恐ろしい夢

  • 森で野宿することになったセディル、ユーリス、エリレオ、レシエナ。
    何の動物かはわからないが、何匹かの大きな鳴き声が遠くから聞こえてきて、セディルは目が覚めてしまった。

  • セディル

    なんだよ。
    この鳴き声は。

  • セディルがテントから出てきた。
    するともう一つのテントからは、

  • ユーリス

    あ~くそ~!
    夜中なんだから静かにしろってんだ!

  • エリレオ

    まったくであります!
    うるさくて眠れないでありますよ~

  • セディル

    君たちもか。
    ぼくも起こされちゃったよ。

  • ユーリス

    ほんと迷惑だよな~
    こっちは寝てるってのにさ。

  • エリレオ

    あれ?
    レシエナ様はどうしたのでありますか?

  • セディル

    ぼく、様子を見てくるよ。

  • テントの中に入るセディル。

  • セディル

  • 静かにレシエナを見るセディル。
    レシエナは、起きる様子はないほど眠っている。
    セディルはテントから出た。

  • エリレオ

    どうだったでありますか?

  • セディル

    ぐっすり寝てたよ。

  • ユーリス

    え!?
    こんなにうるさいのにか!?

  • セディル

    うん。
    あれは起きそうにないね。

  • エリレオ

    すごい方でありますな。
    うらやましいでありますよ。

  • ユーリス

    おれさ、レシエナって見た目とイメージ違うって思ったな。

  • セディル

    ぼくは、
    ユーリスのイメージ違いの方が驚いたけどな。

  • ユーリス

    おれだってセディルの性別には驚いたぞ。

  • エリレオ

    なんか驚きばかりでありま…

  • レシエナ

    キャアッ!!

  • レシエナが落ち着かない様子でテントから出てきた。

  • エリレオ

    ど、どうしたのでありますかっ!

  • セディル

    大丈夫か?
    何があったんだ!?

  • レシエナ

    怖い夢をみたの。

  • セディル

    夢…?

  • レシエナ

    私のことをヴィリー、ヴィリーって呼んで追いかけて来る人がいたのよ。
    私、ヴィリーじゃないのにね。

  • エリレオ

    なんですと!?

  • ユーリス

    いきなりなんだよエリレオ?

  • セディル

    それで、
    追いかけてきた人はどんな人だったんだ?

  • レシエナ

    派手な服を着ていて高飛車で嫌な感じの男だったわ。

  • エリレオ

    なんと!?

  • ユーリス

    なんか…
    そいつに似てる人がいたような気が…。

  • レシエナ

    追いかけられていた私を助けに来てくれた人がいたんだけど、
    なぜかその人まで私をヴィリーって呼ぶのよね。

  • セディル

    それはどんな人なのかわかるかい?

  • レシエナ

    金髪の若い剣士だったかしら。
    輝く立派な剣を持っていたわ。

  • エリレオ

    金髪の剣士でありますか?
    はて、どこかで見たことがありますような…

  • ユーリス

    その剣て…
    まさかあの剣じゃないよな。

  • レシエナ

    …でも、
    助けてくれたその人は追いかけてきた男に刺されてしまって、
    私の視界は真っ赤になってしまったのよ。

  • エリレオ

    こ、怖いであります~!
    恐ろしいであります~!

  • セディル

    そんなのただの夢だから気にするなよ。
    怖い夢なんてぼくも何回も見たことあるけど、特に何もなかったからね。

  • レシエナ

    それもそうね。
    夢を気にするなんて私らしくないわね。

  • エリレオ

    そうでありますよ。
    夢は夢であります。

  • ユーリス

    なんだよ~
    お前、結構恐がってたくせにさ~

  • 冗談ぽく言うユーリス。

  • エリレオ

    うっ。
    そ、それは…

  • レシエナ

    私、また寝るわ。

  • レシエナはテントに戻ろうとする。
    セディル、ユーリス、エリレオの三人は、あのうるさい動物か何かの鳴き声が、まだ消えていないことに気付いた。

  • セディル

    寝れるかい?

  • 鳴き声がうるさくて眠れないのではとセディルは思った。

  • レシエナ

    平気よ。
    それじゃお休みなさい。

  • レシエナは、うるささではなく夢の意味で捉えてしまい、気にすることなくテントに入っていった。

  • エリレオ

    この音で眠れるでありますかね?

  • ユーリス

    おい。
    ちょっと見てきてくれよセディル。

  • セディル

    えっ、もう?
    まだ早いんじゃないかな。

  • と言いつつテントに向かうセディル。
    セディルがテントの中に入ると、
    レシエナの寝息が聞こえてきた。

  • セディル

  • 驚いたセディルは、レシエナの目の前で手をちらつかせたりするが、全く反応はなかった。
    セディルは静かにテントを出る。

  • セディル

    …熟睡してた。

  • ユーリス

    うそだろ!?
    あんなわずかな時間でか!?

  • セディル

    ホントだって!
    完全に眠りに入っているよあれは。

  • エリレオ

    ああ。
    その眠りを僕にも分けてほしいでありますよ~

  • ユーリス

    レシエナって、もっと神経細かそうに見えるけど、意外に豪胆だよな。

  • エリレオ

    ロルウェ様がレシエナ様には頭が上がらない理由がわかる気もするでありますよ。

  • 次の日… 
  • レシエナ

    朝よー
    みんな起きてー

  • セディル

    …おはよう。
    …あれ…?
    ぼくたち野宿してたんだっけ…

  • ユーリス

    あ~ダメだ…
    眠すぎて目蓋が重いよ~

  • エリレオ

    もう眠気いっぱいでありますですハイ…

  • レシエナ

    ほら見て。
    みんながなかなか起きてこないから朝食を作っちゃったわよ。

  • セディル

    え…!?

  • 先程まで寝呆けていた三人は我に返った。

  • レシエナ

    材料を適当に入れたスープしか作れなかったけど、朝食はきちんと取らなきゃね。

  • ユーリス

  • エリレオ

  • 三人は固まっていた。
    これはピンチ!
    さあ、どうする?

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