具合が尋常ではなかった。
「ミコトちゃん、今年もおせち作ったからたくさん食べていきなさいね!」
「わー、ほんとですか!毎回ありがとうございます!いただきますね!」
笑い合う母親とミコトを見ていると、シンの口元も静かに綻んだ。
大晦日の夜が更けていく。両親は毎年恒例の歌番組に釘付けだ。テレビにあまり興味のないシンはミコトとともにシンの部屋に引っ込んでいく。
二人はベッドに腰掛けた。ミコトはごろんと仰向けに寝転がり、
「ふわ〜、よく食べたね〜。お腹いっぱい」
と腹部を撫でていた。幼なじみとはいえ仮にも異性のベッドに寝転がるミコトに、シンは苦笑いを零した。
「ああ、よく食べたな。年越しそばも食べたし、もうあと数時間で新しい年になるな」
ちらりと時計を確認すると、二十時半を過ぎている。カウントダウンには早いが、しみじみと今年を振り返ってもいい頃合いだ。
「う〜ん。シン、こっち来て〜」
寝転がったミコトはちょいちょいとシンを手招いていた。少し赤らんだ顔、ベッドに二人きり。少しばかり妖しい雰囲気が漂うものの、シンはミコトの隣に寝転んだ。シングルベッドは狭く、二人の距離は近い。向かい合った二人は額をぶつけ合いそうな距離感だった。彼女のあまりの可愛らしさに近寄ったはいいものの、近すぎる。がばっと起き上がったシンは改めてミコトを見下ろした。彼女は捨てられた子犬のような目でシンを見つめていた。
「どうしたの、シン。急に起き上がって」
「いや、その……近すぎるだろ」
「も〜、今更何言ってるの!」
ミコトも起き上がり、後ろから抱きつかれた。背中にミコトの体温を感じ、腹部に彼女の両腕がある。近いどころの話じゃない、密着している。シンが思わず振り返ると、キスもできるほどの距離にミコトがいた。彼女はにひひ、と悪戯っぽく笑っている。
「幼なじみなんだからいいでしょ〜?それともなに、こんな可愛い女の子が近くにいるのがいやってこと?」
「そ、そんなこと一言も言ってないだろ」
近い。目を逸らしても彼女が視界の隅に映る。背中に押し当てられた体の柔らかさ、彼女のぬくもりに緊張が高まる。シンの体には甘い熱がこもり始めていた。
「えへへ。シン。シンってば。こっち向いてよ」
顎を持たれ、横を向かされる。先ほどまでは可愛らしい少女だったミコトは、少しの艶めかしさを纏った女性になっていた。ふ、と彼女の吐息がシンの顔を掠めていく。
ちゅ。
「〜〜!?」
「へへ」
ミコトの唇がシンの頬に触れていた。柔らかな唇の感触にシンの思考は硬直し、何も考えられなくなった。シンは思わずキスされた頬に触れた。熱い。片方の頬が火照っている。
「お、お前、なにして……!」
反射的に振り返ったとき、唇を何かで塞がれた。眼前にあるのはミコトの顔。唇が触れている。そう理解した頃、口付けが終わった。ほんの一瞬、唇同士が触れ合う優しい口付けだったが、シンの思考を奪うには十分だった。
「キス、しちゃったね」
もう一度唇を奪われてもおかしくない近さで見た彼女は、照れくさそうに笑っていた。ほんのりと色づいた頬、何よりも赤い唇に目が離せない。ぽかんとするシンをよそにぽんと肩を叩かれ、
「シン、私お風呂先に入ってくるね」
ミコトは部屋を出ていった。あとに残されるのはシンただ一人。シンは唇に触れた。少しばかりしっとりと湿っている気がする。キスをされた頬は熱かった。
――オレ、一体何をされて……!?
