第一章
夢小説設定
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「さっきも教えたよね!なんで一回で覚えれないの?」
『…すみません』
「おい!なんでこれやっといてくれないんだよ!」
『え?いや…自分の担当仕事じゃないですし、頼まれてませんし』
「言わなくても分かるだろ!気が利かなねぇなっ!」
『っ、……す……すみません』
一日の殆どを会社で過ごし謝ってばかり
顔を上げる事も笑う事もなくなりあたしの顔はどんどんと曇っていった
涙を流せば怒られる
弱音を言えば怒られる
信じた他の社員に相談したら上に筒抜けになって逆に怒られた
仕事ができないのは自分が悪いから強くも言えない、ううん…元々そういうの言えない性格だし無理だ
自分の担当分が漸く終わっても先輩達から貰った仕事が終わらなくて残業、その後疎らな乗客を乗せた電車に乗って家に帰宅
真っ暗なアパートに着く頃にはすっかり夜中で朝も早く出勤しなくちゃいけないから自由な時間がない
『はぁ……なんの為に生きてるんだろ』
簡単に入浴を済ませルームウェアに着替えるとそれだけで眠気が襲ってくる
同い年の子はもっと生き生きと仕事に行ってるのにあたしは目元にクマを作ってコンビニのおにぎり一個食べる元気もない
休みも殆どないし
友人と遊びにもいけない
『そういえば…最近ゲームもしてないや』
大好きだったゲーム
人とのコミュニケーションが上手くできなくてゲームばかりしてた学生時代
他人から見たら惨めかもしれないけど、あたしにとっては幸せな時間だった
イケメンと恋愛を楽しんだり
ファンタジー世界で勇者になったり
のんびり育成したり
『最後にやったゲームなんだっけ?』
久しぶりに埃が被ったゲーム機を手に取り入っていたソフトを確認するとハンターになってドラゴンのようなモンスターを狩るゲームだった
『あ〜…もうどこまでやったか忘れちゃった』
この手のゲームはあまらやった事がなかったけど、とあるキャラが好きで頑張った
ハンターとして強くなると褒めてくれて、こんな人が上司だったら良かったのにと何度も思ったっけ
『はぁ…なんか…もう全部嫌になっちゃったなぁ』
ゲームを起動する事なくベッドのサイドテーブルに置くと明日の為にすぐに寝転んだ
明日もきっと怒られるんだ、あれはミスしないように…あの人には下手に出るように…
あと…あと……
眠るギリギリまで仕事の心配事をし深い眠りにつくと、ふと体が寒さを感じた
布団を被ったつもりだけど蹴っ飛ばしたのかな?
『ぅ…寒っ……あれ?』
布団を探そうと重い瞼のまま手探りで周りを撫でるとゴツゴツした何かに触れた
慌てて起きればあたしは大自然の中に一人横たわっていた
『………え?…な…えっ?夢遊病とか?』
何処かの森林公園か何かだろうか?
自分は疲れすぎて夢遊病にでもなって勝手に歩いてきたのか?
『はっ!てか時間!仕事っ!』
森の中は薄暗くて夜なのか昼なのかも分からない、せめてスマホで時間をチェックをしようとしたがあたしの側にはベッドもスマホも何もなかった
ルームウェアの姿のまま
ぽつんと見知らぬ場所に一人
『え……えぇ…?』
どうしたらいいのか頭が回らず座り込むしかなかった、空を隠すほど伸びた木々を見上げ息を吐けば少し白くて寒い
公園や森なら人がいるところまで移動しなくてはと身の危険を感じ立ち上がると後ろの草むらがガサリと大きな音を立てた
『ひっ!』
まさか熊だろうか?
それとも危ない人?いや寧ろあたしのほうが今は危ない人かもしれない
パニックになりながら動かなくなった草むらに恐る恐る近づくと
フゥゥゥッッ!!
『ね…猫?いや…でも大きいな』
草むらの向こう側にはこちらを威嚇し牙を剥き出しにした大きな猫?がいた
猫にしてはなんだか変だけど虎がまさか日本の森にいるわけないし…
『怪我したの?』
大きな猫の腕には尖った木の枝が刺さっており傷口からは血が滲んでる
痛くて抜けないのか猫は刺さったままの傷口を舌で舐めてはこちらを威嚇する
『……抜いたほうが…多分いいよね?触るけど…怒らないでね?』
言葉が通じるわけないけど、つい話しかけてしまう
あたしは威嚇する猫に視線をあわせしゃがみ込むと手を伸ばした
フゥゥゥッ!!
余計に警戒した猫は紫の毛を逆立て尻尾の先まで毛を……て……あれ?なんか尻尾の先が鋭い槍みたいになってない?
何かの間違いかと頭を左右に振り怒る猫の腕に刺さった木の枝を握った
ガァッッ!!
