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ユーリスはロルウェを闇の力を持つ者として敵視していた。
そのことで、セディルとユーリスが言い争いをしていた。 -
ユーリス
いいか!
あいつは闇の力を持っているんだぞ!
簡単に信用できるわけないだろ! -
セディル
どうして闇の力だけで決め付けるんだよ!
関係ないじゃないか! -
エリレオ
ふ、二人とも!
落ち着いて下さいでありますよ! -
エリレオはヒヤヒヤしながら言う。
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セディル
そんなに闇の力が嫌いなのか?
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ユーリス
ああそうだ!
あんな力なんかなければいいのに…! -
ユーリスはどこか悲しそうだった。
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セディル
…
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ユーリスの表情から、何か深いわけがあるのだろうと思ったセディルは、それ以上は問わなかった。
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ロルウェ
おい。
宿の予約がとれたぞ。 -
いつの間にかロルウェがいた。
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ユーリス
お前…!
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ユーリスは嫌悪するような顔をロルウェに向けた。
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ロルウェ
悪いな。途中から話を聞かせてもらった。
だがこれ以上は聞くつもりはないけどな。 -
ユーリス
ああそうかい!
おれだって闇の奴なんかに話すことなんてないからな! -
ユーリスはロルウェに言い放った後、走っていってしまった。
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ロルウェ
おい待てよユーリス!
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ロルウェもユーリスを追い掛ける。
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セディル
あっ二人とも。
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セディルとエリレオも後に続いたが距離が離れてしまった。
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ユーリス
お前!
なんでついてくるんだよっ! -
ユーリスは振り返らず走っている。
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ロルウェ
宿の場所を教えるためだろ。
お前わかるのか? -
ユーリス
お前なんかに教えてもらわなくたって、おれが自力で探すからいいよ。
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ロルウェ
そうはいかないだろう。
セディルやエリレオもいるんだぞ。
一人で勝手な行動を… -
ユーリス
うるさい!
闇の奴の言うことなんか聞くかっ! -
ユーリスがロルウェの声を遮って立ち止まり、ロルウェの足も止まった。
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女
え?あの子闇の力を持ってるの。
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女
シッ!
関わっちゃだめよ。 -
女性二人を始め、周りにいる人々がロルウェをジロジロと見てくる。
ユーリスの声が大きかったため、ロルウェが闇の者だということを聞かれてしまったようだ。 -
女
ちょっとあんた!
この町に危害を加えるようなことをしたらただじゃおかないよ! -
気の強そうな中年の女性がロルウェに冷たい視線を向ける。
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男
もし闇の力を使ったりしたら即効で通報して牢屋行きにさせてやるからな!
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隣にいる中年の男性もまた闇の者を嫌っているようだ。
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男
闇の者が来るなんて…
おれ達もう終わりだ…
呪われる… -
男
おい貴様!
町に入れてもらっているだけでもありがたく思うんだな!
この闇の呪い人め! -
男
はん!のこのこ出て来やがって!
闇の奴らなんかおとなしく暗い世界に引きこもってりゃいいんだよ! -
中にはロルウェにひどい言葉を投げ付ける者もいる。
周りの人々はロルウェを異端視していた。 -
ロルウェ
…
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先程からロルウェは無表情で何も言わずに黙っている。
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女
あの子かわいそうに。
きっとあの闇の人に無理矢理従わされてるんだよ。 -
どうやらユーリスを被害者だと思っているようだ。
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男
おいてめぇ!
その子に何しやがった? -
体格のいい男がロルウェに向かって歩いてきた。
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ロルウェ
やれやれ…
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ロルウェが呟く。
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男
おい!
今オレが闇のヤツから助けてやるからな! -
体格のいい男がユーリスの方を見る。
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ユーリス
えっ?
あ、ああ…う、うん -
ユーリスはロルウェから逃れたいために、話を合わせてしまった。
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男
オレが助けてやる代わりに、終わったらオレと一緒に来てもらうぜ。
お前と楽しむためにな -
体格のいい男が嫌な目をユーリスに向ける。
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ユーリス
な!?
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ユーリスは嫌な予感がした。
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男
お前はかわいいから特別にサービスしてやるぜ。
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体格のいい男はユーリスを女だと思っており、ユーリスの肩に手を回してきた。
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ユーリス
ふざけるなぁー!!
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怒り出すユーリスの手から放った光の魔法が体格のいい男を襲う。
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男
ひいっ!
なっ何なんだよ!
くそ…っ! -
ユーリスの力に驚いた男は逃げ出してしまった。
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女
…
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突然の事で急に周りが静かになる。
その隙にユーリスとロルウェは、逃げるようにして早足で去っていった。 -
ロルウェ
ありがとうユーリス。
おかげで助かった -
ユーリス
なっ!
なんでお前にそんなこと言われなきゃならないんだよ! -
ロルウェ
お前が抜け出すきっかけを作ってくれたからだ。
正直あの雰囲気はきつかったからな。 -
ユーリス
お前を助けたわけじゃないさ。
アイツがおれを女扱いしたから腹が立っただけだからな。 -
ロルウェ
まあそうだな。
だが、お前がどうであれ、その結果オレは助かった。 -
ロルウェは、ユーリスが自分を助けるために行動したのではないことをわかっていた。
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ユーリス
たまたまそうなっただけだろ。
そんなことおれにはどうだっていいんだよ。 -
ユーリスはロルウェの言うことを簡単には受け入れられず、背を向けて歩きだしてしまった。
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その間のセディルとエリレオ
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エリレオ
セディルは…。
なぜ、そんなにロルウェ様のことを信じているのでありますか…? -
セディル
そ、それは…
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セディルは本当のことを言えず口籠もる。
自分も闇の力を持っているから。
闇の力を持つだけで、差別されたり偏見の目で見られる辛さを経験したから。 -
セディル
闇の力をだけで、差別や偏見したりするのに納得がいかないからだよ。
ロルウェだっていろいろと辛い思いをしてきたと思うんだ。 -
セディルは闇の力自体を悪い力だとは思っていない。
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セディル
ぼくはロルウェを信じる。
ロルウェにぼくのことを信じてもらうために。
ロルウェと話したいこともあるからね。 -
セディルは、いつかロルウェには自分の闇の力のことを話したいと思っていた。
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エリレオ
…
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エリレオの目が真剣になっていることに気付いたセディル。
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セディル
エリレオ?どうしたんだ?
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エリレオ
あ、い、いや!
なっなんでもないでありますですよ! -
エリレオはどこか焦っているようだった。
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