大晦日の夜、間薙シンは困惑の極みだった。
シン、ミコト、ともに入浴を済ませ部屋に戻ってきたのは二十三時過ぎ。今年もあと一時間足らずで終わってしまう。
「おい、ミコト」
「ん?」
二人はベッドに入り、向かい合っていた。いつもどおりの年越し風景。このまま新たな年を迎えるまで雑談をするところだが、シンはじっとミコトを見つめていた。いや、睨んでいるといった方が適切かもしれない。
「その……なんでキスなんかしてきた。今までそんなことしてこなかっただろ」
尋ねると、ミコトは小悪魔の笑顔を見せた。
「ん〜?なんでだと思う?」
「ごまかすな」
詰問すると、ミコトはぐっと身を乗り出した。もう一度キスができそうなほどに顔が近くなる。シンはぐ、と息を呑みつつ少しばかり後ろに下がった。
「幼なじみっていう関係に飽きちゃったんだよね」
「飽きた?」
彼女から聞こえてきた言葉は意外なものだった。唇を尖らせる彼女はずいぶんと子供っぽく見えた。
「そ。シンは全然こっちに来てくれないからさ〜。じゃあ私からいくしかないなって」
「いくしかない?」
「そうだよ〜。だって私、シンのこと好きだもん。あ、幼なじみじゃなくて、彼氏になってほしい的な方向でね」
「!?」
シンは硬直した。その様子を間近で見ていたミコトはあはは、と可笑しそうに笑う。
「あ〜やっぱり、その感じ!気付いてなかったでしょ〜。今日キスしてようやくちょっとだけ意識した感じ?」
「ちょっとどころじゃないぞ。……だいぶ、意識した」
「あはは、じゃあキスして正解だったね〜。突然したのは悪かったけど」
ミコトはひとしきり笑うと、真面目な顔でシンを見つめた。丸い瞳はただ綺麗で、向かい合うシンを映し出している。
「それでさ、シンはどうなの?私のことどう思ってるわけ?」
「オレ……オレ、は」
シンは頬をかき、彼女から目を逸らした。それでも視線が追いかけてくるのを感じる。シンはミコトをぎゅっと抱きしめ、彼女の顔を胸に押し付けた。これで視線は感じなくなった。今なら言える。
「オレもお前が気になってた。本当は、幼なじみじゃなくて……もっと別の関係になりたかった」
正直な気持ちを答えた瞬間、ぎゅ〜っとミコトが抱きついてきた。胸に顔を埋めつつも上目遣いで見つめてくる。
「じゃあ今日から彼氏彼女になろ?」
「ああ……そうだな」
二人で抱き合い、布団の中でぬくもりを共有する。シンはふと思った。今何時だろう。壁にかかった時計を見ると、二十四時を超えていた。
「あけましておめでとう、ミコト。新しい年だ」
「え、ほんと?おめでと、シン」
新たな年の幕開けに、ミコトは悪戯っぽい笑顔を向けた。
「ねえシン、シンの方からキスしてよ」
「……目、閉じててくれるなら」
「はーい」
ミコトは大人しく目を閉じてくれた。そうすると目が向くのは艶やかな唇。シンは覚悟を決め唇を奪った。柔らかな朱唇に触れ、一度ならず二度口付けをする。まだ触れるだけの口付け。もっと深い口付けは、もっと関係が濃くなってから。二人の関係が変わったばかりの今には適さないだろう。
「シン、キスって緊張するでしょ」
「……ああ。緊張した」
「へへ。たまにはシンの方からしてくれたら嬉しいなー。なんて」
そう言ってミコトは甘えるように体を擦り寄せてくる。シンは彼女を抱きしめ、部屋の電気を消した。真っ暗な視界の中、すぐそばにいる彼女の体温を感じる。
「ミコト」
あまり見えない中なら。シンはミコトの唇を探り当て、優しく塞いだ。軽く接触するだけのキス、ミコトはふふ、と楽しそうに笑っていた。
「おやすみ、シン」
「おやすみ」
新たな年の始まりとともに、新たな関係が始まる。シンはミコトを抱きしめて離さなかった。
「シーン!今年もおつかれさまー!」
チャイムが鳴り玄関に出てみると幼なじみの月森ミコトがにこにこと笑っていた。
ときは十二月三十一日、大晦日。家が隣同士の二人は、毎年どちらかの家で年越しをすることになっており、今年はシンの家にミコトが来る年だった。