『いっ!!〜〜っ!』
猫の牙があたしの手の甲を噛みついたけど痛いのはこの子も同じだ
早く抜いてあげたい!その気持ちだけで噛まれた痛みを我慢し深く刺さっていた木の枝をゆっくりと抜く
ず…ずずっ……
思ったより深くて力を込めているのに上手く抜けない、腕から抜けていく枝は真っ赤に染まっておりあたしの手の甲からも血が垂れ落ち辺りは血の匂いが包む
『ふっ!っ、もう…ちょっ…と!!』
ズルンっ!と全て抜き取ると猫はそそくさとあたしから距離を取りこちらを睨んだ
『もう触らないから、安心して』
刺さっていた木の枝を横に投げ座り込むと自分の手の甲に出来立て噛み傷に眉を下げた
正直凄く痛い
動物に噛まれたのは初めてだけどじくじくとした痛みが手に広がり涙が浮かんでしまう
『会社…これを理由に休めないかな?』
会社を休む理由になるならいいかと変に前向きに考えているとスルリと横を何かが通った
それは紫色の大きな猫で、あたしの手の甲に鼻を押しつけたかと思えばぺろりと舐めてくれた
『……慰めてくれるの?』
グルルル…
どうやら助けた事を分かってくれたようだ
猫って頭いいんだなと呑気に考え好きにさせると血が止まる頃には猫はすっかりあたしに懐いき座り込むあたしの腰に巻きついて寝転んだ
『君のお陰で温かいよ、ありがとうね?』
頭を撫でて見ると嫌がらずグルグルと喉を慣らしてくれる
可愛いと思うけど本当に猫なんだろうか?
猫にしては体にゴツゴツとした鎧のような骨?棘のような物がありまるで…ゲームで見たマガイマガドというモンスターだ
『まさか…ね?』
ただの変わった猫だと言い聞かせているとまたガサリと草むらが鳴り響いた
血の匂いに惹き寄せられたそれは自分と同じくらいの大きさをしたトカゲ…いや恐竜だ!
『えっ?ええっ!!』
驚いているうちに恐竜は牙を剥き出しにして涎を垂らしながらあたしに向かってきた
自分の身を守る物は何もない咄嗟に両手で前に盾にするように身構えると
ガァァッッ!!
側で寝転んでいた猫が素早く恐竜に襲いかかった
弱そうな獲物のあたしだけを見ていた恐竜はまさか猫がいたとは知らず奇襲に驚きそのまま首を噛まれた
激しい唸り声と爪や牙がぶつかる音
猫は鼻の上にシワを増やし背中にあった鎧のような物を逆立てていく
そして尻尾は槍のように鋭く三股に別れ紫の炎を灯していく
あぁ…見たことがある
この子は
『マガイ……マガド?』
恐竜を殺し首を噛みついたまま振り返ったのはマガイマガド、あたしのよく知るゲームのモンスターだった
『…すみません』
「おい!なんでこれやっといてくれないんだよ!」
『え?いや…自分の担当仕事じゃないですし、頼まれてませんし』
「言わなくても分かるだろ!気が利かなねぇなっ!」
『っ、……す……すみません』
一日の殆どを会社で過ごし謝ってばかり
顔を上げる事も笑う事もなくなりあたしの顔はどんどんと曇っていった
涙を流せば怒られる
弱音を言えば怒られる
信じた他の社員に相談したら上に筒抜けになって逆に怒られた
仕事ができないのは自分が悪いから強くも言えない、ううん…元々そういうの言えない性格だし無理だ
自分の担当分が漸く終わっても先輩達から貰った仕事が終わらなくて残業、その後疎らな乗客を乗せた電車に乗って家に帰宅
真っ暗なアパートに着く頃にはすっかり夜中で朝も早く出勤しなくちゃいけないから自由な時間がない
『はぁ……なんの為に生きてるんだろ』
簡単に入浴を済ませルームウェアに着替えるとそれだけで眠気が襲ってくる
同い年の子はもっと生き生きと仕事に行ってるのにあたしは目元にクマを作ってコンビニのおにぎり一個食べる元気もない
休みも殆どないし
友人と遊びにもいけない
『そういえば…最近ゲームもしてないや』
大好きだったゲーム
人とのコミュニケーションが上手くできなくてゲームばかりしてた学生時代
他人から見たら惨めかもしれないけど、あたしにとっては幸せな時間だった
イケメンと恋愛を楽しんだり
ファンタジー世界で勇者になったり
のんびり育成したり
『最後にやったゲームなんだっけ?』
久しぶりに埃が被ったゲーム機を手に取り入っていたソフトを確認するとハンターになってドラゴンのようなモンスターを狩るゲームだった
『あ〜…もうどこまでやったか忘れちゃった』
この手のゲームはあまらやった事がなかったけど、とあるキャラが好きで頑張った
ハンターとして強くなると褒めてくれて、こんな人が上司だったら良かったのにと何度も思ったっけ
『はぁ…なんか…もう全部嫌になっちゃったなぁ』
ゲームを起動する事なくベッドのサイドテーブルに置くと明日の為にすぐに寝転んだ
明日もきっと怒られるんだ、あれはミスしないように…あの人には下手に出るように…
あと…あと……
眠るギリギリまで仕事の心配事をし深い眠りにつくと、ふと体が寒さを感じた
布団を被ったつもりだけど蹴っ飛ばしたのかな?
