第一章
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『もう大丈夫だよ、そんなに舐めたら瘡蓋が剥がれちゃうよ』
グルルル
どうやらあたしはモンスターを狩るハンターのゲーム世界に来たようだ
夢かもしれないと眠ってみたけど現実で、痛みや物に触れた感覚もある
何かのドッキリにしては無理がありあたしは考える事をやめ目の前の事だけに集中する事にした
助けた猫はマガイマガドの幼体らしく今も喉を鳴らしながらあたしの手の甲の傷を舐めてくれる
ザラザラした舌は肉を削ぎ取る為のものだから少し痛い、でも毛繕いをしたいのだと思えば可愛いものだ
『マガド、あたしみたいな人がいる場所分かる?』
マガイマガドと言うには長くてマガドと呼ぶ事にした、すっかり味方になってくれたこの子は甲斐甲斐しくあたしの世話をしてくれて餌のつもりか色んな物を取ってきてくれた
まあ流石に肉は生で食べる勇気がなくて木の実だけを有り難く受け取った
マガイマガドがいるならきっとハンターがいる里や村があるはず、そう信じて問いかけるがマガドは小首を傾げ尻尾を揺らした
『えっと…じゃあ水!川とかないかな?』
飲水が欲しいとジェスチャーするとそれは分かったのかあたしの前を歩き出し鳴き声をあげた
ついて来いと言っているのだろう
進んでは振り向きまた進んでは振り向く
マガドは男なら紳士だなと変な事を考えながら歩き続け岩を登ったり折れた木々を潜ったり登ったり繰り返すと大きな川に着いた
『ありがとうっ!マガド!』
現実世界なら川の水を飲水にするのに抵抗があるけどこの世界なら何故か綺麗な気がした
あたしは汚れたルームウェアのまま川辺に膝を着くと両手で透明な冷たい水を掬い上げ乾いた喉を潤した
『ん……はあぁ……美味しい』
安堵の息を吐きながら肩を落とすとマガドも嬉しそうにあたしの横に腰を落とし体に頭を擦り付けた
可愛いあたしの大きな猫ちゃん
大人になったらきっと原作のように凶暴になってしまうんだろうけど…今はあたしを助けてくれる頼もしいパートナーだ
川の流れる音と鳥の鳴き声
風が吹けば木々から葉が擦れる音が静かに響き空をみれば青空が広がっていた
何年ぶりだろう
こんなに清々しいのは……
『マガドがいれば…あたしこのまま生きていけるかも』
隣のマガドの頭を撫で顎下を擽ってやれば気持ちよさそうに喉を鳴らしてくれる
こうして暫くあたしはマガドと二人で森で暮らした
言葉はお互い分からないけど、なんとなく伝わるものがある
木の実や魚を食べマガドの紫の炎のお陰で食料を焼く事もできるようになった
洞窟に寝床を作り雨宿りもできる
寝る時はマガドと抱き合って眠り、他の生き物が近寄れば追い払ってくれる
ただ生きる為に毎日を暮らし会社で俯いているよりも人間らしく生きれると思った
でも…それも長くは続かなかった
ある日朝早くマガドが獲物を獲りに寝床から出ていった時だ、いつもマガドは行ってくるという意味を込めて眠るあたしの頬を舐めてから洞窟を出ていく
あたしは彼の食事が終わるまで寝床でゆっくり眠って待つのが日課だったけど、その日はいつもと違った
風を切る音と共に何者かが洞窟を横切った
後から思えばその人物は横たわるあたしが倒れていると勘違いしたのだろう
「君!大丈夫かい!」
肩を揺すられ眠い目を開けるが、あたしは眠気に負けまた瞳を閉じてしまった
「っ!大変だ!」
その人物はあたしをそっと抱き上げるとその場を飛び出し風と共にその場から消え去った
目が覚めると
『………へ?』
あたしの視界には見知らぬ子供達の顔が入り込みギョッと目を見開いた
「あ、起きた!」
「ウツシさん、お姉ちゃん起きたよ〜」
子供達がバタバタと何処かへ走り出しあたしも起き上がると畳の部屋に布団を敷かれ、そこに横たわっていたようだ
久しぶりの布団のせいで寝すぎたのか痛い体をふらつかせ上半身を起こすと自分の服まで変わっていて白い着物のような寝間着を着せられていた
「やあ!置きたんだね!気分はどう?何処か痛いとこはないかい?あ!それよりお腹すいてる?お粥を用意してるけどご飯の前にゼンチ先生に…あ!それより先に里長に?いやでもまずお医者さんが先だよね?」
マシンガントークをする彼に驚き目を丸くさせていると子供達がクスクスと笑い、その声に彼もハッと我に帰った
「あ…ごめんね?えっと…まずは自己紹介かな?俺はウツシ、それからここはカムラの里だよ聞いた事あるかい?」
あたしの側に腰掛けた彼は口布のせいで顔が全部は分からない
それでも優しそうな瞳が彼は害がない事を教えてくれる、というか彼の性格はゲームで知っている
『あたしは…ナマエです、あの、……なんで…あたしは…ここに?』