「ああ、今年も終わりだな。寒いだろ、ほら」
「お邪魔しまーす!」
ミコトは満面の笑みのままシンの家へ入っていく。両親がミコトを出迎えるのもいつものことだ。
「あらーミコトちゃん、今年もありがとうね」
「いえいえ、こちらこそお世話になりました!」
両親とミコトがそれぞれ深々と頭を下げる様子をシンは頬をかきながら見守っていた。特にミコトが来る年は母親の張り切り具合が尋常ではなかった。
「ミコトちゃん、今年もおせち作ったからたくさん食べていきなさいね!」
「わー、ほんとですか!毎回ありがとうございます!いただきますね!」
笑い合う母親とミコトを見ていると、シンの口元も静かに綻んだ。
大晦日の夜が更けていく。両親は毎年恒例の歌番組に釘付けだ。テレビにあまり興味のないシンはミコトとともにシンの部屋に引っ込んでいく。
二人はベッドに腰掛けた。ミコトはごろんと仰向けに寝転がり、
「ふわ〜、よく食べたね〜。お腹いっぱい」
と腹部を撫でていた。幼なじみとはいえ仮にも異性のベッドに寝転がるミコトに、シンは苦笑いを零した。
「ああ、よく食べたな。年越しそばも食べたし、もうあと数時間で新しい年になるな」
ちらりと時計を確認すると、二十時半を過ぎている。カウントダウンには早いが、しみじみと今年を振り返ってもいい頃合いだ。
「う〜ん。シン、こっち来て〜」
寝転がったミコトはちょいちょいとシンを手招いていた。少し赤らんだ顔、ベッドに二人きり。少しばかり妖しい雰囲気が漂うものの、シンはミコトの隣に寝転んだ。シングルベッドは狭く、二人の距離は近い。向かい合った二人は額をぶつけ合いそうな距離感だった。彼女のあまりの可愛らしさに近寄ったはいいものの、近すぎる。がばっと起き上がったシンは改めてミコトを見下ろした。彼女は捨てられた子犬のような目でシンを見つめていた。
「どうしたの、シン。急に起き上がって」
「いや、その……近すぎるだろ」
「も〜、今更何言ってるの!」
ミコトも起き上がり、後ろから抱きつかれた。背中にミコトの体温を感じ、腹部に彼女の両腕がある。近いどころの話じゃない、密着している。シンが思わず振り返ると、キスもできるほどの距離にミコトがいた。彼女はにひひ、と悪戯っぽく笑っている。
「幼なじみなんだからいいでしょ〜?それともなに、こんな可愛い女の子が近くにいるのがいやってこと?」
「そ、そんなこと一言も言ってないだろ」
近い。目を逸らしても彼女が視界の隅に映る。背中に押し当てられた体の柔らかさ、彼女のぬくもりに緊張が高まる。シンの体には甘い熱がこもり始めていた。
「えへへ。シン。シンってば。こっち向いてよ」
顎を持たれ、横を向かされる。先ほどまでは可愛らしい少女だったミコトは、少しの艶めかしさを纏った女性になっていた。ふ、と彼女の吐息がシンの顔を掠めていく。
ちゅ。
「〜〜!?」
「へへ」
ミコトの唇がシンの頬に触れていた。柔らかな唇の感触にシンの思考は硬直し、何も考えられなくなった。シンは思わずキスされた頬に触れた。熱い。片方の頬が火照っている。
「お、お前、なにして……!」
反射的に振り返ったとき、唇を何かで塞がれた。眼前にあるのはミコトの顔。唇が触れている。そう理解した頃、口付けが終わった。ほんの一瞬、唇同士が触れ合う優しい口付けだったが、シンの思考を奪うには十分だった。
「キス、しちゃったね」
もう一度唇を奪われてもおかしくない近さで見た彼女は、照れくさそうに笑っていた。ほんのりと色づいた頬、何よりも赤い唇に目が離せない。ぽかんとするシンをよそにぽんと肩を叩かれ、
「シン、私お風呂先に入ってくるね」
ミコトは部屋を出ていった。あとに残されるのはシンただ一人。シンは唇に触れた。少しばかりしっとりと湿っている気がする。キスをされた頬は熱かった。
――オレ、一体何をされて……!?