『ぅ…寒っ……あれ?』
布団を探そうと重い瞼のまま手探りで周りを撫でるとゴツゴツした何かに触れた
慌てて起きればあたしは大自然の中に一人横たわっていた
『………え?…な…えっ?夢遊病とか?』
何処かの森林公園か何かだろうか?
自分は疲れすぎて夢遊病にでもなって勝手に歩いてきたのか?
『はっ!てか時間!仕事っ!』
森の中は薄暗くて夜なのか昼なのかも分からない、せめてスマホで時間をチェックをしようとしたがあたしの側にはベッドもスマホも何もなかった
ルームウェアの姿のまま
ぽつんと見知らぬ場所に一人
『え……えぇ…?』
どうしたらいいのか頭が回らず座り込むしかなかった、空を隠すほど伸びた木々を見上げ息を吐けば少し白くて寒い
公園や森なら人がいるところまで移動しなくてはと身の危険を感じ立ち上がると後ろの草むらがガサリと大きな音を立てた
『ひっ!』
まさか熊だろうか?
それとも危ない人?いや寧ろあたしのほうが今は危ない人かもしれない
パニックになりながら動かなくなった草むらに恐る恐る近づくと
フゥゥゥッッ!!
『ね…猫?いや…でも大きいな』
草むらの向こう側にはこちらを威嚇し牙を剥き出しにした大きな猫?がいた
猫にしてはなんだか変だけど虎がまさか日本の森にいるわけないし…
『怪我したの?』
大きな猫の腕には尖った木の枝が刺さっており傷口からは血が滲んでる
痛くて抜けないのか猫は刺さったままの傷口を舌で舐めてはこちらを威嚇する
『……抜いたほうが…多分いいよね?触るけど…怒らないでね?』
言葉が通じるわけないけど、つい話しかけてしまう
あたしは威嚇する猫に視線をあわせしゃがみ込むと手を伸ばした
フゥゥゥッ!!
余計に警戒した猫は紫の毛を逆立て尻尾の先まで毛を……て……あれ?なんか尻尾の先が鋭い槍みたいになってない?
何かの間違いかと頭を左右に振り怒る猫の腕に刺さった木の枝を握った
ガァッッ!!
『いっ!!〜〜っ!』
猫の牙があたしの手の甲を噛みついたけど痛いのはこの子も同じだ
早く抜いてあげたい!その気持ちだけで噛まれた痛みを我慢し深く刺さっていた木の枝をゆっくりと抜く
ず…ずずっ……
思ったより深くて力を込めているのに上手く抜けない、腕から抜けていく枝は真っ赤に染まっておりあたしの手の甲からも血が垂れ落ち辺りは血の匂いが包む
『ふっ!っ、もう…ちょっ…と!!』
ズルンっ!と全て抜き取ると猫はそそくさとあたしから距離を取りこちらを睨んだ
『もう触らないから、安心して』
刺さっていた木の枝を横に投げ座り込むと自分の手の甲に出来立て噛み傷に眉を下げた
正直凄く痛い
動物に噛まれたのは初めてだけどじくじくとした痛みが手に広がり涙が浮かんでしまう
『会社…これを理由に休めないかな?』
会社を休む理由になるならいいかと変に前向きに考えているとスルリと横を何かが通った
それは紫色の大きな猫で、あたしの手の甲に鼻を押しつけたかと思えばぺろりと舐めてくれた
『……慰めてくれるの?』
グルルル…
どうやら助けた事を分かってくれたようだ
猫って頭いいんだなと呑気に考え好きにさせると血が止まる頃には猫はすっかりあたしに懐いき座り込むあたしの腰に巻きついて寝転んだ
『君のお陰で温かいよ、ありがとうね?』
頭を撫でて見ると嫌がらずグルグルと喉を慣らしてくれる
可愛いと思うけど本当に猫なんだろうか?
猫にしては体にゴツゴツとした鎧のような骨?棘のような物がありまるで…ゲームで見たマガイマガドというモンスターだ
『まさか…ね?』
ただの変わった猫だと言い聞かせているとまたガサリと草むらが鳴り響いた
血の匂いに惹き寄せられたそれは自分と同じくらいの大きさをしたトカゲ…いや恐竜だ!
『えっ?ええっ!!』
驚いているうちに恐竜は牙を剥き出しにして涎を垂らしながらあたしに向かってきた
自分の身を守る物は何もない咄嗟に両手で前に盾にするように身構えると
ガァァッッ!!
側で寝転んでいた猫が素早く恐竜に襲いかかった
弱そうな獲物のあたしだけを見ていた恐竜はまさか猫がいたとは知らず奇襲に驚きそのまま首を噛まれた
激しい唸り声と爪や牙がぶつかる音
猫は鼻の上にシワを増やし背中にあった鎧のような物を逆立てていく
そして尻尾は槍のように鋭く三股に別れ紫の炎を灯していく
あぁ…見たことがある
この子は
『マガイ……マガド?』
恐竜を殺し首を噛みついたまま振り返ったのはマガイマガド、あたしのよく知るゲームのモンスターだった