彼を知っているとは言えそれはゲームでだ
実際に目の前にいると緊張してしまい上手く喋れない
そわそわと視線を彷徨わせながら聞けば彼は怒るわけでもなく話してくれた
任務帰りに森の洞窟で眠るあたしを見つけた彼は倒れているのだと思い助けてくれたそうだ
『あ……(マガド!)』
マガドに何も言わず洞窟を出てしまった
きっと探しているだろう
慌てて布団を退かし立ち上がろうとするとあたしの体は重くぐらりとバランスが崩れ体が傾いた
『うわっ!』
「おっと!無理しちゃ駄目だよ?君随分衰弱してたんだから」
咄嗟にあたしを支えてくれたウツシさん
太い腕があたしの体を支え擦れている、それだけで飛び上がりそうになり親切を無下にするように彼の体を押しのけてしまった
『あ、あたしっ、戻らないとっ…マガ…猫と一緒にいたんです!』
「猫?アイルーの事かな?君の側にはなんの気配もなかったけど」
『でもっ、その……戻らないとっ』
視線が合わせられず自分の両手を握りしめオロオロと困ってしまう
なんと言えばいい?マガイマガドの幼体と暮らしていたって?そんな事言えばハンターである彼が黙っているわけがない
でもアイルーと言えばきっとボロが出てしまう
どうしたものかと頭を悩ませていると、子供達が誰かを連れてきた
「おお!目覚めたかっ!」
大きな渋い声
まさかと思い振り返ると歩く度に鎧をガチャガチャと鳴らす浅黒い肌をした大きな男
この里の里長であるフゲンが部屋に入ってきた
『っっ!!(フゲン様っ!!!)』
このゲームで一番好きだったキャラ
上司にしたい人ナンバーワンの彼の登場にあたしは顔を真っ赤にし震えてしまった
アワアワと声にならない悲鳴をあげているとウツシさんがあたしの前に壁を作るように入り込む
「里長、彼女はナマエという名のようですが…まだ体調が万全ではありません」
「うむ、ゼンチを寄こそう!ナマエよ!近いうちに話そうぞ」
優しく微笑んだ渋い彼はそれだけを告げ子供達を引き連れ部屋を出ていってしまい、あたしは情けなくも足が震えてしまいその場にへたりと座り込んでしまった
「っ!大丈夫かい?(こんなに震えて…緊張してるのかな?)」
『ぅ…あ…はい…(フゲン様だ!フゲン様カッコいい!渋い!はぁぁぁ〜っ!!)』
両手で顔を隠し俯くとついオタクの心の声が叫びだす、そんなあたしをウツシさんが勘違いし心配してくれていたなんて気付きもしなかった
グルルル
どうやらあたしはモンスターを狩るハンターのゲーム世界に来たようだ
夢かもしれないと眠ってみたけど現実で、痛みや物に触れた感覚もある
何かのドッキリにしては無理がありあたしは考える事をやめ目の前の事だけに集中する事にした
助けた猫はマガイマガドの幼体らしく今も喉を鳴らしながらあたしの手の甲の傷を舐めてくれる
ザラザラした舌は肉を削ぎ取る為のものだから少し痛い、でも毛繕いをしたいのだと思えば可愛いものだ
『マガド、あたしみたいな人がいる場所分かる?』
マガイマガドと言うには長くてマガドと呼ぶ事にした、すっかり味方になってくれたこの子は甲斐甲斐しくあたしの世話をしてくれて餌のつもりか色んな物を取ってきてくれた
まあ流石に肉は生で食べる勇気がなくて木の実だけを有り難く受け取った
マガイマガドがいるならきっとハンターがいる里や村があるはず、そう信じて問いかけるがマガドは小首を傾げ尻尾を揺らした
『えっと…じゃあ水!川とかないかな?』
飲水が欲しいとジェスチャーするとそれは分かったのかあたしの前を歩き出し鳴き声をあげた
ついて来いと言っているのだろう
進んでは振り向きまた進んでは振り向く
マガドは男なら紳士だなと変な事を考えながら歩き続け岩を登ったり折れた木々を潜ったり登ったり繰り返すと大きな川に着いた
『ありがとうっ!マガド!』
現実世界なら川の水を飲水にするのに抵抗があるけどこの世界なら何故か綺麗な気がした
あたしは汚れたルームウェアのまま川辺に膝を着くと両手で透明な冷たい水を掬い上げ乾いた喉を潤した
『ん……はあぁ……美味しい』
安堵の息を吐きながら肩を落とすとマガドも嬉しそうにあたしの横に腰を落とし体に頭を擦り付けた
可愛いあたしの大きな猫ちゃん
大人になったらきっと原作のように凶暴になってしまうんだろうけど…今はあたしを助けてくれる頼もしいパートナーだ
川の流れる音と鳥の鳴き声
風が吹けば木々から葉が擦れる音が静かに響き空をみれば青空が広がっていた
何年ぶりだろう
こんなに清々しいのは……
『マガドがいれば…あたしこのまま生きていけるかも』
隣のマガドの頭を撫で顎下を擽ってやれば気持ちよさそうに喉を鳴らしてくれる
こうして暫くあたしはマガドと二人で森で暮らした
言葉はお互い分からないけど、なんとなく伝わるものがある