大晦日の夜、間薙シンは困惑の極みだった。
シン、ミコト、ともに入浴を済ませ部屋に戻ってきたのは二十三時過ぎ。今年もあと一時間足らずで終わってしまう。
「おい、ミコト」
「ん?」
二人はベッドに入り、向かい合っていた。いつもどおりの年越し風景。このまま新たな年を迎えるまで雑談をするところだが、シンはじっとミコトを見つめていた。いや、睨んでいるといった方が適切かもしれない。
「その……なんでキスなんかしてきた。今までそんなことしてこなかっただろ」
尋ねると、ミコトは小悪魔の笑顔を見せた。
「ん〜?なんでだと思う?」
「ごまかすな」
詰問すると、ミコトはぐっと身を乗り出した。もう一度キスができそうなほどに顔が近くなる。シンはぐ、と息を呑みつつ少しばかり後ろに下がった。
「幼なじみっていう関係に飽きちゃったんだよね」
「飽きた?」
彼女から聞こえてきた言葉は意外なものだった。唇を尖らせる彼女はずいぶんと子供っぽく見えた。
「そ。シンは全然こっちに来てくれないからさ〜。じゃあ私からいくしかないなって」
「いくしかない?」
「そうだよ〜。だって私、シンのこと好きだもん。あ、幼なじみじゃなくて、彼氏になってほしい的な方向でね」
「!?」
シンは硬直した。その様子を間近で見ていたミコトはあはは、と可笑しそうに笑う。
「あ〜やっぱり、その感じ!気付いてなかったでしょ〜。今日キスしてようやくちょっとだけ意識した感じ?」
「ちょっとどころじゃないぞ。……だいぶ、意識した」
「あはは、じゃあキスして正解だったね〜。突然したのは悪かったけど」
ミコトはひとしきり笑うと、真面目な顔でシンを見つめた。丸い瞳はただ綺麗で、向かい合うシンを映し出している。
「それでさ、シンはどうなの?私のことどう思ってるわけ?」
「オレ……オレ、は」
シンは頬をかき、彼女から目を逸らした。それでも視線が追いかけてくるのを感じる。シンはミコトをぎゅっと抱きしめ、彼女の顔を胸に押し付けた。これで視線は感じなくなった。今なら言える。
「オレもお前が気になってた。本当は、幼なじみじゃなくて……もっと別の関係になりたかった」
正直な気持ちを答えた瞬間、ぎゅ〜っとミコトが抱きついてきた。胸に顔を埋めつつも上目遣いで見つめてくる。
「じゃあ今日から彼氏彼女になろ?」
「ああ……そうだな」
二人で抱き合い、布団の中でぬくもりを共有する。シンはふと思った。今何時だろう。壁にかかった時計を見ると、二十四時を超えていた。
「あけましておめでとう、ミコト。新しい年だ」
「え、ほんと?おめでと、シン」
新たな年の幕開けに、ミコトは悪戯っぽい笑顔を向けた。
「ねえシン、シンの方からキスしてよ」
「……目、閉じててくれるなら」
「はーい」
ミコトは大人しく目を閉じてくれた。そうすると目が向くのは艶やかな唇。シンは覚悟を決め唇を奪った。柔らかな朱唇に触れ、一度ならず二度口付けをする。まだ触れるだけの口付け。もっと深い口付けは、もっと関係が濃くなってから。二人の関係が変わったばかりの今には適さないだろう。
「シン、キスって緊張するでしょ」
「……ああ。緊張した」
「へへ。たまにはシンの方からしてくれたら嬉しいなー。なんて」
そう言ってミコトは甘えるように体を擦り寄せてくる。シンは彼女を抱きしめ、部屋の電気を消した。真っ暗な視界の中、すぐそばにいる彼女の体温を感じる。
「ミコト」
あまり見えない中なら。シンはミコトの唇を探り当て、優しく塞いだ。軽く接触するだけのキス、ミコトはふふ、と楽しそうに笑っていた。
「おやすみ、シン」
「おやすみ」
新たな年の始まりとともに、新たな関係が始まる。シンはミコトを抱きしめて離さなかった。
