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道具袋から魔法薬を取り出したユーリス。
それを見ていたロルウェは、 -
ロルウェ
オレにも魔法薬をくれよ。
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ユーリス
ほら
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ユーリスは無愛想な返事で、薬の小瓶をロルウェに向かって軽く投げた。
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ロルウェ
おっとっと。
なんだよ。普通に渡してくれよ。 -
薬を両手で受け取ったロルウェが不満げに返す。
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ユーリス
おれはラスレンさんとシャークさんがいいと言ったから黙っていたけどな…
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ユーリスは冷たく言い出し、
そして、続けた。 -
ユーリス
闇の力を持つ奴が同行するなんて
おれは認めないからな! -
嫌悪する目付きでロルウェを見るユーリス。
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セディル
やめろよユーリス!
闇の力は関係ないだろ! -
聞き捨てならないと思ったセディルが口を挟む。
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ユーリス
セディルは闇の力の恐ろしさがわからないんだよ!
だからそんなことが言えるんだ! -
セディル
恐ろしさってなんだよ!
ユーリスは闇の力を見たことあるのか!? -
ユーリス
…あるさ!
あんな力…もう思い出したくもない…! -
ユーリスの表情が暗くなる。
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セディル
…!
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セディルはユーリスの顔を見て口を閉じた。
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ユーリス
…
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ユーリスは無言のまま歩いて行った。
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セディル
…
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セディルはなぜここまでユーリスが闇の力を嫌うのかと、ずっと前から疑問に思っていた。
普段のユーリスは明るくて元気でいい奴なのに、闇の力の話題になると人が変わったように冷たくなってどこか暗い雰囲気になる。 -
ロルウェ
…
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ロルウェが、歩いていくユーリスの背中を見ていた。
セディルが見ると、ロルウェがどこか悲しげな目をしていることに気付いた。 -
ロルウェ
あいつが、オレ個人のことが嫌いだというのなら構わないさ。
だが、闇の力だけの理由で否定されたくなかったんだ… -
ロルウェは静かに口にした。
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セディル
ロルウェ…
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セディルは、自分が闇の力を持って生まれた時から、色々と嫌な目にあってきたりしていたので、ロルウェの気持ちも理解していた。
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ロルウェ
おっと。
今はこんなことを言っている場合じゃないな。 -
ロルウェが話を切りかえて前を見て歩き始めた。
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セディル
ロルウェ?
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セディルは、突然態度が変わったロルウェを見て不思議そうな顔をして立っていた。
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ロルウェ
お前こそどうした?早く行くぞ。
宿屋でリファラが待っているだろう。
そのままボーッとつっ立ってるなら置いてきぼりにするからな。 -
振り向いたロルウェ。
セディルが見たのは、いつものロルウェであった。 -
そして…
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パーティーが分散してしまい、セディルとユーリス、リファラとロルウェに分かれてしまった。
その後4人は再会するが、リファラは倒れており、ロルウェはリファラを介抱していた。 -
ユーリス
リファラ!?
しっかりしろリファラ! -
ユーリスがリファラに駆け寄る。
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ユーリス
おいロルウェ!
お前何やってたんだ!? -
ユーリスがロルウェに怒る。
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ロルウェ
リファラは、魔物たちの魔力により深い眠りに落ちてしまったようだ。
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ユーリス
何っ!?
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ロルウェ
悪い。
こうなったのはオレのせいなんだ。 -
ユーリス
ああそうだよ悪いのはお前だ!
よくもリファラをこんな目に合わせてくれたな! -
ロルウェに突っかってくるユーリス。
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セディル
待って!
落ち着いてよユーリス! -
セディルはユーリスを止めた。
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セディル
ユーリス。
周りをよく見てみるんだ。 -
ユーリス
え?
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数十匹の魔物が倒れており、激しい戦いの跡が残っていた。
魔物たちの傷痕は、ロルウェの魔法攻撃によるものであった。 -
ユーリス
この数をお前一人でやったのか…!?
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ユーリスはロルウェを見た。
ロルウェの体はあちこち無数の傷を負っている。
持っているロッドも所々傷ついていた。 -
セディル
ロルウェはリファラを守りながら懸命に戦ったんだよ。
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ユーリス
…
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セディル
大丈夫かロルウェ?
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ロルウェ
まあ…なんとかな
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ユーリス
…今回のところは勘弁してやるよ。
けどな、こんど同じようなことがあったら許さないからな。 -
ロルウェ
ああ。
わかってるさ。
お前に言われなくてもな。
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ロルウェがはっきりと言い返した。
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セディル
(ユーリスも、少しだけでもいいからロルウェを仲間として受け入れてくれたらいいんだけどな)
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