木の実や魚を食べマガドの紫の炎のお陰で食料を焼く事もできるようになった
洞窟に寝床を作り雨宿りもできる
寝る時はマガドと抱き合って眠り、他の生き物が近寄れば追い払ってくれる
ただ生きる為に毎日を暮らし会社で俯いているよりも人間らしく生きれると思った
でも…それも長くは続かなかった
ある日朝早くマガドが獲物を獲りに寝床から出ていった時だ、いつもマガドは行ってくるという意味を込めて眠るあたしの頬を舐めてから洞窟を出ていく
あたしは彼の食事が終わるまで寝床でゆっくり眠って待つのが日課だったけど、その日はいつもと違った
風を切る音と共に何者かが洞窟を横切った
後から思えばその人物は横たわるあたしが倒れていると勘違いしたのだろう
「君!大丈夫かい!」
肩を揺すられ眠い目を開けるが、あたしは眠気に負けまた瞳を閉じてしまった
「っ!大変だ!」
その人物はあたしをそっと抱き上げるとその場を飛び出し風と共にその場から消え去った
目が覚めると
『………へ?』
あたしの視界には見知らぬ子供達の顔が入り込みギョッと目を見開いた
「あ、起きた!」
「ウツシさん、お姉ちゃん起きたよ〜」
子供達がバタバタと何処かへ走り出しあたしも起き上がると畳の部屋に布団を敷かれ、そこに横たわっていたようだ
久しぶりの布団のせいで寝すぎたのか痛い体をふらつかせ上半身を起こすと自分の服まで変わっていて白い着物のような寝間着を着せられていた
「やあ!置きたんだね!気分はどう?何処か痛いとこはないかい?あ!それよりお腹すいてる?お粥を用意してるけどご飯の前にゼンチ先生に…あ!それより先に里長に?いやでもまずお医者さんが先だよね?」
マシンガントークをする彼に驚き目を丸くさせていると子供達がクスクスと笑い、その声に彼もハッと我に帰った
「あ…ごめんね?えっと…まずは自己紹介かな?俺はウツシ、それからここはカムラの里だよ聞いた事あるかい?」
あたしの側に腰掛けた彼は口布のせいで顔が全部は分からない
それでも優しそうな瞳が彼は害がない事を教えてくれる、というか彼の性格はゲームで知っている
『あたしは…ナマエです、あの、……なんで…あたしは…ここに?』
彼を知っているとは言えそれはゲームでだ
実際に目の前にいると緊張してしまい上手く喋れない
そわそわと視線を彷徨わせながら聞けば彼は怒るわけでもなく話してくれた
任務帰りに森の洞窟で眠るあたしを見つけた彼は倒れているのだと思い助けてくれたそうだ
『あ……(マガド!)』
マガドに何も言わず洞窟を出てしまった
きっと探しているだろう
慌てて布団を退かし立ち上がろうとするとあたしの体は重くぐらりとバランスが崩れ体が傾いた
『うわっ!』
「おっと!無理しちゃ駄目だよ?君随分衰弱してたんだから」
咄嗟にあたしを支えてくれたウツシさん
太い腕があたしの体を支え擦れている、それだけで飛び上がりそうになり親切を無下にするように彼の体を押しのけてしまった
『あ、あたしっ、戻らないとっ…マガ…猫と一緒にいたんです!』
「猫?アイルーの事かな?君の側にはなんの気配もなかったけど」
『でもっ、その……戻らないとっ』
視線が合わせられず自分の両手を握りしめオロオロと困ってしまう
なんと言えばいい?マガイマガドの幼体と暮らしていたって?そんな事言えばハンターである彼が黙っているわけがない
でもアイルーと言えばきっとボロが出てしまう
どうしたものかと頭を悩ませていると、子供達が誰かを連れてきた
「おお!目覚めたかっ!」
大きな渋い声
まさかと思い振り返ると歩く度に鎧をガチャガチャと鳴らす浅黒い肌をした大きな男
この里の里長であるフゲンが部屋に入ってきた
『っっ!!(フゲン様っ!!!)』
このゲームで一番好きだったキャラ
上司にしたい人ナンバーワンの彼の登場にあたしは顔を真っ赤にし震えてしまった
アワアワと声にならない悲鳴をあげているとウツシさんがあたしの前に壁を作るように入り込む
「里長、彼女はナマエという名のようですが…まだ体調が万全ではありません」
「うむ、ゼンチを寄こそう!ナマエよ!近いうちに話そうぞ」
優しく微笑んだ渋い彼はそれだけを告げ子供達を引き連れ部屋を出ていってしまい、あたしは情けなくも足が震えてしまいその場にへたりと座り込んでしまった
「っ!大丈夫かい?(こんなに震えて…緊張してるのかな?)」
『ぅ…あ…はい…(フゲン様だ!フゲン様カッコいい!渋い!はぁぁぁ〜っ!!)』
両手で顔を隠し俯くとついオタクの心の声が叫びだす、そんなあたしをウツシさんが勘違いし心配してくれていたなんて気付きもしなかった
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